投資・資産運用
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2020.11.20

証券会社は変更できる?保有する株を移動する方法は?メリットや注意点と併せて紹介

(写真=Looker_Studio/stock.adobe.com)
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株取引を始めてから、証券会社を変更したいと思ったことはありませんか?手続きをすれば、すでに保有している株を別の証券会社に移すことができます。効率的な資産運用のために、株式移管の手続きを確認しましょう。

株式移管はどのような場合に有効か

一般の投資家が株取引を行うには、証券会社に証券総合口座を開設する必要があります。長期にわたる資産運用では、特に問題がない限り証券会社を変える機会はほとんどないでしょう。しかし、何らかの不都合が発生したり、もっと有利な証券会社が見つかったりした際は、株式移管を検討することになります。

株式を移管するケース1:投資資産を一括管理し、納税の負担軽減を図りたい

複数の証券会社で保有している株式を、1つの証券会社にまとめることで、投資資産が管理しやすくなるケースがあります。一括管理により、納税の簡素化を図ることもできます。

株や投資信託といった金融商品への投資によって得た分配金や配当金、値上がり益といった利益には、通常20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金を納めなければなりません。納税方法は、投資を行う口座の種類により異なります。

▽表1.口座種類別の納税方法とポイント
 
  特定口座(源泉徴収あり) 特定口座(源泉徴収なし) 一般口座
値上がり益の源泉徴収 あり なし なし
分配金・配当金(※)の源泉徴収 あり
口座内の取引における損益通算 あり(確定申告不要) あり(確定申告必要) なし
年間取引報告書の発行 あり あり なし
その他の証券口座との損益通算 確定申告が必要
※配当金を源泉徴収するには、配当金の受取方法を利権確定時までに株式数比例配分方式にしておく必要があります

特定口座(源泉徴収あり)は、その口座内の取引に関して、原則として確定申告が不要の口座です。特定口座(源泉徴収なし)は確定申告が必要ですが、証券会社から年間取引報告書が発行されるため、比較的簡単に申告・納税ができます。

それに対して一般口座は確定申告が必要なうえ、年間取引報告書が発行されません。そのため、投資家自身で1年間の取引をまとめて計算し、申告・納税する必要があります。

1つの特定口座(源泉徴収あり)で金融商品を保有している場合は、確定申告が不要のケースがほとんどです。しかし、複数の特定口座や一般口座で金融商品を保有している場合には、損益通算などのために確定申告が必要になることもあります。確定申告が大変だと感じている人は、保有する株式を1つの特定口座(源泉徴収あり)にまとめることで、納税の手間を軽減できるでしょう。

株式を移管するケース2:より条件が良い証券会社が見つかった

株式を移管するケースの2つめは、より条件が良い証券会社が見つかったときです。証券会社はそれぞれサービスも違いますし、手数料なども異なります。より投資スタイルにあった証券会社をが見つかれば、証券会社の変更も選択肢になるでしょう。では、証券会社を比較検討するポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

・比較ポイント1:手数料
株や投資信託といった金融商品の取引では、取引手数料がかかります。手数料は証券会社により異なるため、しっかり確認しましょう。一般的には店舗や窓口を持つ店舗型の証券会社よりも、インターネット上で取引するネット証券の手数料が低く設定されています。

▽表2.店舗型の証券会社とネット証券の国内株式手数料例(税抜き)
 
1注文の約定金額 野村證券(店舗型) 楽天証券(ネット証券)
本・支店 オンライン専用支店
50万円 3,250円 477円 250円
100万円 5,540円 953円 487円
300万円 1万3,540円 2,858円 921円
500万円 2万1,240円 4,762円 921円

これは一例ですが、店舗型とネット証券では手数料がかなり違います。さらに楽天証券とSBI証券では、1日の約定代金合計額ごとに手数料がかかるプランを選択すると、楽天証券は50万円まで、SBI証券は100万円までの国内株式取引の手数料は無料であることがわかります。

・比較ポイント2:ポイントサービスの有無
証券会社によっては、取引内容に応じてポイントが付与され、ポイントを利用した投資も可能です。証券会社を選ぶ際には、ポイントサービスの有無や還元率、ポイント投資の条件などを確認しましょう。ここでは例として3社のポイントサービスを比較してみましょう。

▽表3.証券会社によるポイントサービスの例
 
証券会社名 提携ポイント 国内株購入時の還元率 ポイント投資
SMBC日興証券 dポイント 委託手数料200円(税込)ごとに1ポイント キンカブ(金額・株数指定投資)で1ポイント1円として利用可能
楽天証券 楽天ポイント 手数料の1%をポイントバック 1ポイント1円として株や投資信託の購入に利用可能
SBI証券 Tポイント 月間の合計手数料の1.1%相当 1ポイント1円として投資信託の購入に利用可

・比較ポイント3:インターネット取引やツールアプリの確認
インターネット取引の充実度や、取引に便利なツールやアプリは、証券会社によって異なります。使いにくいと感じるツールでは、取引自体が面倒になり、投資をやめてしまう原因にもなります。

多くの証券会社のホームページでは、用意しているツールの操作画面などが紹介されています。ネットやスマートフォンの積極的な活用を考えている人は、取引ツールを事前に確認しておくことで投資のストレスを低減できるかも知れません。

