投資・資産運用
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2020.9.29

株式投資はいくらから始められる?リターンを得るための方法はある?

(写真=mrmohock/stock.adobe.com)
(写真=mrmohock/stock.adobe.com)
「株式投資には、まとまった資金が必要」というイメージを強く持っている人も多いようです。しかし、実際には飲み会を数回ガマンする程度の資金があれば株式投資は始められます。そしてまとまった資金でなくても着実にリターンを得る可能性は十分にあります。本稿では、株式投資を始めるための目安額、少額投資でも儲けやすい方法、初心者が失敗しないための考え方などを解説します。
 

株式投資は数万円単位、それ以下でも始められる

株式を買うときは100株単位が基本です。購入金額に幅はありますが、1株あたり数百円の銘柄も多数あるので、数万円くらいからでも株式投資を始められます。

例:1株200円×100株=20,000円

たとえば、楽天証券で2020年8月のデータを調べてみました。1株あたりが安い株だけに絞ってみても、かなりの数の銘柄があります。1株300円以内でも500種類以上の銘柄が存在し、1株1,000円以内に広げると2,000種類近い銘柄から選べます。これだけの選択肢があれば銘柄選びに不足することはないでしょう。

加えて、下記の例のように知名度の高い企業の株式でも1株数百円単位ということもあります。「株式投資を始めるのに、必ずしもまとまった資金が必要ではない」ということがご理解いただけるでしょう。

▽1株300円以内の企業例(2020年8月6日時点)
双日、日本軽金属HD、フジクラ、NTN、三菱自動車工業、シチズン時計、東京電力HD、みずほフィナンシャルG、セブン銀行、みずほFG、マネックスグループ、アイスタイル、ソースネクスト、リブセンスなど
 
さらに1株100円以下の銘柄もあります。ただ、このなかには不人気がずっと続く株や、破綻リスクがある株が混じっていることもあります。そのため、現実的には100株数万円以上に設定して、選択肢をある程度広げておくのが無難かもしれません。
 

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少額の株式投資のメリット・デメリット

少額の株式投資には、まとまった額の株式投資と比べたときのメリット・デメリットがあります。これらをしっかり把握した上で、少額の株式投資を始めるのが賢明です。

少額投資のメリット1:投資の実践を学ぶ機会になる

これは株式投資の初心者にとって大きなメリットです。株式投資は実際にやってみてわかることも多々あります。たとえば、「長期保有が大事」と理解していても、実践では早すぎるタイミングでの利確や損切りをするパターンは初心者にありがちです。多額の予算でいきなり投資を始めてしまうと失敗したときのダメージが大きいですが、少額投資なら許容できる範囲内のダメージで実践経験を積み重ねることができます。

少額投資のメリット2:分散投資がしやすい

「限られた予算でも分散投資をしやすい」ことも少額投資のメリットです。仮に10万円の予算でも、1株あたり数百円の銘柄に絞れば数銘柄を購入できます。そして、徐々に投資額を増やしつつ、銘柄を増やしていけばムリなく分散投資できます。

少額投資のデメリット1:リターンが少なくなりがち

少額の株式投資では、リスクが限定的な反面、リターンが少ないデメリットがあります。100株2万円の銘柄が20%値上がりしても利益は4,000円ですが、100株200万円の銘柄が20%値上がりすると 40万円になります。投資規模が小さいとリターンも少額になります。まとまったリターンを得たいなら、このことを意識しながら段階的に投資規模を膨らませていく必要があります。

少額投資のデメリット2:手数料が割高になりがち

少額の株式投資では手数料が割高になりがちです。たとえば、楽天証券の株式取引の手数料は、取引金額5万円だと55円、取引金額50万円超~100万円までだと535円となっています(※)。「取引金額5万円まで」と「50万円超~100万円まで」の手数料を比べると、5万円までのほうが取引額1円あたりの手数料が2倍程度割高です。なお、楽天証券含め大手ネット証券では、1日あたり一定額までの取引手数料を無料とする売買プランを用意しています。少額での取引ならこちらを利用するとよいでしょう。ただし、この一定額までの売買手数料無料プランは、一定額以上の取引の手数料がより割高になるケースもあるので、利用する際には注意しましょう。
※現物取引の超割コースの場合の手数料(税込)

