投資・資産運用
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2020.11.18

投資する30代が急増!新時代の日本人の投資スタイルと将来資産を大検証

(写真=beeboys/stock.adobe.com)
(写真=beeboys/stock.adobe.com)
日本は欧米諸国に比べて家計資産に占める有価証券の割合が低い傾向にあります。しかし最近は政府による税制優遇策の導入や社会情勢の変化などによって、若年層を中心に投資熱が高まっています。本記事では、変化する日本人の投資スタイルと資産形成における投資活動の有効性について解説していきます。

全体としては日本人の投資は進んでいないのが現実

政府は、老後資金の自助を促すため、家計資産に偏重する現金や預貯金を有価証券に移行させるべく、2014年にNISA口座を、2018年にはつみたてNISA口座を、それぞれ導入しました。

しかし、制度導入から数年が経過しましたが、日本の家計資産の54%は現金または預貯金によって占められており、有価証券の割合は13%程度に留まっていることから、全体的に現金偏重の傾向から抜け出すことができていません。

アメリカの家計資産のうち有価証券が占める割合は50%超、ユーロエリアでも25%超となっており、日本よりも投資活動が盛んに行われています。

しかし、なぜ日本人はこれほどまでに現金・預貯金を嗜好しているのでしょうか?

1万円の価値は同じではない、現金偏重がもたらすリスク

日本の家計資産が、これほどまでに現金・預貯金に偏重してしまった原因として、日本は世界でも珍しく通貨価値が相対的に上昇する「デフレーション」に長期間さらされたためと考えられます。

デフレーションにより現金・預貯金を所有しているだけで購買力を高めることができたため、リスクをとって投資活動を行う必要性が薄かったためです。

しかし、2019年に実施された消費税率の10%への引き上げの影響もあり、物価の変動を示す消費者物価指数は賃金上昇を上回りつつあります。

現金・預貯金は、本来、経済状態により価値が流動的に変化するものです。例えば経済上望ましいとされている、経済成長により賃金上昇と物価の上昇が同時に生じる、緩やかなインフレーション下では現金の価値は徐々に低下してしまいます。

こうした場合、老後資金などの資金を現金・預貯金で準備してしまうと、実質的な価値が下落し、充分な額を賄えないリスクがあります。
 

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一般NISA・つみたてNISAの口座数は好調に推移

日本は、少子高齢化の深刻化に伴い、社会保障費の増大が予想されており、老後資金の中核たる老齢年金の給付条件の悪化などが懸念されています。「老後資金不足」への対応や「貯蓄から資産形成」を促すために、政府は一般NISA口座・つみたてNISA口座などの税制優遇策を導入し、投資活動を前提とした老後資金の準備を後押ししようとしています。

先に見たとおり、諸外国に比べると日本人の投資活動は鈍いままですが、一般NISA口座・つみたてNISA口座の開設は順調に進んでいます。

2020年6月末時点の証券会社における一般NISA口座数とつみたてNISA口座数は、それぞれ727万口座と133万口座に達しており、実際に投資活動には移っておらずとも、老後資金などの資産形成に投資活動を取り入れようとしている方は着実に増加しているものと推測されます。

では実際に、一般NISA口座・つみたてNISA口座を利用している方はどのような銘柄・金融商品に投資を行っているのでしょうか?

一般NISA口座・つみたてNISAで購入されている投資信託は?

一般NISA口座とつみたてNISA口座はどちらか一方しか開設することができないため、投資活動の目的や収入の状況にあったものを選ぶことが大切です。

口座開設者の傾向として、一般NISA口座は50代以上のすでにある程度の財産を持った方が利用しており、つみたてNISA口座は20代~40代の資産形成段階にある方が多く利用しています。

一般NISA、つみたてNISAともにNISA口座は値上がり益と配当金にかかる所得税が非課税となる仕組みのため、購入した資産が値上がりしないかぎり、税制優遇の恩恵を受けることができません。

楽天証券のNISA買付代金ランキング(2020年9月時点)によると、以下の投資信託が値上がりを期待され、盛んに購入されています。

▽一般NISA口座での買付額上位
日経ダブルインバース、純金上場信託、楽天225ダブルベア

▽つみたてNISA口座での買付額上位
eMAXISSlim米国株式(S&P500)、eMAXISSlim全世界株式(オールカントリー)、楽天・全米株式インデックス・ファンド

楽天証券の一般NISA口座では、2020年上半期の景気悪化に備え、日経平均が下落した場合に価格の上がるインバース・ベア型の投資信託や、不況に強く近年最高値を更新している金への投資が進んでいました。

つみたてNISA口座ではより長期的な投資活動が行われており、経済成長が順調な米国株式や全世界株式などに資産を分散させた投資活動を行っていることがわかりました。

新NISA口座の仕組み

現行の一般NISA口座は2023年までの時限式で、制度が恒久化されていないことから、期間満了後の取り扱いが懸念されていましたが、2020年度の税制改正大綱により、2024年から新NISA口座が利用できる見込みとなりました。

新NISA口座は、現在の一般NISAとつみたてNISAを合わせたような2階建ての仕組みとなっており、年間の投資合計額は122万円まで引き上げられます。

しかし、下記の通り投資する金融商品の性質に合わせて、年間に投資できる金額の上限が異なるといった変更点があります。

・新NISA口座の1階部分
現在のつみたてNISAに相当し、金融庁の定める長期投資の要件に適合した投資信託または、ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)などに、年間20万円まで投資することができます。

・新NISA口座の2階部分
現在の一般NISA口座に相当しますが、レバレッジの取り入れられた投資信託は利用することができなくなっており、新NISA口座では監理銘柄などを除いた個別株式に年間102万円まで投資することができます。

