投資・資産運用
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2020.9.26

今年の決算発表は、「減損」に気をつけよう

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
6月も下旬に入り、そろそろ2、3月期決算企業の第1四半期決算発表(以下:1Q決算発表)が相次ぎます。

今年は、前期本決算発表時に多くの企業が期初予想を出していないため、予想の数字が出ることへの期待を反映して、例年より1Q決算発表への注目度が高いように思えます。

ポジティブな数字が発表されれば多くの投資家にとってハッピーですが、個人的にはネガティブな要素を考慮に入れています。

それは「減損処理(げんそんしょり)」です。

「減損処理」とは、保有している資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、もう少しわかりやすく表現すると「当初予定していた通りに稼げないと判断された場合」、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きのことです。

「減損処理」を実施する前に、「減損の兆候」(現存しそうな気配があるかどうか)を次のケースに照らし合わせます。

なお、資産グループとは概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位のことで、例えばAという工場は土地、建物、設備といったモノから構成されますが、工場の生産物は設備からのみ製造されるわけではなく、土地や建物があってこそ設備を置けるわけですから、この場合A工場が1資産グループとみなされるでしょう。

「減損の兆候」

  1. 営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合、あるいはマイナスが続くと見込まれる場合
  2. 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
  3. 経営環境の著しい悪化がある場合
  4. 市場価格の著しい下落がある場合
出所:新日本監査法人website

冒頭に触れた、前期本決算発表時に多くの企業が期初予想を出さなかった理由は、多くの企業において新型コロナウィルスの影響を見積もれないからでした。

その影響が徐々に明らかになりつつある現段階で、上記に該当する資産が明らかになっているのでは?と予想しています。

特に新型コロナウィルスは、生活スタイルや働き方を半ば強制的に変えている側面があり、その結果特に3.と4.をもたらしていることが多いのではないかと考えるのです。

では、どのような企業にその懸念があるのでしょうか?

これは産業によって導かれる答えが異なりますが、ある程度共通する要素は「固定資産」が占める割合が高い、あるいは近年急に増えていることだと考えます。

バランスシートの「資産の部」の「固定資産」の各項目を本決算だけで構いませんから、比較してみてください。

「減損処理」の対象になるのは、ほとんどが固定資産です。

その固定資産が多い場合、「経営環境の著しい変化」によって、工場や店舗の閉鎖、生産規模の縮小などがあれば、予定通りのキャッシュ・フローを得られないことになります。

特にM&Aで発生する「のれん」は買収対象の帳簿価格と買収価格との差が計上されるものですが、いわゆる「アベノミクス」で息を吹き返したように見えるここ数年の日本経済の過程で実施したM&Aは、今になって「高い買い物」になっていた可能性があり、「減損処理」の対象になるものが少なくないと考えます。

また、「投資有価証券」が固定資産に計上されている場合も、気に留めておきたいポイントです。

例えば、日本郵政G(6178)はゆうちょ銀行(7182)株を約74%保有する大株主ですが、ゆうちょ銀行の株価が大きく下落すると減損処理を迫られます。

その下落の目安は50%以上の下落であれば原則として「減損処理」、30%以上50%未満の場合は株価の回復可能性が低いとみなされれば「減損処理」の対処となります。

日本郵政Gとゆうちょ銀行の場合、ゆうちょ銀行株が866円以下になった場合は、減損処理の対象となります。

「投資有価証券」のように基準がはっきりしているもの以外の「減損処理」を1Q決算発表で実施するかと聞かれたら、そうではなく、年度の後半以降になることが多いかなと思います。

なぜなら、いまだに3ヶ月先、半年先の不透明感はあるでしょうから、事実がもっと明らかになってから実施する企業が多いだろうと考えるからです。

なお、「減損処理」はバランスシート上の資産の価値を減らすだけなので、現金の支出を伴うものではありません。

よって、現在のキャッシュ・フローにはニュートラルな処理となりますが、本来稼げるはずの資産の価値が減るわけですから、将来のキャッシュ・フローにはネガティブと考えるのが自然ではないでしょうか。

まずは自分が保有している銘柄について、「資産」の状況を確認しましょう。

近年固定資産が増えているようであれば、まずは1Q決算でその変化を確認し、3ヶ月ごとにそれを繰り返すことで、保有株への痛みを軽減することができると思います。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
 

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