投資・資産運用
-
2020.10.3

【特集#3】投資マネーのダイナミズムを追う

(写真=ANA Financial Journal 編集部)
(写真=ANA Financial Journal 編集部)
中国やブラジルといった新興国の株価は2020年6月以降、回復基調を強めました。一方、アップルやアマゾンなど米国の大手IT企業の株価には過熱感も指摘されます。米国株の上昇が止まれば、投資マネーは次の行き先を探すことになりそうですが、果たして新興国バブルはあるのでしょうか。激変する世界の市場環境と投資マネーの動きを考える本特集、3回目は、新興国株を中心に考察します。

世界的な金融緩和策はバブルを彷彿。あふれたマネーの行き先は新興国か

日本では1989年末に日経平均株価が4万円近くまで上昇し、バブル景気に沸きました。原因については諸説ありますが、共通しているのは超低金利による「カネ余り」です。日銀が供給した大量のお金が有利な運用先を求め、株式市場に押し寄せたのです。

現在、世界の中央銀行は金利を歴史的な低水準に抑えながら資金を大量に供給しています。行き場のない投資マネーはIT株中心の米国ナスダック総合指数と金の国際価格を史上最高値に押し上げました。背景にあるのは日本のバブル期と同じ「カネ余り」です。しかし、IT株も金も無限に値上がりを続けられるわけではなく、いつかはほかの市場へ移動するはずです。

世界同時株安に見舞われた2020年3月の大底から7月までの世界の株式市場の上昇率を見ると、日経平均株価は2割弱ですが、ブラジル市場の代表的な指標「ボベスパ指数」は4割近く上昇しています。中国・上海総合指数も約3割高です。

興味深いことに、ブラジルも中国も株価の回復が加速したのは6月以降。それまでは株価の回復はいまひとつの状況でした。マレーシアやインドネシア、台湾も6月から株価上昇に弾みがついています。
 

こちらもおすすめ
【連載#1】現役証券アナリストが現地調査!新興国株投資で勝つ方法
【連載#2】現役証券アナリストか?現地調査!新興国株投資て?勝つ方法

マーケット関係者のシナリオは金融緩和政策の長期継続

新興国の株価が急回復した最大の要因は、超低金利の長期化観測です。米国の連邦準備制度理事会(FRB)は2020年6月に2022年までの超低金利政策の継続を決め、景気が失速する場合には追加策を講じる余地も強調しました。FRBはしばらく「カネ余り」状態を維持すると宣言し、市場からの資金引き揚げに対する投資家の懸念を解消したのです。

これを機に新興国に投資資金が回り、株価を押し上げたとみられます。長期金利の基準となる米国債の利回りが低水準に張り付いたまま動かない状態にあることについて、国債市場分析の第一人者として知られる上野泰也氏(みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)は「日本国債化」と表現しています。日銀が大量の資金供給で長期金利上昇を強力に阻止してきたのと同じように、FRBによる長期金利の「公的管理」色が強まっているというわけです。

FRBは現行の金融緩和政策を2022年まで継続するとの公式見解を発表しましたが、株式や為替、国債など各市場関係者が描くシナリオは2022年以降の金融緩和政策の継続です。というのも、リーマン・ショックがあった2008年にFRBが金融緩和に踏み切ってから、金利引き上げに転じるまで、じつに8年かかっているのです。また、米国では金融政策の判断材料として雇用を重視しますが、2020年6月の失業率が11%を超えており、現状は金融緩和策の「出口」を議論できる環境にはないことも理由の1つとなっています。

このような背景を考えると、新興国バブルもあり得ない話ではありません。新興国の株式市場は規模が小さいため、ちょっとした資金の出入りで株価が上下どちらにも大きく変動するケースが多いものです。大和証券の壁谷洋和氏(チーフグローバルストラテジスト)は「新興国バブルがあったとしても、資金の逃げ足が速い点には注意してください」と話しています。

「バブルは過ぎてからでないとわかりません」。

1989年をピークとする平成バブルの後始末に奔走した三重野康氏以降、歴代の日銀総裁が景気判断と金融政策運営の難しさを表現する際、苦渋に満ちた表情とともに口にしてきた言葉です。
 

>>その他のおすすめ記事
滝川クリステルさんが1.5億円保有する「国債」ってどんな商品?
【連載#2】3億円失う人も…”億り人”で居続けることの大切さ
【連載#3】100万円を4,000万円にする「マーケットの渡り方」
【連載#4】忙しいビジネスマンでも株で“億り人”になれるワケ
総資産を1億にする資産運用法とは?

関連記事

「ANA Financial Journal」
サイト終了のお知らせ

平素は格別なご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

サイト開設以来、多くの皆様にご利用頂いておりました「ANA Financial Journal」ですが、2021年5月13日(木)をもちまして終了させて頂くこととなりました。

これまでご愛顧くださいました皆様に、心より御礼申し上げます。

長らくのご利用、誠にありがとうございました。