投資・資産運用
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2021.3.6

つみたてNISAでは資産をどう組み合わせるべきか?分散投資の重要性を考える

(写真=MQ-Illustrations/stock.adobe.com)
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非課税期間が長期に渡る「つみたてNISA」は、時間分散の効果を生かした資産運用ができる制度です。また、資産分散も併せて取り入れることで、さらなる分散投資の効果も期待できます。分散投資を積極的に活用し、リスクを抑え安定的な資産形成を目指しましょう。
 

長期での資産運用に向いているつみたてNISA。基本事項を確認しよう

つみたてNISAは、投資による資産形成を促すNISA(少額投資非課税制度)の1つとして、2018年1月にスタートした制度です。NISAのなかでもつみたてNISAは、老後資金形成など長期での資産作りに向いています。ここではまず、制度の概要を確認しましょう。

つみたてNISAはNISA制度の1つ

NISAでは、投資から得た売却益や分配金・配当金といった利益にかかる20%の税金が非課税となります。通常であれば差し引かれる税金分がそのまま利益になるという点で、NISAは、効率のよい資産形成を目指せる制度の1つだといえるでしょう。

NISAには、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの口座があります。投資可能期間や非課税期間・投資できる金融商品などの詳細が口座により異なるため、まずはそれぞれの特徴を知り、投資スタイルに合った口座を選ぶことが重要です。各口座の詳細を、表1で確認しましょう。

なお、NISA口座は1人1口座しか開設できません。種類が違う口座の併用も不可です。

▽表1.3つのNISA口座の概要
 
  一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住の20歳以上の人 日本在住の0~19歳の人
非課税対象 株や投資信託などへの投資から得られる値上がり益・分配金・配当金 金融庁が認める一定の投資信託(公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定)から得られる分配金および値上がり益 株や投資信託などへの投資から得られる値上がり益・分配金・配当金
非課税投資枠(投資の上限) 新規投資額で毎年120万円 新規投資額で毎年40万円 新規投資額で毎年80万円
非課税期間 最長5年 最長20年 最長5年
向いている投資スタイル いろいろな金融商品に投資したい 長期でリスクを抑えた資産形成を目指したい 子供や孫のために、資産形成をしたい

株や投資信託・REIT(リート:不動産投資信託)など、さまざまな金融商品に投資をしたいなら一般NISAが適しています。親や祖父母といった親権者が拠出した資金を子供の名義で運用するのであれば、ジュニアNISAを選びましょう。

つみたてNISAの特徴は非課税期間が長期に渡る点

つみたてNISAの特徴は、非課税期間が20年と長期に渡る点です。これは、複利効果を生かした資産形成を目指すうえで重要なポイントとなります。

そもそも複利効果とは、運用で得た利益を元本に組み入れることにより、雪だるま式の資産増加を目指すものです。では、複利運用と単利運用では、利益にどのくらいの差がでるのでしょうか。1例として、40万円の投資をおこない毎年2%の利益を得た場合のそれぞれの運用結果を、表2に紹介します。

▽表2.複利運用と単利運用の運用結果の違い
 
経過年数 複利運用 単利運用
5年目 44万1,632円 44万円
10年目 48万7,598円 48万円
15年目 53万8,347円 52万円
20年目 59万4,379円 56万円

複利運用の場合、投資から5年で増えた利益は、4万1,632円です。5年目から10年目までは4万5,966円、10年目から15年目までは5万749円、15年目から20年目までは5万6,032円増えました。一方、単利運用の利益は毎年変わらず8,000円です。5年単位で4万円の固定となります。複利運用と単利運用の運用益の差は、5年目は1,632円ですが20年目には3万4,379円まで広がっています。

このように複利運用は、時間をかけるほど効率が上がり、利益が生まれる可能性があるのです。つみたてNISAは最長20年間運用できるため、複利の効果をより得られます。
 

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つみたてNISAで投資できるファンドは190超!

