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2021.2.11

PTS取引のメリットとデメリットは?始めるならどの証券会社がいいの?

(写真=Gorodenkoff/stock.adobe.com)
(写真=Gorodenkoff/stock.adobe.com)
株式投資は、東証など証券取引所が動いている時間内に取引するもの、というのが一般的ですが、PTS取引を活用すれば夜間の取引も可能です。いわゆる「九時五時」で仕事をしている人にとっては、PTS取引であれば勤務時間外にあたるため、落ち着いた環境で取引ができます。

さらに、PTS取引には取引時間以外にも、コスト面や有利な株価で売買できることなどメリットが多いため、株式投資の新しい選択肢として注目を集めています。

当記事では、PTS取引について、概要からメリットとデメリット、そしてPTS取引を実際に行うことができる証券会社を紹介します。知っているのと知らないのとでは投資成績に差が出てくる可能性の高い内容なので、より有利な投資環境を獲得したいとお考えの方はぜひ最後までお読みください。
 

PTS取引(夜間取引)とは?

夜間でも株式の売買ができると注目のPTS取引について、最初にその概要や基本的な知識について解説していきます。

PTSの概要

PTSとは「Proprietary Trading System」の略で、これを日本語に訳すと「独自の取引システム」といった意味合いになります。私設取引所と呼ばれることもあるので、いずれにしても証券取引所とは異なる独自の取引所であると理解するのが正しいでしょう。

PTS取引サービスを提供している証券会社ではおおむね夕方から夜間にかけての時間帯と、デイタイムセッションといって8時台から15時台~16時までを取引時間としています。「PTS取引=夜間取引」というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、デイタイムセッションもあるので日中の時間帯での取引も可能です。

デイタイムセッションで注目したいのは、それぞれ証券取引所の開場直前と、閉場直後の時間帯に取引が可能である点です。この特徴については、PTS取引のメリットを解説するところで詳しく触れたいと思います。

PTS取引なら、日中仕事がある人でも取引ができる

最近は時差出勤や時短勤務などを導入する企業が増えていますが、多くのビジネスマンは午前9時の出社などで1日8時間ほど勤務することが多いでしょう。そのため、証券取引所の取引時間である平日の9:00~11:30、12:30~15:00は勤務時間と重なり、株式投資に専念できる時間は限られるのではないでしょうか。その点、PTS取引であれば早朝や夜間に取引できるので、日中の時間帯に仕事がある人であっても不利にならず、取引が可能になります。

手数料や売買価格の面でも有利に取引ができる可能性がある

PTS取引は証券取引所を介することなく行われる取引なので、手数料体系も取引所における取引とは異なります。SBI証券ではPTS取引の手数料を、通常の取引所取引よりも約5%安く設定しているので、PTS取引のほうが有利になることもあります。

また、売買価格についても取引所が開場していない時間帯に何か株価に大きな影響を与えるようなできごとがあった場合、PTS取引だとその場ですぐ取引ができるので、そのできごとを反映した価格で取引が可能です。一方、取引所の開場を待ってからの取引に比べ極端な値動きになってしまうなど、PTS市場が過剰に反応する可能性があります。このように状況によっては売買価格についても、PTS取引のほうが有利になる可能性があります。

PTSの株価は各証券会社やモーニングスターなどを通じて確認ができる

取引所がないことで株価情報などをどうやってチェックするのか心配になる方もおられるかもしれませんが、PTSの株価はそれを取り扱っている証券会社の口座や、金融情報サイト大手の「モーニングスター」などで簡単にチェックできます。
 

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PTS取引のメリット

PTS取引には特有のメリットがいくつかあります。ここでは4点に整理して解説します。

PTS取引のメリット1:購入手数料が安い

SBI証券のように、取引所取引よりもPTS取引のほうが手数料を安く設定されていることがあります。SBI証券ではナイトタイムセッション(16:30から23:59)の売買手数料が無料となっており、コスト面でのPTS取引の優位性が強く打ち出されています。

デイタイムセッションでは取引所が開場している時間帯にPTSも並行して取引可能となっているので、手数料の安さを理由に取引所取引ではなくあえてPTS取引をするのもひとつの方法です。

PTS取引のメリット2:市場価格との乖離によって好条件で売買できる

株価は市場の需給バランスで決まりますが、それはPTSでも同じです。基本的には取引所の価格に準ずる価格で取引されていますが、夜間など取引所が開場していない時間帯にどうしても株を売りたい人が安い価格でも売ることがあるため、取引所の価格とかけ離れた価格で取引されることがあります。PTS取引をしていなければその可能性とも無縁なので、市場価格と乖離した好条件で取引ができる可能性があるのもPTS取引のメリットです。

