投資・資産運用
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2020.12.17

株式投資で成功するために欠かせない「セクター」の考え方とは?

(写真=cassis/stock.adobe.com)
(写真=cassis/stock.adobe.com)
株の世界には「セクター」という概念があることをご存じでしょうか。このセクターの概念は株式投資で成功するための重要なカギを握っており、セクターごとの特性を理解することで再現性のある投資手法の確立が可能になります。
 

株式投資における「セクター」とは?

最初に知っておきたいのは「セクターとはなにか」という、セクターの概念です。株の世界でセクターと呼ばれる概念の定義と、セクターをどのように投資行動に役立てるべきかの基本部分を把握しておきましょう。

セクターの定義

株の銘柄をある共通点や類似点をもつグループに分類し、それぞれのグループのことをセクターといいます。たとえば電力会社やガス会社、水道会社といった社会インフラに関連するような銘柄群は公共株セクターと呼ばれ、こうしたセクターに属する銘柄は景気変動にあまり左右されることなく業績を確保できるため、「公共株セクターは不況に強い」といわれています。

業種別の分類以外にも、発行株数など企業規模によるセクター分類、株価によるセクター分類などがあります。

セクターを投資行動に役立てる考え方

「公共株セクターは不況に強い」という一例を挙げたように、株式投資での銘柄選びにセクターが役立てられています。セクターはそれぞれに市場環境に応じた強みがあるため、具体的な銘柄に絞り込む前の段階で「○○セクターから選びたい」と、まずは適切なセクターを選び、投資の検討を始めるものです。

特に株式投資に精通しているプロや上級者はセクターを重視する傾向が強く、業種だけでなくさまざまなセクターを絞り込むことにより、自身の投資スタンスに最適な銘柄を選び出しています。
 
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市場に存在するサイクル「セクターローテーション」とは?

それぞれのセクターには、そのセクターが強みを発揮する局面があります。景気変動や金利の上下変動など、さまざまな要因によって強くなるセクターが入れ替わります。それぞれのセクターがまるでローテーションをしているように入れ替わっているため、こうしたサイクルのことを「セクターローテーション」といいます。

セクターローテーションの概要

景気変動と金利の上下によって分類されているセクターを図式化すると、以下のようになります。

 
セクターローテーションの概要

この図の見方はとても簡単で、たとえば右上のゾーンは景気が上向きで金利が上昇している局面です。景気が良くなると工業生産が活発になるため、工業株や素材株のセクターが注目されます。その逆に景気が後退すると公共株や通信株、ヘルスケア株といった生活に欠かせないセクターが強みを維持します。

景気の強弱、金利の高低で物色される銘柄が循環していく

上図は、時計回りに回転しているというイメージを持つと理解しやすいと思います。景気と金利は常に関わり合いながら振り子のように行ったり来たりを繰り返しているので、いまこの瞬間も図のどこかに必ず位置しています。

つまり、景気の強弱と金利の高低によって図の中の滞留ゾーンが変わり、それぞれのゾーンにあるセクターが強くなるというサイクルをセクターローテーションとして循環しています。

投資ではいまどの部分にいるのかを知ることが重要になる

景気と金利のセクターローテーションによる相関関係から、1ついえることがあります。それは「常になにか強いセクターがある」ということです。この事実は先ほどの図を見ても明らかで、どのゾーンにも強みが出てくるセクターが最低でも1つはあります。

このことから、いま滞留しているゾーンを理解すると、どのセクターの株が買われやすくなるのかを予想することができます。

具体的なセクターごとの特徴

それぞれのセクターがどんな局面で強くなるのか、具体的な特徴を個別に解説していきます。

景気敏感セクター

景気敏感セクターは、文字通り景気動向に対して最も敏感に反応する業種群です。景気が拡大局面にあるということは、機械や自動車などへの投資や購買欲が旺盛になるため、「ものづくり」に関わる業種が活況になります。
景気敏感セクター
こうした景気敏感セクターとして物色したいのは、素材・化学、自動車、輸送機、機械、電機、精密分野などです。いずれも「ものづくり」に関わる企業が多く、アメリカのダウ平均やS&P500などの株価指数においても大部分を占める銘柄群です。つまり、景気敏感セクターが活況になって株価が上昇するということは、他の業種にも活況が波及して経済全体が上向いていく流れを示しています。

