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2020.11.13

楽天証券とSBI証券はどう使い分ける?2大ネット証券を賢く使う上級テクニック

(写真=Romolo Tavani/stock.adobe.com)
(写真=Romolo Tavani/stock.adobe.com)
店舗型の証券会社に比べ、口座開設費用や口座管理手数料のかからない「ネット証券」では複数口座を開設するのも容易であり、各社の利点を活かして資産運用できるという魅力があります。そして数あるネット証券会社のなかでも代表格とされるのが「楽天証券」と「SBI証券」です。今回はネット証券の2大巨頭を比較し、その使い分け方を考察します。

2大ネット証券会社、楽天とSBIを比較

楽天証券とSBI証券は、ともに運用コスト面で業界最安水準を誇ることなどから人気を集めています。しかし、システムやサービスには両社の違いが表れます。まずは両社の設定する手数料、取り扱い商品、サポート体制を比較してみます。

楽天証券とSBI証券の手数料を比較


・国内株式の手数料

国内株式の取引では、楽天証券、SBI証券ともに2種類の手数料プランがあります。具体的には、「注文ごとに手数料が課されるプラン」、「1日ごとに手数料が課されるプラン」を両社とも設けています。

前者については、楽天証券は「超割コース」、SBI証券は「スタンダードプラン」という名称で、両社とも同額の手数料です。


▽表1. 楽天証券「超割コース」・SBI証券「スタンダードプラン」の手数料1
 
1回の取引金額 手数料(税込)
5万円まで 55円
10万円まで 99円
20万円まで 115円
50万円まで 275円
100万円まで 535円
150万円まで 640円
3,000万円まで 1,013円
3,000万円超 1,070円

後者については、楽天証券は「いちにち定額コース」、SBI証券は「アクティブプラン」という名称で、こちらは50万円まではどちらも無料、50万円以上となった場合にSBI証券のほうが安く設定されています。

▽表2. 楽天証券「いちにち定額コース」
 
1日の取引金額合計 手数料(税込)
50万円まで 0円
100万円まで 943円
200万円まで 2,200円
300万円まで以降、100万円増加ごとに1,100円(税込)追加 3,300円

▽表3. SBI証券「アクティブプラン」
 
1日の約定代金合計 手数料(税込)
100万円まで 0円
200万円まで以降、100万円増加ごとに440円(税込)追加 1,278円

なお楽天証券では取引が1日のうちに同一銘柄を売買した場合、「デイトレード割引」が適用され、手数料が無料となるケースがあります。

PTS取引・夜間取引を行う場合、楽天証券では日中取引額と前日の夜間取引分を合算して手数料を算出します。一方、SBI証券では、PTS取引と日中取引で手数料体系を分け、日中より安価な手数料システムを導入しています。

以下はSBI証券「インターネットコース」でインターネット取引を行った場合のPTS取引手数料一覧です。

▽表4. SBI証券 PTS取引手数料
 
1注文の約定代金 PTS取引手数料(税込)
デイタイムセッション(8:20~16:00)
※SBI証券指定の国内上場ETF現物取引手数料は無料
ナイトタイムセッション(16:30~23:59)
5万円まで 51円 0円
10万円まで 94円
20万円まで 110円
50万円まで 261円
100万円まで 508円
150万円まで 608円
3,000万円まで 963円
3,000万円超 1,016円

以上の点を加味すると、1日に50万円を超える取引を行う場合や夜間取引を多く利用する場合、SBI証券がより低コストとなる可能性があります。ただしこれはかなり積極的な運用といえ、プロトレーダーでもない限りは両社間での手数料にさほど違いはないと考えられます。

・外国株式、債券、ETFの手数料

まず、海外銘柄を扱う場合に切り離せない要素が「為替コスト」です。楽天証券とSBI証券、両社を比較すると額面ではほぼ同額ですが、一部通貨のみ差異があります。

▽表5. 楽天証券とSBI証券の為替コスト
 
通貨(/日本円) 楽天証券 SBI証券
ユーロ 50銭 80銭
香港ドル 香港株15銭 15銭
上海株20銭

ただしSBIについて、これはあくまで「SBI証券」で外貨取引した場合であり、提携銀行である住信SBIネット証券を利用した場合、以下の通り安価で外貨調達が可能です。

▽表6. 楽天証券と住信SBIネット銀行取扱い通貨の為替コスト
 
通貨(/日本円) 楽天証券 住信SBIネット銀行
米ドル 25銭 4銭
ユーロ 50銭 13銭
豪ドル 70銭 25銭
NZドル 70銭 25銭
カナダドル 80銭 25銭
香港ドル 香港株15銭
上海株20銭
5銭
イギリスポンド 70銭 28銭
南アランド 30銭 14銭

また同行はSBI証券口座への外貨送金が無料のうえ、一部為替コスト0円キャンペーンを施行している場合もあり、後述の取扱い国数の多さも含め海外銘柄ではSBI証券がより優位に立ち回れる可能性があります。