2020年は30代の金融資産に大きな異変!投資が進む

2020年は「自粛」などによって支出が下落した一方、一律10万円の定額給付金があり家計の実収入は大きく向上。結果、多額の資金が貯蓄に回りました。

その資金の向け先とされたのが、有価証券への投資活動でした。特に30代の資産形成層においてその動きが顕著に進んでいます。

30代の口座開設数が多い、つみたてNISA口座では米国株式・全世界株式などが購入されていたことから、経済危機による株価の下落を一時的なものと考え、価格が下がった瞬間を見逃さず押し目買いに走ったものと思われます。

ここ10年の日経平均株価の値動きは順調に推移していたため、リーマンショックやバブル崩壊などの暴落を経験していなかったことから、いち早く行動に移ることができており、将来の資産形成に投資活動を積極的に取り入れていく姿勢が伺えます。

今後、投資をする人は富み、そうではない人の差が拡大する可能性

日本の経済状態はアベノミクスなどに代表される一連の経済政策によって順調に推移し、消費者物価指数も向上し、デフレ状態を抜け出しつつありました。

ところが2020年の経済危機で、消費支出が大幅に減少してしまいました。これにより貯蓄率は向上したものの、企業業績の悪化が予想されることから、今後は実収入が減少に移行する恐れがあります。

物価が上がり賃金が下落する状態は「スタグフレーション」と呼ばれます。スタグフレーション下では、株価に下落圧力が生じることになりますが、下落相場ではドル・コスト平均法の強みを活かすことが可能です。一時に資金を投じるのではなく、つみたてNISA口座を利用し少しずつ投資活動を続けていくことで、株価が反転したときに資産に大きな差が生じていることでしょう。

年利6%の定期預金、100年後の価値は?

先述したとおり、資産を現預金で持ち続けた場合、長期のインフレによって資産価値が目減りするリスクに直面します。例えば過去には次のような事例がありました。

2015年に、年利6%で預け入れが行われていた旧新潟貯蓄銀行の100年定期預金が満期を迎え、預金額は複利効果もあいまって当初の339倍にも達しました。

1915年当時の小学校教員の初任給は20円程度と言われており、仮にその金額を100年定期預金に預け入れていた場合、満期時の金額は6,780円となります。

当時の貨幣価値では家を購入できる金額であり、100年定期預金を利用された方々は、このお金により子孫の暮らし向きは大きく向上すると期待を寄せていたと思われます。

しかしその後の敗戦・高度経済成長期などに生じたインフレは、年利6%もの定期預金金利すら上回る勢いで物価の上昇をもたらしたため、現在の貨幣価値では小学校教員の初任給を大きく下回る額となってしまいました。

この事例は日本が著しい経済的変動に見舞われていた時代を経ているため、そのまま現代に当てはめることはできませんが、現代の私たちが抱いている貨幣価値が将来も普遍のものではないということに気づかせてくれます。

オンライン証券を中心にNISA口座の開設が進む

近年、スマートフォンの普及により投資環境が大きく改善されました。以前からオンライン取引は存在しましたが、パソコンを介して行う必要があったため、オンライン証券が盛んに取り入れているスマホアプリほどの利便性がありませんでした。

現在はオンライン証券を中心にNISA口座の開設が行われており、売買手数料の安さに加え、口座開設手続きなども24時間いつでも行うことができ、オンライン上で完結するといったメリットがあります。

その反面、オンライン証券ではIDやパスワードなどの管理が重要となり、万が一それらが流出してしまった場合、不正出金などの被害にあうデメリットがあります。

パスワードの共用や類推しやすいものは避け、定期的に変更するなどの基本的な管理を行うことが必要です。オンライン証券、対面型の証券会社それぞれの利点や注意点を比較して、自分に合った証券会社で口座を開設するようにしましょう。

老後貧困を避けるためには投資活動が必要

金融庁が2019年に発表した「高齢社会における資産形成・管理」において、老齢年金とは別に老後資金
は2,000万円が必要と言われ大きな波紋を呼びました。

老後生活の資金源として期待できるのは老齢年金の給付金や定年退職に伴う退職金などです。しかし、近年は派遣・非正規社員の拡大や退職金制度の廃止によって資金源としての効果が減じつつあります。

仮に老後資金の2,000万円を30年にわたって準備すると考えた場合、月々約5万6,000円を貯蓄に回す必要がありますが、3%程度のリターンを見込める投資活動を取り入れた場合、投じる資金の額は月々3万5,000円程度まで圧縮することができます。

老後生活の柱として重要な老齢給付だけでは生活費を賄うことができず、今後は自助による老後資金の準備が欠かせないものとなりますが、現在の家計貯蓄残高は半分以上の世帯で必要額を下回っています。

老後資金は人生の最終段階で生じるため、資金の不足を取り戻す時間的余裕がないので、準備不足の結果として老後貧困に陥り、家族などへ負担を負わせてしまうことになってしまいます。

また、支援した家族も支出の増加によって将来老後貧困に陥ってしまうかもしれません。老後資金の不足は自分だけの問題で終わらない恐れがあるということを認識しておきましょう。
 
文・
2級ファイナンシャルプランニング技能士、一種証券外務員資格保有、管理業務主任者 人生のお金の設計図であるマネープランには、マイホームの取得や養育費の準備、老後資金の確保といった問題に対処するため、資産運用やリスク対策の為に各種保険を利用していく必要があります。 複雑化するマネープランに対し、PDCA【Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)】サイクルを利用したコンサルタントを行っている
 

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