モトリーフール米国本社、2020年5月24日投稿記事より
コカ・コーラ(NYSE:KO)の株価は2020年2月に付けた高値から28%下落し、市場全体を大幅にアンダーパフォームしています。
とはいえ歴史的に見ると、コカ・コーラは世界で最も有名なブランドの1つであり、最もパフォーマンスの高い銘柄の1つでもあります。
パンデミックが収束した後、同社の株価は反発するでしょうか。
飲食店とコンビニの需要落ち込みが第2四半期以降の業績に大きな影響を与える見込み
コカ・コーラにとって2021年がどのような年になるのかを占う材料として、数週間前の2020年第1四半期決算発表での経営陣の発言を振り返ってみましょう。
CEOのジェームズ・クインシー氏は次のように述べています。
「第1四半期の初めは、好調だった2019年の勢いが続いていました。
しかし、外出禁止令やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)が急速に広がるにつれ、お客様と当社の事業に一時的ながら強い圧力が加わりました。
最大の影響は、当社が飲料を提供する飲食店チャネルに加え、コンビニエンスストアなどの年中無休志向の流通チャネルを含む、当社の事業の約半分を占める家庭の外での消費が急激に縮小していることです」。
新型コロナウイルスによる打撃は第1四半期の終盤に起きたため、第1四半期の売上高は約1%の減少にとどまりました。
しかし同社は今年4月、出荷数量が25%減少するとの見通しを明らかにし、「第2四半期と、恐らくは2020年通期の業績は大きな影響を受ける」との懸念を表明しました。
最悪のシナリオとは?
こうした暗い見通しは、一時的なものに過ぎないのでしょうか。
あるいは、より恒久的に続くのでしょうか。筆者は後者の可能性があると懸念しています。
主に独立経営レストランのオーナー1,400人あまりを対象に実施された2020年4月の調査では、回答者の38%以上が少なくとも一時的に休業していたことが明らかになりました。
一部のレストランはテイクアウトや料理宅配による営業を続けていますが、大半のレストランのオーナーが50%を超える減収となったと回答しました。
しかもオーナーのおよそ80%は、パンデミックがすぐには収束せず、廃業を余儀なくされるだろうと述べています。
米国経済はこの5月から段階的に再開し始めており、それによってコカ・コーラのレストラン向けの売上高が回復する可能性があります。
しかし、そうならない可能性もあります。
米国のレストランの利益率はパンデミックが起きる前でも平均で3~5%でした。
しかし、政府が収容可能な来店客数をパンデミック発生前の50%以下にすることを義務付けており、多くのレストランは損益分岐点を上回ることができないでしょう。
その場合、去る3月にコカ・コーラに打撃を与え、4月に加速した家庭外消費向け販売数量の減少が、恒久的なものとなる可能性があります。
4月に38%だったレストラン休業率が80%へ倍増した場合、4月に25%減だった家庭外消費向け販売数量が、50%以上に倍増する可能性があります。
また、家庭外消費向けが同社の総売上高の50%を占めるということは、今後1年間の総売上高が前年同期比25%減の約280億ドルとなることを意味します。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの過去のデータによると、コカ・コーラのこのペースでの減収は2007年以来のことです。
この年、同社の株価は概ね20ドル台で推移しました。現在の株価は45ドル前後です(執筆時点)。
では、同社の株価が1年後に20ドル台となるのでしょうか。
そうならないことを願います、ただこのままで行けば、そうなる可能性があります。
文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
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