投資・資産運用
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2020.12.18

値下がり株は買うべきか、買わないべきか……。株の買い時の見極め方

(写真=UTS/stock.adobe.com)
(写真=UTS/stock.adobe.com)
2020年2月中旬から3月にかけての株価急落局面で、海外をはじめとする機関投資家が逃げ出すなか、国内の株式を一気呵成に買い支えたのが個人投資家です。この期間における個人投資家の買い越し額は、実に1.2兆円に達しました。

今回は逆張り志向が強いとされている個人投資家がうまく波に乗ったようですが、投資はいつもうまくいくとは限りません。お目当ての株を「いつ買うのか」はいまも変わらず、すべての投資家にとって悩みの尽きない問題です。そこで今回は、値下がり銘柄のなかからお宝銘柄を見つけ出す方法や、買い注文を入れるタイミングの見極め方について解説します。
 

どのタイミングで買うべきか。そして本当に買うべきか

急落銘柄への投資で難しいのが、「どのタイミングで買いを入れるか」「本当にその銘柄を買うべきか」です。

買うべきタイミング1:決算発表の上振れを狙う

企業には投資判断の材料となるイベントがいくつかありますが、そのなかでも特に決算発表は注目するべきでしょう。

業績悪化を織り込んで下落している銘柄に対する評価が、決算発表で見直されるケースは少なくありません。肝心なのは、買いを入れるのが発表の前か後かです。株式投資関連のサイトやブログには「決算発表で業績や配当が上方修正されてから買いを入れるのが安全策」と書かれていますが、これは必ずしも賢い選択とはいえません。なぜなら、多くの投資家が同じことを考えるからです。

各証券会社のアナリストが予測する業績などのアベレージを「マーケットコンセンサス」と呼びます。株価は、基本的にコンセンサスを織り込んでいます。自分が予測した業績がコンセンサスを上回りそうなら、発表前に買いを入れておくべきでしょう。勝負する気持ちが欠けていると、逆張りはうまくいきません。

買うべきタイミング2 :企業スキャンダルで急落する銘柄は買いか?

一口に企業スキャンダルといっても、粉飾決算、経営陣や社員の不祥事、品質不良や事故隠しなどさまざまです。取引先やエンドユーザーは会計問題などにはあまり反応しませんが、品質問題には極めて敏感で業績に直結します。したがって、品質問題でスキャンダルを起こした企業の株には手を出さないのが無難です。

経営陣の不祥事なども株価は急落しがちです。ただ、カリスマトップによる手腕で業績をあげてきた企業と、組織全体の自力が高く、着実に成長してきた企業では、トップ交代による影響や企業体質が異なるかもしれません。カリスマトップが率いてきた企業は次のリーダーが表れるまで時間を要す可能性があります。過去10年20年といった企業の成長歴を見極めながら買いか否かを検討したいところです。
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逆張りはなぜ投資家冥利に尽きるのか

投資手法は、順張りと逆張りに大別されます。王道の順張りに対して、覇道の逆張りはリスクも高いとされています。それにもかかわらず、逆張りが多くの投資家を惹きつけるのはなぜでしょうか。

ハイリスクだが儲けも大きい逆張りは「危険な蜜の味」

逆張りは相場の流れにあえて逆らうわけですから、裏目に出た時の損失が大きくなりやすいといえます。そのかわり、読みが当たった時は大きなリターンを得られるでしょう。

株価は、発行体の業績・配当政策や財務状態、さらには経済情勢といった基礎条件(ファンダメンタルズ)を反映するといわれています。一方で、昔から「行き過ぎもまた相場」といわれるように、市場が常に正しい評価を下すとは限りません。相場の過熱や冷え込みによって、基礎条件と株価が大きく乖離することも少なくありません。そんな時こそ、逆張り投資家の腕がなるのでしょう。

トレンドに乗る順張りが王道

底値を狙う逆張りは、機関投資家でも判断を誤ります。ましてや個人投資家にとっては、かなり難易度が高いといえるでしょう。

逆張りの対極にある投資手法は順張りです。相場は強気と弱気が錯綜するボックス相場と、はっきりとした方向感を示すトレンド相場があります。

トレンドの方向感は、移動平均線などのテクニカル分析で比較的容易に探ることができます。比較的安全な資産運用を目指すなら、順張りをおすすめします。
 

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落ちてくるナイフをなぜつかんではいけないのか

株価が急落している銘柄は、お買い得に見えます。だからといって「千載一遇のチャンス」とばかりに買い走ると、そこからさらに下げが加速し、結果的に大ケガを負うことも少なくありません。

