投資・資産運用
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2021.3.6

投資信託の平均リターンはどのくらい?投資方針や投資資産別のリターンを調べるには

(写真=beeboys/stock.adobe.com)
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投資信託から得られるリターンの大きさは、ファンドの運用方針や投資する資産により異なります。ここでは、投資初心者にも投資しやすいインデックスファンドや、より積極的に運用したいアクティブファンドでのリターンを確認しながら、投資信託の仕組みと、基本的な投資の仕方を解説します。投資するファンドを選ぶ際には、値動きの傾向やリスク・リターンの大きさ、コストとなる手数料などを確認することが重要です。
 

専門家が資金を運用してくれる投資信託。まずは仕組みを確認しよう

投資信託は、値動きがある金融商品の1つです。ハイリスク・ハイリターンの株式や、ローリスク・ローリターンの債券と比べ、投資信託はミドルリスク・ミドルリターンだといわれます。では、投資信託にはどのような特徴があるのでしょうか。投資信託の儲けの仕組みを知るためにも、まずは投資信託の基本事項を確認します。

投資家から預かった資金を投資の専門家が運用

投資信託は、投資家から集めた資金を運用の専門家が運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。ネット証券を利用している場合には100円から購入できるファンドもあり、投資初心者でも始めやすい金融商品の1つだといわれます。

期待できる利益は「売却益」と「分配金」

投資信託で期待できる利益は、「売却益」と「分配金」です。それぞれの特徴を、以下にまとめます。
  • 売却益:購入時よりも高い基準価額で売却したときに得られる差益
  • 分配金:運用で得た利益から投資家に還元されるお金
投資信託は、1日1回算出される基準価額で売買されます。基準価額は、市場の状況や運用成績により毎日変動します。購入時の基準価額よりも高い価額で売却した場合に得られるのが、売却益です。

分配金は、ファンドの運用で利益がでた場合に投資家に還元されるものです。そのため、分配金額は一定ではなく決算により決定されます。決算の回数や時期は、ファンドにより定められています。詳細は、重要事項が記載されたファンドごとの「目論見書(もくろみしょ)」で確認しましょう。

インデックスファンドとアクティブファンドの違いは?

投資信託には、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」があります。それぞれの特徴を、表1にまとめます。

▽表1.インデックスファンドとアクティブファンドの特徴比較
 
  インデックスファンド アクティブファンド
運用方針 指標に連動する運用を目指す 独自の銘柄選定により、指標を上回る運用を目指す
手数料 低め 高め
リスク・リターン 比較的小さい ファンドによる
分配金 でないものが多い 運用成績により支払われものもある

・指標との連動が特徴の「インデックスファンド」

インデックスファンドは、日経平均やTOPIX・東証REIT指数・S&P500など、指標(ベンチマーク)に連動する運用を目指します。指標とファンドの運用成績に乖離が少ないほど、運用がうまくいっていると考えられます。

・独自の運用成績を目指す「アクティブファンド」

アクティブファンドは、ファンドごとのテーマや投資方針により独自の運用成績を目指す投資信託です。どのくらいの利益を上げられるかは、運用会社(ファンドマネージャー)の腕にかかっているといえます。

手数料には注意が必要

投資信託に投資をするうえで注意が必要なのは、手数料です。投資信託は運用を専門家に任せられる点が魅力の1つですが、そのぶん報酬として支払う手数料が発生します。投資信託で必要な主な手数料を、表2で確認しましょう。

▽表2.投資信託で必要な主な手数料
 
手数料の種類 詳細
購入時手数料 購入時に販売会社(※1)に支払う手数料
信託報酬 保有時に信託財産から差し引かれる手数料。引かれた手数料は、販売会社・運用会社・信託銀行(※2)に支払われる
信託財産留保額 投資信託の解約時にかかる手数料。引かれた手数料は、信託財産に留保される

