個人投資家の間で、米国株の人気が高まっています。なぜいま、米国株が注目されているのでしょうか?また、そもそもどうすれば米国株への投資を始めることができるのでしょうか?ネット証券の中でも手数料が安い楽天証券を例に、米国株投資の特徴や投資方法を紹介します。
米国株投資の魅力とは?
日本の個人投資家の動向を探るために、売れ行きのよい投資信託の種類を見てみました。すると、米国株の人気が際立っていることがわかります。実際、2020年11月に資金の流入が多かった上位5つの投資信託のうち、3位(A・バーンスタイン・米国成長株投信D)、4位(テトラ・エクイティ)、5位(A・バーンスタイン・米国成長株投信C)が米国株に投資する投資信託でした。
1位(GESGハイクオリティ成長株式F[H無])と2位(デジタル・トランスフォーメーション株式F)も世界の株式に投資するものであり、これらも当然ながら米国株を含みます(順位は『日本経済新聞』資金流入ランキングより)。なぜ今、米国株に注目する人が増えているのでしょうか?
米国株投資の魅力1:グローバル展開、知名度の高い企業が多い
少子高齢化が急速に進む日本では、海外に比べて経済の成長速度も見劣りする期間が長く続いています。世界第2位だった国内総生産(GDP)でも2010年に中国に抜かれ、その差もどんどん開く一方です。そのようななか、グローバルに活躍する日本企業も存在しますが、その数は決して多くはありません。
米国の『Fortune(フォーチュン)誌』が集計する売上高で見た世界の企業トップ500によると、2020年版で10位以内に入った日本企業は10位のトヨタだけでした。一方、米国には世界的に知名度が高く、市場シェアも圧倒的に大きい企業が多く存在します。先ほどのトップ500の第1位は、米国のスーパーマーケットチェーンのウォルマートでした。
またGAFA(ガーファ)、あるいはGAFAM(ガーファム)も存在感を高めています。GAFAとは、「Google(グーグル)」「Apple(アップル)」「Facebook(フェイスブック)」「Amazon(アマゾン)」のそれぞれの頭文字を取って作られた造語です。GAFAMは、それに「Microsoft(マイクロソフト)」を加えたものです。いずれの会社も米国のIT大手で、世界の市場を席捲している企業です。
これほどまでの高い知名度と世界的市場シェアを持つ企業は、日本には皆無とは言えなくても、かなり少ないと言わざるを得ません。
米国株投資の魅力2:過去の平均投資リターンが高い
GAFAMなどの高成長企業を多くもつ米国株式市場のパフォーマンスは、現在非常に良好です。執筆日時点(2020年12月8日)では、過去最高値の更新を続けている状況です。過去を振り返っても、米国の株式市場は長期的に日本や欧州を上回る成績を上げてきています。
たとえば、平成元年(1989年)からの日米の株価の上昇度合いを比較すると、配当込みベースで米国(S&P500指数)は20倍以上になったのに対し、日本(TOPIX指数)はほとんど上昇していません。また、世界の株式(MSCI指数)は同時期に10倍に満たない程度の成長となっていました(「楽天証券経済研究所」作成データより)。米国では経済の自由度が高く、イノベーションを起こす企業が多く生まれる素地があることが大きいと考えられます。
米国株投資の魅力3:1株単位から購入可能(少額から始められる)
日本の株式市場では、株の取引は基本的に100株単位です。株価が2,000円の企業の株を買おうとすると、取引手数料を除いても、20万円の資金が必要となります。
一方、米国では1株から株式を購入できます。たとえば、時価総額で世界一位のアップル社の株価は、執筆日現在(2020年12月8日)、123.75ドルとなっています。為替レート104円で換算すると1万2,870円で、1万円台でアップル社の株主になることができるのです。知名度の高い有望株を少額から購入できるのも、米国株の魅力のひとつとなっています。
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米国株に投資をする際の注意点
ただし、米国株にも当然リスクはあります。日本株には無い、米国株特有のリスクもあるため、その点には十分な注意が必要です。
米国株投資の注意点1:為替手数料が発生する
当然のことながら、米国株は米ドル建てで取引されます。このため、資金の元手が円の場合はまずドルに替える必要があり、そこで為替手数料が発生します。
為替手数料は金融機関によって違いがありますが、米ドルの場合は0.25円から0.5円としているところが多いようです。キャンペーンなどによって、期間限定で大幅に割引しているケースもありますが、通常の手数料も確認したうえで利用したほうが良いでしょう。
米国株投資の注意点2:値幅制限が無い
