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2019.11.24

中小企業オーナー必見「事業承継税制」を簡単理解!

(写真=CHAIWATPHOTOS/Shutterstock.com)
(写真=CHAIWATPHOTOS/Shutterstock.com)
事業承継は経営において非常に重要な局面です。実務の引き継ぎはもちろんのこと、税務上もさまざまな問題が発生します。税務上の問題を解決する方法として効果的なのが、「事業承継税制」の活用です。今回は制度の概要やこれまでの改正点を分かりやすく解説します。

事業承継税制とは?中小企業の社長が知っておくべき制度の概要

事業承継税制とは、後継者に事業を引き継ぐ際の贈与税・相続税の問題を解決するために設けられた制度です。

事業承継は通常、後継者が役員に就任し株式を取得することで成立します。役員の就任については、登記をするだけなので特に問題になることはありません。一方、株式の取得については税務的な負担が大きく、中小企業の事業承継が進まない原因としてしばしば問題視されてきました。

株式は税務上財産として取り扱われるため、贈与すれば贈与税が、相続すれば相続税が発生します。会社の規模や純資産の額によって変わりますが、評価額が数千万円に及ぶことも少なくありません。

すると若い後継者は会社を引き継ぐだけで数百万円の贈与税、相続税の納税資金を自分で工面しなければならないのです。中には、親の家業を引き継ぐだけなのにわざわざ銀行から借り入れをして相続税を支払ったというケースもあります。

こういった状況を解決し中小企業の事業承継を促進するため、事業承継税制が創設されました。事業承継税制を簡単に説明すると、一定の要件を満たせば先代から後継者に移した株式の贈与税・相続税が猶予または免除されるという制度です。

中小企業のオーナーで今後事業承継を考えているのであれば、事業承継税制の知識を蓄え、きちんと対策したうえで後継者に事業を引き継ぐことは必須といえるでしょう。

適用要件はどんどん緩和されている?これまでの改正内容をおさらい

事業承継税制は以前からありましたが、要件が厳しくあまり利用されてきませんでした。利用を促すため、事業承継税制はこれまでに2度大きく改正されています。それぞれの改正内容を簡単に復習しましょう。

【2013年度改正】手続きの簡略化、親族外承継の対象化

平成25年度(2013年度)税制改正では、制度利用前に経済産業大臣の事前確認を受けるという要件が撤廃されました。また、これまで親族内の後継者だけに限定されていたところを親族外の後継者でも制度が利用できるよう条件が緩和されました。

また、事業承継後に雇用の8割以上を5年間毎年維持するというのも中小企業にとって厳しい要件でした。従業員の人数が少ない場合、多少の人数の増減だけで要件が満たせなくなるからです。これが5年間の「平均」で判断されることとなりました。

他にも、株式を贈与した時点で先代は役員に残ることができなかったものを、代表取締役さえ退任すれば役員としては残れるようにするなど、実態を踏まえた要件緩和によって制度の利用者は少しずつ増え始めました。

【2018年度改正】特例措置で贈与税・相続税の実質税負担がゼロに

また、平成30年度(2018年度)の税制改正ではさらなる要件緩和として「特例措置」が設けられました。これまでは後継者が株式を贈与された場合、その時点での贈与税は0円ですが、先代経営者が亡くなって相続が発生した場合、80%の相続税は免除されるものの20%分は負担が発生していました。

特例措置では、免除が80%から100%に引き上げられました。5年以内の特例承継計画の提出などの要件は新たに追加されていますが、要件を満たせば実質贈与税・相続税の負担がなくなるということです。この大幅拡充によって、今後制度の利用者はさらに増えると見込まれています。
 

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事業承継税制の特例を適用するには?手続きや必要書類を解説

続いて、事業承継税制の特例を適用するための要件を解説します。

会社は中小企業者であること、1人以上の従業員がいることなどが要件です。先代経営者は、相続や贈与の前に筆頭株主であること、贈与時に代表者を退任することなどが要件です。後継者は、相続や贈与で筆頭株主・代表者となること、贈与時に20歳以上で贈与直前は3年間役員を務めていることなどが要件です。

詳細な要件については国税庁のホームページでも公開されているため、実際に制度を利用する際には税理士などの専門家と一緒にしっかり確認しましょう。

続いて、制度を適用するための手続きや必要書類を紹介します。

まず、相続の場合は相続開始後8ヵ月目までに、贈与の場合は贈与の翌年1月15日までに都道府県庁に制度の適用を申請します。その後、都道府県庁より交付された認定書の写しを添付して相続税・贈与税の申告書を税務署に提出します。

申告後5年間は、都道府県庁に「年次報告書」、税務署に「継続届出書」をそれぞれ提出します。5年経過後も、税務署には3年に1回「継続届出書」を提出しなければなりません。

必要書類は定款・株主名簿の写し、登記事項証明書、決算書など多岐にわたります。手続きは非常に手間がかかり難しいため、税理士に相談しながら進めると安心です。また、各都道府県の県庁が申請窓口となるため、窓口に行って確認しながら進めるのもいいでしょう。
 

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