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2020.11.5

ノーロードファンドは投資初心者の味方?運用に活用するために必要なヒント

(写真=lovelyday12/stock.adobe.com)
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手堅くリターンを確保している投資家の多くは、知識豊富でビジネストレンドもしっかりフォローしています。そして、成長が期待できる有望企業の株に的を絞って投資する傾向にあります。対して、十分な経験や知識がない人にとって、個別株を厳選することは容易ではありません。リスクを抑えるため、投資先が分散されている投資信託を上手く活用することが鍵となりますが、そこで気になるのは売買手数料です。そうした声に応えるように、「ノーロード」の投資信託が数多く販売されています。このノーロード投資信託の特徴を理解し、投資の味方につけるためのポイントをお伝えします。
 

投資信託には、じつはいろいろな手数料がかかる

ノーロード投資信託を理解する第一歩は、投資信託の仕組みをきちんと頭に入れることです。

投資信託は投資家から集めた、その資金を株式や債券、不動産などに投資します。投資先を選ぶのは運用の専門家であるファンドマネージャーです。投資によって利益を得た場合は、資金を拠出した投資家たちに分配されます。

このように、投資家からの資金集め、運用、利益分配に加え、投資対象を選定する専門家への支払いなどそれぞれにコストが発生します。このかたちで投資家が負担するコストが「手数料」と呼ばれるものです。

投資信託で運用する場合手数料は次の3つの段階で必要となってきます。
  1. 投資信託の購入時
  2. 投資信託を保有、運用している期間
  3. 投資信託を売却する際
最初に投資信託を購入する際には、購入時手数料として申し込み価格の数%を支払います。これは購入時に投資家が直接負担します。次に、投資信託を保有、運用している期間中にかかる手数料で、主に3つあります。

1つは、運用管理費用あるいは信託報酬とも呼ばれるコストです。この手数料は、保有する投資信託の額に応じて負担するもので、年率何%というかたちで設定されています。

次に監査報酬のコストです。これは、投資信託は決算毎に監査を受ける必要があり、それにかかる費用です。

3つめは、売買委託手数料と呼ばれるコストで、投資信託で運用している株式などを売買する際に手数料がかかるため、それを投資家が負担することになります。

投資信託の保有期間中にかかるこの3つの手数料は、投資信託で集まった資金から差し引きされて支払われるため、投資家が直接的に支払うことはありません。間接的な支払いという点が他の手数料とは異なります。

最後に、投資信託を解約して換金する際は信託財産留保額という手数料を負担します。投資信託によっては、このコストがかからないものもあります。また、投資信託の解約時ではなく、申込時にこの手数料を支払わなければならない場合もあります。この信託財産留保額は、投資家が直接支払うことになります。
 

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ノーロードの投資信託なら、購入時の手数料がかからない

投資信託を活用してプロの運用に任せる場合、こうした手数料を把握しておく必要があります。手数料を数パーセント負担することになれば、運用益が上がったとしても、手数料負担でその利益が目減りしてしまいます。また、長期運用を視野に入れている場合、年単位では数%の手数料でも長年となるとその額は看過できないものとなります。

投資に興味を持ったものの、手数料の負担感から運用をためらう人がいるかもしれません。とはいえ、手数料を払わず自分で投資先を選定する自信もない、という人にとって強い味方となるのが「ノーロード」です。

ノーロードの特徴はとてもシンプルです。投資信託を購入する際に手数料がかかることは先述のとおりですが、ノーロードの投資信託はこの手数料がかかりません。購入時の手数料負担がなくなるのであれば、投資信託をはじめるハードルもぐっと低くなるのではないでしょうか。

主流にもなりつつあるノーロード投資信託

投資信託の購入手数料の相場は1%から3%が主流となっています。つまり、100万円を運用しようとすると、投資信託を購入した時点で1万円から3万円ほどのコスト負担となります。

手数料のパーセンテージではなく、金額ベースでみるとその負担感は一層強まります。そのため、購入手数料がかからないノーロードの投資信託は運用の強い味方となります。最近は、ノーロードの投資信託が主流になりつつあり、株式や債券、不動産、国内、海外などが数多く販売されています。

こうしたノーロードの投資信託が広がった背景の1つに、販売会社の短期的な手数料ビジネスからの転換が挙げられます。

証券各社は、短期的な手数料収入で稼ぐビジネスモデルから、顧客からの預かり資産を増やしながら運用をサポートする環境を整備しています。

また、証券会社などの金融機関の窓口や営業担当者を介して資産運用をしていた時代から、ネット証券が台頭し、オンラインで簡単に投資できるようになりました。これによって、金融機関側でも販売にかかる人件費などのコストが削減されたこともノーロードの投資信託の存在感の拡大に一役買っています。