※1:投資信託を販売する銀行や証券会社・ゆうちょ銀行などの金融機関
※2:投資家から集めた資金を管理し、運用会社の指示のもと有価証券を売買する役割をもつ

・購入時手数料

購入時手数料の有無や金額は、ファンドにより決まっています。また、証券会社によっても差がでることがあります。

・信託報酬

信託報酬は、ファンドを保有している間にかかる手数料です。ランニングコストとなるため、購入前にしっかりと確認することが重要です。

なお、指標に連動した成績を目指すインデックスファンドは、銘柄選定など運用会社の手間が少ないため信託報酬が低めに設定されます。一方のアクティブファンドでは、運用会社による市場や銘柄調査が行われ、投資銘柄が決定します。運用会社の手間が大きいぶん、インデックスファンドよりも信託報酬が高めになっています。

・信託財産留保額

信託財産留保額は、投資信託の解約時にファンドに対し支払う手数料です。投資信託の売却時には、解約代金を用意するために、ファンドが保有する有価証券を売却しなければならない場合もあります。その際の手数料や、運用状況によっては発生する損失を補てんするために支払うのが信託財産留保額です。
 

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投資信託の平均リターンはどのくらい?投資方針や投資資産別に紹介

値動きのある金融商品である投資信託は、預貯金とは異なり購入時に利回りが決まりません。得られる利益は、運用成績によって変わってきます。期待できる利益を考えるにあたっては、過去の実績を参考にしましょう。

新ファンドなど過去の実績がない場合には、投資方針が似ているほかのファンドを参考にするのも1つです。ここでは、各ファンドの運用成績を比較するデータとして、「純資産残高TOP10銘柄の平均リターン」を紹介します。

アクティブファンド・純資産残高TOP10銘柄の平均リターン

まずは、アクティブファンドの平均リターンを見てみましょう。

表3.アクティブファンド・純資産残高TOP10銘柄の平均リターン
 
ファンド名 純資産残高(百万円) 基準価額(円) リターン1年 リターン3年
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 952,546 2,521 -6.07% 3.17%
アライアンスバーンスタイン米国成長 727,896 11,626 25.03% 17.44%
次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 695,470 18,205 39.20% 18.66%
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) 677,477 28,173 44.03% 21.43%
netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし) 651,793 21,269 21.47% 18.93%
東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 642,337 10,450 -6.07% -0.40%
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 555,444 2,106 -9.63% 1.75%
フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし) 530,949 2,790 -12.36% 0.05%
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド 502,447 2,809 -2.44% 1.12%
フィデリティ・日本成長株・ファンド 468,128 30,880 20.32% 5.57%
      平均11.35% 平均8.77%

※SBI証券 投資信託ランキングより、設定日から3年以上運用のファンドを抽出し作成

1年間の平均リターンは11.35%で、後述する下表インデックスファンドの1年の平均リターン(8.30%)と大きな差がないようにみえます。しかし、40%以上のリターンを叩き出すファンドもある一方で、年間でマイナスとなるファンドも目に付きます。このように激しい値動きをするのがアクティブファンドの特徴です。

アクティブファンドのリターンはファンドマネージャーの運用次第

表からもわかるように、アクティブファンドでどのくらいのリターンを得られるかは、一概にはいえません。それは、アクティブファンドのリターンは、各ファンドの投資方針などにより大きく変わるからです。

アクティブファンドを購入する際には、以下のポイントをチェックしましょう。
  • 手数料
  • 分配金の有無
  • 同テーマの他ファンドとの成績の違い
  • 手数料
先述のとおり、アクティブファンドの手数料はインデックスファンドよりも高めに設定されます。特に、銘柄選定や情報収集が難しい新興国や新興市場などに投資するファンドは、手数料が高く設定される傾向があります。手数料が高いファンドを選ぶなら、相応のリターンが期待できるかをしっかりと検討することが大切です。

・分配金の有無

アクティブファンドには、利益がでた場合に分配金として還元するものと、信託財産に留保し複利運用を目指すものがあります。投資で得た利益を定期的に確定したいのであれば、分配金がでるファンドを選んでもよいでしょう。複利運用によるより大きな利益を目指すなら、分配金をださず再投資する方針のファンドを選ぶべきです。