PTS取引のメリット3:信用取引ができる

PTS取引サービスを提供しているネット証券のうち、SBI証券と楽天証券はPTSにおける信用取引に対応しています。

PTS取引のメリット4:夜間に売買できる(取引時間が長い)

多くの投資家がPTS取引に魅力を感じ、期待している部分は、何といっても取引時間の長さでしょう。東証など証券取引所の開場時間が平日の日中時間に限定されているのに対して、それと同じ時間帯をカバーしつつ取引所の開場前と閉場後の時間も取引が可能であり、さらに夜間も取引が可能なので、株式投資のチャンスが大きく拡大します。このメリットをいかすと、以下のような思惑も売買行動につなげることができます。
  • 決算発表など取引所閉場後に出てきたニュースに対応して株式を売買したい
  • 日本時間の夜、アメリカの株価が堅調なので翌日高くなりそうな日本株を買っておきたい
  • 逆にアメリカ株が軟調なので翌日に株価下落を見込んで空売りをしておきたい

PTS取引のデメリット

次に、PTS取引のデメリットについても解説します。これらは私設取引所であるがゆえのデメリットなので、取引所取引とうまく使い分けることがポイントになります。

PTS取引のデメリット1:流動性が低い

証券取引所ほどの規模で売買されているわけではないので、どうしても流動性は低くなります。売買注文を出しても反対注文がなければ約定しないので、銘柄によってはほとんど売買が成立しないこともあります。取引所で注目度や人気の高い銘柄はPTSでも比較的流動性が高くなるので、銘柄によって取引場所を使い分けるのも有効です。

PTS取引のデメリット2:札証など、対応していない銘柄もある

PTS取引は「ジャパンネクスト証券株式会社(ジャパンネクストPTS)」「チャイエックス・ジャパン株式会社(チャイエックスPTS)」の2社がサービスを提供しており、PTS取引が可能な証券会社はこのいずれか、もしくは両方を採用しています。

これらのPTS市場が取引対象としているのは東証の上場銘柄なので、東証1部と2部、マザーズ、JASDAQの上場銘柄が取引対象となります。それ以外の取引所で単独上場している銘柄はPTS取引の対象とはならず、札証(札幌証券取引所)などに単独上場しているローカル銘柄はPTSで取引できません。

PTS取引のデメリット3:注文方法が少ない

一般的に株式売買の注文方法には成行や指値、逆指値などがありますが、PTS取引では指値注文のみとなります。また、注文期限についても本日中のみなので、翌日に同じ注文を継続したい場合は再び同じ指値注文を入れ直す必要があります。

ただし、松井証券については指値注文に加えて逆指値、追跡指値注文が利用できるため、注文方法の面で優位性があります。

PTS取引ができる証券会社はどこ?

2020年12月現在、PTS取引ができるのはSBI証券、楽天証券、松井証券の3社です。いずれもネット証券大手として人気の高い証券会社です。これらの証券会社でのPTS取引について概要や具体的な取引の方法について解説します。

PTS取引はSBI証券と楽天証券、松井証券が提供

SBI証券と楽天証券、松井証券の3社がPTS取引サービスを提供していますが、実際にはこれらの3社が自社で取引を保有して売買を行っているわけではなく、「ジャパンネクストPTS」と「チャイエックスPTS」がPTS市場を運営しています。ネット証券3社はこのいずれか、もしくは両方を採用することにより、自社の顧客にPTS取引サービスを提供しています。

ちなみに、PTS市場運営会社のうちジャパンネクストPTSはSBI証券のグループ会社です。現在はネット証券大手3社で取り扱いがあるPTSですが、今後さらに他のネット証券などに拡大する可能性が高く、PTS市場という新しい市場が存在感を高めていくことになるでしょう。

証券3社の手数料・取引時間・取引手法を比較

実際にPTS取引を始めたいとお考えの方にとって必要な情報として、PTS取り扱い3社の手数料や取引時間、サービス内容などについて比較してみたいと思います。重要なポイントを一覧表にしました。
 
