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2020.6.18

【連載#1】税制優遇を利用した 賢い資産の作り方

「貯蓄から投資」をスローガンに、資産の有効活用が多くの人に求められるようになりました。資産リッチな富裕層であれば国内外の不動産や債券・株式などでの運用が一般的ですが、これらに対しては国や国税が課税強化を進めていて、慎重にならざるを得ないこともあるようです。一方、投資をするなら必ずと言っていいほど使いたいのは、「NISA」をはじめるとする、税制優遇の投資制度です。年間に投じる金額に制限はあるものの、確実に非課税になる魅力は押さえておきたいところ。しかも、今後は制度の一部変更も検討されています。

資産を増やす日本人は増加傾向

かつて、日本は国民の大半が自分を中流階級と捉える「一億総中流」の時代が、長らく続いていました。ところが、社会構造の変化や積極的な資産活用などを経て、いまは富裕層の数が増えているそうです。野村総合研究所が2018年に発表したレポートによると、日本の富裕層(純金融資産1億円以上)は100万世帯(13年)から127万世帯(17年)に増えていて、総額は299兆円にものぼるとのこと。景気拡大と株価上昇による保有資産の増加や、投資をしている準富裕層(純金融資産5,000万円~1億円未満)が資産を増やし富裕層に移行したことが要因だそうです。

こう聞くと、「恩恵を受けたのは、元々リッチな人たち」と思うでしょうが、同調査ではアッパーマス層(純金融資産3,000万円以上~5,000万円未満)とマス層(3,000万円未満)の割合が増えていることもわかっています。景気がよくなれば株価などだけではなく労働者の収入も上がるでしょうし、その結果、預貯金や保険なども含め、世帯が保有する金融資産が膨らんだと考えるのが妥当です。

資産リッチ層が増えたのは、株や投資信託、債券といった金融商品に対する関心の高まりも関係しています。日本人と言えば、金融資産のほとんどが元本保証の預貯金で、リスク商品を敬遠するという国民性。それはいまも変わりませんが、日本はバブル崩壊以降、低金利政策が続き、金融機関にお金を預けても、増えることはほぼなし。働けど勤労収入は増えず、子育てや自身の老後に不安を覚える人は少なくありません。

加えて、インターネットの普及に伴い、対面に比べて手数料の低いネット証券が登場するなど、アクティブな金融商品にアクセスしやすくなったことも影響し、投資人口は拡大しました。だからこそ、上記のような恩恵に預かった人も多いのでしょう。勤労所得に対しては所得税と住民税で最大55%が課税されますが、多くの金融商品だと利益に対して20.315%と、投資で稼いだほうが税制面で有利なことも、後押ししたと思われます。

ただし、よい話だけではありません。資産を増やす人がいる一方で、国は課税強化を進めています。古くは14年、海外に時価5,000万円を超える財産を保有する個人に調書提出を義務付ける「国外財産調書制度」が創設され、翌年には国外転出する一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合は、対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税される「国外転出時課税制度」が開始。他にも、「財産債務調書制度」の創設(16年)や相続税法上の「海外居住要件」を5年超から10年超へ変更(17年)、CSR(共通報告基準)による「金融口座情報自動交換」のスタート(18年)と、国内外に保有する資産や相続資産へのチェック体制は厳しくなるばかり。20年度の税制改正では、賃貸アパートの小税還付による節税対策や海外不動産投資を活用した節税対策といった、実物資産に対する規制の強化も盛り込まれました。
 

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忘れてはならない“税制優遇”の投資制度

このように、投資しやすい環境と課税強化の推進が、国内における資産形成を取り巻く状況です。一長一短ありますが、重要なのは投資と収入のサイクルをうまく回すこと。ビジネスで得たお金を低金利の預貯金でストックするだけではなく、余裕資金には働いてもらい「お金がお金を生む」仕組みをつくると、資産は加速度的に増えていきます。資金が少ないうちは個別株でコツコツと増やし、投資資金にボリュームが出てきたら不動産などミドルリスク・ミドルリターンの実物資産、先進国の債券といったローリスク・ローリターンと、ポートフォリオを充実させていきます。

また、こうしたプロセスでぜひ取り組みたいのが、税制が優遇される投資制度の活用です。代表的なのが、「NISA(ニーサ)」と「つみたてNISA」で、どちらも投資による運用益が非課税になるのが特徴。うまく使うことで、有利に資産形成を進められます。次回からは、両制度の概要を解説しましょう。

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