投資・資産運用
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2020.10.13

投資信託の平均リターンはどれくらい?リスクを理解すれば目標利回りが立てやすくなる

(写真=Андрей Яланский/stock.adobe.com)
(写真=Андрей Яланский/stock.adobe.com)
投資を行う場合に重要なのは、リスクとリターンを理解することです。投資信託についても、商品ごとにリスクの度合いや期待できるリターンの大きさが変わってきます。そこで今回は、投資信託のリスクとリターン、利回りの目標を立てる際の考え方等についてお伝えします。
 

投資信託のリスクとは

投資信託は日々価格が変動する株式や債券に投資をしています。そのため投資信託の価格である「基準価額」にも値動きがあり、元本保証や利回りの保証はされません。「リスク」と聞くと「元本割れ」の危険性をイメージしがちです。しかし、投資信託のリスクとは結果が不確実であるということを指し、基準価額の変動幅、値動きのブレ幅の大きさを意味します。

値動きの幅が大きければリスクが高く、小さければリスクが低くなりますが、このリスクはその投資信託が何に投資をしているかによって変わってきます。そこで始めに、投資信託のリスクを決める主な要因についてお伝えします。

投資信託のリスク1:価格変動リスク

投資信託は国内・海外の株式・債券・不動産等を投資対象としているため、その価格の変動により投資信託の価格も変動します。変動の要因としては投資対象の企業業績やその国の経済情勢等が挙げられます。このように、価格が変動し、保有している信託に影響を与えるリスクを「価格変動リスク」といいます。

一般的に、株式型の投資信託であれば企業業績や景気動向が良好であれば基準価額が上昇し、悪化した場合には下落します。債券型の投資信託の場合には、企業業績や景気動向が悪化した場合には債券の価格が上昇しますので基準価額も上がり、良好であれば債券の価格が下落し基準価額も下がります。

投資信託のリスク2:為替変動リスク

日々変動している為替レートによって投資信託の基準価額に影響が出るリスクです。海外株式・海外債券等の海外資産を組み入れている投資信託は、為替の変動によって基準価額が下落するリスクがあります。一般的に円安の場合には基準価額が上昇し、円高の場合には基準価額が下落します。なお、為替の変動をできるだけ受けないようにリスクヘッジをしている投資信託もあります。

投資信託のリスク3:金利変動リスク

市場金利の動きが投資信託の基準価額に影響するリスクです。金利が上昇すれば債券価格が下落し、金利が下落すれば債券価格は上昇します。そのため、一般的に債券型の投資信託は金利が上昇すれば基準価額が下落し、金利が下落すると基準価額が上昇します。

なお債券は、償還までの期間が長いほど価格の変動幅が大きくなります。そのため、償還までの期間が長い債券を多く組み入れている投資信託は、金利変動の影響を受けやすく、基準価額の変動も大きくなります。

投資信託のリスク4:信用リスク・債務不履行リスク

株式や債券の発行体である企業や国等の信用力の変化によって株式や債券の価格が変動し、投資信託の基準価額にも影響が出るリスクです。また、企業の業績悪化や倒産、国の財政や経済情勢の悪化等によって元本や利息の受け取りができなくなるリスクもあります。

投資信託のリスク5:カントリーリスク

投資対象となる国の政治情勢・経済情勢等の大幅な変化によって、その国の金融市場に混乱が生じた場合等は、基準価額が下落するリスクがあります。戦争や自然災害が影響することもあります。その国の金融商品取引に関する法律や規制等が新たに設けられた場合にも、その内容によっては基準価額に影響が出てきます。また、新興国は先進国と比較して市場規模や取引量が小さく経済基盤が発展途上であることから、カントリーリスクは相対的に高くなります。

投資信託の基準価額は上記のような要因で変動しリスクが決まっていきます。そのため、購入を検討している投資信託にどのようなリスクがあるのか、また、その投資信託はどのような金融商品を投資対象としているのかを確認しておく必要があります。
 

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投資信託のリスクを理解することの3大メリット

リスクを理解するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリット3点をお伝えします。

メリット1:商品知識や選択肢の幅が広がる

投資信託の商品パンフレットなどには、その投資信託のリスクが記載されています。リスクを理解することで、その投資信託が投資対象としている商品や、どのような時に基準価額が変動するのかを理解でき、商品を選択する際の判断材料になります。また、パンフレットや目論見書に記載されている内容も理解でき、商品知識や選択肢の幅が広がります。

