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2020.9.27

投資の神様バフェットのお墨付き。S&P500インデックスファンドは最強の投資方法?

(写真=metamorworks/stock.adobe.com)
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GAFAを代表とする米国の新興企業の株式は日本株よりも高いリターンが期待できるため、投資家からも人気を集めています。一方で、経験の浅い投資家のなかには、海外株式に投資することに興味はあるものの、なかなか一歩を踏み出せていないという方も多いでしょう。そこで強力な味方となってくれそうなのが、「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェットです。投資で莫大な資産を築き上げた同氏は、妻に残す遺産の90%を「S&P500のインデックスファンドで投資せよ」とアドバイスをしています。今回はこの投資方法について解説します
 

「投資の神様」バフェットとは何者か

「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットはどのような人物で、また、なぜ「神様」とまでいわれているのでしょうか。まず、バフェットは世界最大規模の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務めています。投資銀行やヘッジファンドはニューヨークのウォール街に星の数ほど存在しますが、その栄枯盛衰は投資の世界では常です。その弱肉強食の世界で長きにわたりトップに君臨してきたバフェットが率いる、バークシャー・ハサウェイが上げてきた実績は目を見張るものがあります。

世界最大規模の投資持株会社バークシャー・ハサウェイを率いる投資家

米国の株価指数の1つであるS&P500とバークシャー・ハサウェイの株価の比較をみると、そのパフォーマンスの差は歴然です。同社が毎年、投資家向けに公表する年次報告書によると、1964年から2019年にかけて、S&P500の上昇率は1万9,784%を記録しました。この数字は驚異的でありますが、50年余りの歳月を経ている点を考慮する必要があります。

一方、バークシャー・ハサウェイは同期間で、S&P500の実績をはるかに上回る274万4,062%の上昇率を叩き出しています。バークシャー・ハサウェイ社はS&P500より約140倍以上のパフォーマンスを残したことになります。この圧倒的な実績こそが、バフェットが投資の神様と呼ばれる所以の1つなのです。

バフェットの投資スタンスは、堅実なポートフォリオと割安株への投資

それでは、そのバフェットはどのような投資方法を実践し、実績を残してきたのでしょうか。まずはその投資スタンスです。莫大な利益を上げるには、金融工学を駆使して、コンピューターなどの技術の力も借りて、数えきれないほどの取引を積み上げて利益を確保しているような姿を想像されるかもしれません。しかしながら、投資の神様の心構えは至極シンプルです。バークシャー・ハサウェイ社が保有する上位10銘柄の株を見れば、一目瞭然です。2019年の同社の年次報告書で記載された上位10銘柄は次の通りです。
  • アメリカンエキスプレス
  • アップル
  • バンク・オブ・アメリカ
  • バンク・オブ・ニューヨークメロン
  • コカ・コーラ
  • デルタ航空
  • JPモルガン・チェース
  • ムーディーズ
  • U.S.バンコープ
  • ウェルズファーゴ
見ての通り、バークシャー・ハサウェイ社の投資対象は名だたる大手企業です。驚異的なパフォーマンスを上げるには、新興企業の株を、将来性を見越して買い集め、株価が急上昇したところで売却し、利益を確保するようなイメージを抱くかもしれません。しかし、実際は堅実なポートフォリオが組まれています。

また、バフェットが好むもう1つの投資方法が、「割安株」への投資です。企業ブランドがありながらも株式市場で過少評価されている銘柄に投資する、「バリュー投資」と呼ばれる手法です。バフェットは多くの投資家が目を向けない隠れた実力企業に着目し、将来に備えて投資することで驚異的なパフォーマンスへと繋げてきました。

一方で同氏は、成長著しいハイテク企業については、事業内容が端的に理解できないとして、投資対象とみなさない傾向にあります。こうした明確な投資スタンスも、バフェットのカリスマ性を高めている要因といえそうです。
 