米国の株式市場には、日本のように個別銘柄に対する値幅制限がありません。米国でも、先物市場や市場全体が大幅に変動したときには、取引所での取引が停止されるというサーキットブレーカー制度はあります。しかし、個別銘柄がストップ安で取引が停止されることはないため、一日で思わぬ大損害が発生するリスクがあります。
米国株投資の注意点3:情報収集が難しい
GAFAMなどの超大手企業であれば、日本国内でもその動向はニュースとして取り上げられることが多くあります。しかし、その情報量は米国内で得られるものよりもずっと少なく、また同じニュースであっても日本語になるまでにタイムラグが生じることは否めません。企業規模がそれほど大きくない企業になれば、ニュース自体が日本語で発信されることは非常に少なくなり、自身で情報を得るための努力が必要になります。そこでは当然、情報のほとんどが英語になると考えられます。
米国株投資の注意点4:取り扱い銘柄になければ投資ができない
米国の代表的な取引所としては、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)があります。しかし、そこに上場している企業の株のすべてを日本の個人投資家が取引できるわけではありません。証券会社ごとに取り扱っている銘柄が異なり、取り扱っていない銘柄は取引ができません。
人気の銘柄は多くの証券会社で扱っていますが、そうでない銘柄で取引したいものが決まっているなら、まずは取り扱いがあるかどうかを確認してから金融機関を選ぶ必要があります。
楽天証券で米国株を始めるメリットは?
各種手数料の安さにおいては、国内株式と同様に、米国株でもネット証券が優勢です。ネット証券大手の楽天証券で、その実力を見ていきたいと思います。
手数料が業界最低水準
米国株式の取引手数料は、現在、約定代金の0.45%(税抜き)です。最低の取引手数料は0ドルであり、さらに上限も20ドル(税抜き)に設定されています。100万円以下の取引なら1%程度に手数料を設定しているところが多い対面証券などと比べると、その安さは際立ちます。
さらには、楽天証券が選定した9つの米国上場ETFについては、2020年1月6日現地約定分より、買付手数料が完全無料化されています。他のネット証券でも、一部の米国上場ETFの手数料を無料としているところがありますが、対象となるETFは異なります。
米国株式の取扱い銘柄数も業界最多水準
楽天証券では2020年12月現在、3,500銘柄以上の米国株の取り扱いがあります。これは業界最多水準といえます。また、ADR(米国預託証券)についても、業界で最も多くの銘柄を取り扱っています。ADRとは、米国以外の国の企業の株式を、米国市場において米ドル建てで取引できるようにしたものです。
たとえば、インドの有望な企業の株をインドルピー建てで日本の個人投資家が取引することはできませんが、ADRなら、米ドル建てで投資することができるのです。
インドに限らず、イギリスやフランスといった先進国から、南アフリカや中国といった新興国まで、ADRになっている企業の株ならさまざまに投資機会を探ることができます。こうしたADRの取り扱いが多いということは、楽天証券の非常に大きな魅力といえます。
NISAにも対応しているので節税効果が高い
2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)はかなり認知度も高まってきたようです。節税効果の高い制度であり、運用するならぜひ活用したい制度です。米国株式では株価上昇に対する期待度が高く、配当利回りも比較的高いため、なおさらです。
しかし、NISAで米国株式にも対応している証券会社は実はそれほど多くありません。その点、楽天証券では米国株でもNISA対応をしているのは嬉しいところです。
投資に役立つトレーディングツールが無料で使える
投資家にとってありがたいサービスとして、「マーケットスピード」というパソコン用トレーディングツールが無料で利用できることがあります。マーケットスピードでは、国内株式はもちろん、米国株やFX、先物取引など、さまざまな投資商品の値動きをリアルタイムで確認することができます。トムソン・ロイターやフィスコ、四季報速報などといった媒体からのニュースやランキング情報などもタイムリーに見ることができ、非常に役に立つツールです。
楽天ポイントも貯まりやすい
楽天証券ならではの魅力としては、楽天証券での株取引に楽天証券ポイントが付与されるということがあります。国内株の手数料コースを超割コース(業界最低水準での手数料が適用)にしておけば、米国株も含めて、取引手数料の1%がポイントバックされます(大口優遇の判定をクリアすれば、2%のポイントバック)。
貯めたポイントは、国内株式の手数料に充てることができます。楽天グループ全体で使える楽天ポイントで受け取る設定にしておけば、楽天市場でのお買い物などにも使え、楽しみが広がります。
楽天証券で米国株を始めるデメリットは?