メリット2:どれくらいリスクを取るのかを検討できる

リスクが理解できれば、投資をする際に「このリスクを取ってもよいが他のリスクは取りたくない」といった判断ができるようになり、それに合った商品を絞り込めるようになります。リスクを取った投資を行うのか、リスクを抑えた投資をしていくのかといった、投資スタンスも決まります。

メリット3: 価格変動の原因が把握できる

投資信託の購入後に基準価額が大きく変動した場合、リスクを理解していればその要因を把握でき、売却の判断材料にもなります。また、購入していない投資信託についても価格変動をチェックすることで、購入の際の判断材料となります。

リスクを理解するとこのようなメリットがありますが、裏を返せばリスクを理解しないで投資を行うことは、それ自体がリスク(危険)です。投資信託について、「なぜ価格が大きく変動したかがわからない」「自分がどれくらいのリスクを取っているかがわからない」「売り時・買い時がわからない」まま投資を行うことは危険なことです。投資信託で投資を行う第一歩として、リスクを理解することが重要となります。

投資信託のリターンとは

次に投資信託のリターンについてお伝えします。リスクを取って投資を行うわけですから、それなりのリターンが得られることを期待すると思います。ここでは投資信託のリターンの考え方や個別の投資信託の過去のリターンを確認する主な指標についてお伝えします。投資信託のリターンには大きく次の2つがあります。

投資信託のリターン1:基準価額の変動

基準価額が上昇すればリターンが大きくなり、下落すればリターンが小さくなります。たとえば基準価額10,000円の投資信託を100万円購入して、1年後に基準価額が11,000円になった場合のリターンは、(11,000円-10,000円)÷10,000×100万円=100,000円となります。実際には手数料や税金等が差し引かれますので、リターンはもう少し小さくなります。1年後に基準価額が9,500円になった場合には、(9,500円-10,000円)÷10,000×100万円=-50,000円がリターンとなります。

投資信託のリターン2:分配金

分配金が支払われる投資信託については、分配金もリターンとなります。投資信託の分配金には、その投資信託の利益から支払われる「普通分配金」と、利益が出ていない場合に元本を切り崩して支払われる「元本払戻金」の2種類があります。分配金にも税金がかかりますが、普通分配金に税金がかかるのに対して、「元本払戻金」は元本を取り崩していることから利益とはならないため、税金はかかりません。

この2つを合わせたものが投資信託のリターンとなり実際の損益が決まります。

投資信託のリスクを測るリターンの「幅」「トータル」「平均」

個別の投資信託のリターンを測るために、いくつか確認できるポイントがあります。リターンはリスクとセットになるものですので、リスクの確認もできることになります。リターンの「幅」、トータルリターン、平均リターンについて、解説しましょう。

リターンの幅

個別の投資信託のリターン実績を確認するために、リターンの「幅」を見る方法があります。リターンの幅は縦の棒グラフであらわされることが多く、棒グラフが長いほどその投資信託の基準価額の変動幅(リスク)が大きくなりますが、高い収益(リターン)を得られる可能性も高くなります。逆に棒グラフが短いほど変動幅が小さくなりますので、ローリスクローリターンの商品であることが確認できます。

リターンの幅は過去の実績となりますので、その投資信託がどうリスクを取って運用を行ってきたのかを確認する1つの目安となります。また、リスクをとって大きなリターンを期待するのか、大きなリターンは望まずリスクを抑えて投資するのか、投資信託を選ぶ際の指標にもなります。

トータルリターン

トータルリターンとは、ある投資信託の基準価額が一定期間にどれだけ変動したかを表すものです。トータルリターンは5%、-3%等で表され、その期間の変動率を確認できます。

リターンには「分配金も含まれている」、「分配金が支払われる投資信託は再投資したとして計算する」、「手数料も考慮して計算している」等、計算の方法が作成する金融機関等によって異なります。そのため、計算の根拠や前提を確認した上で投資判断の材料とすることが重要となります。

平均リターン

トータルリターンのほかに、一定期間の1年あたりのリターンを表す「平均リターン」があります。期間は3年・5年・10年等、その投資信託が一定期間で1年あたりどれくらいのリターンを生み出したのかを確認できます。こちらも同様に、手数料等を考慮して計算されているか等を確認したうえで活用することが必要です。