ディフェンシブセクター

ディフェンシブというのは「守勢」という意味です。つまり景気が後退、停滞しつつある局面においても守りに適しているセクターです。その国の景気が後退しているわけではないとしても、他の国で景気後退を示す動きがみられる場合、それが自国にも波及することに備えて守りを固めるという投資行動に有効なセクターです。
ディフェンシブセクター

ここで図示しているエネルギー株や公共株、通信株、ヘルスケア株といったセクターに加えて、運輸、物流などのインフラ系も含まれます。景気が後退している局面だけでなく、社会的に不安が広がっているような局面では、こうしたセクターを物色するのが株式投資のセオリーです。

金利敏感セクター

上記で紹介した2つのゾーンは、いずれも景気変動によって分類するセクターでした。金利変動セクターは、金利の上下によって影響を受けるセクターです。図では横軸にあたります。
金利敏感セクター

このゾーンで目を引くのは金融株で、銀行や保険、証券、不動産といった業種です。縦軸の景気変動に対してはちょうど中間に位置しているので、景気に対しては中立であるものの、金利が低い局面から上昇に向かうと物色されやすいセクターです。

そしてもう1つ目を引くのが、ハイテク関連のセクターです。これは景気をけん引する重要なセクターで、金利が低下して景気が上向き始めると投資が活発になるため、このゾーンで物色されやすいセクターです。

市場のサイクルを見極めるヒント

上記では市場のサイクルと、それぞれのゾーンにおいて強くなるセクターの関係について解説しました。しかし、もう1つ、重要な視点があります。それは「いつ市場のサイクルが次のゾーンに移行するか」の見極めです。1年で自動的に次のゾーンに移行するといったように期間が決まっているわけではなく、しかもそれがいつやって来るかは誰も決めることができません。

そこで市場サイクルの見極めでヒントになるのが、アメリカの投資家であり著述家として知られるハワード・マークスによる著書『市場サイクルを極める』にある多くのメモです。この著書でハワード・マークスは、市場サイクルにある2つの局面(上昇局面、下降局面)で起きることをまとめており、これが市場サイクルの動きを知る上で役に立ちます。

市場サイクルの上昇局面

ここではまず、ハワード・マークスの著書『市場サイクルを極める』から、市場サイクルの上昇局面で起きることを一部抜粋します。
  • 経済に関する明るいニュースが目白押しになる
  • 企業の業績が好調になる
  • 証券市場が強含む
  • リスクに対する意識が希薄になる
  • 投資家が全体的に欲深くなる
こうしたできごとから見えてくるのは、投資家心理の変化です。市場全体に明るいムードがみられるようになると、投資家の心理には「乗り遅れると機会損失になる」「リスクを気にするより波に乗ることが大事だ」という気持ちが支配的になり、それが投資行動に反映されることでさらに市場は強気一色となります。

ここからさらに投資家心理は欲深くなり、今の状況が永遠に続くような錯覚を起こし、いつしか市場は実勢価値を超えてバブルの局面に入ります。その局面になって最も警戒しなければならないのは「守り」であるにもかかわらず、多くの投資家はリスクの高い投資行動をとるようになります。

こうした動きが顕著になったとき、理性的に動くことができる投資家は守りを重視するようになり、やがてやってくる下降局面のリスクを抑える行動をとります。具体的には買いポジションを減らし、下落時のショックが直撃しないようにします。

市場サイクルの下落局面

次に市場サイクルが下落局面になると、どんなことが起きるのでしょうか。こちらもハワード・マークスの著書から一部をピックアップしてみましょう。
  • 景気の減速などネガティブなニュースが多くなる
  • 証券市場が弱含む
  • 上昇局面とは反対にリスクの許容が損失につながると考えるようになる
  • 恐怖が恐怖を呼び、売りが優勢となる
  • いまの状況が永遠に続き、もっと悪化すると悲観的になる
こうしたニュースがあふれている社会を、日本人は長く目の当たりにしてきたのではないでしょうか。「失われた10年」もしくは「20年」といわれた時代です。景気の悪化は続き、それまでのバブル景気の裏返しのような経済の停滞が永遠に続くイメージを持っていたものです。

しかし、実際はどうでしょうか。2008年に7,000円台をつけていた日経平均株価は7年後に2万円台へと回復し、2020年には2万5,000円台をつけました。このことからもわかるように、ハワード・マークスも著書において「下降局面では機会損失だけを懸念すべきである」と説いています。株価が底にあった時期に大量購入した投資家は、単純計算で資産を3倍以上に成長させていることになります。

