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2020.9.13

対外・対内直接投資が意味するものとは

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
よくメディアで見聞きする「対外・対内直接投資」あるいは「対外・対内証券売買高」とは何か、気になったことはないでしょうか。

また、それらが意味するものとは何でしょうか。

今回は対外・対内直接投資について現状を踏まえ、紹介します。

直接投資とは何か

直接投資とは、ある国の企業が自国以外の国で現地法人を設立したり、現地の企業の株式を一部保有したりして、その経営に携わるために国を超えた資本の移動を表します。

では、対外・対内直接投資とは何かというと、以下は日本を基準とした場合の呼称になります。
  • 日本企業に海外の企業に直接投資することを対外直接投資という
  • 海外企業に日本の企業に直接投資を受けることを対内直接投資という

対外・対内直接投資に注目する理由

日本が他国から直接投資を受ける、つまり、対内直接投資の拡大は日本の経済発展に直接繋がります。

そして、日本が海外へ直接投資をする、つまり、対外直接投資は日本からの資本の流出を意味します。

直接投資を受け入れることは設備投資、雇用、輸出の拡大など、経済の量的拡大だけでは技術的進歩や経営ノウハウの獲得など経済の質的向上にも繋がります。

投資において、量的拡大は直接市場へ反映されるようになります。

このため、対外・対内直接投資は日本全体の資産の流れを把握するのに非常に重要な指標となります。

特に数年単位で投資する個人投資家にはそのトレンドを知るだけでも良い投資アイデアに繋がるでしょう。

これらは各国・業種別で統計が公開されています。

日本は他国と比較すると対内直接投資が少ない

2000年以降を見た場合、対内直接投資から対外直接を差し引いた値では明らかに対外直接投資のほうが上回っています。

下図は2016年までの対内直接投資残高から対外直接投資残高のネット値になります。
 
(画像=出典:東洋経済ONLINE)


気になるところとしては2008年のリーマンショック、2011年から2012年に掛けての東日本大震災による被害への影響やギリシャ危機、2016年のチャイナ・ショックなど、金融危機が起きた付近の年には大きく対外直接投資が対内直接投資を上回っていることが分かります。

それでは、日本の対外直接投資のみの推移はどうでしょうか。

下図のように年々、対外純資産の増加が見受けられます。

対外直接投資は2014年にピークを迎えていますが、ほぼ増加傾向にあります。
 
(画像=出典:財務省・本邦対外資産残高)


一方、対内直接投資残高の推移はどうでしょうか。

下図左は対内直接投資残高の推移を表し、下図中央は各国との対内直接投資残高のGDP比率を比較しています。
 
(画像=出典:財務省)


2000年以降では対内直接投資残高は年々増加をしており、2020年までには政策目標である対内直接投資残高35兆円を超える見通しですが、先進国中ではその残高は極めて低い状態にあります。

上記でも述べたとおり、対内直接投資残高は日本の企業に対する直接投資を意味するので、日本の市場の成長は現時点では他国と比べ小さいと予測できるのではないでしょうか。

また、対外直接投資残高については他国と同程度の大きさになっています。

対外・対内直接投資のネット値に注目した場合、対内直接投資といった流入が増加しつつも、流出を意味する対外直接投資がゆるやかに増加しているところから、日本での事業を縮小、撤廃したことを示しています。

このように現在の日本では長期的に投資拡大よりも投資回収を上回るトレンドが起きていると考えられます。

また今回のコロナショックは、過去の金融危機や大災害の影響を鑑みれば、対内投資はさらに減少するであろうと推測されます。

なぜ日本は対内直接投資をされないのか

外資系企業による日本での事業展開を阻害する要因を、財務相は以下のようにアンケート結果からまとめています。
 
(画像=出典:財務省(URL:同上))


特にビジネスコストの高さ、つまり、人件費や税負担の大きさを第一に挙げており、続いて、人材確保の難しさを挙げています。

人材確保について論点となるのは専門知識のみならず、英語でのコミュケーションをはじめとした異文化コミュニケーションの難しさを意味しています。

また、撤退後の外資系企業の移転先としては、近年、日本以外のアジア諸国が選定されることが多く、アジア諸国、欧州、米国と日本撤退後の移転先を比べた場合、圧倒的にアジア諸国が選定されています。

近年、アジア圏での拠点として日本が選ばれなくなり、事業を縮小・撤廃が続いていると考えられるのではないでしょうか。

「ものづくりの日本」と呼ばれ久しいですが、特にIT関連をはじめとしたソフト分野での発展ではインドやイスラエルといったと途上・先進国にも遅れを取っています。

また、Facebookやウーバーのような革新的なサービスが登場しても、訴訟問題や行政手続きが困難では海外企業からすると、日本で本格的に事業展開するには分が悪いといえるでしょう。

まとめ

今回は直接投資という観点からご紹介しました。

証券投資に限った「対外・対内証券投資」に至っても同様の傾向が見られます。

対外証券投資が対内証券投資を上回り、海外で証券投資が進み、反面、国内では海外ファンドによる投資回収が進んでいます。

これら対内直接投資をはじめとした海外からの日本への資金流入が、今後のコロナショックからの立ち直りを左右していくのではないでしょうか。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
 


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