お伝えしたように、投資信託には基準価額の変動と分配金によるリターンを得ることができ、個別の投資信託については過去のリターンを確認できます。実績は販売会社や証券会社のホームページなどにある販売資料や運用レポートページ等に掲載されています。

平均リターンに対するリスクがわかる「標準偏差」

この平均リターンに対して、どれくらいのリスクがあるのかを見る指標として「標準偏差」があります。標準偏差はリターンの幅を表す指標で、平均リターンを中心にどれくらいリターンがぶれる可能性があるのかを確認できます。

たとえば多くの日経平均インデックスファンドの過去3年の平均リターンは約5%、標準偏差は約17%となっています。これはリターン5%を中心に、±17%の範囲に収まる確率が約68%(1標準偏差)、±34%の範囲に収まる確率が約95%(2標準偏差)、ということになります。

つまり今後1年のリターンは5%程度見込める一方で、運用状況によって+22%~-12%、さらに大きくぶれた場合には+39%~-29%になる可能性がある、と読み取れます。

リターンとリスクを考える場合に、さまざまな投資対象のインデックスファンドのリターンとリスクを目安に、それよりも高いリスクを取るか、どれくらいのリターンを得たいのかを考えたうえでファンドの選択をしましょう。

 リスクとリターンを確認して利回りの目標を立てる

大きなリターンを得たい場合はリスクも大きくとる必要があります。そして、リスクを取りたくない場合にはリターンも少なめになります。ただし、どれくらいリスクを取るかは人によって違いますので、次に利回りの目標を立てるための考え方について順にお伝えします。

利回り目標を立てる考え方1:投資を行う目的を明確にする

利回りの目標を立てる前に、まずは運用目的を明確にすることが大切です。老後の資金準備、子どもの教育資金準備など、何のために資産運用をするのかはっきりしておきましょう。

また、その目的のためにどれくらいの資金を準備するかを検討します。老後資金や教育資金については、そのすべてを資産運用で準備するのは現実的ではありません。たとえば老後資金であれば退職時の貯蓄残高や、公的年金や退職金の見込額などを確認したうえで目標の金額を設定することが大切です。そのためには今後のライフプランについて考え、キャッシュフロー表等で今後の家計の推移を確認することも必要となってきます。投資を始めるタイミングで、自身や家族の今後について考えてみてもよいかもしれません。

利回り目標を立てる考え方2:投資にまわす資金を検討する

投資を行う目的が明確になったら、投資にまわす金額について検討します。手元にある預貯金等の資産から、投資にまわせる一時金はどれくらいあるでしょうか。生活費の半年分や1年分といった緊急予備資金を確保するほか、近い将来必要となる資金を残したうえで、すぐに使う予定のない金額を投資にまわすという考え方が大切です。

さらに、毎月の収入や預貯金から積立投資にまわせる額はいくらなのかも検討します。こちらは長期間に渡って積立・分散投資をしていく部分になります。一時金の額と毎月の積立額を合わせた金額が投資にまわす資金の総額となります。

利回り目標を立てる考え方3:目標の時期や投資できる期間を検討する

投資をするにあたり設定した目的にあわせて、いまから何年後に資金を準備したいのか、確認します。投資を行う目的や自身の年齢によって投資期間が変わってきますので、まずは目標の時期を決め、投資できる期間が何年あるのかを確認、検討します。

利回り目標を立てる考え方4:投資期間と投資総額をもとに目標利回りを決める

「一時金の額+毎月の積立額×投資期間」が投資総額となりますが、この額をいくらに増やしたいかという「目標金額」を設定します。投資期間をもとに、投資総額を目標金額にするために必要な「目標利回り」が計算できますので、高いリスクを取って投資をする必要があるのか、それほどリスクを取らなくても目標金額が達成できそうなのか、といった判断が可能となります。

利回り目標を立てる考え方5:その利回りを達成できそうな投資信託をピックアップする

目標利回りを確認した後に、その利回りを達成できそうな投資信託をピックアップしていきます。目安としては国内・海外の株式・債券インデックスファンドの平均リターンを基準に、それよりも高いリターンが必要であればリスクの高い商品を、高いリターンが必要でなければインデックスファンドで投資をする、といった商品選択を行っていきます。

利回り目標を立てる考え方6:複数の投資信託を組み合わせて期待利回りを確認する

さらに、複数の投資信託を組み合わせてリスクを分散させることも必要です。投資対象が異なる投資信託を運用していくことで、リスクを抑えながら安定的なリターンを得ることも可能となります。それぞれの投資信託について、一時金の額と積立額に対する利回りを確認し、複数の投資信託を組み合わせたポートフォリオを作成していきます。

