住宅・不動産
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2020.6.17

【連載#1】税制改正で変化した「海外中古不動産」への投資

海外の中古不動産に資金を投じていた人は、昨年末に閣議決定した「2020年度税制改正大綱」の概要を知ってがく然としたかもしれません。法改正が進められることによって、海外中古不動産を所有する大きなメリットだった節税のスキームが封じ込められたからです。

海外中古不動産を用いた節税のスキームとは?

まず簡潔に説明すると、短期間のうちに多額の減価償却を行えるという海外中古不動産の特性に着目したのがその節税スキームです。取得した物件を賃貸に回して家賃収入を得ていても、それを上回る減価償却費を計上して収支を赤字にします。

そして、その赤字を他の所得と損益通算することによって、所得税額の負担を抑えるというスキームが資産家の間で流行っていました。もう少し詳しく、話を補足することにしましょう。

海外で所有する不動産から得た家賃収入には、必要経費を差し引いたうえで日本の税金が課されます。賃貸不動産において計上できる必要経費の1つが減価償却費で、物件の取得価額を「法定耐用年数」で割った金額となります。

法定耐用年数は建物の構造によって異なっており、住宅用の木造建築は22年、レンガ造・石造は38年、鉄筋コンクリート造は47年となっています。もっとも、実際には「法定耐用年数」を経過した後も使用されている中古不動産が少なくありません。

そこで、「法定耐用年数」を超えている不動産については、「簡便法」と呼ばれる方法を用いて耐用年数を算出します。「簡便法」の計算式は「法定耐用年数×20%(端数切り捨て)」で、たとえば築50年が経過しているレンガ造・石造の物件(法定耐用年数38年)なら、耐用年数は「38年×20%=7年」です。
 

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海外では、むしろ築古の歴史的な物件が人気に!

つまり、海外で築50年のレンガ造・石造の賃貸物件を取得すると、7年で一気に減価償却費を計上できるわけです。日本国内の不動産において築50年の物件と言われると、とても借り手が見つかりそうにないイメージを抱くかもしれません。

確かに日本の賃貸市場では新築物件が高い人気を誇っており、築年数が経つにつれて借り手が見つかりにくくなり、おのずと建て替えのサイクルも相対的に早くなります。ところが、対照的に海外では中古物件の需要が安定的に見込まれるばかりか、むしろ歴史ある築古の建造物が人気を博する傾向がうかがえるのです。

たとえば、かつてジョン・レノンが住んでいたマンハッタンの高級アパート・ダコタハウスは1884年の竣工です。こうしたことから、中古になった途端に値打ちが大きく低下する日本とは違い、中古物件の価格は安定的に推移しており、出口戦略(転売)での失敗リスクもさほど高くないと言えるでしょう。

しかも、日本では土地の価値が相対的に高く、建物の価値が低いケースが主流ですが、海外では正反対の現象が見られます。土地よりも建物の価格のほうが取得価格に占めるウエートが大きくなりがちで、多額の減価償却を計上しやすいのです。

このように大きな節税効果を期待できたスキームでしたが、冒頭でも述べた通り、税制改正によって封じ込められる運命にあります。
 

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