ノーロードの投資信託だから、すべてOKとはならない

いまでは投資信託の主流はノーロードといえるでしょう。しかし、購入時手数料が無料というだけで飛びつくのは禁物です。どのような投資商品にも、メリットとデメリットが少なからず存在します。同じノーロードの投資信託でも、さまざまな違いがあるので、自身の運用スタンスに見合っているかを見極めることが大切です。

ノーロードの投資信託が存在感を増しているのは事実です。しかし、購入時手数料がかかる投資信託を購入する価値がなくなったわけではありません。同じ日本株で運用する投資信託でも、購入時手数料がかかる投資信託のほうがノーロードの投資信託よりも利益を上げているのであれば、その手数料は支払う価値があるとも考えられるからです。

ノーロード投資信託のメリットをどのように活用するか

購入時手数料が不要なノーロード投資信託は、どのように資産運用に取り入れ、活用していけば、メリットを最大限に活かせるのでしょうか。

投資を実際に始めていない方が運用の一歩を踏み出す際、購入時のコストがかからないというのは大きなメリットとなります。先ほど紹介したように、投資信託には、購入、保有期間、売却と、それぞれのタイミングでコストが発生します。さらに、間接的にその手数料を負担するものもあります。

しかし、入り口となる購入時に手数料がかからなければ、10万円の投資を希望する場合、その額面通りだけの資金を準備すればよいことになります。

購入時手数料が無料となれば、投資家自身が積極的に投資信託を乗り換える機会が増えるかもしれません。投資信託は、必ずしも利益が保証されているわけではなく、金融危機や不況により、予想しない損失に見舞われることもあります。運用益が見込めない場合、保有する投資信託を売却して、別の投資信託への乗り換えを検討することになります。

いざ乗り換えを決めた際、購入時の手数料が不要なノーロード投資信託は、有力な乗り換え先になるのではないでしょうか。

資産運用にはリスクは付き物です。一般的に、株式は債券よりリスクが高いとされます。そして、日本国内を対象とした投資信託は海外を対象とした投資信託よりも為替などの影響を受けにくく、リスクが抑えられるといわれます。

この定説に当てはめると、国内の債券で運用する投資信託は、相対的にリスクが抑えられることになります。投資家としては比較的安心して投資できる商品となりますが、裏を返せば低リスクの投資信託に高いリターンは望めないことになります。

従って、運用益の見込みが控えめな投資信託こそ、いかに手数料を抑えられるかが運用のポイントとなります。購入時に3%の手数料を払った投資信託が、1年間で1%程度の収益しか上げられなかった場合、負担した手数料を運用で取り戻すのに3年かかってしまいます。ノーロードの投資信託をうまく活用できれば、運用益が相対的に控えめであっても利益の確保につながります。

ノーロード投資信託の注意点

資産運用の強い味方となるポテンシャルを秘めているノーロードの投資信託ですが、万能とは限りません。ノーロードの投資信託のリスクと向き合うためには、いくつか注意すべき点があります。

ノーロードの投資信託は購入手数料が無料というのは魅力的です。しかし、そのメリットばかりに目を奪われ、その他の手数料のチェックを怠ってはいけません。投資信託にかかる手数料の項目で説明した通り、投資信託は購入後、保有期間、さらには売却時に手数料が発生します。

購入時以外の他の手数料は必ず確認する

ノーロードの投資信託を見つけたら、次に行うことは他の投資信託との比較です。投資信託を保有している期間にかかる信託報酬、監査報酬、売買委託手数料、売却時に負担する信託財産留保額が割高になっていないかをチェックしましょう。これらの手数料が割高に設定されていたら、購入手数料が無料でも、結果的に投資家が負担する手数料が割高になってしまいます。

その投資信託が利益を上げているか、運用成績を確認する

手数料をチェックした後は、投資信託自体のパフォーマンスにも目を向けなければなりません。いくらノーロードで初期費用が抑えられても、投資そのもので利益を上げていなければ、資産運用の手助けとなりません。投資信託は、毎年の運用成績が公表されますので、こうした点も確認する必要があります。

純資産総額が一定以上の水準を保っているか、確認する

また、投資家から十分な資金が集まらない投資信託は繰上償還の措置が取られることがあります。現時点で損失が発生していて、その投資信託の売却を望まない場合でも、繰上償還となれば換金を迫られることになります。そのため、投資信託の規模を示す純資産総額が一定の水準を保っているかにも目を配りましょう。

ノーロードの投資信託の数が増加傾向にある現在、購入時の手数料無料は、大きな特徴ではなくなってきています。ノーロードは魅力的なキーワードにみえますが、その他の手数料や運用実績など、さらに一歩踏み込んだ情報をチェックし、購入を判断することが求められます。

ノーロード投資信託に多いインデックス投資とは

ノーロードの投資信託は購入時の手数料が無料であることとは別に、投資方針についても理解を深める必要があります。ノーロード投資信託の主流を占めるのがインデックス投資です。インデックス投資は、日経平均株価や米国のダウ工業平均などの指数に連動する運用成績を目指すものです。

