近年、実家のお墓が維持できない、都内で入れるお墓が不足しているなど、人口の都市流入問題が先祖代々のお墓の管理にも影響を及ぼしています。そうした中で、都市部では納骨堂をお墓として利用するケースが増えています。
納骨堂は都会のビルの室内に遺骨を納めるという、従来の屋外のお墓の代わりになる施設です。アクセスの良い立地で気軽にお墓参りに出掛けられるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、都市部在住のために地方のお墓参りが難しくなった人たちが、納骨堂を選ぶ理由とそのメリット、さらに豪華な建物や施設で注目される高級納骨堂についてご紹介します。
無縁仏の供養から現代型お墓への進化
もともと納骨堂は、貴族や豪族など高貴な人たちの遺骨を納める施設として発展しました。日本では、庶民は土葬の習慣が続いていたため、無縁仏のように行き場のない遺骨を埋葬するほかは、一般には納骨堂はあまりなじみがないものでした。
現在のような納骨堂といわれるタイプの施設が誕生したのは比較的最近のことです。戦後、社会が大きく変わり、仕事で都市部に暮らす人の増加や核家族化が進むと都市部で生活の基盤を持ちながら、地方の実家の墓を守るという生活は難しくなってきました。
そこで、都市部の寺院などで気軽にお墓参りがしやすいように納骨堂を運営するところが増えてきたのです。
納骨堂のメリット
納骨堂には、次のようなメリットがあります。
管理を任せられる
管理はすべて納骨堂の管理者が行います。そのため、お墓の拭き掃除や敷地内の掃き掃除はもちろん、墓石を修理するといった手間やコストが不要です。
いつでも気軽にお墓参りができる
納骨堂は屋内にあるので、天候に関係なく気軽に参拝できます。また、納骨堂にはお花や線香などが用意されているので、お墓参りの道具を持っていく必要もありません。
交通の便が良い
都会にある多くの納骨堂は最寄りの交通機関からのアクセスが良く、交通費や移動時間を気にせずいつでもお参りできます。
プライバシーが守られる
来館時にICチップ付きの参拝カードをかざすと参拝スペースまで遺骨が送られるしくみの場合には、参拝の際に他人と一緒になる心配がありません。また入退室管理システムなどによるセキュリティも整っています。
宗教や宗派を問わず利用できる
多くの納骨堂では特定の宗教や宗派に限らず、誰でも遺骨を納められるシステムになっています。
永代供養してもらえる
永代供養に対応している納骨堂なら、昔ながらのお墓のように残された人たちがお墓の面倒を見てくれるか心配しなくても済みます。
バリアフリーや耐震対策などで安心
納骨堂の施設は、高齢者や子どもでも参拝しやすいように、バリアフリーで設計されているところが増えています。また、建物自体の耐震対策にも取り組んでいるので、災害の際も大切な遺骨を守ることができます。
高級納骨堂は自動搬送式が主流
納骨堂には、ロッカータイプや仏壇タイプといった家ごとに区分されたものと、参拝するときだけその家の遺骨を自動でお参りスペースまで移動させて、そこでお墓参りをする自動搬送式があります。
この自動搬送式は高級納骨堂の多くで採用されており、広い室内空間の中で落ち着いてお参りできるなど、人気が高まっているタイプです。
価格相場は一般的なお墓より高くなっている
都内にある新宿瑠璃光院白蓮華堂を例に挙げると、ファミリータイプで200万円、年間管理費2万円(税別)です。さらに、同施設には「特別参拝室」もあり、豪華な内装や調度品を使った完全個室のタイプもあります。価格は500万円で年間管理費は5万円(税別)です。
家族だけのプライベート空間で、ゆっくりと故人を思い出しながら参拝ができる、高級スイートルームのような空間が広がっています。
予算や希望、自分の死生観に合わせた納骨堂選びをしておこう
都市部を中心に増加している納骨堂を利用すれば、遠距離でなかなかお墓参りができなかった人でも気軽に訪れて、先祖や故人をしのぶことができます。
納骨堂の費用は、従来型のお墓の費用と変わらないか、もしくは高くなってきており、予算を比較して検討することも大切です。また、自分や家族が亡くなった後、どのようなお墓に入りたいのか、家族にどうやって供養してもらいたいかなど、死生観を見つめ直す必要もあるでしょう。
ぜひ、納骨堂のメリットやしくみを参考にして、家のお墓を受け継ぐ方法や供養のしかたについて家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
【おすすめ記事】
・「お金持ちは長財布」はもう時代遅れ?
・日本は借金大国?世界の債務残高はどのくらいのか
・ビジネスセンスが現れる!差がつく「手土産」3選
・サービスで選ぶエグゼクティブのカード
・プラチナカードの審査の仕組みとは