続いて取引手数料ですが、人気の米国株式では楽天証券、SBI証券ともに同額ですが、最低手数料が適用される約定代金にわずかな違いがあります。ただし前述の通り、SBI証券であれば住信SBIネット銀行経由で為替コストを低く抑えることが可能です。

▽表7. 米国株式の取引手数料(インターネット取引)
 
  楽天証券 SBI証券
取引手数料 約定代金の0.495%(税込) 約定代金の0.495%(税込)
最低手数料 0ドル
(約定代金2.22米ドルまで)
0ドル
(約定代金2.02米ドルまで)
上限手数料 22ドル(税込) 22ドル(税込)

タイ株式では最低手数料とシステムが異なります。1バーツを仮に3.4円とすると、SBI証券の最低手数料837.1バーツは約2,846円です。また住信SBIネット銀行ではタイバーツが取扱われていないため、為替コスト面でのアドバンテージはなく両社ともに8銭/バーツです。

▽表8. タイ株式の取引手数料
 
  楽天証券 SBI証券
取引手数料 約定代金の1.1%(税込) 約定代金の1.1%(税込)
最低手数料 550円(税込) 837.1バーツ(税込)
※売却代金がこれに満たない場合は約定代金の55%(税込)
上限手数料 上限なし 上限なし

中国株でも手数料が異なっています。約定代金に対する掛け率は楽天証券のほうが高いですが、2020年9月のレートを用いて47香港ドルを約634円、470香港ドルを約6,340円とすれば、手数料の最低額・上限額はSBI証券のほうが高く設定されています。

▽表9. 中国株式の取引手数料
 
  楽天証券 SBI証券
取引手数料 約定代金の0.55%(税込) 約定代金の0.286%(税込)
最低手数料 550円(税込) 51.7香港ドル(税込)
上限手数料 5,500円(税込) 517香港ドル(税込)

ただし香港ドルは住信SBIネット銀行で調達が可能で、楽天銀行が15銭(上海株なら20銭)であるのに対し、住信SBIネット銀行は5銭と大幅に為替コストが下がります。仮に1万香港ドル購入するとすれば、為替手数料は500円と1,500円にまで開くことになるため、こちらも加味するとSBI証券での取引がよりお得といえます。

なお、両社とも外国債券、海外ETFで為替スプレッドは共通、ETFの取引手数料も株式と同じ料金体系をとっています。

・金、銀、プラチナの手数料

金、銀、プラチナでは楽天証券、SBI証券ともに年会費・管理費・売却手数料が無料です。買付手数料およびスプレッドには開きが見られ、楽天証券が業界最狭水準を誇ります。

▽表10. 金・銀・プラチナ取引の手数料
 
  楽天証券 SBI証券
買付手数料 1.5%(税抜) 2.0%(税抜)
スプレッド 金78円
銀125円
プラチナ3.9円
金80円
銀145円
プラチナ4円

なお、SBI証券では貴金属の残高が一定量以上になったタイミングで「現物転換請求」が可能になります。

楽天証券とSBI証券の取扱い商品ラインアップについて

・海外株式の商品ラインアップ

豊富な商品ラインアップやコストパフォーマンス、キャンペーンの多さなど、両社ともに海外株式でも甲乙付け難い魅力があります。あえて比較するなら、取扱い国数では楽天証券が6ヵ国であるのに対し、SBI証券が9ヵ国とネット証券No.1の手広さです。

▽表11. 海外株式取扱い国数
 
楽天証券 SBI証券
6ヵ国(米国、中国、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア) 9ヵ国(同左、韓国、ベトナム、ロシア)

・投資信託の商品ラインアップ

投資信託の取扱い本数は両社ともに業界トップクラスで、差はほぼないといえるでしょう。

▽表12. 投信取扱い本数(※各社HPより)
 
楽天証券 SBI証券
2,688本 2,690本
※楽天証券:2020年9月28日現在、SBI証券:2020年8月19日現在

・IPOの商品ラインアップ

IPO(新規上場株式)の取扱い件数は以下の通りです。

▽表13. 2019年のIPO取扱い実績比較(2020年9月21日時点)
 
楽天証券 SBI証券
26件 84件

一般にネット証券は対面型証券会社に比べIPOの取扱い件数において秀でているとはいえませんが、SBI証券は例外で、他の対面型証券に引けを取らない取扱い実績を誇っています。

楽天証券とSBI証券のサポート体制について

・楽天証券:初心者への配慮、国内情報の多さ
楽天証券は「楽天経済圏」と呼ばれる、楽天グループの多くのサービスとの連携が厚く、楽天スーパーポイントの付与や新規口座開設キャンペーンなど初心者向けサービスが充実しているのが特徴です。

ツールについては、自社製のロボアド(ロボットアドバイザー)が提供されています。楽天証券オリジナルコンテンツ「マーケットスピードⅡ」は現在国内株式対応でOSはWindows版のみですが、「マーケットスピード」であればMac版も提供されています。投資情報・注文・管理までが一画面で完結し、さまざまな注文スタイルに対応しています。