・同テーマの他ファンドとの成績の違い

運用会社独自の銘柄選定が特徴のアクティブファンドですが、同じようなテーマや投資方針のファンドを、ほかの運用会社でも販売していることがあります。似たファンドがある場合には、運用成績を比較してみるとよいでしょう。組み入れ銘柄に大きな差がないにも関わらず運用成績に違いがでている場合、運用会社の投資判断のよしあしが影響しているケースもあります。

インデックスファンド・純資産残高TOP10銘柄の平均リターン

次に、インデックスファンドにおける「純資産残高TOP10銘柄の平均リターン」を紹介します。

▽表4.インデックスファンド・純資産残高TOP10銘柄の平均リターン
 
ファンド名 純資産残高(百万円) 基準価額(円) リターン1年 リターン3年
投資のソムリエ 415,634 12,376 4.36% 3.05%
財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型 359,788 3,925 2.19% 4.35%
ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) 350,587 3,339 -14.01% 5.64%
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 238,425 16,991 6.50% 4.10%
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 231,634 19,808 9.03% 7.69%
インデックスファンド225 202,276 7,915 17.61% 7.99%
楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) 189,385 14,838 12.75% 10.27%
ニッセイ日経225インデックスファンド 179,244 33,343 17.99% 8.35%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 158,624 14,966 9.01% 7.73%
MHAM株式インデックスファンド225 152,020 5,368 17.56% 7.96%
      平均8.30% 平均6.71%

※SBI証券 投資信託ランキングより、設定日から3年以上運用のファンドを抽出し作成

3年間の平均リターンは約6.71%となっています。最近の日米の株価上昇をうけ10%以上のリターンを記録しているファンドもありますが、全体的には一桁台に収まっており、アクティブファンドのような大きな値動きはあまり見られません。

インデックスファンドのリターンは指標の値動きと連動する

インデックスファンドは、指標と連動した値動きをします。特に、日経平均株価やTOPIXなどと連動するファンドは値動きを把握しやすく、初心者でも比較的始めやすいといえるでしょう。

インデックスファンドで期待できるリターンや気をつけるべきリスクは、連動を目指す指標の種類によって異なります。インデックスファンドに投資をするなら、各指標の特徴や値動きの傾向を確認しておくことが重要です。

主要インデックスの10年間の値動きを紹介

では、インデックスファンドで用いられる主な指標は、この10年でどのような値動きをしたのでしょうか。表5では、2010年~2019年における各インデックスのリターンの最大値と最小値・平均値を紹介します。

▽表5.2010年~2019年における主なインデックスのリターン一覧
 
インデックスの種類 リターンの最大値 リターンの最小値 リターンの平均
TOPIX(国内株式) 51.5%(2013年) △18.9%(2011年) 8.28%
MSCIコクサイ(日本を除く先進国株式) 29.2%(2019年) △7.8(2018年) 11.1%
日本ガバメント・ボンド(MSIS国内債券) 3.4%(2014年) △0.8(2017年) 0.92%
世界債券指数(MSIS先進国債券) 6.2%(2014年) △2.4%(2013年) 0.85%
東証REIT指数(国内REIT) 35.9%(2013年) △26.2%(2011年) 11.07%
FTSE EPRA/NAREIT 先進国不動産(米国を除く先進国REIT) 33%(2012年) △18.7%(2011年) 4.44%
WTI原油先物(コモディティ原油) 45%(2016年) △36.3%(2015年) △0.95%

株やREITを対象とするインデックスは、国内外に関わらず値動きの幅が大きく平均リターンも高めなことがわかります。一方、債券インデックスは値動きの幅が小さく平均リターンも低めです。

最終的なリターンの大きさは、売却益と分配金・手数料を考慮し総合的に考える

投資信託の運用で大切なのは、利益である売却益と分配金、コストとなる手数料を総合的に考えることです。最後に、投資を成功させるために重要な3つのポイントを紹介します。

投資を成功させるためのポイント1:長期保有で分配金を積み上げ値動きの影響を軽減する

値動きにより資産が減少するリスクを抑えたいなら、長期保有による分配金の積み上げが有効です。仮に、1万円を投資信託に投資した場合の運用成績の例を、表6でみてみましょう。