なお、目標利回りの設定や複数の投資信託を組み合わせた利回り、ポートフォリオの作成等は、証券会社や投資情報会社のサイトで作成できます。まずは開設している証券会社等のサービスを確認してみましょう。自身に合った商品を選択できるほか、利回りの計算などを行う手間を軽減することも可能です。

 投資信託を選ぶ際の注意点

このように、投資金額や必要な利回りによって投資信託を組み合わせて運用を行っていきます。そして、繰り返しになりますが、より大きなリターンを得たい場合にはリスクも大きくなり、リスクを取りたくない場合には将来得られるリターンもそれなりの額になります。そのため、投資期間を長く取れる場合にはリスクを大きめに取り、目標時期が近づいてきたら徐々にリスクの低い商品に投資対象を変えていくなど、長期間の投資計画を考えておくことも必要となります。

また、投資信託にはさまざまなコストがかかり、商品ごとにその大きさは異なります。長期間運用を行っていく場合には利回りにも影響してくることがありますので、投資信託は期待利回りの他にコストも確認したうえで商品を選ぶことが重要です。そこで次に、投資信託にかかる主なコストについてお伝えします。

投資信託にかかるコスト1:購入時手数料

こちらは投資信託を購入する都度かかる手数料となります。商品ごとに購入価額の一定割合を販売会社に支払うことになりますので、特に積立投資を行う場合には、この手数料を確認する必要があります。なお投資信託によってはこの費用がかからない「ノーロード」の商品がありますので、ノーロードの投資信託に絞って投資をするというのも選択肢の1つです。

投資信託にかかるコスト2:信託報酬

投資信託は運用を自身に代わって運用会社に任せているため、その運用コストとして信託報酬がかかります。投資信託を保有している間にかかる費用で、保有額に応じて支払うことになります。年率でいくら支払うのかが販売資料や目論見書等に記載されていますので、このコストがどれくらいかかるのかもチェックする必要があります。

一般的に、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうが信託報酬は高くなります。アクティブファンドはインデックスファンドを上回る運用を目指しているため、ファンド内の投資銘柄の入れ替え等をインデックスファンドよりも頻繁に行います。入れ替え頻度が多いぶん売買コストがかかる場合があるため、信託報酬が高めに設定されているケースがあります。

アクティブファンドに投資する場合にはこの信託報酬のほか、インデックスファンドと比較して運用パフォーマンスが高いのかを確認する必要があります。高い信託報酬を負担するだけのリターンを得られるファンドなのか、信託報酬を考慮してもインデックスファンドよりも投資する価値があるのか、といった点を考慮して投資の判断することが重要です。

投資信託にかかるコスト3:信託財産留保額

投資信託を売却・解約する時にかかる手数料です。購入時手数料と同様に、この手数料がかからない投資信託もありますので、こちらも販売資料等で事前に確認しておく必要があります。

投資信託にかかるコスト4:税金

投資信託の売却益と普通分配金に対しては、所得税・住民税合わせて20.315%の税金がかかります。NISA口座やiDeCoは税金がかかりませんが、特定口座と一般口座で取引をする場合には税金もコストの一つとなります。利回りにも影響しますので、税金を考慮した利回りの確認も必要です。

このように、投資信託にはさまざまなコストがかかりますが、長期間運用を行う場合に意識しておきたいのは信託報酬です。保有している限りこのコストは毎年かかり、投資信託のパフォーマンスにも影響します。投資信託はリスクとリターンと合わせて、信託報酬も意識して選ぶことが重要です。

まとめ:リスクとリターンを理解して、最適な投資信託を見つけよう

今回ははじめに投資信託のリスクについてお伝えしました。投資しようとしている投資信託にどのようなリスクがあるのかがわかるようになれば、商品選択の幅も広がります。また、個別の投資信託のリスクと過去のリターンを確認すれば、今後どのような投資信託で運用をしていけばよいのかがイメージできます。その後に具体的な投資信託を当てはめていけば、自身のポートフォリオが作成できますので、まずはリスクを理解したうえで目標を達成できるような投資方法を見つけていただければと思います。
 
文・澤田
所属・FP事務所FP EYE代表
1971年生まれ、東京都出身。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中

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