また国内企業の膨大な情報量を集約したデータベース「日経テレコン」が、通常であれば有料のところ楽天証券ユーザーなら無料で利用できます(楽天証券版)。加えてロイター・ジャパンなどの最新ニュースも無料で閲覧が可能です。

・SBI証券:海外情報に強い
対するSBI証券では、豊富な外国銘柄の扱いに伴い充実した海外情報を提供しています。

株価・チャート(リアルタイムは有料)はもちろん、大手通信社であるトムソン・ロイター社による財務詳細(賃借・キャッシュフロー計算書、収益性・安全性指標など)やマーケットニュースを確認できるほか、モーニングスター社による評価レポ-トも閲覧可能です。

ツールに関しては、アンケートに答えておすすめの投資信託を紹介してくれる「SBI-ファンドロボ」と、実際の運用・リバランスまで行ってくれる「WealthNavi for SBI証券」の2種が利用できます。ただし後者のサービスは投資対象のコストとは別枠で1%(税別、年率)の管理費用がかかる点、またWealthNavi for SBI証券専用口座の開設が必要な点に留意してください。
 

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口座やポイントプログラムから見た楽天証券とSBI証券の使い分け

手数料や商品ラインアップなど中身も大切ですが、楽天証券およびSBI証券は付随サービスも充実しており、より実際的な要素として関係してきます。

楽天証券のポイントプログラム

・活用の幅が広い「楽天スーパーポイント」
買い物や旅行などさまざまなシーンで使用できる楽天スーパーポイントですが、「ハッピープログラム」にエントリーすると投資分野でも貯めることができます。

たとえば国内株式であれば取引手数料100円ごとに1ポイント付与されます。投資信託は、月間平均保有残高10万円につき4ポイントが翌々月に付与されます。またつみたてNISAに関しては楽天カードからクレジット決済することができ、こちらでも100円につき1ポイントが付与されます。

なお、楽天証券でハッピープログラムを通じポイントを貯めるには、楽天銀行と楽天証券の口座連携サービス「マネーブリッジ」の申し込みが必要です。

SBI証券のポイントプログラム

・Tポイントと連携「マイレージサービス」
一方、SBI証券ではTポイントと連携しています。これは「マイレージサービス」という仕組みで、国内株式取引のスタンダードプラン手数料や現物PTS取引の月間手数料から1.1%相当のTポイントが還元されます。投信では月間平均保有額が1,000万円未満なら0.1%相当、1,000万円以上なら0.2%相当のTポイントが付与され、Tポイントを買付に充当することも可能です。

またその他にも新規口座開設時や金・銀・プラチナの取引手数料でもポイント付与が行われます。

・外貨送金に強い「住信SBIネット銀行」との連携
前半で紹介したように、住信SBIネット銀行と連携することにより、安く外貨調達を行うことができます。これは「SBIハイブリッド預金」と呼ばれる口座連携サービスで、住信SBI外貨普通預金口座からSBI証券口座へ外貨のまま無料で送金できます。

「楽天証券」と「SBI証券」それぞれの上手な使い分け例

それぞれ魅力的なサービスを持つ楽天証券とSBI証券ですが、ここまでの内容を整理し、使い分け例を考察してみます。

国内株式、投資信託では楽天証券

楽天証券は国内企業情報の閲覧サービスが充実しており、また自社ロボアド「マーケットスピード」も用いてスムーズな取引が可能です。

また投資信託では保有残高に応じたポイント還元が行われ、積立購入にクレジットカード決済を利用すればさらにポイントが付与されます。

外国株式ならSBI証券

9ヵ国というトップクラスの取扱い国数、住信SBIネット銀行との連携による為替スプレッドを中心としたコスト削減、またロイター社サービスなど得られる海外情報の多さから、海外株式やその他外貨建て商品はSBI証券がより有利に立ち回れる可能性があります。

IPOではSBI証券

IPOにチャレンジする場合、ネット証券では群を抜いて関与率が高いSBI証券での取引が便利でしょう。もちろん、新規抽選時は楽天証券からの同時応募でさらなる当選率アップを図ることも可能です。

iDeCoではSBI証券

SBI証券はiDeCo取扱いにおいて老舗と呼ばれるほどで、現在では2つのプランを提供し、わかりやすくかつ選択肢も豊富なサービスを展開しています。特に信託報酬の低い商品を集めた「セレクトプラン」は最安水準のコストで、新しいプランのためさらなるサービス拡充も期待できます。

初心者は楽天証券、本格トレードではSBI証券向きか?

楽天証券、SBI証券ともにネット証券の代表格だけあり、両社ともに充実のサービス・商品ラインアップを誇ります。しかし、あえて両社を比較し、それぞれの強みをうまく使いこなすことができれば投資生活がより充実することでしょう。

楽天証券はサイトのデザイン含むサポートの手厚さやポイント制度、国内情報量が魅力なのでまずはこちらで投資を始め、大口取引や海外銘柄、IPOなどより積極的な運用を行えるようになればSBI証券も利用する、など段階的な運用も良いのではないでしょうか。
 

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