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2020.5.5

【連載#3】現役証券アナリストが現地調査!新興国株投資で勝つ方法


2020年に入り、米国株式は史上最高値を更新、日経平均株価も28年ぶりの高値圏での推移が続いています。ただ、好調とはいえ、成熟した日米の株式市場の株価指数がここから数年で数倍になることはないでしょう。一方、ベトナムやインドといった新興国には夢があります。そこで、スローな投資で大きなリターンを狙える新興国投資に目を向けてはいかがでしょうか。アイザワ証券の今井正之さんが、インドネシア投資の魅力をレポートします。  
   

人口構成が若く、経済成長が持続しそうなインドネシア

BRIC's(経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の総称)の次の有望な新興国市場として期待されるアセアン諸国。アセアンの中でもインドネシアは、人口規模と国土面積で頭一つ抜けた存在ですが、投資の観点からは、人口増加と所得の向上(1人当たりGDPの増加)の潜在力に注目です。そもそも注目される理由は、過去多くの国々が辿ってきた経済成長と株価の関係にあります。高度成長期の日本や、1995年以降の中国のように、経済規模(GDP)の増加と株価(時価総額)の上昇は、中長期的に連動する傾向があります。また近年は、インドネシアの1人当たりGDPの増加から見て取れるように、中間層の増加に伴う内需の成長にも注目が集まり、内外の投資マネーを呼び込んできました。そのためインドネシア株式市場には、21世紀に入り株価が数十倍に上昇した企業がたくさん存在します。

2010年代から成長が加速したインドネシア。日本や中国の成長との違いはなんといっても平均年齢の若さです。米CIAの資料(WorldFactbook)によれば、日本の平均年齢は46.1歳、中国は36.7歳ですが、インドネシアは29.2歳となっています。高齢化により日本が低成長時代を迎え、中国は1人っ子政策の影響でこれから成長が鈍化すると言われています。一方、インドネシアは人口構成が若く、今後も人口増加の恩恵を受けることから経済成長が持続する見通しです。特にインドネシアの若い世代が今後、就職・結婚・出産といった人生イベントを迎えることも見逃せないトピックです。

経済的に分析すると、就職は所得の獲得、結婚・出産は世帯の大規模な消費の始まりであり、経済活動の活性化を意味します。また、近年の経済発展により、積極的に消費活動を行うとされる富裕層・中間層の総人口に占める割合が増加し、内需の拡大に拍車をかけています。さらに総人口が約2億6400万人と世界第4位で、イスラム教国では最多となりますから、将来的な市場の大きさやイスラム圏への入り口となりえる魅力も備えています。加えて、インドネシアは石炭や天然ガス、金、銅、ニッケルといった鉱物資源、パーム油、天然ゴム、エビやマグロなど農林水産資源に恵まれている点も成長を支える好材料と言えるでしょう。
 

首都ジャカルタにインドネシア証券取引所(IDX)があり、上場企業数620社、時価総額約55兆円の規模です(2019年)。主要株価指数としてジャカルタ総合指数(JCI)があります。証券取引所の歴史は意外に古く、1912年にオランダ領東インドのバタビアに取引所が作られたのが発祥です。太平洋戦争中の1942年に閉鎖されますが、インドネシア独立を経て1956年から国債が、1977年から証券取引が再開しています。

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通貨ルピアが課題

インドネシアへの投資は、政治リスクや為替リスクなどさまざまなリスクを含むため、損益の変動が大きいハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。債券・株式・不動産などの投資対象がありますが、インドネシアの場合はここ数年、通貨ルピアの変動幅が大きく、過去5年間は対ドル・対円で下落傾向にあります。為替リスクを上回る高リターンが見込める投資対象でないと、リスクに見合わなくなる可能性があります。そういった観点から、利回りが固定されている債券や、規制や税金面で不利な不動産はハードルが高い印象があります。

日本人が失ってしまった高度成長期の魂がある


インドネシアはバイク大国です。私は数年前に、市場シェア1位で、日本のホンダと合弁しているインドネシアの上場企業のバイク工場を見学したことがあります。熱心に案内してくれたインドネシア人の工場長は「高校卒業後すぐ入社し1970年代から、ホンダ一筋のエンジニアとして人生を歩んできた。大変な時期もあったが、まじめに懸命に働けば会社は評価してくれる。すばらしい会社で誇らしい製品を作り、3人の子供を全員大学まで出すことができた。人生が価値あるものとなった。全ては会社のおかげ」と語りました。続いて「ホンダのエンジンは、走るのが大好きな男の魂が響いてくる。きっとMrホンダは凄い人だと思う。他社には負けない」と日本の高度成長期のモーレツ社員を連想させる熱い言葉でした。以来、日本は何を失ったのか?と考えさせられるのです。

今井正之さん
アイザワ証券商品本部 市場情報部アナリスト
国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、1級FP技能士。アジア株式に強いアイザワ証券の市場情報部に所属。新興国、欧米市場のアナリストとして活躍。豊富なアジア新興国の企業訪問実績をもとに、現地の生々しい情報分析を伝えている。ストックボイス「東京マーケットワイド」にも出演中。
 

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