▽PTS取引のできるネット証券3社の違い
  取引時間 手数料(税抜)
※楽天証券のみ税込
取引方法
SBI証券 8:20~16:00
16:30~23:59
(現物)
~5万円:47円
~10万円:86円
~20万円:100円
~50万円:238円
~100万円:462円
~150万円:553円
夜間取引:無料
(信用)
~10万円:86円
~20万円:128円
~50万円:171円
50万円~:333円
現物
信用
楽天証券 8:20~16:00
17:00~23:59
(現物)
~5万円:55円
~10万円:99円
~20万円:115円
~50万円:275円
~100万円:535円
~150万円:640円
(信用)
~10万円:99円
~20万円:148円
~50万円:198円
50万円~:385円
現物
信用
松井証券 8:20~15:30
17:30~23:59
(現物)
~50万円:無料
~100万円:1,000円
~200万円:2,000円
現物

さらに証券会社ごとの特徴などについても補足します。

・SBI証券

同じグループにPTS市場運営会社「ジャパンネクストPTS」を持っていることもあり、以前からPTS取引に力を入れている証券会社です。ナイトタイムセッションは取引手数料が無料になるのが大きな特徴で、さらに取引所が開場している時間はPTSと板情報を比較しながら有利なほうを選んで売買できるのも魅力的です。

・楽天証券

PTSの2大市場である「ジャパンネクストPTS」と「チャイエックスPTS」の両方を採用しており、口座開設者は両方を利用できるのが楽天証券の特徴です。SBI証券に追随する形で信用取引も可能としており、手数料面でもそん色のない設定になっています。

・松井証券

SBI証券と楽天証券と比べると取引時間がわずかに短いものの、1日あたりの売買が50万円までであれば手数料が無料になるので、少額取引主体の投資家はコスト重視で選ぶ価値があります。

PTS取引は、証券口座を開設すればすぐに始められる

PTS取引が可能な証券会社に口座を開設すれば、利用するための特別な手続きは必要ありません。売買注文画面にPTSを選択できるチェックボックスがあるので、そこでPTSを選択して注文を出すだけなので、とても簡単です。以下に、それぞれの証券会社の例をご紹介します。

・SBI証券

売買注文画面で市場を選択できるプルダウンメニューがあるので、ここで「PTS」を選択したうえで発注すると、その注文はPTS市場に出されます。

 
画像引用:SBI証券

・楽天証券

楽天証券は2つのPTS市場を採用しているため、発注時にはどちらのPTS市場に注文を出すかを選ぶことができます。「JNX=ジャパンネクストPTS」、「Chi-X=チャイエックスPTS」のことです。

 
画像引用:楽天証券

・松井証券

松井証券の売買注文画面で、市場を選択するプルダウンメニューで「PTSJ」を選択すると、同社が採用している「ジャパンネクストPTS」に発注されます。

 
画像引用:松井証券

取引時に存在するSOR注文とは?

売買注文時に「SOR注文」「SOR指定」などの文言を見かけることがあります。東証など証券取引所とPTSの両方で売買が可能な状態にある場合、両市場では取引価格が異なることがあります。手動で有利な価格の市場を比較する機能を備えている証券会社もありますが、このSOR注文を適用すると最も有利な価格で売買ができる市場を自動的に選択して発注することができます。

SOR注文を適用するのはとても簡単で、発注時にチェックを入れるだけです。

 
画像引用:SBI証券
こちらはSBI証券の売買注文画面ですが、楽天証券の場合は「SOR有効」と表示されます。

ただし、とても便利なSOR注文ですが、注意点が2つあります。1つめはSOR注文を適用することによりPTS市場が選択肢に入るため、取引所取引のように多彩な注文方法には対応できなくなります。PTSで可能な注文方法(指値など)だけになります。もう1つはSOR判定をしたタイミングより後に選択しなかった市場のほうが有利な価格になることがあるため、SOR注文だからといって必ずしも有利な価格で約定するとは限りません。

まとめ:投資の選択肢を広げるPTS取引を味方につけよう

今や株式売買ができるのは証券取引所だけではありません。PTS市場が誕生し、発展することによって複数の取引所から有利な条件を選んで利用できるようになりました。PTS取引には手数料が安いことや取引時間が長いこと、信用取引が利用できることなどメリットが数多くあります。その一方で流動性や対応銘柄、注文方法の面においてデメリットもあるので、それぞれの売買局面で適した市場を選ぶのが最もスマートです。

PTS取引に対応し、力を入れているのはネット証券大手のSBI証券、楽天証券、松井証券の3社です。PTS取引を味方につけて投資の選択肢を広げ、より有利な条件で戦える投資家を目指しましょう。
 
文・
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中
 

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