2020年12月23日時点におけるつみたてNISA対象ファンドは、193本です。対象となるファンドにはどのような特徴があるのでしょうか。

対象ファンドは金融庁により選定される

つみたてNISAの対象ファンドは金融庁が選定しており、多くのファンドのなかから特に「安定した資産形成を目指せる長期・積立・分散投資に適したファンド」が選ばれています。つみたてNISAにラインアップされるファンドの具体的な特徴は、以下のとおりです。
  • 販売手数料が0円(ノーロード)
  • 信託報酬が低い
  • 分配金の支払い頻度が低い
  • つみたてNISA対象ファンドの特徴1:手数料が低い
つみたてNISAでは、コストとなる販売手数料がかからず信託報酬が低いファンドが選ばれています。販売手数料とは、投資信託購入時に販売会社に支払う手数料です。市場に上場していない投資信託は、投資家が直接売買できません。そのため、投資信託の売買を仲介する証券会社や銀行といった販売会社に支払うのが、販売手数料です。

信託報酬は、投資信託の保有中にかかる手数料です。手数料額はファンドごとに設定されているため、重要事項が記載されている目論見書(もくろみしょ)で確認しましょう。投資信託を保有している間中かかる信託報酬は、ランニングコストとなります。コストを抑えた効率のよい運用を目指すには、信託報酬の低さはとても重要になるのです。

・つみたてNISA対象ファンドの特徴2:高い複利効果が狙える

つみたてNISAは、長期での有効な資産形成を目指す制度です。そのため、高い複利効果が狙えるファンドとして、分配金の支払い頻度が低いものが選定されています。

分配金は、ファンドの運用で利益がでた場合に投資家に還元されるお金です。分配金を受け取ることは定期的に利益を確定できるメリットがありますが、そのたびに複利効果が小さくなるデメリットもあります。そこで、長期での複利運用を重視するつみたてNISAでは、分配金をださず元本の増加を狙う投資方針のファンドが多くラインアップされているのです。

対象ファンドの特徴をみてみよう

つみたてNISA対象の193ファンドの詳細は、表3のとおりです。

▽表3.つみたてNISA対象ファンドの詳細
 
ファンドの種類 本数
インデックスファンド 167
アクティブファンド 19
ETF(イーティーエフ:上場投資信託) 7

・指標に連動した運用成績を目指すインデックスファンド

インデックスファンドは、日経平均やTOPIXといった指標(ベンチマーク)に連動した運用成績を目指します。指標の値動きを見ればファンドの運用成績を大まかに把握できるなど、初心者でも比較的始めやすいファンドだといえるでしょう。

インデックスファンドの特徴は、信託報酬の低さです。指標と連動した運用をおこなうインデックスファンドは、その指標と同じ銘柄に投資をします。そのため、運用会社が市場や銘柄を調査する負担を少なく抑えられます。運用会社の負担が少ないインデックスファンドは、報酬となる信託報酬が低く設定されているのです。

・独自の運用成績を目指すアクティブファンド

アクティブファンドは、独自の運用方針やテーマに沿って投資をおこなうファンドです。運用成績次第では、インデックスファンドより高いリターンを得られることもあります。

アクティブファンドでは、運用会社による市場や企業調査のもと、投資銘柄が決定されます。そのため、インデックスファンドよりも信託報酬が高い点には注意しましょう。特に、新興国や新興市場といった情報の獲得や調査がしづらい銘柄に投資するファンドは、信託報酬が高めに設定されます。

・投資家が直接売買できるETF

ETFも、指標と連動する運用成績を目指す投資信託です。インデックスファンドとの違いは、市場への上場の有無です。市場に上場するETFは、投資家が直接売買できます。取引時に販売会社を通さないため、ETFはインデックスファンドよりもさらに信託報酬が低く設定されています。また、株式と同様にリアルタイムな価格での取引ができる点も、ETFの特徴だといえるでしょう。

つみたてNISAでの運用を成功に導くカギは「分散投資」

つみたてNISAでの運用を成功させるには、「分散投資」を取り入れることが重要です。ここでは投資時期を分散する「時間分散」と、投資先をわける「資産分散」について詳しく解説します。

積立投資により「時間分散(ドルコスト平均法)」を図る

時間分散とは、同一銘柄を一定期間ごとに一定金額ずつ買い増していく方法です。時間分散を取り入れた投資では、価額が高いときの購入口数は減り、価額が低いときの購入口数は多くなります。これにより購入価額の平準化が図れ、基準価額の値動きにより損失を被るリスクの軽減が目指せるのです。

積立投資による資産作りを目的とするつみたてNISAは、その投資期間の長さから、時間分散を取り入れた運用に向いている制度です。つみたてNISAを成功させるには、無理のない金額で積立投資を継続していくことが重要となります。

