住宅・不動産
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2020.6.28

海外の不動産投資をする前におさえたいメリットとデメリット

海外の不動産投資に興味があるけれど「日本との商慣習や違いがわからない」、あるいは、「どの国や都市に投資をすればわからない」という人もいるでしょう。ここではそんな人に役立つ海外の不動産投資のメリットとデメリット、そして人気の国や都市別の諸費用などを解説します。

海外と日本の不動産投資を比較

同じ不動産投資でも、海外と国内では特徴が大きく変わってきます。一方、両者には共通点もあります。これらの特徴をまとめたのが次の表です。
 
テーマ 海外不動産 国内不動産
キャピタルゲイン(売却差益) 狙いやすい 狙いにくい
インカムゲイン(賃料収入) 都市による 狙いやすい
青田買い できる場合もある できない
為替差益 狙いやすい 狙えない
損益通算 できる できる
減価償却費の計上 できる できる
 

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海外の不動産投資が人気の理由と5つのメリット


上記で紹介した表の内容を詳しく見ていきましょう。海外の不動産投資には、次の5つのメリットがあります。

海外不動産投資のメリット1:経済成長している国に投資をしたほうが有利

IMFの「2018年度の実質GDP成長率」調査によると、世界全体の成長率(1990~2018年)3.61%に対し、日本の成長率は0.81%しかありません。成長率ランキングで見ても199ヵ国中173位です。さらに先行きをみても、日本経済は人口減少社会などの影響で停滞(あるいは縮小)するリスクがあります。このような国内環境よりも、経済発展の著しい国で不動産投資をしたほうが大きなリターンを狙いやすいという考え方もあります。

▽主な国の実質GDP成長率1990~2018年
国(ランキング) 実質GDP成長率
中国(23位) 6.57%
フィリピン(29位) 6.24%
インドネシア(39位) 5.17%
タイ(61位) 4.13%
米国(104位) 2.93%
日本(171位) 0.81%
※出所:グローバルノート提供:IMF「世界の実質GDP成長率 国別ランキング・推移」(2018年度)

海外不動産投資のメリット2:キャピタルゲインを狙いやすい

不動産投資には、インカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(売買差益)という2種類の利益があります。このうち、日本では賃料収入を重視して投資計画を立てるのが一般的です。一方、海外の不動産投資では着工前のプレビルド(青田買い)による値引きや急速な経済発展などによって、比較的短期間で売買差益を狙えるケースもあります。

プレビルドは南アジアの不動産などでよく使われている販売手法で、物件完成の数年前などに販売を行います。割安で物件を購入できる反面、「工期が予定よりも大幅に遅れる」「業者のサポートが悪い」などのトラブルリスクもあるため、信頼できる業者選びがカギになります。

海外不動産投資のメリット3:運用益と為替差益の両方を狙える

運用益に加えて、為替差益が狙いやすいのも海外の不動産投資の魅力です。為替差益を得るためのコツは、円に対して価値を高める通貨で投資を行うことです。合わせて、円高局面で投資物件を購入して円安局面で利益確定するといったタイミングも重要でしょう。ただ為替差益が見込めるということは、為替差益で損失をこうむる可能性を含むということでもあります。

特に注意したいのは新興国の為替です。新興国では、通貨安政策によって経済成長を促すケースもあります。このとき、投資対象国の通貨が極端に割安になってしまうと、いくら運用益をあげても円換算したときにマイナスになる(あるいは利益が圧縮される)リスクが出てきます。海外の不動産に投資する際は、対象国が通貨安政策をとる可能性があるか否かの情報収集も大切です。

海外不動産投資のメリット4:日本と同様、損益通算や減価償却ができる

海外の不動産投資で発生した損益は、基本的に国内の不動産投資と同じ総合課税の扱いになるため、他の給与所得や事業所得との損益通算が可能です。総合課税とは特定の所得(不動産所得、事業所得、給与所得など)を合計して所得税額を計算する制度です。合計した総所得金額から所得控除の合計額を差し引き、その残額に税率をかけて税金を計算します。

この仕組みを使って税額を計算するため、他の所得(事業所得や給与所得など)と合算して所得を圧縮、あるいは購入した投資物件の減価償却費の計上によって、所得税の節税が可能なケースもあります。

