投資・資産運用
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2020.10.16

資産運用は何から勉強すべき?はじめの一歩は家計分析から

(写真=Rawpixel.com/stock.adobe.com)
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年金を含む社会保障の持続性や長寿リスクへの不安、崩壊しつつある年功序列・終身雇用制度のなかで、国や勤務先に頼るのではなく、個人が積極的に資産運用に取り組む必要性が求められています。しかしながら、資産運用の重要性は認識していても、実際にははじめの一歩をどのように踏み出してよいのか躊躇することも多いでしょう。金融商品について学ぶよりも先に、まずは家計の分析から資産運用の勉強を始めていきたいところです。
 

さぁ勉強!のその前に。資産運用の目的とスタンスを確認しよう

「資産運用」と耳にすると、株や投資信託、不動産など「投資」のイメージが先行しがちです。また、その仕組みも十分に理解しないまま、ハイリスクな金融商品に手を出してしまう投資初心者が散見されます。投資に前のめりになる前に、まずは資産運用の目的を明確化する必要があります。
 
資産運用の目的は世帯によってさまざまです。子どもの教育費、マイホーム購入資金、老後資金など、どの項目に費用をかけるのか、また優先順位が高いのかは、各世帯の家族構成や価値観によって異なります。そのため、一概にどれが重要かは断言できません。資産運用において重要なことは、何に価値を置き、その実現のために、いつまでにいくら用意する必要があるかを知ることです。そして、目標として定めることです。
 
富裕層のなかには、資産運用の目的を明確化した時点で、必要となる資金が現在保有する資産で十分に賄えるという世帯もあるでしょう。その場合は、リスクを伴う資産運用を実施しないという選択肢もあります。
 
しかし、今後数十年に渡って物価が上昇すれば現在、現金で保有する資産は、価値が目減りしてしまうリスクが潜みます。資産運用を行う必要性は、物価上昇リスクなども含めて判断しなければなりません。物価上昇分をカバーすることも含め、資産運用スタンスとしては、以下の3つのスタイルが考えられます。

運用スタンス1:積極的運用型

十分な資産を保有するものの、子どもを海外の大学に進学させたい、趣味の海外旅行を毎年欠かさず楽しみたい、都心に住居を構えたいといった目的から資金運用を考えるケースです。この場合、株式や不動産を中心に積極的に投資を行い、お金に働いてもらうことで必要な資金を準備していきます。

運用スタンス2:リスク考慮型

資産運用の重要性を認識し、運用によって得られる利益で人生を豊かにしたいが、リスクコントロールはしたいと考える場合です。このようなケースでは、保有する金融資産のうち半数を投資に回したり、株や債券、投資信託などに分散投資したりしながらリスクをコントロールしていきます。

運用スタンス3:安全運用型

保有する金融資産で、将来のライフイベントで必要となる資金がすでに準備できている場合、積極的にリスクを取って運用するよりは、物価の上昇で資産が目減りしない程度に安全に運用するほうが賢明でしょう。このスタイルにおいては、国債など債券を中心に運用することになります。
 
 

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資産運用を始めるその前に。具体的な目標の設定

資産運用の目的を明確化したところで、次に具体的な目標を設定します。たとえば、子どもが生まれたばかりで、将来私立の大学に通わせたいと考えるならば、18年後までに学費として400万円分を資産形成する。子どもが成人し、定年・老後を迎えるまであと15年の月日が残されている場合、老後資金として2,000万円つくるといった目標です。

目標の金額と時期を考え、月々の積立額を試算する

1つ例をあげると、教育費は子どもが歳を重ねるごとに授業料などの家計負担が重くなるのが一般的です。まだ幼少だから時間的余裕があると考えず、早い段階から準備に取り組む必要があります。
 
教育費は子どもが増えたり、就学年度が重なったりすれば負担は一層重くなります。資金不足から子どもの進学を諦めざるをえない、という事態に陥るかもしれません。しかし、たとえば子どもが生まれた時点から準備をはじめ、毎月約1万8,500円ずつ積み立てていくと18年後には400万円の資金が貯まります。ライフイベントの具体的な目標の設定ができていれば、将来の出費に対し計画的に積み立てることができるのです。
 
一方、計画をしないまま、子どもが高校生になり大学進学を希望した場合、高校卒業までの3年間で少なくない金額を準備することになります。3年間で400万円を準備しようとすると毎月の積立は11万1,000円にのぼり、子どもが生まれてから準備するのと月々の積立額の違いは歴然です。