株式を移管するケース3:より商品ラインアップが豊富な証券会社で取引したい

証券会社によって取り扱う商品数は大きく異なります。取扱商品数が多い方が、投資スタイルに合った銘柄を選びやすくなるでしょう。ここでは4社の取り扱い商品を見てみましょう。

▽表4.証券会社別の取扱商品数
 
  大和証券 野村證券 SBI証券 楽天証券
投資信託 534ファンド 947ファンド 2,640ファンド 2,680ファンド
国内ETF(上場投資信託) 250銘柄 230銘柄(ETN含む) 251銘柄(ETN含む) 227銘柄
国内REIT(不動産投資信託) 62銘柄 63銘柄 62銘柄 63銘柄
外国株取り扱い国数 20カ国(ダイワ・コンサルティングコースの場合) 4カ国(オンラインサービス利用の場合) 9カ国 6カ国

ネット証券であるSBI証券と楽天証券は、大和証券や野村證券よりも投資信託の取扱本数が多くなっています。また、両証券会社とも投資信託の購入時手数料が無料です。自分に合った投資商品が見つからないときは、投資スタイルに合った商品を取り扱っている証券会社に変更することも選択肢の1つといえるでしょう。
 

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証券保管振替機構(ほふり)を活用すれば株は移管できる

証券会社間での株式の移管(口座振替)は、証券保管振替機構(ほふり)による振替制度で行われます。

株式の移管で使われる証券保管振替機構(ほふり)とは、投資家から預かった株式や社債、投資信託などを集中保管する機関です。証券保管振替機構では、保管する資産の名義書換や売買に伴う受け渡し、発行会社への株主通知といった手続きを行っています。

2009年に株式が電子化(ペーパーレス化)されて以来、投資家の株券は、証券保管振替機構および証券会社など金融機関の口座において、電子的に取引されるようになりました。電子化により、株券の紛失や盗難、偽造といったリスクをなくすことができますが、これは投資家にとってはもちろん、発行する企業や取り扱う証券会社にとっても、管理コストやトラブルの削減といった効果があります。

株の移管手順は3つ

ここからは、株式の移管に関する手続きを、3つの手順で解説します。

株の移管手順1:移動先の証券会社に口座を開設し、株を移管したい旨を伝える

株式を移管するには、移管先の証券会社で証券総合口座を開設する必要があります。株式の振替は、特定口座から特定口座、一般口座から一般口座というように、同じ種類の口座間でしかできません。新たに口座を開設する場合には、必ず現在保有中の口座の種類を確認しましょう。

証券会社の口座開設手続きは、証券会社によっては数日かかります。移管手続きが滞ることがないよう、口座開設手続きは前もって進めておきましょう。

株の移管手順2:移動元の証券会社に移管の意思を伝え、必要書類を提出する

移管先の証券会社での口座開設が完了したら、移管元の証券会社に証券保管振替機構を利用した移管の意思があることを伝えます。そして、「口座振替依頼書」もしくは「特定口座内上場株式等移管依頼書」に必要事項を記入し、証券会社に郵送します。これらの書類は証券会社のホームページからダウンロードできますし、郵送で受け取ることもできます。

株の移管手順3:株の移管完了を確認する


手続き書類を提出すると、1~2週間で手続きが完了します。移管完了は、証券会社ホームページのお客様ページなどで確認できます。

株式移管の注意点

株を移管する際は、所要日数と手数料を確認しておくことが重要です。

・株式移管の注意点1:所要日数
口座移管手続きでは、書類提出から移管が完了するまでに数日から1週間程度かかります。この間は、株の売買ができません。移管する際には、タイミングをみて手続きを行うことが大切です。

・株式移管の注意点2:手数料
株式を移管するには、証券会社ごとに定められた手数料がかかります。

▽表5.株式の移管に必要な手数料の例(税抜き)
 
  他の証券会社から入庫する場合 他の証券会社に出庫する場合
みずほ証券 500万円以上の入庫で無料 ・1単元以下:1,000円
・1単元超~10単元以下:1,000円+1単元(未満含む)ごとに500円
野村證券 無料 ・20単元未満:基本料金550円+1単元あたり550円(最低1,100円)
・20単元以上:1万1,000円
松井証券 無料 無料
SBI証券 移管元の手数料による 無料
楽天証券 500万円以上で無料 無料

証券会社によっては株式の移管に手数料がかかります。移管に必要な手数料額と、移管によって得られるメリットを比較することも、株式の移管を検討するうえで重要なポイントです。

証券会社を固定する必要はなし。投資スタイルに応じて変更しよう

株を移管する最大のメリットは、投資スタイルに合った証券会社で運用を再スタートできることにあるといえるでしょう。手数料や取扱商品数は証券会社により異なるため、投資スタイルに合わない証券会社では、資産運用を十分に楽しめない可能性があります。

たとえば手数料が高い証券会社を選んでしまうと、コストが気になり積極的な売買ができなくなるでしょう。また、複数の商品で分散投資したいと考えているなら、取扱商品数が多い証券会社を選ばないと選択肢は少なくなります。投資開始後に証券会社のサービスと、投資スタイルに齟齬を感じたときには、株式移管を検討してみてはいかがでしょうか。
 
文・
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている
 

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