海外不動産投資のメリット5:分散投資によるリスクヘッジ効果

安定性のあるポートフォリオを実現するには、分散投資が欠かせません。これを実現するには、国内・海外の株式や債券の他に、現物資産である不動産などへの幅広い投資が求められます。国内の不動産だけでなく、海外の不動産にも投資をするとより分散力が高まると考えられます。

海外と日本の不動産投資それぞれに魅力がある

海外の不動産投資の5つのメリットをまとめると、以下になります。
  1. 経済成長している国に投資をしたほうが有利
  2. キャピタルゲインを狙いやすい
  3. 運用益と為替差益の両方を狙いやすい
  4. 日本と同様に損益通算や減価償却ができる
  5. 分散投資によるリスクヘッジ効果

いずれも大きなメリットですが、中でもひとつ目の「経済成長している国に投資したほうが有利」というメリットは大きいでしょう。日本は政治・経済が比較的安定している反面、経済成長が鈍化しているため不動産投資で大きなリターンが狙いにくい傾向があります。これに対して、海外においても新興国は不安定要素がある一方、著しい経済成長力によって日本より大きなリターンを狙うことが可能です。

海外の不動産投資で気をつけたい 5つのデメリット

海外の不動産投資では日本の取引慣習や法律が通用しないため、思わぬトラブルを招くことがあります。また、日本で不動産投資をするよりも手間がかかることもあります。こういったデメリットに目を向けることも大切です。

海外不動産投資のデメリット1:着工前・完成前の契約によるトラブルリスク

メリット2で紹介したように、海外の不動産投資では青田買いのケースもあります。青田買いを選択する場合、特に新興国では不動産関連の法律が未整備のため、工期が大幅に遅れてしまう、不動産業者とトラブルになるといったリスクがあります。これによって「予定していたリターンが得られない」ということも考えられますので、海外の不動産投資は余力資金で行うのが望ましいでしょう。

海外不動産投資のデメリット2:遠方地を何度も訪れなければならない

海外で不動産投資をする場合、現地を訪れてパートナーとなるエージェントやコンサルタントを選定したり、投資物件の周辺環境をチェックしたりといったことが必須です。この手間を省くと、トラブルのリスクが高まりやすくなります。こういった現地リサーチは、何度も候補地を訪れなくてはならないため手間がかかります。さらにリサーチの結果、投資をしないという結果になった時はこの手間がムダになります。

海外不動産投資のデメリット3:法律・慣習・税金のルールなどを覚える手間

それぞれの国ごとに、不動産取引に関わる法律や慣習、税金のルールは違います。例えば、日本は不動産開発を規制する法律が厳しい国といわれますが、海外では日本で当たり前の高さ制限や日影規制などがないこともあるようです。そのため、実際に物件が完成したら、隣の物件に遮られて窓から何も見えない、日中でも日が当たらないということもあり得ます。資産価値の低い投資物件を購入しないよう、その国の不動産に関する法律の基本はおさえるべきでしょう。

加えて、投資対象国の将来の経済成長や政治の安定性、金融政策などの知識も必須です。海外不動産投資をするときには、これらの情報収集をする手間もかかります。

海外不動産投資のデメリット4:納税が複雑になる

海外で不動産投資を行っている人は、多くの場合、現地と日本の2回、税務申告をしなければなりません。現地での申告は、その国のルールに則って納税を行います。さらに、不動産投資で得た賃料収入や売却益が現地の口座にあっても、日本国内に住所があれば居住地を管轄する税務署に申告を行います。

現地と日本の2回申告をするからといって、二重で課税されるわけではありません。「租税条約協定」を結んでいる国であれば 、所得や譲渡益にかかる税金が二国間で調整されます。日本と租税条約協定を結んでいる国は136ヵ国・地域あり(※)、数多くの日本人が不動産投資を行なっているような国であればこの協定に含まれる可能性があります。協定を結んでいる国の一例としては、アメリカ・欧州諸国・中国などの主要国をはじめ、フィリピン、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシアなどがあります。
※76条約等適用(2020年4月1日現在)

海外不動産投資のデメリット5:海外資産は調書提出の義務がある

国税庁は、特に高額な海外資産に対する監視体制を強めています。その一環として、年末時点で5,000万円超の海外資産を所有する場合、財産の金額や種類をまとめた国外財産調書の税務署への提出が義務づけられています(翌3月15日までに提出)。もちろん、不動産もこの調書の対象になります。虚偽記載や不提出の場合には罰則を課せられるため注意しましょう。なお、国税庁はOECD(経済協力開発機構)が策定した新たな制度によって、64ヵ国・地域の約55万人にも及ぶ日本人の海外口座情報をおさえているともいわれます。これを意識して慎重な行動をとるのが賢明です。

