投資・資産運用
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2020.12.17

高配当株への投資の失敗例に学ぶ。事前に知ってリスクに対応した投資をしよう

(写真=Jirapong/stock.adobe.com)
(写真=Jirapong/stock.adobe.com)
株式投資では一般的に、値上がりによる売却益に目が行きがちですが、実際には、定期的に受け取れる配当金も大きな魅力となります。しかし、配当だけに気をとらわれると、少しでも配当が大きい株を選ぼうとしてしまいがちで、思わぬ失敗につながることもあるので注意が必要です。本記事では、株式投資における配当の魅力と、ありがちな失敗例を解説します。株式投資の魅力をまた1つ、学んでいきましょう。
 

そもそも定期的に受け取れる配当とは?

配当金とは、株式を発行する企業が、株主に対して利益を分配するために支払う現金のことをいいます。その際、株主は保有する株数に比例した金額を受け取ります。

通常、配当金は決算を行った後のタイミングで行われることが多いのですが、中間決算や四半期決算にも合わせて配当する企業もあります。それ以外にも、記念配当や特別配当などとして、会社の記念日や一時的な理由で配当を行う場合もあります。

ただし、利益が出ている企業がすべて配当を行うわけではありません。配当を支払えば、その分だけ会社に残る利益は少なくなり、新たな投資に回す資金も減るからです。

会社の成長を優先するために、配当を出さない、あるいは配当を少なくするという方針を採る企業も存在します。逆に、利益が出ていなくても配当を払う企業もあります。なぜなら配当の多寡は株価にも少なからぬ影響を与えるからです。実際、これまでの実績や同業他社との比較などで配当額を決定する企業も少なくないようです。

そもそも配当は、権利確定日と呼ばれる日に株主であった人に支払われます。権利確定日は決算のタイミングに連動しますが、各企業のホームページなどで確認できます。

細かくいえば、権利確定日に株主であるためには、その2営業日までに株式購入の取引を行っておく必要があります。そして、権利確定日を過ぎれば、その翌日に株式を売却しても配当を受け取る権利には影響ありません。しかし、実際に配当金を受け取れるのは、本決算時の配当の場合、そこから2~3ヵ月後となります。

また配当とは別に、株主優待というものがあります。最近では多くの企業が導入し、それを目当てに株式投資を行う個人投資家も増えています。

この株主優待は配当と同じく権利確定日に株主であった人が対象となりますが、こちらは企業からの“感謝を込めたプレゼント”という意味合いのものになります。その企業自身の商品やサービスの提供が企業のPRにつながったり、特典を出すことでより多くの個人投資家がその企業への投資に興味を持ったりする契機となります。そして利益の分配とは異なり、課税の対象外になることも大きな利点といえるでしょう。
 

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高配当銘柄を持つことの利点とは

配当が大きな株式銘柄を、高配当銘柄といいます。ただし、株式はそれぞれその株価が異なるため、配当額だけを単純に比較はできません。そのため、高配当であるかどうかを判断するためには、購入にかかる金額と配当の額を合わせて比較する必要があります。この場合、役に立つのが配当利回りです。具体的には以下の計算式で算出されます。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100

この配当利回りを株式ごとに見比べることによって、高配当銘柄を探していくことが可能となります。

ちなみに、日本取引所グループによると、東証一部全銘柄の2020年10月の単純平均配当利回りは1.94%です。配当を出していない企業を除く有配会社の平均配当利回りでは、2.10%とされます。高配当銘柄に対する厳密な定義はありませんが、平均の約2倍となる4%前後の配当利回りなら、高配当銘柄と考えられるでしょう。
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高配当銘柄で知っておきたい注意点

配当を重視する投資方針なら、なるべく高い配当利回りの銘柄を選びたくなるのは当然です。しかし、高い配当利回りの裏に、欠点が隠れていないか確認する必要もあります。

高配当銘柄の注意点1:配当利回りの良さに惑わされず、株価にも注目

配当利回りの計算式でもわかる通り、配当利回りが高くなるのは配当金が多い場合だけではありません。株価が安い時にも配当利回りは高くなります。もし、業績の悪化や経営上のトラブルなどで株価が下落している結果、配当利回りが高くなっているなら、その株式への投資には慎重になるべきです。