上昇局面と下落局面、それぞれで起きることをいまの世の中に当てはめ、市場サイクルがいまどこにあるのかを見極めることがいかに重要か分かるでしょう。

銘柄探しに自信がない人は「まとめて買う」のも1つの選択

ここでは株式投資をセクター単位で考える方法論を解説していますが、株式投資は最終的にどれか1つの銘柄に絞り込む必要があります。しかし、個別株となると企業ごとの業績や指標を分析する作業もあるため、銘柄を絞り込むことに抵抗を感じる人もいるでしょう。そのような人におすすめしたいのが、セクターごとに投資ができるETFや投資信託の活用です。

ETFや投資信託を通じて「セクター投資」を実現

特定の個別株ではなく、セクターやテーマに基づいて複数の銘柄で運用している投資信託を購入すれば、そのセクターに属する銘柄全体に投資しているのと同じ効果を得ることができます。たとえば、エネルギー株のセクターに投資をしたいとき、エネルギー株に絞って運用をしている投資信託を購入するといった具合です。

複数銘柄へ同時に投資ができるためリスク分散効果もあり、手軽なセクター投資法として有効です。

ETFの概要

ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことです。東証にも多くのETFが上場しており、特定のセクターに絞った運用をしているETFを購入することによってセクター投資が可能になります。

セクター投資にETFを活用するメリット

投資信託とETFはともに複数の金融資産で運用をしているため、いわば投資の「詰め合わせセット」のようなものです。景気後退が鮮明になってきて食品やエネルギーといったディフェンシブなセクターへの投資を検討するのであれば、それらの業種に絞って運用をしている投資信託やETFを購入することで「詰め合わせセット」による投資が可能になります。

この点までは投資信託もETFも同じようにみえますが、ETFには以下のような利点があります。
  • 上場しているため株と同じ感覚で簡単に売買が可能
  • 市場が動いている時間はリアルタイムで値動きがある
  • 上場基準を満たしているため全体的に信頼性が高い
  • ETFは特定の指数との連動を目指す機械的な運用なのでコストが安い
  • 流動性が高く現金化も容易
株のように売買ができる自由度がありながら、投資信託のようにプロに任せられてリスク分散ができるという意味では「いいとこどり」といえるかもしれません。

セクター投資ができるETF

東証に上場しているETFのなかには、セクター投資に活用できる銘柄群があります。以下のようなETFを購入することで、それぞれのセクター投資が可能になります。
 
ETF名称 銘柄コード セクター分類
TOPIX-17食品 1617 食品
TOPIX-17エネルギー資源 1618 エネルギー
TOPIX-17建設・資材 1619 建設、資材
TOPIX-17素材・化学 1620 素材、化学
TOPIX-17医薬品 1621 医薬品
TOPIX-17自動車・輸送機 1622 自動車、輸送機
TOPIX-17鉄鋼・非鉄 1623 金属
TOPIX-17機械 1624 機械
TOPIX-17電機・精密 1625 電機、精密
TOPIX-17情報通信・サービスその他 1626 情報、通信
TOPIX-17電力・ガス 1627 電力会社、ガス会社
TOPIX-17運輸・物流 1628 運輸、物流インフラ
TOPIX-17商社・卸売 1629 商社
TOPIX-17小売 1630 小売、流通
TOPIX-17銀行 1631 銀行
TOPIX-17金融(除く銀行) 1632 銀行を除く金融株
TOPIX-17不動産 1633 不動産
銀行業株価指数 1615 銀行

これらはいずれも上場しているため、証券口座があればいますぐ売買が可能です。まだ証券口座を持っていない人は口座開設をする必要がありますが、この証券会社選びでは取引手数料も重要な比較要素になるので、店舗を持たない代わりに手数料が安いネット証券会社が有力な選択肢となるでしょう。

まとめ:セクターを知り、投資スキルを上達させよう

株の世界にある「セクター」の概念と、それを投資行動に役立てる方法について解説しました。さまざまな業種があり、選択肢が広い株式市場だからこそ有効な概念です。これを知ることで「そのときに注目されるセクター」がわかるようになるので、投資スキルが格段に向上します。

大切なのは、いまどのゾーンにいてどんなセクターが強いのかという見極めです。ハワード・マークスのメモも参考にしながら、投資スキルの向上を目指してみてはいかがでしょうか。
 
文・
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中
 

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