投資・資産運用
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2020.11.19

証券会社と銀行の違いとは?それぞれの役割と違いを確認しよう

(写真=THINK b/stock.adobe.com)
(写真=THINK b/stock.adobe.com)

証券会社と銀行は、どちらも資金の預入や資産の運用ができる金融機関です。しかし、両者にはそれぞれ、得意とする業務や役割があります。証券会社と銀行の特徴を理解し目的に合った口座を使い分けて、スムーズで賢い資産運用・管理を目指しましょう。

銀行:口座保有率は91%超。得意とするのは「お金の管理」

全国銀行協会が2019年に発表した調査結果によると、いずれかの銀行で個人口座を保有する人の割合は91.1%でした。このように、多くの人が利用する銀行口座が得意とする業務内容は、「お金の管理」です。ここではまず、銀行口座でできる取引内容を詳しくみていきましょう。

銀行の特徴1:お金の入出金ならお任せ。各種引き落としや給与振込などを設定できる

銀行口座がもっとも得意とする取引は、預かったお金の管理です。具体的には、入出金や振込、給与や年金の受け取りなどです。実際に、先述の全国銀行協会による調査結果でも、銀行口座の3大利用目的は「普通預金」「定期預金」「現金の出入、振込、払込」という結果でした。

そのほか、クレジットカードや公共料金・税金などの自動口座引き落としも主要な取引の1つです。また、住宅ローンなどの借り入れのために、銀行口座を開設している人もいます。このように、生活に密着したお金の管理ができる銀行口座は、お財布や家計簿のような役割を持っているといえるでしょう。

銀行の特徴2:投資信託や外貨預金の取り扱いもあり。ただし商品ラインアップや手数料には注意

銀行では預貯金のほか、投資信託や外貨預金といった金融商品の取り扱いも行っています。取り扱う商品数や種類は銀行により異なりますが、証券会社などに比べるとラインアップは多くありません。また、銀行によっては手数料が高めのケースもあります。銀行で金融商品の取引をする場合には、事前にしっかり確認しましょう。

・銀行で投資信託や外貨預金を行うには、それぞれ口座開設が必要
銀行で投資信託や外貨預金を購入すると、普通預金や定期預金とは別の口座で管理されます。そのため、投資を始めるにあたっては、預金口座とは別に投資信託口座や外貨預金口座の開設が必要です。投資信託口座や外貨預金口座は、通帳が発行されません。投資資産残高や運用状況は、銀行から発行される取引レポートや、インターネットバンキングでの口座照会で確認しましょう。

なお、投資信託の購入資金の引き出しや売却代金の入金を預金口座で行った場合、分配金を預金口座で受け取った場合などは、預金口座通帳にその履歴が記入されます。そのため、銀行での投資信託や外貨預金への投資では、取引内容や取引履歴の一部を預金口座通帳で確認することも可能です。
 

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証券会社:利用者はまだ少ない?得意とするのは「資産の運用」

日本証券業協会による2019年の調査では、証券会社と取引をしているもしくは、過去に取引をしたことがある人は18.5%にとどまるなど、証券会社を利用する人はまだそれほど多くはありません。しかし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)がスタートしたことで、投資により資産形成をする人は年々増加しています。それに合わせて、証券会社に口座を開設する人も増えてきました。

証券会社が得意とするのは「資産の運用」です。では、証券会社では具体的にどのような取引ができるのでしょうか。

証券会社の特徴:運用のプロ。さまざまな金融商品の取引が可能

証券会社は、資産運用が専門の金融機関です。そのため、さまざまな種類の金融商品を取り扱っています。以下は証券会社で取り扱う金融商品の一例です。
  • 国内外の株式
  • 国内外の投資信託
  • 国内外のETF(イーティーエフ:上場投資信託)
  • 国内外のREIT(リート:不動産投資信託)
  • 国内外の債券
  • 外貨預金
  • FX(エフエックス:外国為替証拠金取引)
一部の投資信託および国内外の債券・外貨預金・FXは銀行でも取引が可能ですが、取扱商品数は証券会社にはおよびません。また、国内外の株式やETFの取り扱いは証券会社のみです。このように、証券会社は投資をする人に、より多くのサービスを提供している金融機関となっています。