シミュレーターで長期運用イメージを把握する

教育資金を長期運用することの効果は、シミュレーションすることでより理解できるようになります。
 
たとえば、教育資金を3%の利回りで運用できたと仮定すると、子どもが生まれてから、18年かけて400万円の資金を準備するには、毎月1万4,000円を投資に回す必要があります。
 
毎月1万4,000円という金額だと、前述の資産を運用せずに貯金だけで積み立てる1万8,500円とそれほど変わらないという印象を持たれたかもしれません。しかし、将来的に準備できた400万円の内訳を詳しくみると、資産運用の効果を強く感じられます。利回り3%、毎月1万4,000円で18年間にわたり形成された400万円の内訳は、約302万円が投資資金、約98万円は運用収益です。資産運用をしたことで、100万円ほど負担が軽くなったともいえます。
 
このシミュレーションは金融庁のホームページから簡単に行えます。それぞれのライフイベントに必要な資金をシミュレーションしてみると、資産運用の具体的なイメージが掴めるでしょう。
 
この3%はあくまでシミュレーションの世界で、現実には積み立てた資金が運用によってマイナスになる可能性もゼロではありません。そのリスクを考慮したうえで、100万円分の収益を目指して運用をするのか、あるいは毎月1万8,500円をコツコツ積み立てていくのかを決めていくことになります。また、18年後の学費が400万円以上かかる可能性も考慮しておかなければなりません。

資産運用に欠かせない経済全体の流れの学び方

資産運用の効果がイメージできたら実践に移りたくなるかもしれません。しかしその前に、資産運用で利益を確保するためには、経済全体の流れを理解しておくことも重要です。
 
景気が良い時期は株価が上昇する傾向があります。また、仮に日本が不況に陥ったとしても、米国や中国など外国の経済が好調であれば、海外投資に資産を振り分けることで、運用益を確保することも可能です。
 
景況感を図るバロメーターとしては、国内総生産(GDP)や失業率などの統計があり、景気が良くなり企業による設備投資が活発になったり、個人の消費が拡大したりすると、GDPは伸びる傾向にあります。
 
経済が好調であれば企業が積極的に設備投資等を行うことが増え、雇用の機会が増え、失業率は低下していきます。これらの統計は毎月発表されますので、ニュースでチェックすることも資産運用のための情報収集として役立ちます。

政府や中央銀行の動向も注視する

景気に影響を及ぼす要因はいくつか存在しますが、中央銀行による金融政策や政府による財政政策が含まれます。金融政策の1つの手段として、中央銀行が景気の状況を判断して金利を上下させます。景気が過熱気味の場合は金利を引き上げ、景気が低迷している際は金利を引き下げます。金利が引き上げられると株価は下落する傾向がある一方、金利が引き下げられると株価の上昇圧力となることが期待されます。

経済のグローバル化のなかで見逃せない為替相場

グローバル化した経済では、為替相場も資産運用には重要な情報となります。
 
円安になれば、海外で販売される日本製品の価格が現地通貨建てで安くなり、価格競争力が高まります。この結果、製品の売り上げがアップすることで、自動車メーカーや製造業など輸出が多い企業の業績が伸びていきます。一方、円高は価格競争力が弱まるため、売り上げが減少し、業績が伸び悩み、悪化することがあります。
 
また、資産運用で外貨預金を保有する場合、外貨に両替して預入をした時点と、円に再両替した際の為替相場の水準によって損益が発生することがあります。資産運用のなかでは為替相場についてのアンテナは高くしておくべきでしょう。
 
これまでは注意を払っていなかった中央銀行や政府の政策、為替相場に加え、グローバルな社会問題は、経済に与える影響が大きく、これらの情報を日々収集することは資産を運用するうえで重要なポイントとなります。

決算短信、業績予想を確認し、個別企業の動向をチェック

経済全体の流れを把握することが資産運用には重要と説明しましたが、株式投資を資産運用に組み入れる場合、企業の動向をチェックすることも欠かせません。その重要な情報源の1つが、企業が発表する「決算書」です。

決算短信を読み解く

決算書は各企業のホームページのIR情報から閲覧できます。さまざまな多くの数字が列挙された決算書を、投資の初心者がはじめから読み解くのは困難です。まずは1枚の紙で記載された「決算短信」という書類からチェックすれば、わかりやすいでしょう。決算短信では、主に黒字か赤字か、売上の増減、配当、業績の見通しなどが記載されています。
 
