(本記事は、木下 たかゆき氏の著書『
不動産投資「勝者のセオリー」』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
攻略の準備を整える
融資先を開拓するためには、以下の情報を全て把握する必要があります。
・どこの銀行が
・どのエリアの
・どんなスペックの物件を
・どのくらいのスピードで
・どのくらい融資してくれるのか
金融機関の融資スタンスは常に変わっていくため、新規や既存の銀行も含めて、融資先をどれだけ開拓し続けられるか、銀行からどれだけ情報を集められるかが、とても重要です。そのための具体的な方法を紹介します。
まず、実際に買うかどうかはさておき、自分が欲しいスペックに近い物件や積算が出そうな物件など、銀行に見せて融資の感触を探るための、「当てる」案件を見つけ出します。
当てる案件ですが、不動産ポータルサイトから、自分の投資エリアや予算、投資スタイルに近い物件を、適当に選べば良いと思います。
具体的な案件がないと銀行は動いてくれませんので、買う、買わないに関係なく1件ずつ案件を当てて、融資の感触を探っていきます。
いざ、本気で購入したい物件が出てきたときに、当てた案件と同じような評価が出るとは限りませんが、一度稟議書を書いてもらって本店まで上がっていれば、新規の案件ではなくなります。
仮に内諾まで取っていたら、実際に案件を持ち込んだときのスピードが俄然早くなるのです。
金融機関の開拓は、モロに利益に直結する動きです。
しかし、サラリーマンの方は平日に時間が取れないと思うので、従業員を雇ってこの業務を担当させるのも良い方法だと思います。
僕も紹介された銀行は自分で行きますが、基本的には従業員に開拓をやらせています。
そのため、取引のある銀行であっても、実は支店にすら行ったことのないところが何行もあります。
誰が行くかは問題ではありません。自分にいくらの融資が付くかを、できるだけ早く見極め、対策を練りましょう。
融資の評価ポイントとは
銀行では、持ち込んだ案件を当てながら感触を探ると共に、銀行が自分の返済能力をどの程度評価してくれるのか、細かくヒアリングしていきます。
銀行は、サラリーマンや自営業といった個人からは、年末調整や確定申告書から「属性」を、法人では、決算書の財務三表などから「経営能力」をスコアリング(評価)します。
ちなみに、銀行が評価する決算書上の重要なポイントは、以下の3つです。
・債務償還年数
・自己資本比率
・現金保有高(キャッシュポジション)
債務償還年数は20年以内、自己資本比率は20%以上にすることが望ましいです。
これらのスコアを良くするためには、利益を出してしっかり納税することと、売却を絡めてキャッシュポジションを上げていくことしかありません。
積極的に規模を拡大していくつもりであれば、節税はほどほどにしておきましょう。
もし融資がダメであれば、決算書の内容が問題なのか、決算書上ではテーブルに載るけど、案件の担保評価が足りなくてダメなのか、理由をクリアにする必要があります。
また、持ち込んだ物件がダメな場合、どんな物件なら大丈夫なのか、満額が出なかったとしてもどれだけ伸ばしてくれるのか、そのあたりを1案件ごとに深堀りして聞き、データを積み重ねていくことが大事です。
・融資エリア
・融資期間
・耐用年数をどういう基準で見るのか
・金利
・手数料、違約金関係
・評価方法
・遵法性に対する考え方
・預金の必要の有無
・担当者の力量
・融資に対する積極性
こういった情報を細かく収集し、ヒアリングシートにまとめて管理しておきましょう。
ローラー作戦を実施すべし!
融資開拓で効果的なテクニックは、「半年に一度のローラー作戦」です。これまで取引のなかった銀行を片っ端から回り、話を聞きに行くのです。
なぜ半年かというと、期末の3月、9月を過ぎると、銀行の不動産に対する見方や姿勢が変わることがあるからです。
そこで半年に一度、物件を当てながら感触を探ります。
そこで、この銀行はイケそうだ、この銀行はまだ全然ダメだなど目処をつけておき、いざ欲しい物件が入ってきたらすぐに持ち込む、という体制を整えておくのです。
取引する銀行は、多ければ多いほど良いといえます。
単純に取引できる銀行が多いほど融資を引ける確率が上がりますし、いつどこの銀行で融資が閉まっても困らないよう、選択肢を広げておくのです。
僕もこのような地道なローラー作戦で、今でも毎年、3~4行くらい取引先を増やしています。
関東エリアにも会社の支店を置いたので、最近は特に積極的に回っています。
ローラー作戦では、とにかく行動量を増やすことが大切です。大変ですが、1軒でも多く回るほど、人よりも優位に立つことができ、勝率が上がっていきます。
平日に時間を確保するのは困難という人も多いでしょう。しかし、人と同じレベルの行動をしていても、普通の結果しか出せません。
最初から無理だと決めつけるのではなく、できる方法がないかを考えてみてください。
最も効率的に融資開拓する方法とは?
金融機関の開拓をうまく進めるには、各金融機関の融資に対する特徴を押さえることも重要です。どの銀行がどんなスタンスで、どのくらい、どういう条件で出すのかを、全て把握するのです。
当然、同じ銀行でも支店によって融資の姿勢が変わりますし、担当者によってもレベルが変わってきます。中には「スーパー営業マン」と呼ばれる、
・融資が通るかどうかの判断が早く
・無理な場合は早めに教えてくれ
・イケると言ったときは必ず融資が降りる
という、凄腕の融資担当者もいます。逆に、出来の悪い担当者に当たってしまうと、本来通るはずの審査に落ちてしまうこともあります。
ですから、なるべく業者や投資家仲間に紹介してもらい、融資に積極的な支店や、デキる担当者の所へ行くのが、早く結果を出す秘訣といえます。
そのためには、色々な人に話を聞いたりネットワークを作ったりして、紹介してもらいやすい状態にしておくことが重要です。
具体的には、大家のコミュニティに入って仲間を作ったり、不動産業者を回って営業マンと関係を作ったりと、できるだけ多くの人脈を作ることです。
ただし、自分はいつも「情報をもらうだけ」「紹介してもらうだけ」では、相手にとって紹介するメリットがありません。
そこで、自分から融資先を開拓したり、積極的に情報を取りに行って、相手に与えられる情報を持ったりすることが大切です。
あらゆる手を使って、1行でも多くの融資先を押さえてください。
木下 たかゆき
不動産投資家。1982年生まれ。大阪府和泉市出身。関西学院大学商学部卒業後、求人広告の営業などを経て2010年12月に不動産投資をスタート。問題有りの物件を相場より圧倒的に安く購入して再生する方法で規模を拡大。35才で満室想定家賃約7億円を達成する。トータル売却益も10億円以上ある。 8年間の投資総額は60億円以上。2018年6月時点で住居系マンション、アパートを中心に、オフィスビル、テナントビル、ソシアルビル(スナックビル)など計70棟1200室弱の不動産を所有する。7億円の家賃収入以外に毎年数千万~5億円の売却益があり、現在も資産を拡大中。趣味は旅行とグルメ。毎月、国内外を旅しながら各地の名物を食すことが何よりの楽しみ。
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