そのほか多くの証券会社では、市場や経済・銘柄の現状や今後の展望についてのレポートなども積極的に発信しています。そういった情報は、銘柄選択や売買タイミングの決定などをスムーズにする材料となるでしょう。

手数料の安さや利便性を求めるならネット証券を検討しよう

証券会社には、店舗や窓口を持つ「店舗型」と、インターネット上での取引に特化した「ネット証券」があります。それぞれのメリットおよびデメリットを、表1にまとめます。

▽表1.店舗型証券会社とネット証券のメリットおよびデメリット
 
  店舗型証券会社 ネット証券
メリット 投資方針や手続きを窓口スタッフに相談できる ・手数料が安い
・時間や場所を選ばず取引ができる
デメリット ・手数料が高い
・営業時間外は取引ができないことも
投資銘柄の決定や手続きを、投資家自身で行う必要がある

スタッフに相談しながら投資銘柄を決めたい、もしくは売買手続きに不安があるという人は、店舗型の証券会社も検討しましょう。一方、インターネット上での取引に不安がない人は、ネット証券も有力な選択肢となります。

では、ネット証券の手数料や手続き方法には、どのような特徴があるのでしょうか。ネット証券の特徴を、もう少し詳しく見てみましょう。

・ネット証券の特徴1:手数料が安い
ネット証券の特徴は、店舗維持費や人件費を抑えられるぶん、手数料が低く設定されている点です。以下に、ネット証券の手数料の一例を紹介します。
  • 1日の合計約定代金が50万円以下の国内株式現物取引の場合、手数料が0円のことも
  • 購入時手数料が無料の「ノーロード投資信託」が充実
  • 証券会社所定の米国ETFには、買付手数料が無料のものもある
  • ポイントプログラムによるポイント還元で、手数料がさらに安くなるケースも
手数料は、投資をするうえでコストとなります。そのため投資を成功させるには、手数料を抑えた効率的な運用を目指すことも大切なポイントです。コストをできるだけ抑えて資産運用をしたい人は、ネット証券を活用してもよいでしょう。

・ネット証券の特徴2:時間や場所を選ばずに取引ができる
インターネット上で取引が完結するネット証券は、パソコンやスマートフォン、タブレットといった通信端末とインターネット環境があれば、時間や場所を選ばずに投資ができます。証券取引所の取引時間外にはリアルタイムな取引はできませんが、翌営業日以降に予約注文をしておくことは可能です。日中に営業時間内に窓口に行くことが難しい人や、投資の時間が取れない人も、ネット証券を利用することで円滑な資産運用を目指せるかもしれません。

証券会社で取引するには証券総合口座の開設が必要

証券会社で金融商品の取引を始めるには、証券総合口座の開設が必要です。証券総合口座は、窓口もしくは郵送・インターネット上で開設手続きができます。窓口営業時間での手続きが難しい人は、インターネットでの手続きが便利です。

インターネット手続きではまず、証券会社ホームページから口座開設に必要な事項を入力し、次に本人確認書類を提出します。本人確認書類は、WEBからのアップロードか郵送により提出しましょう。どちらの提出方法を選ぶかで、表2のように必要な書類が異なります。提出書類に不備があると手続き完了までに時間がかかることがあるため、事前にしっかり確認することが重要です。

▽表2.証券総合口座開設に必要な本人確認書類の組み合わせの例
 
必要な本人確認書類 WEBアップロード 郵送
マイナンバーカードがある マイナンバーカード マイナンバーカード+本人確認書類(※)1種類
マイナンバーカードがない 通知カード+運転免許証もしくはパスポート 通知カード+本人確認書類2種類

※運転免許証・パスポート・住民基本台帳カード・住民票の写し・各種健康保険証・各種年金手帳・印鑑証明書など

本人確認書類を提出し、証券会社の審査が終了すれば口座開設手続きは完了です。手続きを行ってから開設までにかかる日数は、証券会社によって差があります。資産運用を検討している人は、口座開設手続きだけでも進めておくと、スムーズに投資をスタートできます。

