投資・資産運用
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2020.10.2

【特集#2】投資マネーのダイナミズムを追う

(写真=ANA Financial Journal 編集部)
(写真=ANA Financial Journal 編集部)
世界の株式市場を見渡すと、IT関連株が主力の米国ナスダック市場が2020年7月に史上最高値を更新する一方、イギリスやフランスの主要株価指数は2019年末に比べて2割近く低い水準にとどまり、明暗を分けています。

投資マネーが少数のIT企業株に集中する裏側で、小売業などの従来型産業の株価は苦戦が続き、企業間の株価格差は急速に拡大しています。米国内では、2つの二極化が進行している構図です。金価格も高騰し、2020年7月に史上最高値に駆け上がりました。

この激変する市場環境と投資マネーの動きを考える本特集、2回目となる今回は、回復と停滞の2極化する株式市場について、金の値動きとともに考えていきます。

米ナスダックのIT企業や、金に投資マネーが流入

2019年末終値と2020年7月28日現在の比較では、米ナスダック総合指数が16%高と世界の主要株式市場で最高の数値を記録しています。次点は中国・上海総合指数の8%高です。米国と中国は国内総生産(GDP)で世界1、2位の経済大国。貿易や先端技術、外交、安全保障などでことごとく対立する両国ですが、株式市場の上昇ぶりでも競っている格好です。

一方、欧州ではイギリスが19%、フランスが18%、イタリアが15%など軒並み大幅安の状態が続いています。新興国では、フィリピンやシンガポールが約2割も値下がりしています。日本とドイツがともに4%前後の小幅安に踏みとどまっているのは、工業国としての実力が投資家に評価されているためでしょう。

米ナスダック市場が資金を集める背景について、大和証券のチーフグローバルストラテジストの壁谷洋和氏は「世界的な超低金利で行き場の限られた投資マネーが業績成長を期待して米国のIT企業株に向かっている」と指摘しています。

ナスダック市場を主導するのはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社。英頭文字をつなげて「GAFA(ガーファ)」と呼ばれ、GAFAにマイクロソフトまたは中国系ネット通販大手で米国に上場するアリババを加えた5社を「ビッグ5」と呼ぶこともあります。

2020年4月には、GAFAにマイクロソフトを加えた米IT系ビッグ5の時価総額が560兆円を超え、2,169社ある東証1部市場全体の時価総額を上回りました。世界のIT産業の覇者としてこれからも持続的な利益成長を続けるという投資家の予想がビッグ5の株価を大きく押し上げたわけです。
 

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伝統的な産業が中心のNYダウはナスダックに比べ軟調

では、米国株全体が活況かといえば、そうではありません。米国株の指標として最も知名度の高いダウ工業株30種平均(ニューヨーク・ダウ)は昨年末比8%安です。ナスダック総合指数がハイテク株主体なのに対してダウは銀行や石油、小売業など伝統的な産業が中心です。従来型産業の株式が買いにくいため、IT株に資金が集まったとも言えるでしょう。

金価格も上昇基調を強めました。国際価格の基準となるニューヨークやロンドン市場では2020年7月に入って1トロイオンス(約31グラム)当たり1,900ドルの節目を突破して史上最高値を更新しています。国内の店頭小売価格も1グラム=7,000円台に乗せ、東西冷戦下の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻を受けて1980年1月に付けた史上最高値を40年ぶりに上回りました。

金は株式や国債・社債と違って配当や利息がつきません。しかし、世界的な金融緩和で金利による運用が難しくなった現在、わずかな金利収入はあきらめて、安全性を最重視したい投資家が増え、金価格を押し上げています。

金の買い手は資金量が豊富な欧米の投資ファンドや自国通貨が不安定な新興国の富裕層とみられ、ロシアなどの中央銀行も金の保有高を積み増していると報じられました。世界経済の不透明感から投資マネーが米国のIT株に集まっていますが、米国IT株の先行きにも不安が消えない投資家が金を買い集めているようです。
 

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