イメージとしては、日経平均株価が10%値上がりすれば、日経平均に連動するインデックスの投資信託も同等の運用益が上がります。ある特定の企業の業績や自動車やメーカーなど特定の業種の動向ではなく、日本経済全体の動きに沿うように運用される、というわけです。

インデックス投資はあくまで指標に連動する動きを目指すことを方針として掲げているため、長期的なスタンスで構える必要があります。たとえば、日経平均株価が1日や2日、あるいは1、2か月で数倍に上昇することは考えにくく、過去の株価の推移を見ても、そうした値動きは起きていません。

着実に運用益を確保するためには、ある程度の時間的なゆとりが求められるため、短期決戦で運用益を求めるスタイルには合致しません。

まずは、自身がどのような運用目的なのかを明確にする必要があります。老後資金のため、あるいはマイホームの購入資金のためなど、目的があるはずです。

ノーロードの投資信託では、運用方針をインデックス投資と定めている商品が多くあります。そのため、長期的に運用を目指すのであれば、投資スタンスに合致した金融商品となるでしょう。

アクティブ型のノーロード投信も登場

インデックス投資と対極にあるのがアクティブ投資です。アクティブ投資の運用は、指標以上のパフォーマンスを目指すことを方針としています。

たとえば、日経平均株価が10%程度の値上がりでも、同じ期間で株価が20%、30%上昇する銘柄も存在します。プロの運用担当者がこうした相対的に高いパフォーマンスを上げる銘柄を絞り込み、投資信託に組み込みます。

投資対象を取捨選択する段階でプロの目利きがかけられるため、インデックスファンドより高いリターンが期待されます。

これまではノーロードの投資信託はインデックス投資が主流を占めてきましたが、最近はアクティブ投資も登場し始めています。

アクティブ型のノーロード投資信託の注意点

同じノーロードの投資信託であれば、インデックス投資よりも高い利益が期待できるアクティブ投資に軍配が上がりそうですが、注意点もいくつかあります。

ノーロードの投資信託のアクティブ投資であれば、インデックス投資と同様に購入時の手数料はかかりません。しかし、保有時にかかる信託報酬、解約時に支払う信託財産留保額がインデックス投資よりも割高に設定される傾向があります。

指標よりも高い利益を目指して、運用の対象となる銘柄をプロが選ぶため、投資信託の保有期間と解約時にかかる手数料は必然的にインデックス投資よりも割高になります。この割高の手数料を支払っても、インデックス投資よりも高い運用実績が上がっているかをチェックする必要があります。

また、アクティブ投資では、指標を上回るパフォーマンスを目指すため、相応のリスクも発生します。たとえば相場の下落局面においては、指標を大きく下回る損失が発生する可能性があることを念頭に置かなければなりません。

余裕資金による運用で、ある程度のリスクを許容できる投資スタンスであれば、ノーロードのアクティブ投資も資産運用の選択肢に入れることも可能でしょう。

ノーロード投資信託を手堅く運用に利用

日本政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げてから久しく経ちますが、低金利、少子高齢化社会の進行による社会保障の持続性への不安などから、資産運用の重要性は増しています。また、投資の際にかかる金銭的負担などもノーロード投資信託の登場によって、一変しました。投資信託の購入時手数料がなくなったことで、投資信託を活用した資産運用のハードルは低くなったといえるでしょう。

ただ、ノーロード投資信託は「購入時手数料」無料という特徴で注目を集めたものの、それは現在、最大の強みといえなくなっています。ノーロードというワードに目を奪われるのでなく、手数料の水準や運用パフォーマンス、さらには純資産額を確保できているかといった、一歩進んだ情報をチェックすることが求められてきています。

購入した投資信託のパフォーマンスが思わしくない場合は、新たなノーロードの投資信託を購入するのに手数料が不要なため、投資信託の乗り換えによって資産運用のポートフォリオを見直しやすくなりました。

裏を返せば、以前は、購入時の手数料負担を毛嫌い、一旦購入した投資信託を運用実績が望ましくないにも関わらず放置しておく傾向が投資家間でみられました。しかし、ノーロード投資信託が数多く誕生した現在は、随時運用実績のチェックを怠らないようにして、場合によっては投資信託を乗り換えるという選択肢も考慮していかなければなりません。

さらに、ノーロード投資信託の大半を占めるインデックス投資なのか、あるいは指標を上回る運用益を目指すアクティブ投資かを識別しなければなりません。どちらの投資手法が優勢ということではなく、自身の投資スタンスがインデックス投資あるいはアクティブ投資のどちらに合致しているのかを見極めることが重要です。

長期的なスタンスで運用を目指すのであれば、インデックス投資は手数料が抑えられ、運用の強い味方となるポテンシャルを秘めています。一方、リスクの許容度が高い投資スタンスにおいては、アクティブ投資を活用して、指標より高い運用益を目指すという選択肢も取ることができます。
 

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