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2019.12.18

知らないでは済まない?富裕層必見、海外資産の申告「国外財産調書制度」とは

(画像=Anna Klepatckaya/Shutterstock.com)
(画像=Anna Klepatckaya/Shutterstock.com)
2014年から施行されている「国外財産調書制度」。富裕層をはじめ海外に一定の資産を持っている人が対象の制度です。偽りの記載や期限内に未提出の場合には罰則規定もある国外財産調書制度について、対象者や記載内容、提出期限などを解説します。

海外に一定の資産があるなら「国外財産調書」を提出しなくてはならない

昔は「海外にある資産は日本の税務当局にはバレない」といわれていました。しかし今は、その言葉は神話と化しています。なぜなら、国外に財産を持っている人が一定の要件を満たした場合、「国外財産調書」を税務当局に提出しなくてはならないからです。

2000年前後からヒト・モノ・カネの流れが容易に国境を超えるようになりました。これに伴い、国内財産を海外に移して資産を隠そうとする富裕層も増えました。税務当局はこれを危惧し、海外財産の包囲網が構築されるようになりました。その一つが、2012年度税制改正で創設、2014年1月から施行されている「国外財産調書制度」なのです。

国外財産調書制度とは何か

国外財産調書制度は、先述の通り、海外に財産を持つ人が対象の制度です。国外財産調書を提出する必要がある人、記載事項、提出期限などの詳細は以下の通りです。

対象者は5,000万円以上の国外財産を有する人

国外財産調書を提出しなくてはならない人は、次のすべての要件に該当する人です。
  • 日本国内の居住者であること(非永住者を除く)
  • 年末時点での価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する個人であること
つまり、法人は対象になりません。なお非永住者とは、日本国籍がなく、かつ、過去10年以内において日本国内に住所または居所を有していた期間が5年以下である人をいいます。

国外かどうかの所在地判定

国外にある財産すべてが国外財産調書に記載する対象となるわけですが、財産の中には「これは国外に所在するといえるのか」と判断に悩むものもあります。基本的には、相続税法第10条によるところとなります。具体的には次のようになります。

【不動産または動産】その不動産または動産の所在地
【預貯金または積金】預貯金または積金の受入をした営業所または事務所の所在地
【有価証券等】その有価証券等を管理する口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在地

抵当証券、組合契約等の出資など一部の財産は相続税法の条文とは異なり、預託金等の受入を行った営業所等の所在地がどこなのかで判定します。

価額とは何か

「価額」は耳慣れない用語ですが、これは「時価」を指します。つまり、国外財産のその年の12月31日時点における時価総額で国外財産調書の提出が必要かどうかを判定するわけです。ただ、中には美術品のように時価が分かりにくい財産があるでしょう。このような財産については時価に準じて見積価額で判定することとされています。

また、国外財産調書に記載する国外財産については円換算が必要となります。この円換算も、その年の12月31日時点の為替相場によることとされています。

調書に記載すべき事項

国外財産調書に記載すべき事項は国外財産の種類・数量・価額・所在地等です。これらの事項は財産の種類別・用途別・所在別に記載しなくてはなりません。また、提出者の氏名・住所または居所・マイナンバーも記載する必要があります。なお、国外財産調書と同時に財産債務調書を提出する場合には、財産債務調書には国外財産調書に記載した財産価額以外の事項は記載しなくてもよいこととされています。

提出期限

国外財産調書の提出期限は、その年の翌年3月15日までです。所得税・贈与税の確定申告書の提出期限と同じになります。例えば、2019年12月31日時点で国外財産の時価総額が5,000万円を超えているならば、2020年3月15日までに国外財産調書を提出しなくてはならないわけです。

提出がない場合等のペナルティ

国外財産調書に偽りの記載をした場合や、提出すべきなのに期限内に提出がなかった場合には、1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されることがあります。

また、国外財産調書の提出があるかどうかで、国外財産から得た所得についての申告漏れがあった場合の過少申告加算税が重くなったり軽くなったりします。具体的には、期限内に提出した後、申告漏れがあった場合には過少申告加算税等が5%軽減されます。一方、未提出の場合には過少申告加算税等が5%加重されます。
 

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国外財産調書で刑事告発された事例も

「国外にある財産なんて把握するのが難しいから提出しなくても大丈夫」と思い込むのは早計です。2019年5月、家具の輸入販売事業を営む会社役員の男性が国外財産調書を提出しなかったとして、大阪国税局により刑事告発されました。

現在、世界各国の金融口座情報が自動的に交換される共通報告基準(CRS)により、海外の資産状況が簡単に把握できるようになっています。「海外の財産がバレない時代は終わった」と考え、きちんと申告するようにしましょう。


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