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2019.9.29

相続の時には必ず法定相続分の財産を受け取れるのか?

(写真=kan_chana/Shutterstock.com)
(写真=kan_chana/Shutterstock.com)
相続が発生した場合には、亡くなった方(被相続人)の親族が法定相続人となり、その人数や順位によって各相続人が受け取れる財産の割合である「法定相続分」が決まります。では、どのような場合にも、相続人はこの法定相続分の財産を受け取ることができるのでしょうか。今回は法定相続分と遺産分割の関係についてお伝えします。

法定相続分とは?

誰が相続人となるか、また相続人となる人の範囲は法定相続分として民法で定められています。被相続人の配偶者は常に相続人となります。なお、配偶者以外に相続人がいない場合には、配偶者がすべての財産を相続します。また、配偶者が被相続人よりも先に亡くなっている場合には、次の順位のうち一番上位の相続人がすべての財産を相続します。

第1順位:被相続人の子

相続人が配偶者と子の場合、法定相続分は「妻:1/2、子:1/2」となります。子が複数いる場合には、法定相続分1/2を人数で割った割合が子1人当たりの法定相続分となります。例えば、相続人が妻と子3人だった場合の法定相続分は「妻:1/2、子3人:それぞれ1/6」となります。

なお、子がすでに亡くなっている場合には、その子どもや孫などのうち、被相続人と一番近い世代の直系卑属が相続人となります(代襲相続)。例えば、相続人が妻と次男・三男・長男の子2人(代襲相続人)だった場合の法定相続分は「妻:1/2、次男・三男:それぞれ1/6、長男の子2人:それぞれ1/12」となります。

第2順位:被相続人の直系尊属(父母など)

第1順位がいない場合には、相続人は配偶者と直系尊属になり、法定相続分は「妻:2/3、直系尊属:1/3」となります。被相続人と一番近い世代の直系尊属が相続人となり、父母・祖父母の順となります。例えば、相続人が妻と父・母だった場合の法定相続分は「妻:2/3、父・母:それぞれ1/6」となります。なお直系尊属には代襲相続の考え方はありません。

第3順位:兄弟姉妹

第1順位・第2順位共にいない場合には、相続人は配偶者と兄弟姉妹になり、法定相続分は「妻:3/4、兄弟姉妹:1/4」となります。兄弟姉妹が複数いる場合には、法定相続分1/4を人数で割った割合が兄弟姉妹1人当たりの法定相続分となります。例えば、相続人が妻と兄・姉・妹だった場合の法定相続分は「妻:3/4、兄・姉・妹:それぞれ1/12」となります。

なお、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子(被相続人にとっての甥・姪)が相続人となります(代襲相続)。例えば、相続人が妻と姉・妹・兄の子2人(代襲相続人)だった場合の法定相続分は「妻:3/4、姉・妹・それぞれ1/12、兄の子2人:それぞれ1/24」となります。兄弟姉妹の代襲相続はその子までで、その子が亡くなっている場合の代襲相続(再代襲)はありません。

法定相続分とは違う割合の相続も可能

このように誰が相続人か、また相続人の人数によってそれぞれの相続人の法定相続分が決まります。ただし、必ずしもこの法定相続分通りに財産を相続しなければならないわけではありません。「相続分の指定」「遺産分割協議」の2つの方法によって、法定相続分とは違う割合で相続分を決めることができます。

相続分の指定

相続分の指定は、遺言書によって各相続人の相続分を指定する方法です。相続分の指定は法定相続分に優先して有効となりますので、被相続人が生前に相続割合を決めることができます。「妻に遺産の60%、長男と次男にそれぞれ20%を相続させる」といった、相続財産全体の割合を指定することで相続分の指定が可能となります。

ただし相続分の指定をしただけでは、具体的にどの財産を誰が相続するのかを「指定相続分」に基づいて相続人同士で協議しなければならないので、実際の遺言書では「妻に自宅を相続させる」「マンションを長男に相続させる」といった具体的な財産を指定した内容となっていることが多く、このような遺言の内容も有効となります。

遺産分割協議

遺言書が無い場合、相続発生後に相続人が遺産分割協議を行い話し合いが調えば、各相続人の法定相続分とは違う割合で財産を相続することができます。

このように、相続分の指定・遺産分割協議共に、法定相続分とは違う割合で財産を相続することができますが、各相続人が最低限財産を受け取る権利である「遺留分」を侵害しないことが、遺産分割で揉めないためには必要となってきます。
 

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財産を巡って「揉めない」対策が必要に

必ずしも法定相続分通りに遺産分割をする必要はありませんが、遺言書が無い場合には相続人全員の同意が必要となり、特に代襲相続が起きれば相続人の人数も多くなりますので、遺産分割協議が調うまでに時間と労力がかかる場合があります。

上述した法定相続分のうち兄弟姉妹には遺留分がありませんので、例えば相続人が妻と兄弟姉妹だった場合には「全財産を妻に相続させる」旨の遺言を遺しておけば遺産分割で揉めることにはなりません。

いずれにしても、相続が発生した場合には誰が相続人となるのかを事前に確認したうえで、必要に応じて相続分の指定や個別の財産を相続させる旨の遺言を遺しておくのが賢明です。早めに対策することで、相続人の揉め事を回避することも可能となるでしょう。
 

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