少額で株式投資ができる銘柄をスムーズに探す方法

「そもそも少額で株式投資できる銘柄をどうやって探せばいいのか?」という疑問を持つ人もいるでしょう。ネット証券に口座を持っている方なら少額投資ができる銘柄をピックアップするのは簡単です。スクリーニング機能を使えば、予算内で買える銘柄を自動的に選んでくれます。

ネット証券のなかでも最大手のSBI証券と楽天証券のスクリーニング機能を例に使い方を見てみましょう。以下の例はパソコンでの操作を前提に解説しています。

SBI証券のスクリーニング機能

証券口座のトップページから「国内株式」を選択。さらに検索バー下の「スクリーニング」を選択すると、下記の画面が表示されます。検索条件を設定するだけで予算に合った銘柄が絞り込めます。

楽天証券のスクリーニング機能

証券口座のトップページ(資産合計ページ)から「国内株式」を選択。さらに検索バー下の「スーパークリーナー」を選択すると、下記の画面が表示されます。検索条件を設定するだけで予算に合った銘柄が絞り込めます。
 

少額の株式投資でもリターンを得やすい方法

少額の株式投資で絶対に避けたいパターンは、安いという理由だけで何となく買って、無意味に保有し続けることです。これでは運まかせの株式投資になってしまいます。少額投資でも利益が上がりやすい方法の一例としては、次の3つが考えられます。
  • 方法1:テンバガー狙い(ハイリスク)
  • 方法2:好配当狙い(ローリスク)
  • 方法3:株主優待狙い(ローリスク)

方法1:テンバガー狙い(ハイリスク)

テンバガー(Ten Bagger)とは、元値の10倍以上となる銘柄のことです。仮に1株1,000円で買ったら1万円以上になるとテンバガー。100株の売却益は90万円以上になります。そんな夢のような……と感じる人も多いと思いますが、テンバガー銘柄は意外に多くあります。

日経マネーの調査によると、リーマン・ショックの直後からコロナショック直前までの期間に株価が10倍以上になったことのある銘柄は800以上もあります。主要4市場(東証1部・2部、マザーズ、ジャスダック)に上場している銘柄総数は約3,700社ですので、4~5社に1社はテンバガー銘柄ということになります(ただし、テンバガーになる期間をどれくらいに設定するかはケースバイケースです)。

テンバガー銘柄を見つける絶対的な方法はありませんが、下記のような傾向があります。

▽テンバガー銘柄の傾向
  • 稼ぐ力を示す経常利益率が高い。最高値10%以上が過半数
  • 業種分野では、サービス、情報・通信、電気機器が目立つ
  • 上場してから20年未満が約6割
  • 最安値の時価総額50億円未満が約7割
  • 上昇期間の長さは平均7.3年
参照:日本経済新聞 2020年8月5日付

そして、見逃せないのはテンバガー銘柄の約4割が20倍以上まで上昇したことがあるという点です。このように銘柄とタイミングがはまればダブルテンバガーもありえる一方、値上がり銘柄は急落リスクもあります。このリスクを十分理解した上でチャレンジしましょう。

方法2:高配当狙い(ローリスク)

高配当株狙いは、もっとも現実的な方法かもしれません。1株あたりの株価が安くても、高配当の株は多数あります。そして、この配当をさらに再投資する複利効果によって効率的に資産を増やすことが可能です。

ちなみに、投資額が安くて高配当の銘柄は、さきほど紹介したスクリーニング機能で手軽にセグメントできます。仮に「投資金額3万円以下、配当利回り3%以上」の条件で設定した場合、下記のように19銘柄が表示されました。
※2020年8月1日現在
 

いくら高配当といっても元手が少ないぶん、短期間で資産を増やすことはできません。しかし、長期保有によって資産を着実に増やせます。加えて、積み立てをしたり、余裕があるときに高配当銘柄を買い増したりしていくことで、最終的にまとまった株式を保有することも可能です。

方法3:株主優待狙い(ローリスク)

1株あたりの株価が安くても、株主優待が充実している株式はあります。現金にこだわらず、現物で実質的に利益を出したい人はこの方法もよいかもしれません。一例では、東急不動産HDの株価は400円台ですが、100株以上所有でリゾートホテル宿泊優待券(1枚)、共通宿泊優待券(2枚)、ゴルフ場・スポーツクラブ、スキー場で使えるスポーツ優待券(2枚)が配布されます。