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バフェットの主戦場、米国株投資の魅力

天文学的数字といっても過言ではないほどの実績を残してきたバフェットが主戦場とするのが、米国株式市場です。先述のバークシャー・ハサウェイ社の保有株上位10銘柄からもそれが読み取れます。投資の神様が米国株式市場を戦いの場に選ぶ理由は、成長が期待できるからです。実際に、日本の株式相場と比較するとそれが一目瞭然です。

日経平均株価が史上最高値である3万8,975円44銭を記録したのは1989年12月29日です。その後バブルがはじけ失われた20年を迎え、2008年には世界を震撼させたリーマンショックが日本の株式市場にも打撃を与えました。結果、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値となる6,994円90銭まで下落しました。その後、アベノミクスの効果などで足下の株価は2万2,000円台まで回復したものの、バブル期に記録した最高値の6割程度の水準にとどまります。

一方、米国のダウ平均株価が最高値を記録したのは2020年の2月です。日経平均が最高値を記録した1989年12月の水準と比較すると、ダウ平均株価の株価は10倍にまで上がっており、対照的な結果となっています。

成長性に加え、米国には1934年に証券取引委員会(SEC)が設置され、投資家保護と公正な市場を整備するためにさまざまな取り組みを実施してきました。この取り組みにより、米国の株式市場は投資家にとって、高い安全性も担保されているともいえるでしょう。

所得格差の大きい米国ですが、株式投資を資産運用として実践するのは、必ずしも富裕層にかぎりません。中間層以下でも積極的に株式で資産運用しているケースが目に付きます。

教育現場での金融教育などに差があるとも指摘されますが、そのほかに購入できる株の単位の違いが挙げられます。日本では単元制度があり、原則的に株は100株を単位として購入しなければなりません。たとえばトヨタ自動車の株を購入するには最低約70万円が必要となります。

一方、米国では1株からでも企業の株式を購入できるため、少額投資で気軽に株で資産運用に乗り出せる環境が整備されています。マイクロソフトへの投資の場合は、最低で約2万円からスタートさせることが可能です。より多くの投資家が資産運用のために市場に参入することで、株式市場も活性化し、株価上昇の期待がかかるという構図です。

米国株は旨味だけではない?投資に潜むリスク

高い成長性、安定性、整備された投資環境と米国株式市場は非常に魅力的に映るかもしれません。実際に、投資の神様・バフェットは莫大な利益を上げています。しかし、金融危機などによる株価の暴落により、投資の世界から撤退させられるファンドマネージャーや銀行のトレーダーも数多く存在します。投資にリスクは付き物で、米国株もその例外ではありません。

米国株への日本からの投資には主に次の3点のリスクが挙げられます。

米国株投資のリスク1:為替

日本から米国株に投資する場合、基本的にはドル建てベースで株を保有することになります。米ドルに対して円安となれば為替益が加わり、円建てベースでの資産価値はさらに上昇します。

一方、円高が進行すると円建てベースの資産価値は減少してしまうため、注意が必要です。円建てベースで米国株の資産評価をした場合、株価は順調に上昇したにも関わらず、円高の進行によって、損失が発生することもあります。

米国株投資のリスク2:企業分析

米国株への投資を始めるにあたり、企業の分析は欠かせません。決算報告書や事業内容等から投資判断を下すことになります。金融市場のグローバル化やウェブメディアの発展などにより、米国企業の情報もオンラインで簡単に入手できるようになりました。とはいえ、現地企業の情報分析をする際、壁となるのが英語でしょう。

十分な経済知識がない投資家にとって、決算報告書を読み解くのは日本語でも容易ではありません。それが英語となればハードルはさらに上がります。

また、日米では会計基準が異なります。そのため、米国企業の決算報告書を理解するには、日本企業の決算報告書を読み慣れた投資家でさえも苦労しがちです。言葉や異なる会計基準が企業分析を難解なものにし、的確な投資判断が下せなくなるかもしれません。

