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2019.7.28

今から考えたい相続に向けた事前準備5選

(写真=Freedomz/Shutterstock.com)
(写真=Freedomz/Shutterstock.com)
相続について考える場合、はじめに考えておきたいのは「遺産分割対策」です。

納税資金、節税対策はお金で解決できますが、遺産分割を巡って家族がもめて、お金では解決できない場合もあります。

相続を「争族」にしないためにも事前にできることは?

「ウチは兄弟仲がいいから大丈夫」そう考える方も多いと思いますが、遺産分割を巡っては毎年一定の割合でもめ事が起きています。

裁判所の統計によると、2017年度に遺産分割の調停の申立事件数は1万2,166件、同年に亡くなった方が約134万人ですので、亡くなった方約110人に1件の割合で「争族」が起きています。

ちなみに遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判の申立ができます。遺産分割の内容に納得ができない相続人(1人でも複数人でも可)が、他の相続人全員を相手として申立を行います。

調停では双方の分割方法の意向などの意見を聞いたうえで、分割案や解決策を提示して合意を目指した話し合いが行われます。

調停で話がまとまればよいのですが、不成立となった場合には自動的に審判の手続きが行われ、裁判官が一切の事情を考慮して審判が下されます。

解決までの間、各相続人は遺産分割のために多くの時間と労力がかかります。また最初の話し合いでまとまらなかった話が調停でまとまるとは限らず、相続人同士の心情的な憎悪が増幅される可能性もあります。

このような争いごとをできるだけ防ぐために、事前に準備しておきたいこと5選を紹介します。

事前にできること5選

(写真=Tiko Aramyan/Shutterstock.com)

1)相続財産・相続人の把握

当たり前のことですがこれを把握しておかないと話が先に進みません。
被相続人となる方の財産が総額いくらあるのか、その財産は預貯金、有価証券など分割しやすい財産か、不動産や自社株など分割しにくい財産なのかを確認し、相続人となるのは誰なのかも把握しておく必要があります。

2)遺言書の作成

そのうえで財産を遺す人が生前に遺言書を作成し、誰にどの財産を相続させるかを決めることで、争いが起こる可能性を低くできます。

遺産分割の方法が決まらないために「争族」が起きてしまいますので、財産を遺す人が、なぜ遺言書の内容の分割方法にしたのかなど、その考えを「付言事項」として合わせて遺しておくことで、各相続人が争うことなく財産を相続することも可能になるのです。

3)遺留分対策

不動産や自社株など分割することが難しく、さらに評価額が大きくなる財産もあり、それを特定の相続人が相続した場合、他の相続人の「遺留分」を侵害してしまうことがあります。

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている、財産を最低限相続できる額のことを言い、遺留分の額は、相続人が直系尊属のみの場合は相続財産の1/3、それ以外は1/2です。

例えば相続人が妻、長男、次男の3人だった場合、全体の遺留分の額は1/2、個別の遺留分は妻が1/4、長男と次男がそれぞれ1/8となり、例えば次男がこれより少ない額しか相続できなかった場合は、多くの財産を相続した長男に対して「遺留分減殺請求」をすることができ、遺留分を侵害された額を請求できます。

請求された長男は自身の財産から「代償金」を支払うことになるのですが、不動産や自社株など、相続財産としての評価額は大きいけれど、現金は相続していない場合などは、代償金の負担も大きくなるケースもあります。

このような代償金準備のために、後述する生命保険を活用するなどの準備が必要なのです。

4)生命保険の活用

生命保険の死亡保険金は原則として「受取人固有の財産」となり、遺産分割の対象とはなりません。従って、現金を死亡保険金に換えることによって、財産を渡したい人に渡したい額(死亡保険金)を準備できます。

前述の遺留分対策では、財産を多く相続する人を受取人として契約をし、被保険者(被相続人となる人)が亡くなったら死亡保険金を受け取り、それを代償金に充てるという活用もできます。

なお死亡保険金は保険会社や保険商品によって2親等または3親等の親族までを死亡保険金の受取人に指定できます。

ただし、他の財産の総額と比べて、死亡保険金の額があまりにも大きく、それを特定の一人が受け取った場合には、受取人固有の財産とはならずに「特別受益」として相続財産として持ち戻しの対象となり、他の財産と合わせて遺産分割の対象となってしまう可能性があります。

あまり極端な額を特定の人に渡す保険契約は避けたほうが賢明です。

5)資産の見直し

分割しづらい財産、例えば不動産であまり収益性が高くない場合では、売却をして現金化するのも方法の一つです。

不動産と現金を比較した場合、不動産のほうが相続財産としての評価額は低くなることが多いのですが、節税対策になっても「争族」が起きてしまっては意味がありません。できるだけ分割しやすい財産に見直しをしていく方が良いケースもあります。

できるだけ早めに手を打つことが大事

これらの準備は財産を引き継ぐ人ではなく、財産を遺す人が行動を起こすべき事案です。特に70代、80代の親御さんがいらっしゃる場合には、できるだけ早く準備をすることが大切です。

なかなか切り出しにくい話題ではありますが、相続が起きてしまってからでは対策が立てられませんので、少しでも争いの可能性を無くすためにも、どのように財産を引き継いでいくのかを一緒に考える機会を作ってみてはいかがでしょうか。
 

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