住宅・不動産
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2020.7.5

数ある資産運用法のなかで、会社員が不動産投資にこだわる理由

世の中にはいくつもの資産運用の選択肢がありますが、不動産投資にこだわる会社員が一定数います。なぜ彼らは不動産投資にフォーカスするのでしょうか。ここでは、不動産投資をいくつもの視点から考察することで、その「等身大の魅力」に迫ります。

不動産投資を資産運用に選ぶ会社員の実態とは?

はじめに、不動産投資による資産運用をしている会社員の実態を見てみましょう。不動産投資をする人にはどのような傾向があって、どれくらいの投資物件を平均的に所有しているのでしょうか。

不動産投資をする会社員の平均年収は1,000万円超

株式会社MFSが約2,000名のサラリーマンを対象にした調査によると、不動産投資をしている会社員の平均年収は1,064万円でした。このような高収入の会社員が不動産投資に積極的な背景としては、投資物件をローンで購入するケースも多く、ローン審査をクリアするには「高所得者が有利だから」だと考えられます。なお、不動産投資をしている会社員の平均年齢は43歳、35~50歳くらいの中間管理職世代に人気の資産運用です。

区分マンション投資家の不動産所有額は平均4,600万円

次に、会社員投資家の不動産所有額の平均ですが、これはどの種類の物件を対象にしているかで大きく変わってきます。たとえば、区分マンションに投資している人の不動産所有額は平均4,600万円、一棟アパート所有者は平均1.4億円と約3倍になります。

高所得とはいえ会社員の人たちが千万単位、億単位の投資をできる理由は、「不動産投資ローン」の存在が大きいと考えられます。一般的に、ローン利用時の不動産投資の初期投資額は「物件価格の1割程度の頭金+諸費用」といわれます。つまり、400~500万円の初期費用額があれば4,000~5,000万円の投資が可能になるというわけです。
 

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なぜ彼らは“不動産投資推し”なのか?他の資産運用と比較

ここまでの内容で、不動産投資をする会社員の実態をつかんでいただけたでしょう。では、数ある資産運用の中で彼らはなぜ不動産投資を選んだのでしょうか。他の資産運用と利回り、リターン、リスクなどを比較してみましょう。

債券、定期貯金、株など……主な資産運用との比較表

資産運用法 利回り目安 リスク リターン 運用の手間
不動産投資 6.53% 小~中 かからない
国内債券 0.05% かからない
定期貯金 0.002 かからない
投資信託 6.55% かからない
株式投資 ケースバイケース かかる
FX ケースバイケース かかる

利回りの出所:【不動産投資】野村不動産アーバンネット2018年取引物件データ(東京23区・一棟マンション)、【国内債券】個人向け国債変動10年(第121回)※2020年4月末現在、【定期貯金】ゆうちょ銀行の定期貯金※2020年4月末現在、【投資信託】モーニングスター作成「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に基づき、2008年~2018年の10年積み立て投資をした場合の平均年利

利回りの比較

不動産投資、投資信託ともに6%台という高い利回りを確保しています。これに対して、国内債券と預貯金は1%を大幅に下回る低利回りとなっています。なお、株式投資とFXの利回りは、タイミングや銘柄によって大きく変わってくるため、ケースバイケースです。

補足すると、不動産投資の利回り6.53%というのは東京都心の一棟物件(建物を丸ごと所有)の場合です。一般的に、1居室を所有する区分マンションでは、経営効率が落ちるため1棟物件より低利回りになるといわれます。また、投資信託の利回り6.55%はリスクの低い銘柄を選択し、積立投資を10年間続けた場合です。短期間で見ると利回りが悪くなる、あるいはマイナスになることもあります。

リスクとリターンの比較

ローリスク・ローリターンなのは不動産投資、国内債券、定期貯金、投資信託などです。これに対して、ハイリスク・ハイリターンなのは株式投資とFXです。ただし、不動産投資は大都市の好立地マンションなどに投資することが前提です。テナントビルや地方のアパートなどは大きなリターンも見込める一方、空室リスクもあります。また、投資信託は代表的な指数などと連動するインデックスファンドが前提になります。同じ投資信託でも、大きなリターンを狙うアクティブファンドだと高リスクになります。