▽表6.分配金と売却損益のシミュレーション
 
シミュレーション 保有年数 受取分配金額 売却価格/売却損益 最終的な儲け(税引前)
1 1年未満 0円 1万500円/500円 500円
2 3年 500円 1万200円/200円 700円
3 5年 800円 9,900円/△100円 700円

投資信託での資産運用が難しいと考えられる理由の1つは、売却時に基準価額が下がっていた場合に、投資資産が減る可能性がある点ではないでしょうか。しかし表6のように、インカムゲインである分配金を積み上げることで、仮に売却損が発生したとしても損失を相殺できる可能性が十分にあります。

・安定した分配金を得たいなら賃貸料を主な収入源とするREITも検討

多くの種類がある投資信託の中で、分配金が高いとされるのは不動産投資信託のREIT(リート)です。REITは、オフィスビルや商業施設・複合住宅・ホテルなどに投資を行い、賃貸料を得て運用します。賃貸料は空き家にならない限り、定期的に入ってきます。また、通常賃貸契約は年単位で取り交わされるため、計画的な運用が可能です。このように、賃貸料をおもな収入としているREITは、分配金が安定的に支払われるファンドが多くあります。

・特別分配金(元本払戻金)には注意

分配金は、原則として利益を原資とします。しかし場合によっては、投資元本を払い戻すことで支払われる「特別分配金(元本払戻金)」となる場合があります。特別分配金は投資元本を回収しているにすぎません。つまり、分配金がでているからといって、必ずしも利益が上がっているとは限らないのです。支払われた分配金が特別分配金かは、各ファンドの目論見書や運用報告書で確認しましょう。

投資を成功させるためのポイント2:ランニングコストをしっかり管理する

投資では、ランニングコストの管理も重要です。たとえば、1年で1%の利益を上げたファンドがあるとします。信託報酬が0.1%のファンドなら、年間の運用成績は0.9%となります。一方、信託報酬が0.7%のファンドでは、年間の利益は0.3%にしかなりません。つまり、どんなに利益を上げても、手数料が高ければ運用の効率は上がらないのです。投資を成功させるなら、投資前に信託報酬をしっかりと確認しましょう。

・ランニングコストを抑えるならETF(上場投資信託)も検討

よりコストを抑えた投資を目指すなら、ETF(イー・ティー・エフ)も選択肢です。ETFは、インデックスファンドと同じく指標に連動した値動きを目指すため、そもそも信託報酬は高くありません。加えて、市場に上場するETFは販売会社を介さず直接売買されるため、信託報酬がさらに低くなるのです。できるだけコストを抑えた投資をしたいなら、ETFも検討してみましょう。

投資を成功させるためのポイント3:ノーロード投信が充実しているネット証券を活用する

購入時の手数料を抑えたいなら、ノーロード投信の取り扱いが充実しているネット証券で口座を開設するとよいでしょう。ネット証券は、店舗や窓口を持ちません。人件費や店舗維持費を削減できるぶん、手数料を安く設定できるのです。

ネット証券は、ノーロード投信を多く取り扱っているだけでなく、ETFの売買時に必要な国内株式の売買手数料も低く設定されています。投資信託やETFに投資するなら、ネット証券を選ぶことでコストを抑えた資産運用を実現しましょう。

まとめ:投資信託のリターンはファンドの運用方針により異なる。手数料も加味し総合的に判断しよう

投資信託のリターンの大きさは、ファンドの投資方針や投資資産によって差がでます。期待できる利益を考えるなら、ファンドの過去の実績や、同じ方針の他ファンドの運用成績・各指標の値動きを参考にしましょう。

どのくらいの利益をだせたかは、売却益と分配金・手数料を加味し総合的に判断します。コストを抑えた効率のよい運用を目指すなら、ETFやネット証券の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事は文中に特に記載のない限り2021年1月27日の情報をもとに制作しています。各金融商品の情報は最新のものをご確認ください。また掲載している金融商品はすべて解説例であり、投資を推奨するものではありません。
 
文・
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている
 

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