投資・資産運用
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2020.11.30

NISAの非課税投資枠は再利用できる?非課税期間の計算方法も解説

(写真=Romolo Tavani/stock.adobe.com)
(写真=Romolo Tavani/stock.adobe.com)
NISA口座での投資には、非課税投資枠(投資の上限額)があります。では、NISAで保有する投資資産を売却した場合、投資枠の再利用はできるのでしょうか。非課税期間や投資可能期間の計算方法と併せて確認し、非課税制度の十分な活用を目指しましょう。

少額非課税制度のNISAとは?

NISA(ニーサ)とは、株や投資信託などの金融商品で資産運用をする人に向けた少額非課税制度です。金融商品に投資した場合、分配金や配当金・値上がり益といった利益には、通常20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金がかかります。しかしNISA口座では、一定期間一定額まで、この税金が非課税になるのです。

NISAには、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの種類があります。NISAは、1人1口座しか開設できません。それぞれの口座の特徴をあらかじめよく確認し、投資目的に合った口座を選ぶことが重要です。

投資信託や株などに投資できる「一般NISA」

一般NISAは、株や投資信託などさまざまな金融商品への投資ができる制度です。概要を表1で確認しましょう。

▽表1.一般NISAの概要
 
項目 詳細
利用できる人 日本在住の20歳以上の人
非課税対象 株式や投資信託などから得られる分配金・配当金および売却益
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円
非課税期間 最長5年
投資可能期間 2014年~2023年

・一般NISAのメリット:対象となる金融商品の多さ

一般NISAのメリットは、投資できる金融商品の種類が多い点です。一般NISAで投資できる金融商品には以下があります。
  • 株式投資信託
  • 国内外の株式
  • 国内外のETF(イーティーエフ:上場投資信託)
  • ETN(イーティーエヌ:上場投資証券)
  • 国内外のREIT(リート:不動産投資信託)
  • 新株予約権付社債(ワラント債)
また一般NISAはつみたてNISA、ジュニアNISAと比べ、1年間における非課税投資枠が最も大きい制度です。このように、対象となる金融商品が豊富で1年間に120万円まで投資ができる一般NISAは、積極的に投資を楽しみたい人に向いているといえます。

・一般NISAのデメリット:非課税期間が短く、損益通算もできない

一般NISAの非課税期間は5年です。そのため、複利効果を活かした資産運用があまり期待できません。中長期での運用で大きな複利効果を得たい場合は、非課税期間がより長い、つみたてNISAも検討しましょう。

また、すべてのNISA口座における共通の注意点として、損益通算ができないという注意点もあります。損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺できる仕組みです。課税口座(特定口座および一般口座)で投資している場合、売却損益や分配金・配当金などが損益通算できます。一方、そもそも非課税であるNISA口座での取引は、損益通算の対象にはなりません。NISA口座以外に課税口座でも投資をしている人は運用状況を確認し、NISAで取引するかどうかを検討しましょう。

投信積立に特化した「つみたてNISA」と未成年者専用の「ジュニアNISA」

つみたてNISAは、投資信託での運用利益が長期に渡り非課税となる口座です。ジュニアNISAは、未成年者を対象としたNISA口座です。それぞれの口座の概要を、表2にまとめます。

▽表2.つみたてNISAおよびジュニアNISAの概要
 
項目 つみたてNISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住の20歳以上の人 日本在住の0~19歳の人
非課税対象 一定の投資信託から得られる分配金および売却益 株式や投資信託などから得られる分配金・配当金および売却益
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円 新規投資額で毎年80万円
非課税期間 最長20年 最長5年
投資可能期間 2018年~2037年 2016年~2023年

・つみたてNISAは長期での資産形成に最適

つみたてNISAの特徴は、長期での資産形成を目指せる点にあります。その理由の1つめは、金融庁が長期での安定的な資産形成に適していると認めた投資信託が投資対象となっていることです。そのため、投資経験が少ない人や投資への時間を取りづらい人でも、銘柄選びの負担を軽減できるでしょう。

理由の2つめは、非課税期間が20年と長期に渡る点です。つみたてNISAの毎年の非課税投資枠は40万円と、一般NISAと比べて多くありませんが、20年間非課税で運用することにより複利効果を最大に生かせる可能性があります。リスクを抑えつつ、じっくり将来の資産形成を目指したい人は、つみたてNISAを検討するとよいでしょう。