運用の手間

運用の手間がかからないのは、不動産投資、国内債券、定期貯金、投資信託などです。一方、FXはこまめなチャートチェックが欠かせないため運用に手間をとられます。株式投資は、長期投資をするのであれば手間はかかりませんが、値動きに合わせて売り買いをするスタイルなら時間をとられます。

不動産投資の特徴はローリスク・ローリターンの運用

同じ資産運用であっても、どの方法を選ぶかによって、利回り、リスク&リターン、運用の手間などはかなり変わってきます。この違いを知ったうえで、自身に合う資産運用法を選ぶことが大切です。ちなみに不動産投資の特徴は、定期貯金や国内債券などよりも高い利回りを確保しつつ、ローリスク・ローリターンで運用できることです。

会社員の資産運用に不動産投資が選ばれる理由

前章の他の資産運用との比較を参考にしながら、一定の会社員が不動産投資にこだわる理由をあらためて整理してみましょう。彼らが不動産投資を選ぶには、次の5つの理由があるからと考えられます。

理由1:限られた元手で大金を動かせる

先ほどの比較では、不動産投資と投資信託に次の共通点がありました。
  • ある程度の利回りが確保しやすい
  • ローリスク&ローリターンである
  • 運用に手間がかからない
一方、両者には「初期投資額へのレバレッジがかけられる、またはかけられない」という大きな違いがあります。不動産投資はローンを利用することで初期投資額にレバレッジをかけられますが、投資信託は手持ち以上の投資ができません。そのため、投資信託はリスクヘッジになるものの投資額が少なく、リターンがなかなか増えないケースもあります。

理由2:不労所得を得られる

最近では、「会社員の副業」に注目が集まりますが、会社員は平日日中の大半が拘束されるため、副業に使える時間には限りがあります。ランサーズの調査によると、会社員系ワーカーの6割以上が「1週間のうちに副業で使える時間は5時間未満」と回答しています。このように使える時間が短ければ、働く時間をお金に変える「労働集約タイプ」の副業では限界があります。

一方、不動産投資は、投資物件という資本がリターンを生む「不労所得タイプ」の副業なので、時間のない会社員でもまとまったリターンを生み出すことが可能です。入居手続きやトラブル対応といった賃貸業務を管理会社にアウトソースすれば、後は自動的に毎月決まった賃料収入を得られます。

理由3:急激な値動きがない

資本がリターンを生む「不労所得タイプ」の副業には株式投資やFXで副収入を得るトレーダーもありますが、これらは値動きが刻々と変わるため、日々チャートをチェックしなければなりません。その結果、「本業である会社員の仕事に集中できない」ケースもよくあります。

不動産投資の場合で考えると、物件価格は景気などの影響を受けますが、長いスパンをかけて緩やかに変動しています。また、物件価格の影響が収入のベースである賃料に反映されるまでには、相当なタイムラグがあります。その意味で不動産投資は、本業に集中しながら安定的に副収入を得られやすく、会社員に向いているといえるでしょう。

理由4:成功モデルに再現性がある

不動産投資ビジネスの仕組み自体はシンプルです。基本的なフレームは、投資物件を購入し、それを人や店舗・会社などに貸して賃料を得ることです。それだけに基礎知識やコツさえ習得すれば再現性が高く、高度なスキルや運によらずとも安定的にリターンを生み出しやすいといえます。獲得したノウハウをもとに、戸数・棟数を増やすことで規模を拡大していけるのも利点です。

理由5:長期安定型の資産運用

一口に資産運用といっても、ハイリスク・ハイリターン狙いとローリスク・ローリターン狙いがあります。大手企業に勤める、あるいは、高収入のサラリーマンであれば、ローリスク・ローリターンで安定したリターンを得て、「老後資金を手堅くつくっていきたい」という人も多いでしょう。不動産投資は、このような安定志向の人たちにフィットした選択といえます。

金融機関が融資をしてくれるのは不動産投資だけ

ここでは、会社員の資産運用に不動産投資が選ばれる5つの理由を紹介しました。いずれも大きな魅力ですが、不動産投資だからこその魅力といえば「限られた元手で大金を動かせる」でしょう。安定した利回りを金融機関の融資を使うことで最大化できるのは、他の資産運用にない強みといえるでしょう。

