投資・資産運用
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2020.12.27

特集 あらためて学ぶ歴史に磨き込まれた投資のセオリー04-バフェットに学ぶ「成功する長期投資」とは

(写真=ANA Financial Journal 編集部)
(写真=ANA Financial Journal 編集部)
資産形成には、成功あるいは失敗を避けるための、古くから確立された手法が存在します。それと同時に、誤った理解がなされていることも多々あります。そこで、投資初心者や投資歴1~3年程度の人向けに、投資手法のエッセンスをまとめ、セオリーに立ち戻れる内容を連載でお届けします。

長期投資といっても、ただ保有し続けるだけで成功できるほど投資の世界は甘くありません。そのなかで世界最高の投資家、ウォーレン・バフェット氏は「超長期投資」で成功しています。今回は、彼の投資手法、スタンスを理解し、成功の理由を探ります。

長期投資が有利な理由とは?

はじめに、長期投資がなぜ有利なのかを考えてみましょう。

アインシュタイン氏も絶賛する「複利の効果」

長期投資が総じて資産増加効果が大きい理由は、複利効果にあります。有名な物理学者アインシュタイン氏が「人類最大の発明」と複利について絶賛しています。天才学者も認めた複利は、単利に比べてどれくらい資産増加効果があるのでしょうか。

▽単利運用と複利運用の比較表(設定条件:株価1,000円、投資株数1,000株、配当金1株10円)
 
  単利運用 複利運用(配当金を再投資)
期間 持ち株 配当金 通算配当 持ち株 配当金 追加投資 通算配当
1年目 1,000株 10,000円 10,000円 1,000株 10,000円 10株 10,000円
2年目 1,000株 10,000円 20,000円 1,010株 10,100円 10株 20,100円
3年目 1,000株 10,000円 30,000円 1,020株 10,200円 10株 30,300円
4年目 1,000株 10,000円 40,000円 1,030株 10,300円 10株 40,600円
5年目 1,000株 10,000円 50,000円 1,040株 10,400円 10株 51,000円
6年目 1,000株 10,000円 60,000円 1,050株 10,500円 10株 61,500円
7年目 1,000株 10,000円 70,000円 1,060株 10,600円 10株 72,100円
8年目 1,000株 10,000円 80,000円 1,070株 10,700円 10株 82,800円
9年目 1,000株 10,000円 90,000円 1,080株 10,800円 10株 93,600円
10年目 1,000株 10,000円 100,000円 1,090株 10,900円 10株 104,500円

※追加投資は小数点以下切り捨て。

上表は10年間、株価と配当金が同じだったと仮定した場合の、単利運用と複利運用の比較です。単利は配当金を生活費等などに回した場合、複利運用は受け取った配当金で10株ずつ買い増しした場合で算出しています。10年間の運用において、配当金で4,500円、時価総額で9万円(90株×1,000円)、合計で9万4,500円もの差が生じることがわかります。配当金は、使わずに再投資することで福利効果が得られ、持ち株も増えていくのです。

長ければ長いほど投資の効果が出る

米経済雑誌「フォーブス」が発表した「世界長者番付2020年版」によると、ウォーレン・バフェット氏(1930年8月30日生まれ)の資産額は754億ドル(発表当時の為替レート1ドル109円換算で8兆2,200億円)で第4位にランクインしています。

巨額の資産ですが、実はバフェット氏は資産の大半を50歳以降に築いています。バフェット氏の1982年(52歳)時点の資産額は、3億7,600万ドル(2020年時点の0.5%)に過ぎません。つまり、残りの99.5%はそれ以降に築いたものなのです。

投資をはじめたころの資産の増え方は、緩やかになるのが一般的です。しかし、投資は期間が長ければ長いほど効果が出るという性質があります。バフェット氏は根気強く投資を続けた、52歳以降、急速に資産の増加ピッチが速まり、長い年月をかけて世界長者番付にランクインするまでになったのです。

頻繁な売買ではなく、いいものを長く保有することが大事

株式は売買する度に譲渡益税(利益が出た場合)と売買手数料がかかります。あまり頻繁に売買するとコストが割高となり、投資効率が悪くなるので注意が必要です。優良銘柄を長く保有し、大きく増えた段階で売却したほうが手数料も割安になります。
 

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バフェットは何を考えて投資をしているのか?

