投資・資産運用
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2021.2.7

証券口座の開設は「特定口座」と「一般口座」のどちらがいいの?

(写真=ipopba/stock.adobe.com)
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株式や債券の取引で生じた利益には税金がかかり確定申告が必要になりますが、「特定口座」と「一般口座」では確定申告の方法が異なります。それぞれの口座の特徴を説明しますので、どちらの口座を選ぶべきか考えてみましょう。
 

証券会社で売買して得た利益は確定申告をする必要がある

一般的に株式や債券、投資信託などに投資する際は、証券会社で開設した証券口座に入金して売買を行います。株式や債券、投資信託などの売買によって発生した譲渡益には税金がかかります。この仕組みを「株式等譲渡益課税制度」と呼びます。

譲渡益には20.315%の税金がかかる

では、譲渡益に対してどのくらいの税金が課税されるのでしょうか。結論からいえば、利益に対して20.315%の税金がかかります。内訳は「所得税」が15%、「住民税」が5%、「復興特別所得税」が0.315%です。

実際に課税額を計算してみましょう。たとえばA株1,000株を500万円で取得し、最終的に600万円で売却したとします。譲渡益は「600万円 − 500万円」で100万円なので、この100万円に20.315%を乗じて、課税額は20万3,150円になります。

実際は売却手数料を譲渡益から差し引いたり、他の株取引で出た損失を通算できたりと税額計算に関してさまざまなルールがありますが、譲渡益に対する課税はおおむね上記のように行われます。

特定口座と一般口座で確定申告の方法が異なる

売却益については確定申告によって税務署に申告し、税金を納付しなければなりません。ただし冒頭で触れたように、株式などの売買を「特定口座」と「一般口座」のどちらで行うかによって、確定申告の方法が変わります。

特定口座のほうが確定申告の手間が少なくなったり、確定申告が不要になったりするメリットから特定口座を選ぶ人が多いのですが、一般口座を選んだほうが有利になる場合もあります。

特定口座と一般口座について、さらに詳しく説明していきましょう。
 

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証券口座の種類は?

前述のとおり、証券口座には「特定口座」と「一般口座」があります。口座を開設する際にどちらかを選ばなければなりませんが、どちらを選んでよいかわからず悩む人も少なくありません。

しかし、特定口座の一般口座の違いを理解すれば、どちらが自分に適しているか簡単に判断できます。

証券口座の種類1:特定口座

特定口座を開設する際は、「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」のどちらかを選択する必要があります。

「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社側が税金を源泉徴収し、本人に代わって税金を納めてくれます。つまり確定申告が不要になるのです。

「源泉徴収なし」を選択すると確定申告が必要になりますが、証券会社が確定申告に必要な「年間取引報告書」を作成してくれるため、本人が自ら損益を計算して確定申告をする場合よりもはるかに手間が少なくなります。

証券口座の種類2:一般口座

一般口座を選択すると、本人が株式などの売買で生じた損益を自ら計算して確定申告をすることになります。

特定口座と一般口座のどちらを開設するべき?

特定口座と一般口座の違いがわかったところで、実際にどちらの口座を開設するべきかを考えていきましょう。どちらを開設すべきかはケースバイケースなので、自分がどちらにあてはまるか考えてください。

特定口座(源泉徴収あり)を選ぶべき人

「特定口座(源泉徴収あり)」を開設すれば確定申告が不要になるため、手間を減らしたい人や煩雑な計算を避けたい人に適しているといえるでしょう。実際、多くの人が特定口座(源泉徴収あり)を開設しています。

しかし、「特定口座(源泉徴収あり)」が適していない人もいます。それは、売却益が年20万円以内の給与所得者や年金所得者です。年間の利益が20万円以下の場合、納税は原則不要ですが、「特定口座(源泉徴収あり)」だと自動的に税金が源泉徴収されてしまいます。

確定申告によって払い過ぎた税金は還付されますが、面倒に感じて確定申告をしなかったり、確定申告をうっかり忘れたりすると還付が受けられないので注意が必要です。

特定口座(源泉徴収なし)を選ぶべき人

「特定口座(源泉徴収なし)」は、売却益が年20万円以下の給与所得者や年金所得者に適しています。譲渡益に対する税金が源泉徴収されないため、税金を払い過ぎることがないからです。

確定申告をすることになっても、証券会社が年間取引報告書を作成してくれるため、確定申告をスムーズに終わらせることができます。

また「特定口座(源泉徴収なし)」では源泉徴収が行われない分、「特定口座(源泉徴収あり)」よりもお金が手元に残ります。そのお金を投資に使うことができるため、資金効率を高めたい人も「特定口座(源泉徴収なし)」のほうがよいといえるでしょう。