不動産投資のデメリットと失敗パターン

ここまでの内容で、会社員の資産運用に不動産投資が選ばれる理由がご理解いただけたでしょうか。ただこれから不動産投資をはじめる人は、デメリットと失敗パターンにも目を向ける必要があります。利点と欠点の両方を熟知していることで、運用の成功確率が高まるといえるからです。

不動産投資の5つのデメリット

不動産投資の代表的なデメリットは次の通りです。いずれも適切な対策をとれば、回避できる可能性が高まります。

・デメリット1:空室リスク
内容:空室が発生し、賃料が入ってこなくなるリスク。長期的に続けば経営破綻につながります。
対策:賃貸ニーズのあるエリア内の好立地物件の購入が有効です。

・デメリット2:賃料下落リスク
内容:平均的に賃料は年1%下落しますが、賃貸ニーズの低下するエリアはこれ以上の下落もあり得ます。
対策:賃料下落を織り込んだ経営計画が有効です。

・デメリット3: 賃料滞納リスク
内容:賃料滞納が発生すると、入居者がいてもキャッシュが入ってこない状態になります。
対策:家賃督促で豊富なノウハウを持っている管理会社を選ぶことが重要です。

・デメリット4:天災リスク
内容:火災、地震、風災などの被害があります。特に火災が発生すれば物件が消失してしまうので対策はマストです。
対策:必要に応じて損害保険に加入することでカバーできます。

・デメリット5:資産価値下落リスク
内容:想定していたよりも資産価値が下落することで売却時の赤字幅が広がります。
対策:将来の人口動態が安定しているエリアを選ぶことで、ある程度のリスクヘッジが可能です。

・デメリット6:パートナーの倒産リスク
内容:物件の売買を担当している不動産会社、入居者対応をサポートする管理会社が倒産するリスクとなります。
対策:一時的な影響はあるものの、信頼できる業者を探すことで修正できます。

不動産投資でよくある失敗パターン

リスクを知っていても不動産投資で失敗するパターンもあります。典型的な失敗パターンは次の通りです。

・失敗パターン1:割高な物件を購入してしまった
不動産投資の初心者が失敗するパターンの代表が、割高な物件の購入です。たとえ好立地物件でも、割高な物件を仕入れてしまえばキャッシュフローが出ない、あるいは、赤字幅が大きくなるといった失敗につながりやすくなります。「好立地なので空室リスクが低いですよ」といったセールストークに惑わされず、過去から現在の相場をリサーチし、適切な価格で収益物件を購入することが大切です。

・失敗パターン2:固定費や大規模修繕費の見積もりが甘かった
固定費や大規模修繕費の見積もりが甘いと、経営計画との間に大きなズレが生じます。その結果、期待した利回りが得られず、最悪の場合はリターンを得るどころか手元のキャッシュを減らすことになってしまいます。このような事態を招かないためには、固定費や大規模修繕費の項目に抜けがないか綿密にチェックすることが大事です。経営計画(シミュレーション)は不動産会社が作成してくれるケースが多いですが、その中身をくまなく確認しましょう。

・失敗パターン3:入居者の集客が難しい物件を購入してしまった
入居者の集客が難しい理由としては、賃貸ニーズのないエリアや以前はニーズがあったものの低下しているエリアなどが考えられます。あるいは、賃貸ニーズはあっても、賃料設定が割高で競争力がないケースも考えられます。賃貸物件検索サイトや現地調査でリサーチを行うことでこの失敗を回避しやすくなります。

・失敗パターン4:業者のセールストークを鵜呑み(うのみ)にしてしまった
これは知識が足りないことが原因です。失敗の中でも特に避けたいのは「物件選び」。儲からない物件や入居者が入りづらい物件を購入してしまえば、後で修正することが困難になります。適切な物件選びをするには、自身で競合物件の価格や賃料をリサーチすることで「相場感を養うこと」も大切です。

・失敗パターン5:高金利で融資を受けてしまった
いくら割安な収益物件を手に入れてもローン金利が割高であれば、利回りと長期金利の差であるイールドキャップが低くなります。これにより、資産形成が進まない、あるいは、手元キャッシュを減らすということになりかねません。ローンを利用して不動産投資をする際には、複数の金融機関の金利を比較することも大切です。

リスクを学べば成功確率が高くなる?