海外の不動産投資はとにかく手間がかかる

ここでは海外不動産投資における5つのデメリットを挙げました。
  1. 着工前・完成前の契約によるトラブルリスク
  2. 遠方地を何度も訪れなければならない
  3. 法律・慣習・税金のルールなどを覚える手間がかかる
  4. 納税が複雑になる
  5. 5,000万円超の海外資産は調書提出の義務がある
これらをまとめると、「海外の不動産投資はとにかく手間がかかる」ということに尽きます。購入前のリサーチ、契約、運用、納税すべてにおいて日本で不動産投資をする時よりも労力がかかります。そして、この手間を省いてしまうと、損失リスクが一気に高まります。

不動産投資で人気の都市(国)と諸費用

海外の不動産投資をするとき「どの都市を選ぶのがベストか」については、様々な考え方があります。また、その国の情勢によって、外国人が投資しやすい都市は変わります。そのため、ここではあくまでも代表的な都市の一例を紹介します。最終的にはご自身で情報収集・現地訪問をして、投資先を決定するのが賢明です。投資対象国には大きく「リゾート地」「先進国」「発展途上国」があります。

【リゾート地】不動産投資で人気の都市の一例

世界有数のリゾート地のコンドミニアム、コンドテルへの投資は、海外の不動産投資でスタンダードなスタイルのひとつです。自身の別荘として利用しながら、使わないときは貸し出して運用するスキームが人気です。

・主な都市(国)の例
米国ハワイ、グアム、豪州シドニー、ゴールドコーストなど

・米国ハワイの投資物件:購入~売却までの諸費用例
購入時 ・ローン諸経費:ローン総額の2~2.5%
運用時 ・固定資産税:評価額の0.3~1.3%
売却時 ・キャピタルゲイン税:所有1年以上は20%(1年未満は所得税扱い)
・業者への仲介手数料:物件価格の6%程度が目安
・その他、ハワイ譲渡税(価格により異なる)、ハワイ州源泉税(5%)、連邦源泉税(10%)などがかかります

【発展途上国】不動産投資で人気の都市の一例

東南アジアをはじめ、発展途上国での不動産投資も注目度が高まっています。着工前のプレビルド(青田買い)によるキャピタルゲインが期待できるレジデンスなどにフォーカスする投資家が多いようです。

・主な都市(国)の例
フィリピン、インドネシア、タイなど

・フィリピンの投資物件:購入~売却までの諸費用例
購入時 ・印紙税:2%
・不動産移転税:0.5%
・不動産登記税:2%
※すべて売買価格または評価額の高いほうに対してかかります
運用時 ・固定資産税 0.5~1.5%
・特別教育基金:評価額の1%
・個人所得税:5~32%(外国籍の居住者・非居住者)
※売買価格または評価額の高いほうに対してかかります
売却時 ・キャピタルゲイン税:6%
・付加価値税:320万ペソ以上の物件に12%適用されます

【先進国】不動産投資で人気の都市の一例


世界を代表する金融都市やIT企業が集積する都市など、人口が安定・急速に増えているエリアに投資をするスタイルです。安定したインカムゲインとともに、富裕層が集中する人気エリアなどではキャピタルゲインを期待する投資家も多いようです。

・主な都市(国)の例
米国ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなど

・米国ロサンゼルスの投資物件:購入~売却までの諸費用例
購入時 ・ローン諸経費:購入総額の1~3%
運用時 ・固定資産税:購入価格の1.25%
・所得税:10~50%(累進課税)
※所得税は連邦・カリフォルニア州の合計
売却時 ・キャピタルゲイン税:所有1年以上は15%(1年未満は約10~35%)
・業者への仲介手数料:物件価格の6%程度が目安
・その他、譲渡税(郡や市により異なる)などがかかります
ここまでで紹介した各例3つの諸費用例は、あくまでも費用の一部であり、おおよその目安です。法改正などにより内容が変更になることもあります。