先にも述べた通り、米国株式の取り扱い銘柄は証券会社によって異なります。このため、楽天証券で取り扱いのない銘柄を取引したい場合には、楽天証券を選ぶことは適当でありません。
また、楽天証券で取引することによって貯まる楽天ポイントは大きな魅力ですが、他のポイントを使う人にとってはメリットにはならないかもしれません。例えば、取引に応じてTポイントが付与されるネット証券会社もあるので、ポイントにこだわるならば、自分がよく使うポイントがもらえる証券会社を利用したほうがいいでしょう。
楽天証券での米国株の始め方
では、楽天証券で米国株を始めるには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?以下が、取引までのステップとなります。
・ステップ1:楽天証券で総合口座を開設する
楽天証券のHP内の口座開設画面より、手続きを行います。口座開設には、本人確認のための書類とマイナンバーの提出が必要になります。
・ステップ2:投資のための資金を入金する
米国株式は米ドル建てですが、入金は米ドルでなくても、円でも大丈夫です。円を入金した場合には、取引時に為替取引で米ドルに替えるか、米ドル建てMMFを購入して保有しておきます。米ドル建てMMFがあれば、米国株式を購入したときに自動的に決済に充てられます。または、資金は円のままにしておき、米国株式を購入するときに「円決済」を選択して約定することも可能です。この場合は、約定時の為替レートで自動的に米ドルに変換して決済が行われます。
・ステップ3:購入する銘柄を選択する
最初から目当ての銘柄が決まっているのなら良いですが、そうでない場合は、楽天証券の銘柄検索機能を活用することもできます。口座開設後にログインすると、「米国株式検索」という機能が利用できます。銘柄名や企業コードであるティッカーを入力すると、その企業の株式情報や過去の株価のチャートなどを確認することができます。楽天証券のサイトでは、同社における米国株の売買代金ランキングなども随時アップデートされているので、そこでの人気銘柄を参考にしても良いかもしれません。
・ステップ4:売買をする
ログイン後、購入したい銘柄を検索すると、そこから注文に進むことができます。「数量」「価格」「執行条件」「決済方法」を入力すると、確認ボタンが現れます。確認ボタンを押すと確認画面が表示されるので、内容を再確認してから発注します。
・ステップ5:税金を納める
米国株を購入した後に配当を受け取ったり、売却して利益が出たりしたときには、国内株式と同様に税金を納めます。売却代金を米ドル建てで受け取っていたとしても、税金上は円建てで決済したとみなされて課税されます。ただ、「特定口座」にしておけば確定申告の手間は小さくて済み、また国内株式や投資信託との損益通算も可能です。
米国株への投資を始めるなら、どの証券会社を選ぶかも重要
米国株ならではの魅力として、GAFAMを筆頭とするグローバル・リーダーの企業が多いことが挙げられます。長期的に見た米国株のパフォーマンスは日本を大きく上回っており、今後もグローバルに活躍する米国企業が米国株式全体をけん引していくことが期待できそうです。
そうしたグローバル企業については情報も比較的入手しやすく、株式を扱っている証券会社も多くあります。しかし、手数料には金融機関によって大きな差があるため、手数料の比較が重要となります。また、さまざまな投資機会を探るうえでは取り扱い銘柄の多さも重要となります。NISAの利用を考えているなら、NISAで米国株式にも対応しているかどうかも確認する必要があります。
これらのチェックポイントを踏まえると、ネット証券大手の楽天証券で米国株式投資を始めることを検討する価値はあります。付け加えるなら、トレーディングツールも充実しているほか、取引に応じて楽天ポイントが付与される点は他にはない魅力でしょう。
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