不動産投資のデメリットや失敗例をまとめると、かなりのボリュームになります。「こんなにたくさんのリスクがあるなら不動産投資をしないほうがよい」と考えるか、「リスクについてしっかり学んでいるのだから成功確率は高い」と考えるかはその人次第でしょう。ただし、ここで紹介したリスクは一部です。不動産投資を本気で考える人は、セミナー、本、Webメディアなどを通してさらなるリサーチを重ねてみてください。

最近の不動産投資の傾向

不動産投資をこれからはじめる人は、基本情報とともに賃貸ニーズの変化を捉えることも大切です。これにより時代にフィットした賃貸経営が可能になります。一例としては、次のような傾向があります。

最近の傾向:ワンルームマンションが人気を集める

大都市圏、特に東京都心では若者の流入が増えており、彼らをターゲットとしたワンルームマンション投資が人気を集めています。「住民基本台帳に基づく人口移動報告(2019年)」によると、東京都内への転入超過数は8万2,982人(前年比4%増)。その約7割を就職世代の20~24歳が占めています。

こういった若者を含む単身者増加に対して、リーマンショック後に一旦落ち込んでいた投資用マンション市場(供給数)も安定的に推移しています。その年によって多少の上限はありますが、2014年以降、6,000~8,000戸前後のラインで推移しています。

狭小アパートが増えている

都心の単身者向け住宅といえば、ワンルームマンションが代表的でしたが、最近では「極狭(ごくせま)アパート」も多く見られるようになってきました。 約3畳程度+ロフトのスペースは約13平方メートル 。これは一般的なワンルームマンションの半分ほどの広さです。

日本経済新聞の取材(2020年2月2日付)によると、極狭アパートを得意とする不動産会社の平均入居率は99%、入居者の8割は20~30代の会社員・学生とのことです。「モノの所有にはこだわらない」ミレニアル世代の賃貸ニーズを上手く取り込んだビジネスモデルといえるでしょう。

 IoTマンションが注目されている

IoTマンションとは、室内に設置した各種IoTデバイスにより、これまでにない快適性や利便性を実現するマンションです。一例としては次のような機能が挙げられます。
  • 自宅のドアや鍵が開くとスマホに通知。子どもの帰宅確認や防犯などに役立つ
  • 室内ネットワークカメラで自宅にいるペットや子どもを見守れる
  • スマートプラグで電気使用料を確認できる
  • 赤外線リモコンで照明、エアコン、テレビなどを遠隔操作できる
こういったIoTを採用している新築物件を購入したり、中古物件をIoTマンションにリノベーションしたりすることで競合物件との差別化が実現しやすいと考えられます。

強みと欠点の両方を見ながら、慎重かつ大胆な行動を

不動産投資を他の資産運用と比較したときの大きな特徴は、定期貯金や国内債券などよりも高い利回りを確保しつつ、ローリスク・ローリターンで運用できることです。加えて、「限られた元手で大金を動かせる」「不労所得を得られる」「成功モデルに再現性がある」といった強みもあります。

特に「限られた元手で大金を動かせる」というのは不動産投資だからこその魅力です。さまざまな資産運用がある中で、金融機関が融資をしてくれるのは資産価値が高い不動産への投資だけです。そして、ローンによってレバレッジをかけることで、まとまったリターンを得られるようになります。

不動産投資で成功するためには、このような不動産投資の強みを正しく理解すると同時に、デメリットや失敗パターンについて知ることも重要です。その内容は次のようなものになります。

【不動産投資のリスク例】
  • 空室リスク
  • 賃料下落リスク
  • 賃料滞納リスク
  • 天災リスク
  • 資産価値下落リスク
  • パートナーの倒産リスク
【不動産投資のよくある失敗例】
  • 割高な物件を購入してしまった
  • 固定費や大規模修繕費の見積もりが甘かった
  • 入居者の集客が難しい物件を購入してしまった
  • 業者のセールストークを鵜呑みにしてしまった
  • 高金利で融資を受けてしまった
繰り返しになりますが、不動産投資を軌道に乗せるために大切なことは、強みや欠点・失敗例・傾向などをバランスよく知ることです。知識がメリットだけに偏ってしまえば物件選びや経営計画が甘くなります。逆に、デメリットばかり見て腰が引けてしまえば、本来得られるはずのリターンを逃すことになりかねません。

バランスよく情報収集し、慎重かつ大胆な行動をとることで最短距離での“不動産投資の成功”を目指しましょう。
 

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