なぜなら株価に中長期的な回復が見込める場合は良いのですが、そうでなければ、最終的にその株式を売却する場合には損失が出る可能性があるためです。いくら配当金が多く出ていたとしても、その累積額を売却損が上回ってしまえば元も子もありません。

高配当銘柄の注意点2:インカム・ゲインとキャピタル・ゲインの合算を意識すべし

投資が成功したかどうかは、保有時に受け取る配当(=インカム・ゲイン)と、売却時の損益(キャピタル・ゲイン/ロス)を通算して判断されます。また、業績などに問題が生じている企業なら、将来的に配当も減額(減配)やゼロとなる(無配)可能性が高いことも意識しておく必要があります。

また、配当の金額というのは常に一定ではありません。先に書いた通り、配当とは株主への利益の分配です。利益が出ていなくても配当を行う企業もありますが、やはり多くの会社は減益が大きく出たり、長く続くと、減配に踏み切ります。中長期の投資により安定した配当を望むのであれば、業績も安定している企業の株式を選ぶことも重要な戦略です。

高配当銘柄の注意点3:景気敏感系とディフェンシブ系株式の動向を注視する

株式には、いわゆる「景気敏感銘柄」と「ディフェンシブ銘柄」とよばれるものがあります。

前者はその名の通り、景気の動向に株価が左右されやすい銘柄です。自動車メーカーなどの製造業や、鉄鋼や化学などの素材産業、あるいは設備投資関連の産業機械メーカーなどがそれに当たります。一般的に、金融なども含まれるとされます。

これらの銘柄群は「景気循環銘柄」ともいわれる通り、景気の循環に合わせて業績が悪化するタイミングがどこかでやってきます。

一方のディフェンシブ銘柄とは、逆に景気の動向に左右されにくいものとなります。生活必需品を扱うような業種が多く、食品や医薬、または社会インフラを担う電力や鉄道、ガスなどといった業種の企業が含まれます。

株価の上昇を狙うのであれば、景気回復が見込まれるときに、景気敏感銘柄を物色すると勝算が高まります。しかし安定的な配当が目的なら、景気が悪化するときにも赤字になりにくい、ディフェンシブ(守り)銘柄を選ぶのも一策かもしれません。必ずしもディフェンシブ銘柄が減配や無配をしないとはいい切れませんが、両者の特徴は意識しておいて損はないと考えます。

高配当株投資の失敗例を知ろう

では、ここからはもう少し具体的に、高配当銘柄での失敗例を考えてみたいと思います。

高配当株投資の失敗例1:配当利回りの高い銘柄に飛びついて株価が下落

高い配当利回りに目を奪われ、ほかの情報をよく確かめずに買ってしまうのは危険です。先にも書いた通り、投資はインカム・ゲイン(保有時に受け取る配当)とキャピタル・ゲイン(売却時の損益)を合算した結果で決まります。キャピタル・ゲインどころか、インカム・ゲインを上回るキャピタル・ロス(売却損)を出してしまえば、いくら高配当銘柄であってもその投資は失敗です。

やはり、業績や財務状況、その業種の安定性などは確認をしたうえで、投資を行う必要があります。また場合によっては、芳しくない財務状況等から投資家の目をそらすため、あえて高配当を行っている企業もあるかもしれません。

高配当株投資の失敗例2:購入後に業績が悪化して減配、もしくは無配

上記「その1」に通じるところもある失敗例ですが、高配当の企業であるほど、その業績や財務状況を点検する必要があります。高い配当を払えるだけの利益を本当に上げているのか、また今後も同水準以上の利益が期待できるのか。これらの点に対する確認が重要です。もし、特殊要因や一時的な理由で短期的に利益が上がっているだけなら、その要因が剥げ落ちた後には減配や無配が待ち構えている場合が高いでしょう。

高配当株投資の失敗例3:配当性向が高すぎて、そもそも高配当が長続きしなかった

企業は、それぞれの経営計画に従って配当の額を決定します。すべての利益を自動的に配当に回すわけではありません。利益のうち、配当にどの程度を回しているかを示す指標を、配当性向といいます。計算式は以下の通りです。