・ジュニアNISAは子や孫の資産形成を目指せる

ジュニアNISAの特徴は、子や孫などの資産形成を目指せるところです。ジュニアNISAでは未成年者の名義で口座を開設し、資金の拠出および運用管理を親権者である親や祖父母などが行います。

なお、ジュニアNISAは口座名義人が18歳になるまで、原則として資金の払い出しができません。やむを得ない理由の場合は出金が認められることもありますが、その場合は過去の利益にさかのぼって課税される点には注意が必要です。ただし、ジュニアNISAの制度は2023年で終わることになっています。そのため、2024年以降は18歳をまたずに払い出しができるようになる予定です。
 

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NISAではいくらまで投資できる?非課税投資枠の計算方法を確認しよう

NISAでは、投資できる上限額(非課税投資枠)が決まっています。毎年の非課税投資枠は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円です。それを超える額の投資を行うと、自動的に課税口座での取引となります。

非課税投資枠の再利用はできない

NISAでは、一度投資した非課税投資枠の再利用はできません。たとえば、一般NISAで20万円投資をした場合、その年の非課税投資枠の残りは100万円となります。その後、投資した20万円の資産を売却したとしても、非課税投資枠は120万円には戻らず100万円のままです。

・未使用枠の来年度への繰り越しも不可

1年間の非課税投資枠を使い切れなかったとしても、残った枠を翌年に繰り越すことはできません。そのため、一般NISAで1年間に90万円しか投資をしなかったとしても、残りの30万円は翌年に繰り越すことはできず未使用のまま消滅します。

NISAにおける2つの「期間」の違いとは?

表1および表2の項目にもあるとおり、NISAには「非課税期間」と「投資可能期間」の2つの期間があります。この2つには、どのような違いがあるのでしょう。

「非課税期間」は非課税になる期間。「投資可能期間」は投資できる期間

非課税期間とは、投資した資産が非課税になる期間です。一般NISAは非課税期間が5年、つみたてNISAでは20年です。非課税期間終了時に投資残高がある場合には、「課税口座への移管」もしくは「売却」、「ロールオーバー」(後述します)のいずれかとなります。

一方、投資可能期間とは新規投資ができる期間をいい、一般NISAは2023年までとなっています。つまり、2020年に一般NISAを始めた人は2023年までの4年間(最大480万円まで)投資ができますが、2022年に始めた人は2年(最大240万円まで)しか投資ができないことになります。そのため、できるだけ多くの資金をNISAで運用するには、投資を早くスタートさせることが肝心となるのです。なお、投資可能な期間は2023年いっぱいですが、保有期間は5年間です。ですので、2023年中に購入した金融商品は2027年まで非課税で保有できます。

一般NISAの非課税期間終了後はロールオーバーできる

一般NISAでは、投資した資産の一部またはすべてを、非課税期間終了後に新たな非課税投資枠に移す「ロールオーバー」ができます。これにより、非課税投資期間を最長10年まで延ばすことができます。一例を表3で確認しましょう。

▽表3.ロールオーバーの一例
 
投資した年 非課税期間終了年 ロールオーバーする年 ロールオーバーでの非課税期間終了年
2014年 2018年 2019年 2023年
2018年 2022年 2023年 2027年
2019年 2023年 投資可能期間の2023年を超えるため、ロールオーバーできない(後述の新NISAへの移行が選択肢に)

ロールオーバーでは、投資した資産の全額を移管できます。仮に、120万円で投資した資産が150万円まで値上がりしていたとしても、そのすべての移管が可能です。ただし、ロールオーバーでは移管した年の非課税投資枠が使用されます。時価が120万円を超える資産をロールオーバーすると非課税投資枠を使い切ってしまうため、その年の新規投資はできなくなります。

・ロールオーバーするには手続きが必要

ロールオーバーをするには、口座を開設した証券会社で非課税期間終了年中に手続きをする必要があります。手続きの期限は証券会社により異なるため、遅れることがないようあらかじめ確認しましょう。一例として、3つの証券会社における2020年の手続き期限を表4に紹介します。