投資の世界で昔からある格言の1つ「落ちてくるナイフはつかむな」は、ナイフを落ちる手前でつかむのは困難なばかりか、ケガをするリスクも高いという意味です。ナイフは地面に落ちてから拾う、つまり底値を確認してからゆっくり拾えばよいのです。

下げ相場での購入リスク1:一旦下げ止まってもさらに下がる可能性がある

「二番底」といって、一度は底を打ち好転した相場がさらに急落するケースも少なくありません。特に10年に一度といわれるような急落相場では、一気に値を下げることは少なく、持ち直しと下げを繰り返しながら底に向かうことが多いものです。最悪の場合は「底割れ」といって底が見えない状態になります。そうなると、底値を探るのはベテラン投資家でも至難の業です。

リーマンショックが、その典型的な例です。1万4,000ドル近辺で推移していたニューヨークダウは、2007年にサブプライム問題がくすぶり始めてから下落を続け、2008年9月15日のリーマンブラザーズ破綻を機に一気に値を崩し、2008年11月に7,449ドルの底値を付けた後、一旦9,000ドル近くまで値を戻しました。

ところが、これでリーマンショックが終わったわけではなかったのです。ダウは翌年再び下降トレンドに転じ、3月初旬には6,469ドルを付けました。多くの投資家がこの二番底を見抜けず、損失を被ったのです。

下げ相場での購入リスク2:二番底がないこともある

ただし相場急落局面での二番底は、必ず形成されるとは限りません。

2020年5月に米国金融機関が行ったアンケート調査の結果でも、機関投資家の7割が二番底を予測していました。つまり、3月から5月に向けての相場回復を、一時的な株価の戻りである「ベア・マーケット・ラリー」と考えていました。

当面、中国以外の経済回復が見通せず、ましてや欧米・日本では景気低迷が続いていたのですから、当然の見立てといえます。

しかし、その後も東京市場・ニューヨーク市場で株価は上昇を続け、11月には急落前の水準に戻ってしまいました。相変わらず欧米では外出規制・ロックダウンが続いていますが、実態経済とは対照的な相場の活況は、各国中央銀行のなりふり構わぬ資金供給の効果と考えられています。

「ベア・マーケット・ラリー」を見越し、ショートポジションを積んでいた海外投機筋は踏み上げに苦しみ、大きな損失を被りました。
 
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急落銘柄を買う時にやってはいけないこと

急落銘柄に投資する際に守りたい鉄則は、「ナンピンと塩漬けには手を出さない」です。

ナンピンは避けるべし

ナンピンとは、保有していた銘柄の株価が下落したときに、さらに保有高を増やして取得単価を下げる投資手法です。うまくいけば、株価が回復した時にリターンを得られます。2018年12月の「クリスマスショック」を事例に検証します(銘柄:三井住友FG)
  • 2018年6月末:終値4,306円×100株取得=取得価額43.06万円
  • 2018年12月末:終値3,645円(下落率15%)×100株取得=取得価額36.45万円
  • 取得単価:(43.06万円+36.45万円)÷200株=3,975.5円
  • 2018年12月末:終値4,038円×200株売却=80.76万円
  • 売却益80.76万円-3,975.5円×200株=1.25万円
クリスマスショックによる含み損をナンピンで相殺し、わずかながら利益を出しています。

しかし、ナンピンは常にうまくいくとは限りません。次は、同じ三井住友FG株をそのまま保有し、今回の株価急落局面でナンピンしたケースです。
  • 2020年3月末終値2,623円(下落率34%)×200株取得=取得価額52.46万円
  • 取得単価:(43.06万円+36.45万円+52.46万円)÷400株=3,299.25円
3月末の終値はほぼ底値の水準で、ナンピンのタイミングとしてはベストといえます。しかしその後の株価は、月末終値ベースでみると3,200円にも届いていません。下げがあまりにきつい場合は、ナンピンは機能しないのです。「下手なナンピン大ケガのもと」という相場格言もあります。

「指数下落のツレ安ならいずれ株価は戻る」は本当か

今年3月に急落した日経平均も、9月上旬時点では急落前の水準に戻りました。ところが個別銘柄を見ると、最高値を更新する銘柄が目立つ一方で、急落前の水準を大きく割り込んでいる銘柄も少なくありません。この時点で急落前の水準に戻ったのは、東証1部上場企業では3分の1に過ぎないのです。