また、三越伊勢丹HDは株価500円前後ですが、100株以上所有で買い物金額から10%割引になる「株主様ご優待カード」(買い物限度額30万円)が配られます。この株主優待カードを買い物限度額まで使った場合、割引金額は3万円です(30万円×10% 消費税を除く金額)。仮に、100株5万円前後の投資で、3万円のリターンが得られると考えるならかなり利益率はよいのではないでしょうか。
※株価や株主優待の内容は2020年8月7日時点のもの

株主優待は日本独自の人気企画であり、雑誌やWebメディアなどでよく特集されています。情報源はたくさんありますので、これらを参考に選んでみてください。

少額で株式投資をする方法には「単元未満株」などもある

ここまで紹介してきたのは、100株単位で株式を購入する場合です。このやり方だと1株あたりの株価が高い銘柄は、少額投資だと手も足も出ません。たとえば、任天堂やファーストリテイリングといった人気企業の株価は4万円台、5万円台と高額です(2020年8月6日時点の株価)。100株単位で買うと400万円、500万円になってしまいます。

こういった高値銘柄も1株から株を購入できる「単元未満株」のサービスを利用すれば、買いやすくなります。さきほど例に挙げた任天堂やファーストリテイリングといった銘柄でも、単元未満株を利用すれば手軽に購入できるのです。

▽ファーストリテイリングの例
  • 100株単位での購入額:58,810円×100株= 588万1,000円
  • 単元未満株での購入額:58,810円×1株=58,810円(2株、3株など自由に設定可)
※株価は2020年8月6日終値

この単元未満株のメリット・デメリットを整理すると、次のようになります。

単元未満株のメリット

  • 株価が高い企業にも投資ができる
  • 100株単位と同様、配当を受け取れる
  • 限られた予算でも、複数の企業に分散投資しやすい

単元未満株のデメリット

  • 取引時間に制限がある(リアルタイムの株取引ができない)
  • 株主優待が受けられないケースも(100株以上の優待も多い)
  • 取引額が少ないので短期リターンが期待しにくい
ただ単元未満株はすべての証券会社で利用できるわけではありません。二大ネット証券でいえば、SBI証券は単元未満株の取り扱いがありますが(サービス名「S株」)、楽天証券は単元未満株を取り扱っていません。

ちなみに、単元未満株のサービス名は証券会社によって変わってきます。マネックス証券では「ワン株」と呼ばれます。また、単元未満株と似たサービスには、10株単位で株取引ができる「ミニ株」もあります(SMBC証券の「株式ミニ投資」など)。

株式投資では、勝つこと以上に負けないことが大事

株式投資では、利益を出すこと以上に「負けないこと、大損しないこと」がなによりも重要です。なぜなら、一時的に損をしても、手元資金が残っていれば時間をかけて後から取り返すことも可能だからです。逆に、手元資金の大半を失ってしまえば挽回が難しくなります。

大損しないためには、初心者が「株式投資でやってはいけないこと」を避けることがポイントになってきます。とくに注意したいのは次の5つの行動です。

株初心者のNG行動1:信用取引を使う

信用取引は、証券口座に入れた証拠金の約3倍の株取引ができる仕組みです。仮に10万円の証拠金を預ければ約30万円までの株取引が可能になります。このように手元資金にレバレッジをかけることでリターンを膨らませることができますが、初心者が信用取引に手を出すのは非常にリスキーなので避けるべきです。

よくある失敗パターンが現物取引でリターンを出した後に、気持ちが大きくなって信用取引をはじめて痛い目にあうというものです。「とても安定している」と世間でいわれている企業でも、株価が急落することはよくあります。不祥事、商品開発の失敗、さらには天災、紛争、経済危機など急落リスクはたくさんあります。

だからこそ初心者の株式投資は現物が基本であり、急落しても耐えられる範囲内で投資をするのが賢明です。

株初心者のNG行動2:損切りできない

「これぞ!」と選んだ銘柄が長期的に値下がりし続けることもあります。この損失が膨らんでいる銘柄をいつまでも保有し続けて損切りできないのも、初心者が避けたい行動です。

仮に、30%下落した株式をそのまま保有し続けても、その後反転しなければ30%損をしたままです。この株式を売却した資金で違う銘柄を選び直し、それが値上がりすれば損した部分は吸収できます。

もちろん、これは長期保有を否定しているわけではありません。損失を抱えた塩漬け株でも、どこかで反転する根拠(チャートや市場変化など)があれば、そのまま保有し続けるという判断もありでしょう。