投資ファンドの選び方は?資産分散を取り入れる3つの方法

資産分散とは、複数の銘柄に投資することです。投資先を1つに絞るとその資産が値下がりした場合に、すべての資産がマイナスに転じてしまいます。一方、投資先を複数にわけておけば、値動きによる影響が分散され、資産の目減りが軽減されます。

ここでは、つみたてNISAに取り入れやすい資産分散の方法を3つ紹介します。投資経験や投資スタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を選択しましょう。

・資産分散の方法1:いくつかのファンドを組み合わせる

資産分散方法の1つめは、複数のファンドへの投資です。各ファンドの投資方針や実績などを確認し、独自のポートフォリオで投資を行います。

投資家自身で資産分散を行うメリットは、気に入ったファンドを組み合わせられる点です。より積極的に運用を楽しみたい人は、自身での資産分散にチャレンジしてみましょう。

・資産分散の方法2:バランスファンドを活用する

資産分散方法の2つめは、バランスファンドの活用です。バランスファンドは、投資家から集めた資金を複数の資産に分けて投資します。そのため、1つのファンドに投資するだけで資産分散の効果を図ることができます。

つみたてNISAでは、2~8つの資産に分けて投資するファンドがあります。投資にかける時間を多くとれない人や投資初心者は、バランスファンドを活用しましょう。なおバランスファンドは、そのほかのファンドに比べて信託報酬が高いものがあります。ファンドを選ぶ際には、事前に信託報酬を確認しましょう。

・資産分散の方法3:ロボアドバイザーのサポートを受ける

資産分散方法の3つめは、ロボアドバイザーの利用です。ロボアドバイザーとは、AIが金融工学に基づいた投資アドバイスをしてくれるサービスです。インターネット上で、資産状況や投資経験・リスク許容度などに関するいくつかの質問に答えるだけで、資産分散を考慮した最適なポートフォリオを投資家ごとに提示してくれます。投資初心者などは、ロボアドバイザーを活用することでスムーズなファンド選定ができるでしょう。

選択肢の違いから、証券会社選びも重要

先述のとおり、つみたてNISA対象ファンドは193本あります。しかし、必ずしもすべてのファンドに投資できるわけではありません。投資できるファンドは、口座を開設した証券会社で取り扱っているものに限ります。NISA口座を開設する際には、取り扱いファンド数などを事前に確認し、希望に沿ったファンドを取り扱う証券会社を選ぶことが肝心です。

取り扱いファンド数の多さで選ぶならネット証券が有力な選択肢

証券会社には、窓口や店舗をもつ店舗型証券と、インターネットでの取引を専門とするネット証券があります。取り扱いファンド数の多さなら、店舗型証券よりもネット証券の方が充実しています。主要ネット証券におけるつみたてNISA対象ファンド数を、表4でみてみましょう。

▽表4.主要ネット証券におけるつみたてNISA対象ファンド数
 
証券会社名 取扱本数
楽天証券 170
SBI証券 172
マネックス証券 151

一方、店舗型証券の野村證券の取り扱いファンド数は7本、大和証券は22本です。このように、ネット証券のほうが、より多くの選択肢から投資ファンドを選ぶことができます。

ロボアドバイザーを活用するなら松井証券の「投信工房」も

ロボアドバイザーの利用を考えているなら、松井証券も有力な選択肢です。松井証券は、利用料無料のロボアドバイザー「投信工房」を提供しています。投信工房では、インターネット上で8つの質問に答えるだけで、投資家に最適な資産分散を考慮したファンドを提案してくれます。

投信工房の無料診断は、松井証券に口座がない人でも体験可能です。ロボアドバイザーに興味がある人は、1度試してみるとよいでしょう。なお、松井証券で取り扱っているつみたてNISA対象ファンド数は、161本です。

まとめ:分散投資の効果的な取り入れがつみたてNISA成功のカギ

つみたてNISAの運用をより安定させるには、分散投資が重要です。分散投資の1つめは「時間分散」です。継続的な積立投資を行い、値動きによって資産が増減するリスクを軽減させましょう。

もう1つの分散投資は「資産分散」です。資産分散を取り入れるには、複数のファンドを組み合わせたり、バランスファンドを活用したりする方法があります。ポートフォリオを組むのが不慣れな人は、ロボアドバイザーの活用も有効です。

つみたてNISAは、長期での資産運用に適した制度です。分散投資を取り入れることで、将来に向けた安定的な資産形成を始めてはいかがでしょうか。
 
文・
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている
 

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