配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100

成長の初期段階にある企業ほど、配当性向は低くなりがちです。利益の多くの部分を、設備投資や広告宣伝などといった費用に充てる必要があるためです。歴史の長い企業であっても、新規事業の開拓などに力を入れている場合は、同様に配当性向は低くなると考えられます。

逆にいえば、配当性向が高すぎる企業は、成長性に欠ける可能性があります。安定株主対策などといった経営方針のために、あえて配当性向を高く設定している企業もあります。しかし、高すぎる場合には注意が必要です。その企業の成長サイクルにおける位置や、また同業他社との比較ではどうなのか、などを考える必要があります。実力以上の高い配当性向を無理して設定しているとすれば、それはやはり長続きはしないはずです。

高配当株投資の失敗例4:配当よりも値上がり益のほうが儲かると思い始めた

配当狙いで購入した株式が思いのほか値上がりしてしまったら、つい売却して利益を確定したいと考えてしまうものでしょう。しかし、売却益は一回限りのものです。一方、配当は保有している限り(無配にならなければ)、ずっと受け取り続けることができるものです。つまり、中長期的に続く配当の累積額と、足元の売却益の差を、冷静に見極める必要があります。

安く買えた時ほど売却益は大きくなりますが、これは配当利回りにとっても同様です。株価が上昇してから再度買いなおしても、その時の配当利回りは、当然ながら初回購入時よりも低くなってしまいます。

高配当株投資の失敗例5:税金を考慮しておらず、想定していたよりも物足りなく感じる

配当利回りが4%の株式を1,000万円分購入した場合、年間の配当金額は40万円です。しかし、実際の受取額は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収された後の、31万8,740円となります。この税率を高いと感じる人は多いかもしれません。

もし配当以外の収入が多くなく、それにかかる所得税率が15%よりも低い人なら、確定申告を行って配当を総合課税に変えることもできます。その場合、配当にかかる税率も下げられるかもしれません。しかし、もっと有利な方法もあります。それは、税制優遇のあるNISA(少額投資非課税制度)を利用することです。

NISAを活用すると、毎年一定額の範囲内で購入した株や投資信託の利益が、非課税となります。NISAには現在、「一般NISA」と「つみたてNISA」、そして未成年者用の「ジュニアNISA」の3種類があります(一般NISAは2024年に制度改正の予定。「ジュニアNISA」は2023年末で制度終了予定)。成人用の制度のなかでは、つみたてNISAでは個別株は投資対象とすることができません。

一般NISAでは、毎年120万円を上限として、上場株式や公募株式投資信託などに投資でき、その利益には課税されません。非課税となる利益には、もちろん配当も含まれます。NISAの非課税期間は基本5年間ですが、ロールオーバーという仕組みも利用すれば、非課税期間を最長10年間とすることもできます。配当利回りが高いほど節税効果も高くなるため、ぜひ活用を検討したい制度です。

まとめ:高利回りに目を奪われず、企業の業績を精査したうえで投資を

株式投資の魅力は株価の値上がりだけでなく、定期的に受け取れる配当にもあります。なかには、ゼロ金利の時代には非常に魅力的な水準の利回りとなる高い配当を出している銘柄もあります。ただし、これまで述べてきた通り、高配当株には落とし穴がある場合も少なくありません。

高利回りにだけ目を奪われていると、気付くこともできたはずの減配や無配という事態に至って目算が狂ったり、株価の大幅な下落に見舞われるかもしれません。投資は結局のところ、キャピタル・ゲイン(売却時の損益)とインカム・ゲイン(保有時に受け取る配当)の合計で成否が決まります。配当利回りだけでなく、企業の業績などもきちんと確認した上で投資を行うのが重要であるということです。

景気などの影響を受けづらく、業績が安定しており、さらに比較的高い配当利回りをもつ株は、日ごろからその株価動向をよく見ておくとよいでしょう。そうした株の価格が一時的な要因で下がったときこそ、今回、解説した高配当銘柄投資を行う絶好のタイミングといえるでしょう。
 
文・
国内外の金融機関で、金融マーケットに直接携わる仕事を長く経験。現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、主に金融に関する情報発信も行っている。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、FP一級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
 

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