投資・資産運用
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2020.10.17

【特集#1】「IPO株」投資の傾向と対策2020

(写真=ANA Financial Journal編集部)
(写真=ANA Financial Journal編集部)
株式を証券取引所に上場したIPO(株式の新規公開)銘柄が個人投資家に大人気です。最初の取引で付けた株価(初値)が、上場前に投資家に販売する公開価格を大幅に上回るケースが続出し、中には9倍を上回る急騰銘柄もありました。2020年は景気の足取りがおぼつかない年ですが、逆境に負けずに上場してきた新顔企業は、業績も株価もこれまでにない爆発力を秘めていそうです。

初値で公募価格の9倍を上回る銘柄も登場

2020年は4月以降7月29日までに12社が東証上場企業の仲間入りを果たしました。上場先はマザーズ市場が10社、ジャスダック市場が2社です。12社のうち11社で初値が公開価格を上回りました。勝率は約92%にも上ります。

特に6月24日にマザーズ市場へ上場したフィーチャ(本社・東京都豊島区)は従業員22人と小所帯ですが、自動運転用の画像認識ソフトを開発する将来性が高く評価され、上場初日から大量の買い注文が殺到。上場翌々日にようやく付いた初値は公開価格の9.06倍でした。

フィーチャを含めこれまで10銘柄の初値が公開価格の2倍を超えました。仮に4月以降の全12銘柄を最小単位の100株ずつ買って、初値で全株を売却すれば、合計204万円の投資元本が2.9倍の588万円になっていた計算になります。現実にはIPO銘柄は人気が高いため、全銘柄を購入するのは事実上不可能ですが、IPO銘柄はほかの株式投資と違い、かなり高い勝率をもたらしてくれる宝の山と言えるでしょう。

2020年初からでは、2月に地域別のネット掲示板を運営するジモティー(本社・東京都品川区)と建設現場事務所などを賃貸するコ―ユーレンティア(本社・東京都港区)の2社がトップバッターとして2月7日に上場。ジモティーの初値は公開価格の2.3倍、コ―ユーレンティアは33%高といずれも好調な滑り出しでした。
 

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マーケット環境の悪化でIPOを取り下げる企業が続出

ところが、その後は世界的な株価急落のあおりで、初値が公開価格を下回る企業が続出し、5月はIPOが一時中断していました。企業の将来性が期待できても、株式市場を取り巻く環境が極端に悪化する局面では、IPO銘柄の投資であっても必ず利益を出せるとは限らないことがわかります。

株式を公開した企業の目的は多様化。新興企業のIPOの意欲は変わらない

上場企業は有形無形を問わず、さまざまな負担を課されます。上場準備として公認会計士に監査してもらい、経営の透明性についてお墨付きをもらいます。

サポーター役の主幹事と呼ばれる証券会社は単に株式を売りさばくだけでなく、ベンチャー企業に出資する投資会社との面談をセットしたり、東証の上場審査をパスできるようアドバイスをしたりします。当然、上場後も年4回の決算発表や株主総会の案内など投資家とのコミュニケーションも欠かせません。

こうした負担を承知のうえで企業が上場する目的はさまざまです。投資家に新株を売って設備投資や研究開発の資金を調達する企業が一般的ですが、従業員の士気向上や社会的な信用度アップなども上場の大きな目的のようです。

IPOを延期する企業が続出する4月6日に上場した松屋アールアンドディ(本社・福井市)はエアバッグや自動車用シートなどを生産し、人工知能(AI)搭載の縫製機器も作る企業です。同社は上場後の報道機関の取材に対し、株式市場の大荒れが収まらない中で予定通り上場した狙いについて「優秀な人材を確保するため」と答えています。技術力で勝負する地方企業にとって、株式上場は資金よりも大事な人材を集める格好のチャンスなのでしょう。

株価の回復しつつある市場で、IPOの数も回復傾向に

厳しい市場環境のなか、一時は停滞したIPOですが、その後の株式市場の株価回復とともにその数も元のペースに戻りつつあります。長期化する金融緩和と、新しい生活様式が求められる状況下、市場を変革する爆発力を秘めた新興企業への期待は高まっています。投資としてのIPO銘柄の魅力も変わらず続くと予想されます。
 

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