決算短信は情報がコンパクトにまとめられ、フォーマットも統一されているため、いくつかの企業の書類に目を通せば、必要な情報を読み取る力はすぐに身につくでしょう。さらに一歩進んで、1つの企業の決算短信だけを見るのではなく、同業他社の決算と比較すれば、さらに深い分析ができます。あるメーカーの業績が思わしくなく、同業他社にも同じ傾向が表れていれば、1社だけの問題ではなく、業界全体のトレンドとして読み取れます。

配当や業績予想から企業の将来を予測する

そのほか注目したい項目は配当と業績の予想です。株主への配当に関して、配当を増やすと記載されていれば、業績が好調であることが見受けられます。
 
増配は株主からも歓迎されその企業の株価上昇が期待されます。一方、配当を減らしたり、なくしたりする場合、業績の悪化が主要因であることが多数です。
 
投資家は減配や無配を嫌い、その企業の業績悪化や将来性を危惧するとその株を売る傾向があります。多くの株が売りに出されると、株価が下落する可能性が高くなります。業績の予想も決算短信には含まれており、資産運用をするうえで、先行きを念頭に入れておくことは、投資の判断材料ともなります。

新聞や雑誌、SNS、セミナー……。経済の流れや企業動向を学ぶ方法

資産運用には経済全体の流れとともに、個別企業の動向についてもフォローしていくことが大切であると説明してきました。それらの情報を得るためには、それぞれどのような媒体をチェックすれば、効果的に勉強を進められるのか気になるところでしょう。
 
紙媒体でじっくりと情報に向き合うのであれば、日経新聞や各新聞を購読し経済面を熟読すること、また、経済誌のほか、株価や業績などがまとめられた「会社四季報」を読み解くことが資産運用の勉強になります。

SNSやブログなど、さまざまなネット媒体から情報をキャッチする

SNSが発達した現在では、紙媒体以外でも資産運用の情報を得ることが可能です。著名な個人投資家や金融機関でキャリアを積んだトレーダー、投資で数億円の資産を築いた方などがブログで自らの投資方法や体験談を発信していたり、YouTubeチャンネルを開設したりしています。また、経済状況や資産運用について解説している動画も多数投稿されています。こうしたなかから資産運用のお手本を見つけるのもよいでしょう。
 
これらの多くは無料で提供されているため、資産運用の勉強ツールとして気軽に活用できます。ただし、そこで紹介されている資産運用が100%成功する保証はありません。また、資産運用は自己判断が原則です。いくらフォロワーやチャンネル登録者数が多い人が発信している内容であっても、鵜呑みにすることは危険です。資産運用はあくまで自身の責任において行い、各ツールも判断材料の1つとして活用しましょう。

必要に応じてセミナー参加も検討すべし

1人では理解できているか不安で、同じようなレベル感の人たちと学ぶ機会を持ちたいという場合は、投資セミナーを活用するのも手です。
 
セミナーは証券会社など金融機関が無料で実施するものから、著名な投資家が会費を集めて行うものまでさまざまです。同じように資産運用を学ぶ人が周りに居れば安心感を得られるかもしれません。ただしセミナーのなかには参加者に投資商品を勧めるものもあるため、注意が必要です。

資格を取得して、お金に関する知識を高める方法も

必要性に迫られるような強い動機がなければ勉強ができないという投資初心者には、資格取得を通して知識をアップさせる方法もあります。
 
具体的な資格として挙げられるのはファイナンシャルプランナーや簿記、証券アナリストなどがあります。資産運用のための勉強で資格も取得できれば、一石二鳥です。自身の資産運用だけでなく資格を取得することで新たなキャリアが開かれるかもしれません。

資産運用の学びを、経験によって磨き上げる

学習の習熟度がどの程度深まれば資産運用を実践できるかという明確なラインは存在しません。従って、知らない分野や専門用語が数多くあると不安に駆られ、一方で勉強ばかりに囚われていると、いつまでたっても実践に移れなくなってしまいます。これまで紹介してきた経済全体の流れ、個別企業の動向等についてある程度理解できたのであれば、資産運用の勉強を続けながら、実践していくことが重要です。

家計分析、経済の分析から先行きから判断力を鍛える

投資初心者にはどのように学びを活用していけばよいか常に不安が付きまとうかもしません。まずは、家計や資産の現状を分析したうえで、将来に控えるライフイベントをピックアップして必要な資金を明確化させましょう。資産運用がライフイベントを実現するために不可欠であれば、具体的な投資へと進んでいくことになります。
 
