投資・資産運用
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2020.11.24

資産を増やすための投資ってどういうもの?手取り減に備える資産運用はじめの一歩

(写真=methaphum/stock.adobe.com)
(写真=methaphum/stock.adobe.com)
近年、税金や社会保険の負担が年々増しています。それにも関わらず、給料はなかなか増えず、手取りは減っています。「貯金を増やしたいけど、何をしたらいいかわからない……」という方に向けて、投資を検討すべき理由と、投資がうまくいくときの資産の増え方についてお伝えします。

給与はほとんど横ばい、それにも関わらず国民負担は増えている時代

厚生労働省による毎月勤労統計を見ても、平成24年度から令和元年度までの会社員(パート含む)の所定内給与(賞与を除く)は約26万5,000円で横ばいに推移しており、ほとんど増えていません。日本を含む世界各国が経済的な打撃を受けた令和2年度の所定内給与はさらに減少することが予想されます。

しかしながら、給与が増えていない状況にも関わらず、給与から差し引かれる税金や社会保険料は増えていて、手取りは減っているのです。

特に給与から差し引かれる社会保険料は大きなものになっています。令和2年9月以降給与からも賞与からも差し引かれる厚生年金保険料率は9.15%(自己負担分)、健康保険料率は5.83%(自己負担分 介護保険料あり)です。厚生年金保険料率は平成15年までは8.675%(自己負担分)、健康保険料率は4.1%でしたので、1人ひとりの負担は増加しています。

現在、厚生年金保険料、健康保険料の合計は約15%であり、このぶんが給料から差し引かれます。ちなみに給与月額が50万円なら、厚生年金保険料4万5,750円、健康保険料(介護保険料含む)2万9,150円が毎月差し引かれます。他に所得税、住民税も引かれるのですから、手取りはかなり少なくなる印象です。

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銀行の預金は超低金利。投資こそが資産を増やす方法の1つ

給与から引かれる税金・社会保険料が増え、手取りが減っていても、生活費、教育費、住宅費、老後資金などのお金は変わらず必要です。資産も増やしていきたいものです。

給与天引きによる資産づくりの王道に財形貯蓄がありますが、大手銀行の財形貯蓄金利は年0.002%(固定金利)です。普通預金金利が年0.001%なので、比較すると2倍の高金利になりますが、残念ながら大差はありません。100万円を1年預けても20円(税引き後18円)、1,000万円を1年預けても200円(税引き後180円)の利子がつくだけです。ATM手数料でも支払えば利子は消えてしまいます。これだけ低金利の世の中、資産を増やすには、投資を検討することも1つの方法といえるでしょう。

現金で貯めるのは、「お金を減らさない、守ること」のためと理解する

投資ではなく現金を貯めるというのも一案です。特にお金を増やす必要性を感じない、貯金も増えないままでいいのなら超低金利の定期預金、財形貯蓄などもありでしょう。

しかし、認識したいのは「増やす目的」で銀行に定期預金を預けていても、目的が実現することはないという現実です。定期預金・普通預金・貯蓄預金はすべて「お金を減らさない、守ること」がメインです。

72の法則(お金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な算式。「72÷金利≒お金が2倍になる期間」)を使い定期預金金利、年0.002%で預けた100万円が200万円になるのにどれだけかかるか計算してみました。72÷0.001%=10万年もかかるのです。年4%の利率だと、72÷4%=18年です。こちらはお金を増やすには現実的な年数ではないでしょうか。

投資を始める前に、投資の種類とメリット・デメリットを知っておく

投資とは利益を得る目的で資産(お金等)を証券等に費やすことです。そして、投資と一口にいってもいろいろな種類があります。ある会社の株式(個別銘柄)を買う、国債を買う、社債を買う、外貨を買う、投資信託を買うなどが一般的ですが、それぞれメリットとデメリットがあります。

株式

個別銘柄(株式)は値動きが総じて大きく、リスクも高いのが特徴です。その会社が倒産すれば株式も紙切れ(ゼロ円)になり、値上がりすれば短期間に元金を数倍にすることも可能です。

国債、社債

国債や大手会社の社債は、安定性があり、最後まで持っていると元金が返済されます。定期的に利子がつき、途中で売ることもできます。その際、価格が下がっていることがあります。

外貨

外貨に投資すれば、外貨預金が可能です。海外の預金金利は、日本国内とは比べて高いため、運用先として有望といえます。また、外貨は買うときにレートが上乗せされ、売るときもレートが差し引かれます。円安になれば、外貨を売って円に戻す時に為替差益を得ることができます。もちろん、急に円高になって損をすることもあります。

投資信託

投資信託とは投資家から集めたお金をまとめ、専門家が投資・運用する商品です。株式や債券、不動産、経済指標等、専門家が決めた投資対象で集めた資金が運用されます。値動きは個別銘柄(株式)ほど大きくなく、分散投資をしていることから資産がゼロになる可能性は比較的低いです。一方、販売手数料や信託報酬(運用管理手数料)を取られることが多く、手数料が高めのものもあります。

現金を貯めるのと違い、どの投資を取ってもリスクがあるという点では共通です。そして、リターンを得られる可能性もあります。

リスクとリターンを正しく理解する

では「リスク」とは、いったい何でしょうか。リスクとは将来の予想可能な危険や損失のことで、投資にとっては「お金が増えるかどうか不確実なこと、損をするかもしれないこと」です。