アメリカでは、GAFAをはじめとするデジタル企業の株価が絶好調です。日本国内でもテレワークや外出自粛に伴い、クラウドや半導体関連の勝ち組企業は業績が上向いています。たとえば半導体製造装置を扱う東京エレクトロンの株価は、6月に急落前の2万4,500円に戻り、11月中旬時点では3万円を超えています。

一方で景気敏感銘柄の多くは、いまだに急落前の水準です。ウォーレン・バフェット氏による出資で話題を呼んだ5大総合商社株ですが、5社中4社が年初の水準を超えられず(9月末終値ベース)、上回ったのは非資源・中国ビジネスが好調だった伊藤忠商事だけです。

▽国内総合商社・大手5社の株価の推移
 
銘柄 年初株価 9月末株価 騰落率
三菱商事

2,876円

2,512円

△13%
伊藤忠商事

2,510円

2,685円

+7%
三井物産

1,945円

1,803円

△7%
住友商事

1,613円

1,374円

△15%
丸紅

800円

594円

△26%
つまり、「ツレ安」で下がった株価が相場の戻りとともに回復するかどうかは、業種や個別企業の業績によるところが大きいのです。

そのまま塩漬けから脱け出せないリスクを考える

「出遅れていても塩漬けしておけば、いずれ株価は戻る」と考える個人投資家は少なくありません。塩漬けを生む思考の根底には、「株価は上昇するのが当たり前」という意識が潜んでいるといわれています。私たち個人投資家は、もはやそんな常識は通用しないということに、早く気づかなければなりません。「持ち続けていれば、いつか株価は戻る」という幻想は捨てるべきです。

ツレ安が株価下落の本当の理由なら、いつか株価は戻るでしょう。しかし日経平均などの指数の急落は、単に地合いの悪さを示しているだけではありません。産業・経済構造の変化の予兆であるケースが多いのです。

リーマンショック前後の東京市場を振り返ってみましょう。日経平均がリーマンショック前の水準(2007年6月終値1万8,138円)を超えるのは、2015年2月です。その後も株価はおおむね順調に上昇を続け、2019年12月末の終値は2万4,000円を超えました。リーマンショック前の3割増しの水準です。

それでも、一部の業種・銘柄はリーマンショック前の水準に戻っていません。その代表格が、銀行株です。三菱UFJの場合、2007年6月末終値が1,360円であったのに対し、2019年12月末終値は593円と半値以下です。リーマンショック前と現在を比べても、極端に業績が落ちているわけではありません。日銀のゼロ金利政策や資金需要の低迷など、銀行業に対する成長性の期待値の低下が、結果的に、株価に現れているのです。

「見切り千両、損切り千両」という相場格言もあります。ナンピン・塩漬けの誘惑に負けず、値を下げてしまった株は早々に諦めて損切りし、次に向かうのが賢い選択といえそうです。

まとめ:底値の見極めは相当難しいことを知っておくべき

株価の天井や底値を見極めて売り買いをするのが理想ですが、それはプロでも難しいでしょう。では、どうすればよいのでしょうか。

相場の世界では、昔から「魚の頭と尻尾は猫にくれてやれ」といわれてきました。値下がりが続いている時は、グッと我慢しましょう。やがてトレンドは反転します。流れが変わったことを確認してから買いを入れても、決して遅くありません。尻尾はあきらめ、一番おいしい身(その後の値上がり益)をいただこうではありませんか。

いつもうまくいくとは限りませんが、波に乗れた時の達成感は何物にも代えがたいものです。

急落銘柄に投資する場合は、ある程度売買注文を繰り返すことになります。したがって、売買手数料の安い大手ネット証券を選ぶのが得策です。銘柄探索に役立つテクニカル・ファンダメンタルズ分析情報も充実しているので、うまく活用してください。

※本記事は2020年11月24日現在の情報をもとに作成しています。掲載する銘柄は解説例であり、投資を推奨するものではありません。
 
文・
上場企業(大手日用品メーカー)にて、事業戦略・財務に携わる。とくに財務部門所属時には、株主総会運営・決算開示を経験、経営分析の力をつける。個人としての投資経験に合わせ、「投資される」企業側からの視点を加味した、独自の切り口によるコラムを真骨頂としている
 

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