▽表4.2020年におけるロールオーバー手続きの期限の一例
 
証券会社名 期限
マネックス証券 ・ロールオーバー移管依頼書の提出:11月30日必着

・その他関連書類の提出:12月16日必着

SBI証券 ・WEBアップロード:12月8日まで

・郵送手続き:12月4日書類必着

楽天証券 ・WEBアップロード:12月23日19時まで

・郵送手続き:12月18日までに投函


期限内にロールオーバーの手続きが行われなかった場合、非課税期間終了後は自動的に課税口座に移管されます。

2024年以降は新・NISAへの移行も可能

ここまで解説してきたとおり、一般NISAの投資可能期間は2023年までです。しかし、2020年度税制改正により、2024年から新・NISA(仮称)がスタートすることが金融庁から発表されました。これにより、2023年以降もNISA制度を活用した投資が可能になります。

なお、現行NISA口座を保有している人は、自動的に新・NISA口座が開設されます。よって、あらためて口座開設手続きをする必要はありません。ただし、現行NISAから新・NISAへロールオーバーする場合には、ロールオーバー依頼の手続きが必要です。

現行NISAからどう変わる?新・NISAの仕組みを確認しよう

新・NISAの特徴は、非課税投資枠が1階部分と2階部分に分けられた点です。非課税投資枠の詳細を、表5で確認しましょう。

▽表5.非課税投資枠の詳細
 
  年間の投資上限額 非課税期間 投資可能期間 投資対象
2階部分 102万円 5年間 2024~2028年 上場株式・公募株式投資信託など
1階部分 20万円 つみたてNISA対象商品

新・NISAでは、原則として1階部分での積立投資をしていなければ、2階部分での投資ができない仕組みとなっています。ただし、現行NISAを開設している人もしくは、投資経験者に限り2階部分のみの投資が可能になります。このように新・NISAは、将来に向けたより安定的な資産形成を目指す制度だといえるでしょう。

口座を開設した時期により、投資可能期間や非課税投資枠が変わる

表3で紹介したとおり、現行NISAでは2023年までしか投資できないだけでなく、2019年以降に投資した資産はロールオーバーできないといった制限がありました。しかし、新・NISAがスタートすることにより投資可能期間は2028年まで延び、2019年以降のロールオーバーも可能になります。

では、新・NISAを活用すると、どのくらいの投資可能期間や非課税投資枠を得られるのでしょう。投資を開始した年別のシミュレーションを表6に紹介します。

▽表6.投資を開始した年別の投資シミュレーション
 
投資を開始した年 投資可能期間 非課税投資枠(最大)
2020年 9年

(2020~2028年)

1,090万円

(120万円×4年+122万円×5年)

2023年 6年

(2023~2028年)

730万円

(120万円×1年+122万円×5年)

2028年 1年 122万円

このように、NISAでの投資をいつ始めるかにより、投資可能期間や非課税投資枠に大きな差がでます。将来に向けた資産形成において非課税制度をできるだけ活用するには、NISAを早く始めることが大切です。

1階部分で投資した資産は、非課税期間終了後につみたてNISAへの移行も

新・NISAの非課税期間終了後、1階部分で投資した資産についてはつみたてNISAへの移行も可能です。その場合、移行からさらに20年間、非課税で運用することができます。一方、2階部分は非課税期間終了後に課税口座へ移管されます。

1階部分をつみたてNISAに移行する場合には、通常のロールオーバーと同様に、移行する年の非課税投資枠が使用されます。仮に、非課税期間終了時に時価25万円の資産をつみたてNISAに移行したとしましょう。つみたてNISAの毎年の非課税投資枠は40万円なので、移行した年に新たに積立できる金額は15万円(40万円-25万円)となります。

税制改正により、つみたてNISAの投資可能期間は5年延長

2020年度税制改正により、つみたてNISAの投資可能期間は5年間延長されました。これにより、2020年につみたてNISAを始めた場合の最大非課税投資枠は、720万円(40万円×18年)から920万円(40万円×23年)に増加します。

非課税投資枠と投資可能期間を十分に活用するには、早めのスタートが肝心

NISA口座は、金融商品への投資から得た利益にかかる税金が非課税になる制度です。NISAには、非課税投資枠や投資可能期間があります。投資を始める時期が遅くなるほど、投資できる期間が短くなったり、投資できる金額が少なくなったりします。NISA口座での投資を早くスタートさせることで、非課税制度を十分に活用した将来への資産形成を目指してみてはいかがでしょうか。
 
文・
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている
 

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