住宅・不動産
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2020.6.21

【連載#3】税制改正で変化した「海外中古不動産」への投資

2020年度の税制改正が実施されると、短期間で多額の減価償却を行って生じた赤字を他の所得と損益通算するという節税スキームが使えなくなります。しかし、実は改正後も同じ手法を用いることは、まったく不可能ではなさそうです。

法人名義で所有する海外中古建物は改正の対象外

昨年末に公表された「2020年度税制改正大綱」に従って見直しが実施されると、「海外中古不動産における収支が赤字となっている場合はその減価償却費を計上できない」という新たなルールが適用されます。その結果、「簡便法」と呼ばれる手法で耐用年数を算出して一気に多額の減価償却を行う海外中古不動産の節税スキームを使えなくなります。

改正税制が適用されるのは、2022年以降の確定申告(2021年分)からです。ただ、それよりも前に海外中古動産を取得して「簡便法」による減価償却を行ってきた人も、2022年以降の確定申告では同じ手法を用いることができません。

ただし、あくまで今回の改正は、個人が取得した海外中古不動産の減価償却に限ったことです。法人名義で所有する海外中古不動産に関しては改正内容に盛り込まれていません。

つまり、法人所有であれば、いままで通りの減価償却や損益通算が可能であると判断できます。かねてより資産管理会社を通じて海外中古不動産に投資していた人なら、今回の改正の影響を受けません。

これに対し、個人名義で所有していた人は先述したように、たとえ改正前に取得していた物件であっても、2022年以降の確定申告から減価償却が認められないことになります。資産管理会社などの法人に譲渡したうえで、今度は法人税対策にフォーカスを当てた節税を検討するのも一考でしょう。
 

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早計な判断は考えもので、法人名義への切り替えには慎重な対処を

日本の所得税には5~45%の累進税率が適用されており、収入が増えるほど負担が重くなるのは周知の通りです。これに対し、法人税率は一律23.2%であるうえ、中小規模で年間の利益が800万円までにとどまっていれば、19%に税率が下がります。

その法人において発生している他の損益と通算を行いながら、計上する利益を上手くコントロールすれば、税の負担を抑えられるでしょう。また、法人から受け取る役員報酬も低めに設定すれば、個人としての所得税負担も軽減できます。

ただし、気をつけるべきポイントもあります。個人から法人への譲渡を行うと、所在地国によっては現地での課税が発生するケースも考えられますし、譲渡時の市況次第では想定外の譲渡益課税が発生しかねません。

こうしたことから、性急に判断するのではなく、状況を観察しながら専門家の助言も受けて慎重な対応を行うのが無難でしょう。個人所有であっても、「簡便法」による原価償却を計上できなくなるのは2021年分の申告からですから、まだ時間的な猶予があります。

加えて、今回の改正が実施されると、経費に計上できなくなった海外中古不動産の減価償却費は、転売時に不動産の購入価格から差し引かなくて済むようになります。その分だけ売却価格との差額は小さくなり、譲渡益課税の負担が軽くなる可能性が考えられます。

しかも、取得から5年以上が経過した後に転売すると「長期譲渡所得」としてみなされ、20%の所得税率が適用されます(5年未満の短期譲渡所得は30%)。高い税率の累進課税が適用される資産家にとって、不動産の転売益に課される税金が20%に軽減されるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
 

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