対して「リターン」(見返り)とは、金融商品を保有することで得ることができる利益です。「期待したリターン(収益)」が予想を上回ったり下回ったりする「ブレ幅」がリスクとなります。「投資でのリスク」とは「金融商品の価格の振れ幅」でもあります。「価格のブレ幅が大きい」と損をする可能性も大きいから、「リスクは高い」といえます。

ハイリスク・ハイリターンは大きな見返りが期待できる一方で下ブレも大きい

ハイリスク・ハイリターンとは、リターン(見返り)を多くしようとすれば、リスク(損失の可能性)も大きくなるという意味です。

たとえば、個別銘柄(株)に投資する場合が挙げられます。個別銘柄は、価格のブレ幅が大きいからハイリスクなのです。100万円で個別銘柄を買っても半年後価格が下がり50万円になるかもしれません。逆に150万円になる可能性もあります。大きく値の動く可能性がある商品なので、ハイリスク・ハイリターンということができます。

ローリスク・ローリターンは損失の可能性が低い反面、見返りも小さい

ローリスク・ローリターンとは、リスク(損失の可能性)が小さいけれどリターン(見返り)も小さいことです。身近な例をあげると、定期預金がこれに当たります。定期預金は元金100万円を預けた時に金利0.002%で満期後100万16円(利子の税引き後)となり、ブレ幅は16円と少なくローリスクです。

株(個別銘柄)と定期預金を例に出しましたが、他に定期預金ほどではありませんが、価格のブレ幅が小さい(リスクが低い)金融商品もあります。また、金融相場は何かのきっかけで、上昇する時期と下落する時期があり、下落する時期に金融商品に投資し、上昇した時期に投資資金を回収(売却)できるのが理想です。

上昇下落を繰り返すことを相場の変動といいますが、いつ上昇し(価格が上がる)、いつ下落(価格が下がる)するかは、なかなか予想がつきません。上昇下落は時期によって異なることから、時期を変えていくつかに分けて投資を行うと、価格のブレ幅(リスク)は少なくすることができます。これを分散投資といいます。

投資で長期運用すると資産はどれだけ増えるのか?

相場の変動リスクをおさえられる分散投資について、考えてみましょう。金融商品の価格のブレ幅(リスク)を少なくする方法の1つは「毎月一定額を投資する」ということです。証券会社によっては「毎営業日」投資できるところもあります。期間10年で1ヵ月に1度(毎月)5万円を投資した場合を計算してみましょう。

毎月5万円、期間10年を運用した場合の違い比較

▽定期預金のパターン

毎月5万円を0.002%で10年運用すると、最終積立金額600万595円になりました。

▽利回り3%で運用したパターン

同じく計算すると、毎月5万円を3%で10年運用すると、最終積立金額698万7,071円になりました。定期預金のときとは大きな違いです。

時間をかけるほど元本が増えていく複利計算

老後は2,000万円かかるということが問題になったことがありましたが、来年定年だからといって、すぐに2,000万円用意するのは難しいでしょう。しかし、10年後、20年後に向けて準備するのであれば2,000万円も可能となります。ここに効いてくるのが複利の効果です。

複利とは、増えた利子分や利益分を元本に足し合わせて、そこにまた利率を掛け合わせていく方法です。利子や利益分が元本に加わるので、長期間であればあるほど元本が増え、結果、発生する利益も大きく増えていきます。

たとえば、毎月5万円で運用するとして、積立金額2,000万円に到達するには、投資信託の運用利率3%では24年後に2,100万円を超えます。実際の積立額は1年で60万円、24年でトータル1,440万円ですが、結果、600万円以上のプラスが発生する計算になります。まさに時間をかけた長期投資による複利効果とはこのことをいいます。

リスクを避けつつ資産を増やしたい人が注目したい金融商品は?

投資につきもののリスクですが、誰しも損はしたくないものです。では、リスクを極力とらずに資産を増やせる商品はあるのでしょうか?数は多くありませんが、そのような商品も存在します。

低リスクな金融商品1: MRF

MRFは投資信託の一種で、万一、証券会社が破綻しても分別管理されるのが特徴です。MRFは国債や政府保証債、社債などに投資しており、元本割れのリスクが極めて低い商品です。MRFの金利は、現在(令和2年9月15日時点)で大手証券会社でも0.001%から0.005%と5倍も利率が異なります。毎週運用利率を見直ししている点も魅力的です。

低リスクな金融商品2: ETF

ETFとは、証券取引所に上場し株価指数などに代表される指標(日経平均など)への連動を目指す投資信託です。経済指標に投資しているので倒産してゼロになる可能性がないのが利点です。

低リスクな金融商品3:iDeCoの定期預金

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛け金が全額、給与所得の課税所得から差し引かれるため、節税になります。定期預金型を選べば、元本を確保できて、掛け金の全額を所得控除できるため、税率が高ければ高いほど節税効果があります。

投資でも低リスクの商品もあり。少額&長期的な投資などを考えてみては?

投資といっても低リスクの商品もあります。特につみたてNISAやiDeCoの商品は、元本割れがしづらいバランス型などが多く、株式の個別銘柄のように倒産して元金がゼロになる可能性は高くありません。平均的に1%から7%くらいまでの運用をしているものが多く、定期預金よりずっと有利だといえます。

また、つみたてNISAは月100円からでもはじめられるところが多く、「生活費に影響のない範囲」での投資が充分に可能です。今後は少額で長期的な投資を考えてみるのもいいでしょう。
 
文・
国内外の金融機関で、金融マーケットに直接携わる仕事を長く経験。現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、主に金融に関する情報発信も行っている。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、FP一級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
 

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