米国株投資のリスク3:ポートフォリオの定期的な見直し

米国の株式市場ではスタートアップ企業が次々に誕生し、新興企業の成長スピードも段違いです。そのため、安定的なリターンを上げるには株の購入後もビジネスの新陳代謝に合わせて、保有する株のポートフォリオを定期的に見直す必要があります。

ビジネスのダイナミックさは市場の魅力の1つですが、投資家の観点からは、常にトレンドを意識しながら、適切なポートフォリオを組み替えるメンテナンス意識が欠かせません。保有する株式の銘柄を入れ替えるのは、企業のリサーチに時間を要します。このような観点から、日本の投資家にとって米国株投資の醍醐味を味わうのは、必ずしも容易でないかもしれません。

S&P500インデックスが最強の味方!?そのメリットとデメリット

それでも米国株の成長性を資産運用に取り込みたいという場合、バフェットが妻への遺言で言及している「S&P500インデックス」が選択肢の1つとして考えられます。ではどのような金融商品なのかを説明します。

S&P500とは、米国株式市場における株価指数の一種です。工業株400種類、運輸株20種類、公共株40種類、金融株40種類と計500種類の銘柄で構成されており、それぞれの銘柄の時価総額を指数化したものです。時価総額が高い順にS&P500に組み込まれている主たる企業は次の通りです。
  • アップル
  • マイクロソフト
  • アマゾン・トッド・コム
  • フェイスブック
  • アルファベット
  • ジョンソンエンドジョンソン
  • ウォルマート・ストアズ
  • ビザ
  • P&G
  • マスターカード
グーグルの持ち株会社であるアルファベットをはじめ、名だたる企業が並んでいます。S&P500というワードだけだと耳なれないかもしれませんが、実際には広くサービスが浸透した国際的な企業ばかりです。また、アップル、マイクロソフト、ビザなどは、ダウ平均株価にも組み込まれている銘柄です。

過去10年にわたり右肩上がりの成長を見せるS&P500。S&P500インデックス投資のメリットとは

これらの企業の株の時価総額からはじき出された指数であるS&P500のインデックス投資は、その指数と連動するような運用成績を目指す投資方法です。S&P500は過去10年間にわたって右肩上がりの成長を見せており、その指数は3倍ほど上昇しています。指数に連動するインデックス投資であれば、この高い成長率を運用益として享受できるのです。

高い成長率が期待できるS&P500インデックス投資には他のメリットもあります。指数に連動するインデックス型の投資信託は、S&P500を構成する500社に分散して投資しているため、仮にそのうち1社が倒産したとしても、投資資金を全額失うことはありません。

また、S&P500インデックスの投資信託では指数を構成する企業がパッケージとなっているため、個別企業の業績などを分析して銘柄を選択する必要もありません。さらに、投資信託のなかには購入時手数料が無料だったり、信託報酬率が相対的に低く抑えられていたりするタイプのものもあり、投資家には魅力的です。

S&P500インデックス投資のデメリット

バフェット一押しのS&P500インデックスですが、デメリットも当然あります。先程、S&P500の指数が10年で3倍にまで上昇したと紹介したように、指数に連動するインデックス投資の場合、長期投資のスタンスで、市場の成長を運用に取り入れることになります。従って短期的な投資には不向きとされます。指標を構成する個別銘柄のなかには全体の指標を上回るパフォーマンスを上げる企業も登場します。

たとえばアマゾンの株価に着目すると、2002年の3月から7月の4ヵ月の期間で株価がおよそ2倍に上昇しています。この期間に限ると、S&P500インデックスで全体に投資するよりも、アマゾンの個別株で運用した方がより高い運用益を上げられたことになります。

直近の数年間に渡り、米国の株式市場は好調に推移してきたため、S&P500インデックス投資は着実に利益を確保してきました。しかし市場が不況に陥ると成長にもブレーキがかかり、株価が下落し損失が発生するリスクもはらみます。

S&P500インデックスに投資する方法は?