経済全体の流れとともに「決算書」を通して個別企業の業績などを分析することで、まずは資産運用を実施する前に、現状がどのような経済状況にあるかを認知しなければなりません。足下の経済状況が思わしくなく、先行きの見通しも立たたない、世界中を見渡しても経済が好調な国が存在しないという場合は、どこにも投資をしないで様子を見るという選択もあります。
 
一方、経済が悪化している最中は、投資でさらなる損失を被る可能性はありますが、反面、株や不動産の価値が下がり、割安に購入できるチャンスでもあります。資産運用の勉強を通して、先行きの見通しに対しどのように資産運用をするか判断力を鍛えていれば、資産運用における戦略も立てやすくなります。

自らの資産運用の判断基準を形成する

ネット媒体が発展した昨今では、資産運用に関する情報もいたるところから入手可能です。信頼度の高い情報サイトが存在する一方で、ネットには眉唾ものの情報も氾濫しており、信ぴょう性を見極める「目」が大切です。
 
投資の判断は最終的には自己責任となります。そのため、自らの判断基準を資産運用の勉強を通して形成し、周りの環境に流されないことも重要です。
 
資産運用の学びを進めていくと、SNSなどで発信されている投資家のリスク許容度についても認識できるようになるでしょう。
 
資産運用で大成功を収めた例は羨ましくも写りますが、裏を返せば相応のリスクを覚悟のうえ、投資を実践していることがほとんどです。従って、そのリスク許容度が自身の資産運用のスタンスに合致するのかを見極めなければなりません。
 
資産運用の学びを通じて、目指す運用利回り、資産の配分、リスクの許容度など自らの判断基準を形成し、周囲の声や相場の変動に動じることなく、その基準に沿って資産運用を継続することが重要です。
 
もちろん、投資の世界に足を踏み入れたばかりの初心者であれば、そのリスクも小さめであることが賢明なのはいうまでもありません。

目標の達成度合いをチェックし、資産配分を見直す

資産運用の学びに終わりはありません。経済状況は日々変化するため、投資家も情報のアップデートが欠かせません。また、運用目標が達成できているか定期的にチェックする必要があります。
 
なかには損失を抱えることもあるでしょう。大切なことは前述の通り、損失をいくらまで許容するのか、自らの基準を設定することです。その基準を超えた際には、資産運用の配分を見直していけばよいのです。
 
見直しの際には、資産運用で学んだ知識を活用しながら、経済状況などから先行きを読み、成長性や利益が上がる投資先を絞り込んでいきます。

投資の成功、失敗からも学びを得る

資産運用をはじめるには、経済を中心としてさまざまな知識を蓄えなければなりません。そして、資産運用を開始したら、投資そのものからも学びを得ることが大切です。
 
運用益が上がった場合には、運良く上昇相場に乗っただけだったのか、あるいは、成長可能性の高い投資先を見極めて資産を配分できた成果だったのかなど、振り返りをすることで次の資産運用に活用できます。
 
損失が発生した場合もしかりです。投資初心者の場合、損失が発生すると資産を失う恐れから運用をあきらめてしまうケースもあります。しかし、失敗から何を学び次に活かすかがポイントです。失敗の原因を分析し、同じ過ちを犯さないようにすることも重要です。

まとめ:学びながらでも資産運用の一歩は踏み出せる

資産運用の勉強を何からスタートしてよいかわからないというのは、投資未経験者や初心者共通の悩みです。そのようなときはまず家計の分析から入ると資産運用の必要性が見えてきます。
 
また、資産運用が自身のライフプランに関係することが明確になれば、勉強の動機付けにもなります。実際に資産運用をスタートすると、投資する株式や債券、不動産などはさまざまな要因によって価格が変動することがわかります。その価格の上下動に一喜一憂するのではなく、何が原因でそのような動きになっているのかを正確に分析できる力を資産運用の勉強を通して身につけたいところです。この分析力が身につけば、投資初心者から一歩先に進むことができるでしょう。
 
資産運用の勉強に終わりはありません。資産運用は実践し、成功と失敗を繰り返すことで学びが深まります。大切なことは勉強しながらも、実際に資産運用を、勇気をもってはじめることです。その一歩が新たな学びをもたらしてくれるでしょう。
 

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