住宅ローンを利用して自宅用として購入したマンションでも、将来的に「不動産投資」ができるケースがあります。ただし、その際にはいくつか注意しておかなければならないこともあります。自宅用のマンションで、どのようにして収益を得ることができるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
住宅ローンを使ってマンションを購入するメリット
住宅ローンは、原則として「自宅用の住宅を購入する際のローン」であり、投資用物件の購入には利用できません。そのため、自宅用としてのマンションを購入するマンションには利用できますが、住宅ローンを利用して賃貸物件として購入することはできません。
しかし、住宅ローンを使って自宅用としてマンションを購入した後、そのマンションを売却することは問題ありません。住宅ローン控除がある10年間はローンを支払いながら自宅として利用し、その後売却して住宅ローンを返済することもできます。新築のマンションを購入したとすれば、10年後に売却しても築10年です。マンションは木造戸建住宅よりも資産価値が下落しづらく、築10年でも新築時の70%~80%の価値があります。
立地がよければ、買い手も見つかりやすくなります。不動産を売却して得た利益には譲渡所得税がかかりますが、それがマイホーム(居住用物件)の売却であれば、所有期間に関係なく最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられます。これは賃貸用の物件にはない利点です。
数年後の売却を見越してマンションを購入する場合には、資産価格が下落しにくいマンションを選ぶ必要があります。将来的に利益が出る物件か、よく見極めましょう。
賃貸に出す方法も
場合によっては、購入したマンションを賃貸に出す、という方法もあります。結婚を機にひと回り大きな家に住み替えたいと考えた時、独身時に買ったマンションは賃貸に出してしまうのです。これにより、家賃収入を得ながら新生活を送ることができるようになります。
賃貸に出すことで家計の収入を増やすことができますが、住宅ローンで購入した物件で、まだ住宅ローンが残っている場合には返済面で注意したいことがあります。
住宅ローンは、前述した通り「自宅を購入するためのローン」であるため、原則としてその住宅を賃貸に出すことはできません。ただし、転勤などのやむを得ない事情がある場合には認められることがあります。
やむを得ない事情がない場合でも、金融機関側が賃貸を認めることもあります。しかしこのケースでも、ローンが住宅ローンからアパートローンに変更されたり、優遇金利がなくなってしまうこともありますので、賃貸に出す前に必ず金融機関に相談しましょう。金融機関の承諾なしに賃貸に出してしまうと、住宅ローンの一括返済を求められることもあります。
また、一度賃貸に出した物件は、上記で紹介したマイホームの売却による3,000万円の特例を利用できない点にも注意が必要です。
大切なのは物件の見極め
売却か賃貸か、どちらを選ぶにせよ、利益が出る物件の見極めが大切になります。
売却しやすい・資産価値が落ちにくいマンションの特徴
売却しやすいマンションや、資産価値が落ちにくいマンションは、端的にいえば暮らしやすいマンションです。駅に近く、かつ最寄り駅のアクセスがよい、周辺にスーパー、学校、病院などがあることに加えて、地域のランドマーク的な存在になっているマンションがよいでしょう。もちろん、築年数も浅いに越したことはありません。
都内では、新築時よりも高い価格で売却されるマンションもあります。立地、周辺環境などをよく調査してから購入しましょう。
借主が見つかりやすいマンションの特徴
賃貸に出すことを考えて購入する場合には、空室リスクが低いマンションを購入する必要があります。首都圏であれば、資産価値が落ちにくいマンションの特徴で挙げた条件に加えて、ワンルームを選ぶとよいでしょう。
2019年3月に公表された「東京都世帯数の予測」によると、2015年の単独世帯の割合は47.3%でした。ところが、2040年には単独世帯が51.2%にまで増加するという推計がでています。ワンルームマンションであれば、将来に渡って空室リスクも低くなるでしょう。
賃料を払って生活するか、資産として自宅を購入するか
住宅ローンは投資用物件の購入には使えません。しかし、住宅ローンを返済しながら自分の不動産として所有し、将来的に売却して利益を得たり、賃貸に出したりすることは可能です。資産運用にはさまざまな形があります。適正な不動産投資も含め、自分にあった資産運用方法を探してみましょう。
【おすすめ記事】
・50代からでも間に合う!すぐに実行できる「6つの老後貯蓄法」
・生命保険による相続税対策のメリット・デメリットと活用状況
・海外不動産への投資 頼りになるパートナーの条件とは?
・年収2,000万円以上のアナタへ 資産形成しながら所得税の税負担を軽減?
・配偶者特別控除が150万円に拡大、「増税」になる人と「減税」になる人