リスクを十分に把握したうえで、S&P500インデックスを投資のポートフォリオに組み込む場合、主に2つの方法で購入することができます。

S&P500インデックスへ投資する方法1:投資信託を購入する

S&P500インデックスを取り扱う代表的な運用会社として「バンガード」「iShares」「SPDR」などがあります。こうしたブランドと日本の証券会社がタッグを組み、S&P500インデックスの投資信託を販売しており、この投資信託を購入するのが1つ目の方法です。

日本の証券会社などが販売するこの投資信託では、円取引が可能であり、つみたてNISAの対象にも含まれています。また、100円から少額投資ができる点も魅力的です。さらに、利益が発生した場合は、投資信託内で再投資されるため、複利効果も期待できます。

S&P500インデックス投資の人気が高まるにつれ、日本の証券会社などは商品開発に力を入れ、米国のブランドを活用しながらさまざまなS&P500インデックス関連の投資信託を販売しており、投資家の選択肢は広がっています。

S&P500インデックスへ投資する方法2:ETFを購入する

2つめの方法は、上場投資信託(ETF)を購入することです。「バンガード」「iShares」「SPDR」のS&P500インデックスの投資信託は上場しているため、購入することが可能です。なお、購入自体は日本の証券会社を通じて行えますが、前述の投資信託とはいくつか異なる点があるため、注意が必要です。

まず、取引単位が投資信託1口からとなっています。たとえば、バンガードのS&P500(VOO)というETFの価格は1口約300ドルとなっており、最低購入資金として約3万2,000円が必要です。実際に購入する際には、米ドルでの取引が原則となります。利益については、分配金として受け取るか、1口単位で再投資することになります。つまり、分配金の受取額が300ドル以上あり、この投資信託の価格が足元の水準であれば再投資され、複利効果が期待できます。

どちらの投資方法が適しているかは、投資家の運用スタイルや運用資産額によって異なります。日本の証券会社が販売する投資信託であれば、少額から投資を始められ、利益が発生した場合は自動的に再投資されることで複利効果も期待できます。

ETFのS&P500インデックスは上場されているため、市場価格で取引することが可能です。価格が上昇したり、あるいは下落したりする局面で売買したいと思ったときは、注文を出せばその価格で取引が成立します。

一方、日本の証券会社が販売する投資信託では売買の注文を出してから取引が確定するまでにタイムラグがあり、その間にS&P500の相場が変動すると、想定していた価格で取引できないということがあります。こうした点に注意しながら、どちらの投資方法がご自身に最適なのかを判断するか、あるいは運用資産をそれぞれの方法に振り分けるというのも運用方法の1つでしょう。

「卵は1つのカゴに盛るな」。S&P500インデックスで分散投資の一助に

「困ったときの神様頼み」ではないですが、投資をするうえで「投資の神様」バフェットの言葉を参考にするのも手です。「S&P500インデックスに投資せよ」というメッセージは、最愛の妻に送ったものだけに、一段と重みがあります。

実際に、S&P500インデックスの過去のパフォーマンスは、投資対象に値するほどの実績を記録しています。また、500社の銘柄に幅広く分散投資をすることで、リスクヘッジにもなります。さらに、S&P500インデックスへの投資方法も充実してきており、投資家としてはまたとない機会に恵まれた投資環境が整いつつあります。

投資の世界では「卵は1つのカゴに盛るな」という格言が存在します。これは、すべての卵を1つのカゴに盛ってしまうと、カゴが落下した場合にすべての卵が割れるリスクがあるため、複数のカゴに分けて卵を管理せよという意味です。投資もしかりで、1つの商品に投資するのではなく、複数の商品に分散投資してリスクをコントロールするのが理想とされます。

投資の神様であるバフェットの言葉を参考に、S&P500インデックス投資で米国株にも運用の幅を広げれば、さらなる分散投資とリスクコントロールが実現できるかもしれません。
 

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