つまり、源泉徴収の計算や納税、確定申告の手間が省ける「特定口座」を選ぶことによるデメリットはほぼないといえます。「大きな取引はしないだろうから売却益が年間20万円を超えることはないだろう」と、「特定口座(源泉徴収なし)」を選択する人もいると思います。ただ、株の値動きなどは予測できるものではありません。「特定口座(源泉徴収あり)」にしておけば、思わぬ利益が発生した場合も確定申告の手間が省けます。

一般口座を選ぶべき人

普通の投資家にとって、「一般口座」で株式などの取引をするメリットはあまりありません。なぜなら、確定申告が必要になるからです。ただし未公開株は一般口座でなければ購入できないため、未公開株を取引したい人は一般口座を開設することになります。

特定口座で取引ができる金融商品は?

特定口座は多くの人に適していますが、特定口座で取引できる金融商品にはどのようなものがあるのでしょうか。

証券取引所に上場している国内株式や外国株式、国内債券や外貨建外国債券、株式投資信託や公社債投資信託などを取引できるため、特定口座を開設したからといって投資先の選択肢が極端に狭まるといったことはありません。

証券口座を選ぶときに気になるQ&A5選

最後に、証券口座を選ぶときに気になるQ&Aを5つ紹介しましょう。

Q1:複数の証券会社で特定口座や一般口座を開設することはできるか?

特定口座は複数の証券会社で開設できますが、同じ証券会社では1口座しか開設できません。ちなみに、同じ証券会社で特定口座と一般口座を両方開設することもできます。

Q2:2つの証券会社それぞれで特定口座を開設し株取引をして、1つの特定口座では損失が出て、もう1つの特定口座では利益が出た場合、損益通算はできるか?

損益通算ができます。具体的には、証券会社が作成した「年間取引報告書」を使って損益を計算し、確定申告をすることで損益通算が可能です。

「特定口座(源泉徴収あり)では確定申告が不要」と説明しましたが、片方の口座で損失が出ている場合は、あえて確定申告をすることで源泉徴収された税金の一部が還付されます。

Q3:税制優遇が魅力の「NISA」「つみたてNISA」で投資を始めることを検討しているが、その場合はどの口座を選べばよいか?

「NISA(少額投資非課税制度)」や「つみたてNISA」を始める際は、証券会社でNISA専用の「NISA口座」を開設することになります。これは、一般口座や特定口座ではありません。

NISA口座を開設する際は、「NISA」と「つみたてNISA」のどちらかを選択する必要があります。NISA制度では、「NISA」と「つみたてNISA」のどちらかでしか資産運用をすることができないためです。

また、NISA口座は1人につき1口座しか開設できません。複数の証券会社でNISA口座を開設しようとしても、いずれか1口座しか認められません。二重開設が確認された場合は片方が無効となり、すでにその口座で買い付けた分は一般口座に移されます。

Q4:別の証券会社にある株式を特定口座へ移管することはできるか?

移管元の証券会社で開設した特定口座の株式を、移管先の証券会社の特定口座に入れることは可能です。

Q5:特定口座を開設した場合、一般口座では取引ができなくなるのか?

一般口座と特定口座はどちらかでしか取引できないわけではなく、同時に両方の口座で取引が可能です。

まとめ:投資スタイルなどによるが、基本的には「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぼう

投資を始める際、「特定口座(源泉徴収あり・源泉徴収なし)」と「一般口座」のどちらを選ぶべきかについて解説しました。どちらを選ぶかによって確定申告の方法が変わるため、それぞれの口座の特徴を正しく理解したうえで選んでください。

多くの人に適しているのは、「特定口座(源泉徴収あり)」です。確定申告が不要なので、その時間や手間を投資に充てられます。ただし「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」が適している人もいるため、自分の事情や投資スタイルに合う口座を選ぶようにしましょう。

複数の証券会社で株の取引をしている場合は、確定申告をすることで損益通算ができることも覚えておきましょう。片方の口座で損失が出ていた場合は納税額を減らすことができ、損失が利益を上回っている場合は税金をゼロにすることもできます。

特定口座や一般口座、損益通算などを理解していないと、余計な手間や時間がかかったり、余計に納税してしまったりすることもあるので、実際に投資を始める際はこのような知識をしっかり身につけておきましょう。
 
文・
政治経済系ジャーナリスト。日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける
 

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