海外では不動産売買時にエスクロー費用がかかることも

アメリカをはじめとする海外の不動産投資では、不動産の購入時にエスクロー(日本では第三者寄託と言われることもある)に関する費用を払うケースもあります。通常、商品を購入した場合その場で決済されます。しかしエスクロー取引では、何かの事情でタイムラグが生じるときに信頼できる第三者を介して売り手に代金などを支払い、この第三者に手数料を払います。一例では、ロサンゼルスで不動産をローン購入した場合のエスクロー諸費用は2.5~4.5%です(現金の場合は1~2%)。

海外の不動産投資で失敗しないための5つのポイント

ここまでの内容で、海外の不動産投資の基本情報はご理解いただけたのではないでしょうか。そのうえで「海外の不動産投資を検討したい」という人は、次の3つのポイントに留意しましょう。

ポイント1:信頼できるパートナーを見つける

海外の不動産投資で失敗しないためには、信頼できるエージェントやコンサルタントなどのパートナーを見つけることが極めて重要です。先述した通り、海外の不動産投資には様々なリスクが潜んでいます。しかし信頼できるパートナーによって物件探し・取引・融資、さらには運用や売却までをバックアップしてもらえればトラブルを回避しやすくなります。

エージェントのバックアップには、翻訳・通訳が含まれるケースも多いようです。語学力に不安があるため、海外の不動産投資をはじめられないという人もいるかもしれません。しかし、実績が豊富で信頼できるパートナーを見つければエージェントが通訳・翻訳をしてくれるため、必ずしも現地の言葉を話せる必要はないのです。

ポイント2:出口戦略(売却計画)を描く

海外と国内の不動産投資の違いには、「海外はキャピタルゲインを狙いやすい」ということがありました。キャピタルゲインを狙うためには、投資物件を購入する前に出口戦略をしっかり描くことが大切になってきます。出口戦略の具体的な内容としては、次の項目が考えられます。
  • いつ頃売却すると大きなリターンを得やすいのか
  • どれくらいの売却額が見込めるのか
  • どのようなルートで売却をするのか
  • 売却時の税金や費用はどれくらいかかるか など

ポイント3:現地に足を運ぶ

これは他の章でも触れましたが、海外の不動産投資でリスクヘッジするには「現地に足を運ぶ」のが有効です。今後、5Gの普及によって現地に行かなくても周辺環境や物件を体験しやすくなりますが、それでも現地訪問は大切にすべきでしょう。現地訪問によって、対象国の国民性もわかりますし、周辺環境を感じることもできます。交通などのインフラがどれくらい整備されているか、経済に勢いがあるかなども実感できます。このような“肌感”で得た情報が不動産投資では重要になります。

ポイント4:好きな国や都市にこだわりすぎない

例えば、あるリゾート地が好きでよく遊びに行くから、現地のコンドミニアムに投資をしたいといった考え方もあるでしょう。その地域の魅力を知っていることはプラス材料ですが、あくまでも投資である以上、数字やデータでエリアや収益物件を分析することも重要です。それもひとつの国や都市でなく、似たような条件のエリアと比較したうえで冷静かつ客観的に検討することも大切でしょう。

ポイント5.余力資金の範囲内で行う

海外の不動産投資はトラブルリスクが高いため、あくまでも余力資金の範囲内で行うべきです。要注意なのは、発展途上国のプレビルド物件を現地の中小デベロッパーやエージェントを通じて購入する場合です。よくあるトラブルは、工事期間の延長、業者の倒産(資金持ち逃げ)、施工不良などです。一方、先進国の不動産投資でもトラブルリスクがあるため油断は禁物です。現地調査時や交渉中に少しでも不安を感じたら引くスタンスも大切でしょう。

信頼できるパートナーが最大のリスクヘッジ

ここで見てきたように、同じ不動産投資でも国内と海外では、メリット・デメリットやスキームがかなり違います。合わせて国によってもルールが違いますし、さらには同じ国でもニューヨークとサンフランシスコでは税制の仕組みが違ったりもします。

そのため、不動産投資の基本に加えて、対象とする都市の政治・経済、将来発展の可能性、税制ルールなどを情報収集することがスタートラインにつく最低条件になるでしょう。そのうえで信頼できるエージェントの存在も不可欠です。海外の不動産投資では、信頼できるエージェントの存在がリスクヘッジになります。

国内で行われるセミナーや現地ツアーなどを通して数多くのエージェントと面談し、その中から自分にとって信頼できるパートナーを選びましょう。
 

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