(本記事は、谷口 弘和氏の著書『
100年安心できる! 「いい家」の建て方』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
施工業者はこう探す
資金計画がクリアになった段階でまだ施工業者が決まっていない場合は、次にやるべきことは、家づくりのパートナー探しです。
ネットで検索する、資料請求をする、モデルハウスや住宅展示場を見学するなどして、「これだ!」と思う施工業者が見つかるまで、粘り強く探し続けてください。妥協せず、あきらめず、じっくりと時間をかけて探すことが大事です。
やみくもに行動すると、「情報が多すぎて、何が正しいのかわからない」ということになりがちです。
「いろいろ見過ぎて、もう考えるのも疲れてしまった」
「住宅展示場でしつこく営業されて嫌な思いをした」
「夫婦の意見が一致しない。家づくりなど、もうやめだ」
なんていうことになっても困ります。
建売ではなく注文住宅を建てようと決めている場合は、地元の工務店に的を絞ってHPなどを検索し、情報収集することをおすすめしたいと思います。
「工務店って、大工さんがやっているんでしょ。センスは大丈夫?」
「システムキッチンや出窓など、細かい要望にも応じてもらえるの?」
そんな印象をいだいている方もいるかもしれません。たしかに、昔ながらの古い体質、古いセンスで家を建てている大工・工務店は少なくないでしょう。
でも、革新的でデザインに力を入れている工務店もなかにはあるのです。全国でもそれほど数多くはないので、あまり目立った存在とはいえず、また、莫大な費用をかけて広告宣伝ができるわけでもないので、すぐそばにあっても気づかれず、見過ごされているかもしれません。
そういう稀少価値のある工務店を見つけ出すことができたなら、あなたの家づくりは成功すること間違いなしです。
心から満足・納得のいく家づくりができるかどうかは施工業者選びにかかっているというのは紛れもない真実です。
どうかそのあたりをご理解のうえ、次項をお読みいただければと思います。
業者に騙されないためのノウハウ
私が経営する工務店は、木造住宅を専門とする設計士と大工が集まって家づくりをしている会社です。設計士は30名、大工は40名ほどいて、全員が社員です。
そのほか、土地探しを担当する不動産社員、お金全般を担当する経理社員、アフターメンテナンスなどを担当する顧客カスタマーセンター社員など、総勢約100名が働いています。
地盤調査や土地造成といったことに関しては、専門業者と提携をしています。
お客様が土地を購入する前に地盤調査ができると良いのですが、それは現行法によりできません。他人の土地に勝手に穴をあけるわけにはいかないのです。
そもそも、エリア一帯の地質が悪く、地盤軟弱である場合は、周辺の不動産業者はそのことをよく知っているはずです。親切な業者ならば、購入を検討しているお客様にそのことを事前に伝えるでしょう。
しかし、不親切な業者も少なからずいるようなので、十分に注意をしてください。
特に問題なさそうなので土地を購入したとして、地盤調査とそれに基づく補強工事は絶対に必要です。
地盤調査というのは、鉄のドリルのような物を地中に沈め、地表から硬い岩盤層まで何メートルあるのか測ることです。浅ければ、現地の土とセメントを混ぜて硬い地盤を形成するだけで大丈夫な場合もあります。深ければ、そこにさらにセメント杭や鋼管つまりは鉄の杭を打ち込みます。
調査の結果により、こうした補強工事が100~200万円かかる場合があります。
ところが、その説明をしない業者もいるので、注意が必要です。
土地を購入し、いざ家を建てるという段になって「土地補強に、あと100万ほどかかります」と言われたら、誰だって驚いてしまうでしょう。
でも、そうしたことが往々にして起こり得るのです。
絶対に許してはならないのは、土地造成工事の手抜きです。
家が傾くほどのひどい手抜き工事などはあってはいけないことです。
もちろん、現実に滅多にあることではなく、数十万件に一例あるかないかです。
ご参考までにお話ししておくと、「補強工事はこのようにした」という報告書が保証会社に提出されます。その報告書の内容と事実が異なり、後になって問題が起きた場合は、補償がなされます。
そのために、施主は建設会社を通して保険に加入するわけです。
補強工事を請け負った建設会社が倒産したとしても、補償契約は活きているので、万が一にも家が傾いたりした場合は補償金がおります。
これはとても良い仕組みです。そうでなければ家を建てられないようになっています。
地盤調査と補強工事は、法により義務付けされています。これをやらないことはあり得ません。ただ、程度にもよりますが、手抜き工事はあり得ます。それは工事に携わった当事者のみが知り得る秘密情報で、我々工務店の側は正確な実態がよくわからないというのが実情です。
工務店としては、地盤調査や土地造成の専門家を信じて任せる以外にありません。施主の方々には、我々工務店を信頼して任せていただくしかありません。
信じていいかどうかをどこで見極めるかといえば、これはもう過去の実績を見て確かめるということに勝る方法はありません。
谷口 弘和
株式会社木の家専門店谷口工務店代表取締役。1972年、滋賀県蒲生郡竜王町生まれ。仕事一筋の父親である大工の家に育つ。彦根工業高校にて建築の勉強をした後、大手ハウスメーカーに就職。全寮制の会社で修業をしながら大工として働きはじめる。独立を決意し、4年後の22歳の時に独立する。現在、年商14億円、年間新築着工数33棟の会社と成長している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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