マネー
-
2019.11.29

富裕層の「国外マネー」は把握されている!税金逃れには厳しい追及が

(写真=Vladimir Zhupanenko/Shutterstock.com)
(写真=Vladimir Zhupanenko/Shutterstock.com)
かつて「海外に資産を移せば日本の税務署にはバレない」と言われた時代がありました。しかし、その時代はすでに終わっています。今回は、富裕層の国外マネーを取り巻く現状と、取るべき対策について解説します。

海外に所得を隠した家具輸入販売会社社長を大阪国税局が告発

2019年7月、大阪国税局が京都市の家具輸入販売会社の社長を京都地検に告発しました。個人で輸入家具販売の仲介事業を営んでいた頃の所得を隠して8,300万円を脱税、そのうち7,300万円を香港の銀行口座に保有していたにも関わらず「国外財産調書」を提出していなかったためです。

2014年からスタートした国外財産調書制度には、調書の虚偽記載や不提出があった場合には1年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金というペナルティがあります。今回の事件は、所得税の脱税に併せて国外財産調書の不提出という事態を重く見て、刑事告発に踏み切ったとみていいでしょう。

海外資産はなぜバレる?国外マネーを取り巻く現状

ここで気になるのが「なぜ海外の資産が日本の税務当局にバレてしまったのか」という点です。この背景には国境を越えたマネーの動きを危惧した各国と日本の連携、そして日本の税務当局における管理強化があります。

共通報告基準(CRS)で世界の資産はガラス張り

経済協力開発機構(OECD)加盟国が中心となって策定された共通報告基準(CRS)に2018年から日本も参加するようになりました。このCRSという制度は、参加している各国の税務当局が、自国の金融機関に外国在住(非居住者)の口座情報を報告させ、交換できるというものです。有価証券などの売買益や海外法人などの売り上げ、不動産収入は金融機関の口座に振り込まれることを考えると、自国の在住者が国外に資産や所得を隠しても発覚しやすい仕組みだと言えます。

国税庁中心の富裕層PTで管理強化

国税庁は各国税局に富裕層対策を強化する「重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)」を設けました。設立当初、大阪国税局の富裕層PTに配置された人数は13人でしたが、現在は30人を超えていると言われています。管理対象は保有資産額1億円以上の富裕層、管理内容は申告漏れや資産隠しの有無です。富裕層PTは2014年7月当初、東京・大阪・名古屋の国税局にとどまっていましたが、2017年には福岡や仙台など全12国税局に設置されました。

管理を強化しているのは国税局にとどまりません。東京国税局管内でいうと、資産額1億円以上の富裕層とこれに準ずる層につき、「上位富裕層担当特別国税調査官」が世田谷や麻布などの税務署に配置されているといわれています。

このように日本の税務当局は年々、国内での富裕層への監視を強化しているのです。

国外財産調書制度や送金等調書制度で把握を徹底

さらに、ヒト・モノ・カネの移動がボーダーレスになった2000年前後から、所得や資産の移動を把握すべく、次のような制度が創設されました。

・国外送金等調書制度
・国外転出時課税制度
・国外財産調書制度

提出がない場合にはペナルティが課されることがあります。つまり、日本の税務当局は納税者に義務を課すことで国外の資産や所得の把握に躍起になっているのです。
 

こちらもおすすめ
老後資金2,000万円を外貨預金で準備したい!そのメリットとデメリット
外貨投資のメリット・デメリット

富裕層が取るべき3つの対策

このような状況で、富裕層はどうしたらよいのでしょうか。とるべき対策は次の通りです。

対策1:法令遵守の徹底

まずは法律をきちんと守ることです。所得も資産も隠すだけムダならば、きちんと税法を守り、申告・納税するのがもっとも損失の少ない方法となります。

対策2:税法を研究し助言を求めること

資産も所得もガラス張りの今の時代、大事なのは「適法な節税を知っておくこと」です。このためには、税法をきちんと研究することが要となります。

ただ、税法の条文は一般人には分かりにくい書き方がされています。一人で勉強してもうっかりミスが出ないとも限りません。こういった事態に備え、その都度、会計士や税理士などの専門家に助言を仰ぐのも対策の一つとなります。

対策3:非課税国・低課税国への移住も検討

「どうしても高い税金を払いたくない」と思うならば、海外の非課税国・低課税国への移住も視野に入れるとよいかもしれません。ただ、海外移住の際、保有している有価証券などの総額が1億円を超えるならば、国外転出時課税の適用対象となり、保有する資産の含み益に所得税が課されます。また、海外に移住したとしても、要件を満たさなければ日本の相続税・贈与税から完全に解放されるわけではありません。

さらに、非課税国・低課税国の中にはシンガポールのように日本よりも物価が高い国もあります。移住を検討するならば、税金だけでなく他の要素も調べておく必要があるでしょう。
 

>>その他のおすすめ記事
「年収2,000万円」止まりの人と、その上にいく人の違い
プラチナカードの代表的な特典は?還元率の高さなどメリットも紹介
日系企業と外資企業、年収3,000万超えはどっちが多いのか
「お金は使ってこそ増える」のウソ・ホント
個人事業主ができる「節税対策」6選 法人化という選択肢も?

関連記事