ではバフェット氏は、何を考え、何を優先して投資をしているのでしょうか。

超長期投資スタイル「株式の保有期間は永遠」

バフェット氏の格言のなかに「株式の保有期間は永遠」という言葉があります。まさに長期投資の真髄をコンパクトに表現した名言ですが、「1年だけ15%の利益を得るよりも、毎年12%の利益を上げるほうがよい」という趣旨の発言もしています。

1年だけをみれば15%の利益を上げるほうが大きいですが、少しパーセンテージは下がっても毎年コンスタントに12%の利益を上げ続けるほうが、結果的には大きな資産形成につながるのです。

バフェット氏がバークシャー・ハサウェイを通してコカ・コーラ株への投資を開始したのが1988年でした。その後の買い増しで発行済み株式の9.3%にあたる4億株(CNBC調べ、2020年6月30日現在)を取得し、同銘柄のみで巨万の富を築いています。目先の材料株に投資するよりも、将来に渡って利益をもたらしてくれる優良株を、割安と思える価格で取得することの大切さを教えてくれる投資例といえるでしょう。

株価ではなく企業の価値に目を向ける

長期投資で資産を築く大事なポイントは、優良企業を「本質的な価値よりも安く買う」ことです。実はバフェット氏が投資したコカ・コーラも1988年当時、株価指標は割安な状態で放置されていました。

PER(株価収益率)で12~16倍という水準です。当時のコカ・コーラは成長企業として勢いがあったことから、バフェット氏の目には魅力的な投資対象に映ったのでしょう。結局バフェット氏の投資は大当たりし、株価は1988年の5ドルから10ドル(1989年)、20ドル(1991年)、40ドル(1995年)と倍々で伸びていきました。

バフェット氏は1988年だけでなく、1989年、1994年と高値を更新し続けるなかで買い増しを続けました。もし、株価だけを見て判断していたら、投資を躊躇していたかもしれません。「株価ではなく企業の価値に目を向ける」ことが長期投資においては重要なのです。

事業内容がわかりやすい、新規参入を受けにくい、価格決定に強みがある

長期間にわたって成長を続ける企業であるには、以下の3つのポイントを兼ね備えていることが必要です。バフェット氏が保有する銘柄のなかで最も資産価値が高いアップルは、その条件を備えた代表的な企業といえます。
  • ポイント1:スマートフォン、タブレット、パソコンという多くの人が持つ商品をメインにしており、事業内容がわかりやすい
  • ポイント2:スマートフォン(iPhone)のOSやアプリを自社で囲い込むことによって顧客を固定化。新規参入の影響を受けにくい仕組みを作り上げた
  • ポイント3:圧倒的シェアを獲得したことにより価格決定で優位に立った。定価で売れるため値下げ要請を受ける心配がない
アップルは、強固なビジネスモデルを築き上げたことによって、高い需要を背景に売り上げを伸ばしていきました。2020年8月19日には時価総額が2兆ドルを超え、2位以下を引き離して時価総額世界一の座を維持しています。

アップルのように、長期的に需要が高く安定し、成長が見込まれる企業に対して投資することが、「成功する長期投資」の秘訣といえます。

バフェット氏がはじめて株に投資したのは11歳のときといわれています。そのときの投資額はわずか114ドルでした。それから約80年間投資を続けて、世界第4位の資産を築いたわけです。短期売買で結果が出ていない人は、バフェット氏の投資手法に学び、長期投資を検討してみてはいかがでしょうか。
 
文・
日本大学法学部新聞学科卒業。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。
 

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