投資資金の現金化には数日かかる


証券総合口座で運用する場合の注意点は、投資資産をすぐに現金化できない点です。株や投資信託の解約申込後、売却・解約代金が口座に入金されるまでの一般的な所要日数は表3のようにまとめられます。

▽表3.売却・解約から入金までの一般的な資産別所要日数
 
資産 所要日数
国内株式 3営業日
国内投資信託 4営業日以上

このように、株や投資信託といった金融商品は、解約代金をすぐに引き出すことができません。投資を始める際には資産状況を確認し、緊急時に引き出せる現金もある程度用意しておくことが大切です。

・売却のタイミングを選べる資金での投資も重要
投資を成功させるうえで重要なのは、売却のタイミングを選べる資金で投資を始めることです。株や投資信託などは、値動きのある金融商品です。よって、購入価格よりも値上がりした状態で売却すれば利益を得られますが、値下がりした価格で売却すると損失を被ります。

使い道が決まっている資金で始めた投資は、場合によっては損失が出ている状況で売却をしなければならなくなります。一方、長期に渡り使い道が決まっていない余裕資金であれば、価格が上がったタイミングを待って売却が可能です。投資で失敗しないためには、余剰資金や老後資金など、長期で使う予定がない資金を活用することが肝心です。

銀行や証券会社が破綻したらどうなる?

銀行と証券会社では、破綻時における預かり資産の保護にも違いがあります。万が一のときに慌てることがないよう、知っておくと安心です。

銀行が破綻したら:預金保険制度によって1銀行につき1,000万円まで保護される

銀行破綻時には、預金保険制度による保護が適用されます。保護の対象となる預金の種類や保護される金額は、表4のとおりです。

▽表4.預金保険制度の詳細
 
  預金の分類 保護される金額
預金保険制度の対象 決済用預金 当座預金・利息のつかない普通預金など 全額保護
一般預金など 利息のつく普通預金
・定期預金
・定期積金
・元本補てん契約のある金銭信託
・金融債(保護預り専用商品に限る)など
合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護
預金保険制度の対象外 外貨預金・譲渡性預金・金融債など 保護の対象外

なお、投資信託は取引窓口が銀行だったとしても、ファンドの信託財産を管理する信託銀行により管理されています。そのため、銀行が破綻した場合にも、原則としてその資産が減ることはありません。

証券会社が破綻したら:分別管理により原則として全額保護される

証券会社の破綻時には、投資家の資金を守る2つの制度があります。

・投資家の資金を守る制度1:顧客資産の分別管理
証券会社は、投資家から預かった資金や有価証券を、証券会社自身の財産とはわけて保管することが法律で義務付けられています。これにより、証券会社が破綻してしまった場合でも、財産を投資家に返還することが可能になるのです。そのため通常であれば証券会社が破綻しても、投資家の資産は速やかに返還されると考えてよいでしょう。

・投資家の資金を守る制度2:投資者保護基金
顧客資産の分別管理がしっかり守られていれば、投資家の資金は全額返金されるはずです。しかし、何らかの理由で円滑な返還が困難になった場合には、投資者保護基金による補償制度が適用されます。補償制度で守られるのは、原則として1人1,000万円までです。金融商品によっては時価で換金後に返還されることもあり、この場合、資産価値が減少する可能性があります。

まとめ:目的に合わせた口座の使い分けが、上手な資産運用・管理のコツ

銀行は、「お金の管理」を得意としています。銀行口座は、現金の入出金ができるだけでなく、振込や振替、自動引き落としなどの設定もできます。

一方、証券会社は「資産の運用」を得意とします。証券総合口座を開設することで、国内外の投資信託や株式・ETF・REITといった幅広い金融商品の取引が可能です。

銀行口座と証券口座は、それぞれ異なる役割を持っています。特徴に合わせた使い分けを行い、上手に資産の運用・管理を行いましょう。
 
文・
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている
 

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