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2020.5.1

【連載#1】元証券マンが語る!古い常識を捨てて今すぐ我が子に「マネー教育」をするべき理由

「人前でお金の話をするのは恥ずかしい」「金融リテラシーは大人になれば自然と身に付く」――。そんな日本人特有の常識は、グローバルな視点に立つと非常識に映るようです。なんと、マネー教育先進国の欧米では小学校から高校までの各学年に、お金について学ぶカリキュラムが組み込まれているとか!残念ながら、日本ではそういった取り組みが遅れています。ここでは、我が子に対する金銭教育について、日本のマネー教育の第一人者である金融ジャーナリスト・経済評論家の川口一晃さんに伺いました。
 

昔に比べるとマネー教育の機会は増えたが……

日本でも金融教育に対する意識は高まり、小学校や中学、高校では家庭科や社会などの時間を充て、授業を行うケースが増えてきました。それ以外にも、子ども向けのマネー記事やテレビ番組など、学校以外で学べるコンテンツもあります。「大きな変化が訪れたのは、2002年のこと。中央教育審議会の答申に『金融経済教育が重要』との一文が盛り込まれ、教育界は金銭教育に動き始めました」と、川口さんは振り返ります。

残念ながら、欧米に比べると日本のマネー教育は遅れていて、かつてだと、高校の政治経済の教科書で金融・証券の解説は4ページほど。対して、米国は70ページも割いていました。幼稚園ではNPOが主体となり教育をカバーし、小学校から高校までカリキュラムがしっかりと定められています。英国では日本の文部科学省に当たる省庁が、同様のプログラムを明文化してきました。対して日本は、18年前に重い腰をようやく上げたわけです。

「以降、日本でもさまざまな形で金銭教育が始まりました。私も携わった例ですと、日本FP協会は学年ごとのプログラムやテキストを作成し、教壇に立つ先生に対する研修を実施したり、証券会社が学校に配布する書籍の監修したりしたこともあります。自治体の取り組みとしては、全国唯一の経済金融活性化特別区である沖縄県名護市の名護商工高校の地域産業科がファイナンスコースを設置し、経済や金融に関する基礎を学ぶカリキュラムを提供しています」(川口さん)

ただし、日本の学校で金銭教育が定着したかというと、「いまだ道半ばです」と川口さんは言います。教師はマネーの専門家ではないために教えることに戸惑いがあり、地域や各校で温度差があるようです。定められたカリキュラムもありません。こういった点は、まだまだ改革が必要でしょう。

お金について学ぶ子どもが増えると、金融リテラシーの底上げになる

一方、金融業界からも子どもたちへの教育支援は行われています。「ところが、証券会社は投資教育として資産運用がメイン、消費者金融は借りすぎないためのお金の管理、生命保険会社は将来の備えとした保険商品の活用など、それぞれが得意な分野で攻めるので、総合的なファイナンスの知識が習得できません。それでは、FP(ファイナンシャル・プランナー)がいいかというと、多くの有資格者は知識を持っていても投資の経験がないので、机上の空論に終始してしまうことも。金融はテキストと実際が明らかに異なる分野なので、それだけでは不十分なのです」

米国では徹底した金銭教育の結果、優れたファイナンスの知識を活かしてビジネスで成功するアメリカンドリームの体現者が、いつの時代にも現れています。近年であれば、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)が、最たる例でしょう。こういった稀代の経営者が日本から生まれないのは、日本人のマネーリテラシーが、まだまだ低いことの証左かもしれません。

「ブラジルがサッカー強豪国なのは、競技人口が多いから。日本も野球が強いのは、同様の理由です。選手の層が厚いと、優れた選手が生まれる確率が高まります。そういった意味で、お金のことを学ぶ子どもの数が増えると、日本人の金融リテラシーの底上げにつながるはず。学校教育はもちろん、家庭で子どもに教えることは大切です。そのために、親御さんもお金について知る必要がありますし、『もっと大人になってから』といった古い常識にとらわれず、ともに学ぶ姿勢が求められます」

では、どういったことをすれば、子どもの金銭知識は養われていくのでしょうか。次回以降は、具体策をアドバイスしていただきます。
 

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川口一晃さん
1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演歴多数。現在、FM NACK5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多い。また、テレビ朝日系ドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。
 

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