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2020.5.3

【連載#2】理由はないけど、なぜかこうなる⁉マネー市場の“不思議アノマリー“

常識や理論的な枠組みでは説明できないけれど、なぜかそうなってしまう「アノマリー」。米国のウォール街で有名な相場格言といえば「セル・イン・メイ」で、日本では「株は5月に売れ」と表現されます。過去の経験則から米国株は年初から上昇し、5月にピークを打って下落する傾向が顕著なことからこう表現されているようです。
 

米国株の下落は日本株にも飛び火する

なぜ、米国株は5月にピークを打って、下落に転じてしまうことが多いのでしょうか?一説には、米国のヘッジファンドの決算が関係しているともいわれています。欧米の多くのヘッジファンドは6月と12月に決算を迎えます。ヘッジファンドは投資家から資金を集めて株式などの金融商品に投資しています。過去には「45日ルール」というものがあり、解約をしたい投資家は決算の45日前までに申し出る必要がありました。つまり、6月決算であれば、申し出は5月中旬までということになります。顧客からの解約を受けたヘッジファンドがマーケットで株式などを売却するために、相場に悪影響を及ぼすと考えられていたわけです。

ただ、最近ではヘッジファンドの解約も比較的自由に行えるようになったため、特に決算の45日前に集中するということはありません。それでも、毎年5月になると、「セル・イン・メイ」という単語が投資家の間で頻繁に交わされ、代表的なアノマリーとして注目されています。

一方、日本でも「5月に株を売れ」というアノマリーを信用している投資家は少なくありません。米国のウォール街で使われることが多い相場格言とはいえ、ここ数年の日本株市場は米国株次第とも言われ、その動向に大きく左右されているからです。

さて、5月といえば、日本では3月決算企業の本決算がピークを迎える時期です。この時期、株式市場では良好な決算発表を行った企業の株が素直に買われる傾向にあります。しかし、5月中旬には決算が出そろうため、それ以降のマーケットでは材料不足となって株価が下落してしまうことも多く、ここでも「5月に株を売れ」というアノマリーがまことしやかに囁かれるわけです。
 

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株を売った投資家が、相場に戻ってくるのは9月の第2週

実は、「セル・イン・メイ」には続きがあります。「Sell in May and go away, don’t come back until St.Leger day.」、日本語に訳すと「5月に株を売って、セント・レジャー・デーまでは戻ってくるな」というものです。セント・レジャー・デーは、毎年9月の第2土曜日に行われている英国の有名な競馬レース「セントレジャーステークス」のこと。実はこの相場格言は英国で生まれたものなのです。

一般的に、欧米の機関投資家のサマーバケーションは長期間ともいわれています。例年、7~8月は売買する投資家が激減するためマーケットが軟調になったり、突然大きく上下に振れるなど、予期せぬ動きとなることも珍しくありません。通常とは異なる相場つきになりやすく、トレードが困難になることから「セント・レジャー・デーまでは戻ってくるな」という格言が生まれたとも言われています。

欧米の投資家ほどではないものの、日本の投資家にも夏休みはあります。例年、お盆休みのころにはマーケットの売買ボリュームが極端に少なくなり、「夏枯れ相場」とも呼ばれます。この時期には、米国の相場同様に予期せぬ動きが起こりやすくなるので要注意です。

これらはアノマリーというよりは、需給によるものです。リスク管理のために投資家は長期休暇に入る前に手持ちのポジションをある程度解消します。買い手が少ない中、売り手が多くなれば、株価は下落します。また、売買のボリュームが少ないときに大きな注文があると変動率も高まるというわけです。

大きな資金を動かす投資家であれば、夏休みにかかわらず長期休暇に入る前に持ち株をある程度処分するなどリスク回避を心掛けるべきです。特に年末年始などは、日本のマーケットは休みでも海外市場はオープンしています。このような時に米国市場が急落しても、日本株を売却することはできないのですから。次回は、日本株市場の月ごとの傾向についてご紹介します。


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