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2019.11.30

注目の矯正治療「マウスピース」の長所と欠点

(写真=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
(写真=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
(本記事は、野村洋文氏の著書『健康寿命は歯で決まる!』イースト・プレスの中から一部を抜粋・編集しています)

歯の矯正治療エトセトラ

歯の詰め物、かぶせ物を、3Dで作ることができる、とお話ししました。さらに現在、3Dで歯の矯正ができるようにもなっているのです。

ここで、まず簡単に歯の矯正治療について述べさせていただきますね。漠然とイメージできると思いますが、ぶっちゃけ、出っ歯や受け口など、歯並びの悪い人に対し、人為的な力を加え続けることで、正常できれいな歯並びにする治療を言います。

矯正治療をすることで、歯並びを美しくできることは言わずもがな、歯のラインが整うことで、食べかすなどの汚れが歯に停滞しづらくなり、むし歯や歯周病を予防することができます。

また、上下がきちんと噛み合った歯で食事をとれるため、咀嚼力も増しますし、歯並びの悪さが原因で生じていた発音障害も克服することができます。

口腔機能とそれが及ぼす全身機能に関しても、矯正治療は深く関わっているのです。

さらに重要なことですが、今まで悪い歯並びで悩んでいた人が、矯正治療後、きれいな歯並びを手に入れることで、自分に自信がつき、内向的・消極的・さらには自虐的な生活姿勢から脱却でき、ポジティブで明るい、未来志向型の生活姿勢へと生まれ変わることができるのです。

精神面の向上により、日常生活をおう歌できるようになるのです。

再三申し上げていますが、歯の矯正治療は人生100年時代、健康寿命を延ばすため必要な治療の一つと言っても過言ではないのです。

ちなみに、歯の矯正治療に保険は適用できません。全額自費となります。現在、保険治療は疾病保険と言い、病気にならないと保険適用ができません。「歯並びが悪い」というのは、疾病ではないという考えが、保険の仕組みを作っている方々の一般的な認識だからです。

さてさて、矯正治療は具体的にいかにして行われるのでしょうか?

街中で矯正装置(矯正をする装置)をつけている人に出くわす機会も多いですから、漠然としたイメージは湧くと思います。自分的にはまだまだ矯正治療の普及率は低いと感じますがね。

矯正装置には、たくさんの種類があります。一般的には、歯の表面に金属やレジン(簡単に言うと、プラスティック素材)、セラミックの小さなブラケットという装置をつけ、それに、細いワイヤーを通して歯を動かす、という固定式の装置を使います。

お察しいただけると思いますが、歯の表面に(目立たないように、歯の裏側につける方法もあります)ブラケットとワイヤーがつくため、矯正治療をしていることがわかってしまう、目立ってしまう、という難点があります。

それをむしろステータスと感じ(矯正治療は全額自費のため、それなりの予算がないとできませんので)、率先して受け入れる方もいますが、どちらかと言うと、審美面では、消極的なイメージの方が強いです。ですから、長期にわたって、目立つ器具をつけることに抵抗があり、なかなか矯正治療に踏み切ることができない、という方はたくさんいらっしゃいます。

また、歯の表面に取り外しのきかない矯正装置がつくために、どうしても装置の周りに食べ物が停滞するなど、汚れが付きやすく、歯みがきやうがい等、衛生管理をきちんとできない方では、矯正治療中に、むし歯や、歯周炎、歯周病にかかってしまう恐れがあります。

歯を治そうとして、歯をダメにしてしまう、これでは本末転倒ですね。

歯の矯正治療~3D、マウスピースの時代へ!

マウスピースを装着することで、歯の矯正をする治療が脚光を浴びています。

3Dを駆使してマウスピースを作製し、それを患者さんにはめていただき、徐々に歯を動かし、正常で、美しい歯並びにする治療です。インビザライン矯正治療と言います。

歯科医師が、光学印象(歯の詰め物、かぶせ物を、3Dで作る場合の印象と同じです)により、患者さんの全顎(上下すべての歯)の3Dデータを作成し、それを、アライン・テクノロジー社という会社に送ります。

そのデータを基に、アライン・テクノロジー社と歯科医師とで、コンピューターを介して、治療計画のやり取りが行われます。

患者さんの歯並びの最終ゴールが決定したら、アライン・テクノロジー社から担当歯科医師に、患者さんの症例に合わせた薄い透明なマウスピースがいくつか送られてきます。

後は、患者さんにそれを、おおよそ2週間ごとに1枚ずつ装着していただき、最後の1枚を装着し終えた時点で矯正終了となります(ただし、矯正終了後、歯の後戻りをさせないために、リテーナーという装置をつけます)。

透明なマウスピース! お察しいただけると思いますが、従来のワイヤー矯正と違い、装着していても自然で、目立ちません。他人の目を気にすることなく日常生活を送ることができるのです。

審美面に配慮しながらきれいな歯並びが手に入る、これがマウスピース矯正の最大のメリットと言えましょう。

さらに、マウスピースですから、食事時や、歯みがき時には、取り外すことができます。よって、ワイヤー矯正の短所で述べた衛生管理の問題も、難なくクリアできるのです。

また、金属を使用しませんから、金属アレルギーの方にも安心して治療ができます。

マウスピース矯正の長所ばかりを述べてきましたが、当然、欠点もあります。完璧な人間が存在しないのと同じですね。

患者さんの使用時間や使い方によって、思うように歯が動かないというような、治療効果に影響が出る場合があります。

固定式では、否応なしに、治療が進んでいきますが、マウスピースですから、着脱可な故、患者さんのパーソナリティーにより、何日間も装着し忘れてしまう場合があります。

歯科医師サイドも、毎日毎日「マウスピースをつけてらっしゃいますか?」と患者さんにお聞きすることはできませんから、こればかりは、患者さん自身の努力、歯科医師との信頼関係に委ねられているのです。

繰り返しますが、歯の矯正治療は、歯並びを美しくするといった、審美的な構築のみにとどまらず、むし歯、歯周病の予防に大いに貢献します。発音障害の克服や、咀嚼力の回復など、全身の健康維持に多大な影響を及ぼすことがわかっております。

人生100年時代、歯の矯正は、精神的にも、肉体的にも健康で快活な日常生活を送るためのキーパーソンでもあるわけです。

その治療の重要性とは裏腹に、まだまだ、世間の認知度が低いことは否めません。ハードルが高いのも確かです。

この、マウスピース矯正の登場により、従来の歯の矯正に対する重いイメージが崩れ、気軽に歯の矯正を受けられるようになることを切に願っております。マウスピース矯正は、まさに、歯の矯正治療のニューリーダーにふさわしい方法と言えます。

文・ZUU online 編集部/ZUU online
 
健康寿命は歯で決まる!
野村洋文(のむら・ひろふみ)
昭和43年4月6日、埼玉県入間市生まれ。日本大学歯学部卒業、トロント大学歯学部留学。木下歯科医院副院長。中久喜学術賞受賞、歯学博士、 食と口の評論家(入間市)、社団法人オーラル・ビューティー・フード協会理事、日本摂食嚥下リハビリテーション学会会員。雑誌の口腔関連記事への監修、および、異業種と歯科医療とのコラボレーショなど、歯科業界の向上・飛躍を目指し多岐にわたり活動している。

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