株初心者のNG行動3: 自分の判断に執着する

初心者は株式投資の知識や情報が少ないため、狭い視点で判断を下してしまいがちです。株式に限らず、投資には客観的な視点が求められます。柔軟な思考ができるよう、ふだんから経済情報や有識者の意見などを幅広く収集することが大切です。

株初心者のNG行動4:人気があるからという理由で買う

「ランキング上位だからこの銘柄を買おう」「爆上がりしているからこの銘柄を選ぼう」といった具合に、なんとなくの感覚で株式を購入するのも初心者にありがちな行動です。投資においては、「みんなが買っていること」はプラス材料になりません。むしろ、期待先行で人気の場合は急落リスクがあり、マイナス材料となることもあります。

人気があるかないかの前に、「中長期的な成長力があるか」「企業価値に対して株価が割安か」「財務内容は健全か」など複数の視点でチェックし、最終的には自己判断で銘柄を選ぶべきでしょう。いつでも適切な判断が下せるよう、投資をテーマにした本、雑誌 、Webメディアなどを通して知見を得ていく努力も必要です。

株初心者のNG行動5:単純化し過ぎてしまう

たとえば、よくいわれる投資セオリーに「株とは安く買って高く売るもの」というものがあります。これは底値が判断できる投資家であれば正しい考え方です。しかし初心者の場合、そもそも底値の判断ができません。安く買ったつもりが大暴落前の株をつかんで大損ということもあるので要注意です。

また、「儲かっている企業の株価は上がる」といった見方も単純化しすぎです。儲かっている企業の株が決算直後に急落することはよくあります。逆に、儲かっていない企業の株が決算直後に急騰することもあります。これは、投資家心理が株価トレンドに大きな影響を及ぼしているからと考えられます。このように株価を表面上で判断してしまうと損失を招く原因となります。深い知識や豊富な経験に基づいた分析が必要なのです。

ここで紹介した以外にも、株式投資の初心者がやってはいけないことはあります。併せて、株式指標を読むための基本的な知識も必要です。これらを理解するには、株式投資の入門書を読むのが近道です。評価の高いロングセラーの例としては、ジョン・シュウギョウ著『世界一やさしい 株の教科書 1年生』、ダイヤモンド・ザイ編集部による『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ZAiが作った「株」入門』などがあります。

まとめ:株式投資はやってわかることも多い。少額投資で実践経験を

ここまで株式投資初心者のために、次の3つのテーマについて解説してきました。それぞれざっと振り返ってみたいと思います。
  1. 株式投資は少額でも始められる
  2. 少額の株式投資でもリターンを得やすい方法
  3. 初心者が株式投資で大損しないために避けたい行動

1:株式投資は少額でも始められる

一般的な投資は100株単位で取引しますが、一株当たりの株価が安い銘柄を選べば少額でも投資が可能です。少額投資には分散投資がしやすいといったメリットがある一方、リターンが少なくなりがちというデメリットもありました。また、実際に少額投資ができる銘柄を探す方法としては、ネット証券のスクリーニング機能が便利です。

2:少額投資でもリターンを得やすい方法

少額投資にはリターンが少なくなりがちというデメリットがある一方、やり方次第ではしっかりリターンを出すこともできます。その具体的な方法の一例として「テンバガー狙い」「高配当狙い」「株主優待狙い」の3つを提示しました。このうち、「テンバガー狙い」はハイリスクなため、急落してもダメージの少ない範囲内で行いましょう。

3:初心者が株式投資で大損しないために避けたい行動

株初心者が避けたいNGな行動を5つ挙げましたが、このうち一番要注意なのは信用取引を使うことです。信用取引はうまく使いこなせば短期間で資産を膨らませることができます。逆に損失も膨らむため、初心者にとっては極めてリスクの高い仕組みです。

信用取引の株が急落してしまえば、資産を大きく目減りさせるだけでなく、損失が大きいときには投資額を超えて追加のお金を証券会社に払う必要があります。そして最悪、それが払えなければ破綻することもあります。信用取引は少なくとも現物取引でリターンを長期間得られる実力からついてから使うべきです。

株式投資は、クルマの運転と似ています。知識と実践の両方を身につけることでレベルアップできます。とはいえ、経験なしにいきなりまとまった投資をしたら、大ケガのもとです。少額投資はミスをしても大ケガをしない教習コースのようなものです。いままで株式取引をしたことのない人は、少額投資で慎重かつ気軽にはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
 
文・本間 貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自身で賃貸物件の経営や、年間で億単位の株式売買も行っている

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