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2020.5.3

【連載#2】現役証券アナリストが現地調査!新興国株投資で勝つ方法


2020年に入り、米国株式は史上最高値を更新、日経平均株価も28年ぶりの高値圏での推移が続いています。ただ、好調とはいえ、成熟した日米の株式市場の株価指数がここから数年で数倍になることはないでしょう。一方、ベトナムやインドといった新興国には夢があります。そこで、スローな投資で大きなリターンを狙える新興国投資に目を向けてはいかがでしょうか。アイザワ証券の今井正之さんが、インド投資の魅力をレポートします。
   

人口規模は中国に匹敵。投資先としてのインドの魅力

BRIC's(経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の総称)で中国に次いで有望な新興国として期待されているインド。世界一の人口大国は中国の約13.9億人ですが、インドも約13.4億人と中国に迫る数です。一方、国の経済規模は中国が約12.2兆ドルに対し、インドが約2.6兆ドルと約4.5倍の開きがあります(2017年現在)。これは中国の一人当たりGDPが約8800ドルに対し、インドは約1940ドルと国民1人当たりの豊かさの水準に差があることを意味します。しかしながら近年のインド経済は成長目覚ましく、この段階での投資の機会は大きな可能性を秘めています。

新興国投資では、人口増加と所得の向上(1人当たりGDPの増加)に注目します。その背景には、過去多くの国々が辿ってきた経済成長と株価の歴史があります。高度成長期の日本や、1995年以降の中国のように、経済規模(GDP)の拡大と株価(時価総額)は、中長期的に連動する傾向があるのです(下図)。また、先に経済発展を遂げた国の経験から、1人当たりGDPの水準が1000ドルを超えると、成長に弾みがつくと言われています。インドの1人当たりGDPは、中間層の増加に伴う内需の急成長段階に達したことを示唆しており、期待から内外の投資マネーがインドの不動産・株式市場に流れ込んでいます。
 

現地在住の友人が、インドの混沌としたエネルギーに惹かれると話してくれたことがあります。投資という観点で筆者も同感です。例えば、主要な証券取引所はボンベイ証券取引所(BSE)とインド国立証券取引所(NSE)ですが、首都デリー、カルカッタ、アーメダバードなどインド全国に30近い証券取引所があると聞くと驚きを覚えます。取引所の数が多く、重複上場が相当数あるため正確な数は不明ですが、上場企業数は約7000社以上と世界一、時価総額は約230兆円の規模です。

ムンバイ(ボンベイ)にあるボンベイ証券取引所は、1875年設立のアジア最古の取引所です(2位は1878年設立の東京証券取引所)。上場企業数は約5233社(2018年)と単一の証券取引所として世界一です。主要株価指数としてSENSEX指数があります。もう一つの主要取引所であるインド国立証券取引所もボンベイに所在し、こちらは1992年に新設された取引所ですが上場企業数が1923社(2018年)と大規模です。ムンバイは中央銀行のインド準備銀行もあり金融の中心地です。

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インドには、多様性に満ちた投資案件が存在する

インドは国土が広く、人種・気候・言語・文化・全てが多様な国ですから、旅の行先が異なれば、印象もさまざまです。首都デリーの旧市街をリキシャ(インドの三輪タクシー)の運転手が500円程度の報酬で、1時間近く案内してくれました。女性の社会進出は比較的遅れている印象ですが、特殊部隊の女性隊員の増加など変化の兆しも見かけます。南部のケララ州は、大航海時代の名残りか、多くのイスラム教徒やキリスト教徒が暮らしていました。そのケララ州の政権与党に、宗教に非寛容なはずの共産党が選出されたりします。また、ケララ州ではハウスボートと呼ばれるエアコン付の宿泊船で、欧米からの観光客が優雅な水郷巡りを楽しんでいます。インド人にとってハウスボートはお金儲けの対象で、有名映画俳優も投資していると船乗りが話していました。また南部の高原地帯は、香辛料や紅茶の産地として有名です。ある産地でインドの財閥系の紅茶会社が、積極的な買収により市場の寡占化を進めていました。この会社は、インドの証券取引所に上場しています。このように投資絡みの話はたくさんあるのです。

残念ながら、個人の外国人がインド株式市場に直接投資することはできません。法人の場合でも銀行や証券の口座開設は、複雑な法規制や制約と向き合うことになります。不動産投資も、居住要件や所有許可など制約が多く、インド国籍保有者以外は気軽に投資できる状況にはありません。ただし、インドを代表する大企業の中には、欧米に預託証券という形式で上場している企業があります。代表的な例として、ITアウトソーシング大手のInfosys(インフォシス)、インド最大のHDFC銀行やICICI銀行などの企業は、米国や欧州の上場企業と同様に気軽に取引できます。また、インド株式へ投資する投資信託なども比較的容易な投資法となります。

インドへの投資は、政治リスクや為替リスクなどさまざまですが、過去数年は主に為替リスク、インドルピーの下落傾向が課題となっているようです。インドは石油資源が少ない一方で、国内にバイクや自動車が普及しており、中東からの原油輸入が、貿易赤字や経常収支がマイナスになる一因となっています。先進国からの投資資金がインドに続々と流入していますが、投資対象の選定には為替の下落分を補う高い投資リターンが得られるか考慮すべきでしょう。

今井正之さん
アイザワ証券商品本部 市場情報部アナリスト
国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、1級FP技能士。アジア株式に強いアイザワ証券の市場情報部に所属。新興国、欧米市場のアナリストとして活躍。豊富なアジア新興国の企業訪問実績をもとに、現地の生々しい情報分析を伝えている。ストックボイス「東京マーケットワイド」にも出演中。
 

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