投資・資産運用
-
2020.9.8

ヘッジファンドの投資銘柄を真似るETF「GURU」とは?

(画像=Getty Images)
(画像=Getty Images)
アメリカのETFの商品ラインアップは実に豊富で、なかにはよくこんな開発に至ったと思わせるような金融商品があります。

今回ご紹介する「GURU」もその1つです。GURUはヘッジファンドが投資対象としている銘柄を真似て運用するETFです。

ヘッジファンド連動型ファンドなど、特定のヘッジファンドの値動きに連動することを目的としている投資信託は日本国内にもありますが、GURUのような商品は見当たりません。

そこで今回はGURUについてお伝えしていきます。

グル・ファンド~ヘッジファンドの投資銘柄を真似るETF

グル・ファンドはアメリカの米ドル建てETFです。複数のヘッジファンドが運用している投資銘柄を真似て、同じような銘柄をファンドに組み入れ、ベンチマークをアウトパフォームすることを目指したETFのことです。

今から3年ほど前にアメリカの個人投資家の間で人気となった商品で、グル・ファンドはいくつかの運用会社から類似商品が提供されています。

今回紹介するGURUもたまたま商品名にグルという名称が使われていますが、数あるグル・ファンドの1つとなっています。

尚、GURUの正式名称は、「Global X Guru Index ETF(グローバルXグル・インデックスETF)」です。

ファンドに組み込む対象銘柄については、ヘッジファンド業界の大御所で、もはやカリスマともいえるジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットなど、好成績をあげているヘッジファンドが買い入れている株式銘柄を常に調査しています。

カリスマ達の模倣をすることから、別名カリスマファンドとも呼ばれています。

Global X Guru Index ETF (GURU)の概要紹介

次にGURUの詳細についてまとめてご紹介していきます。以下のまとめをご覧ください。
 
(画像=(出典:2020年3月31日付けグローバルX社GURUファクトシート))
 

ファンドの目的

GURUは、米国内にある数千ものヘッジファンドから、ファンドパフォーマンスが優れていると考えられる60社ほどを選びます。

それらの会社に最も多く保有されている米国上場株式の銘柄を模倣し、ロングポジションのみを取って運用されているファンドです。

このファンドの目的をひと言でいえば、優れたヘッジファンドの投資銘柄を真似て運用し、ベンチマークとなるS&P500株価指数をアウトパフォームし、アルファを追求することにあります。

このアルファとは、マーケット全体の値動きに関係なくファンドマネージャー自身の経験やスキルによって得られる超過収益のことです。

つまり、ヘッジファンドの模倣はしつつも、ファンドマネージャー個人の力量や能力、独自のさじ加減によって何かしらエクストラとなる収益の獲得を目標としています。

経費率

経費率の0.75%ですが、ETFとして見た場合には非常に高い投資コストになります。

バンガードなど大手運用会社のETFの経費率になると、小数点が一桁違ってくるほど低いのが当たり前です。

米国高配当ETFとして人気のある同社の「VYM」の場合でも0.06%となり、他社でも多くのETFは0.1%を割る経費率となっています。

しかし、GURUのファクトシートには、ヘッジファンドに類似する運用内容の割には0.75%という経費率は割安であると謳われています。

さらに一般的なヘッジファンドの手数料は2%に加え、成功報酬が20%程かかり、それよりはずっと割安であるとも謳っています。

確かにETFとしては割高なものの、ヘッジファンドの投資コストよりはずっと低いというのは事実かもしれません。

ただし、それはヘッジファンドとほぼ同じ手法であればという条件が付きます。

GURUの場合はロングオンリーであり、ロング・ショートやプライベートエクイティ、商品・為替の先物、デリバティブにも手を出して絶対収益を狙うヘッジファンドとは根本的に異なる運用方法になります。

ヘッジファンドで買われた銘柄の中から厳選して運用しているだけで、投資手法自体には大きな隔たりがあるといっていいでしょう。

従って、非常に高度な金融工学の深い知識や相場観が問われるヘッジファンドの手数料と比較すること自体に無理があると考えられます。

この点についてはよく考慮する必要があります。

業種と上位銘柄

2020年3月31日現在の業種と上位10銘柄の表です。

ヘルスケア、コミュニケーション・サービス、ITだけで全体の50%ほどを占めています。

年度によってこの3つの業種の順位が入れ替わるものの、ほぼ同じような構成となっています。
 
(画像=(出典:2020年3月31日付けグローバルX社GURUファクトシート))


ヘルスケアやIT系などがありますが、各銘柄当たりの資産割合に隔たりが少なく、ほぼ同じような構成となっています。
 
(画像=(出典:2020年3月31日付けグローバルX社GURUファクトシート))
 

GURUはなぜヘッジファンドを模倣できるのか?

ヘッジファンドは私募も多く、情報開示という点ではETFを始め、一般投資家向けの金融商品ほど多くの情報が出回りません。

そのためGURUや類似するグル・ファンドが、なぜヘッジファンドが買いポジションを取る銘柄を模倣できるのかは興味深いところです。

その秘密は「Form13F」と呼ばれている報告書にあります。

SEC(米国証券取引委員会)に登録済みの機関投資家やファンド運用会社のファンドマネージャーは、自社のポートフォリオについて四半期ごとにSECに報告することが義務付けられています。

その報告の際に提出されるレポートがこのForm13Fで、この報告書にはどのような銘柄で運用しているかが詳細に記されています。

さらにこのレポートは金融機関だけでなく、だれでもアクセスが可能です。

つまり、私たちのような個人投資家でも公表されている運用対象商品のデータを利用すれば、似たようなポートフォリオが組めることになります。

GURUやほかのグル・ファンドは、ヘッジファンドの投資銘柄をこのようなレポートから探し出してきます。

ヘッジファンドは上述のように非常に数が多いため、非常にたくさんの銘柄からファンドマネージャーの目利きで絞り込んで、ポートフォリオを構築していくことになります。

ただし、注意が必要なのは上記のレポートが四半期ごとに提出されているという点です。

つまり、ヘッジファンドの投資銘柄を知るタイミングはリアルタイムではなく、必ず数ヵ月のタイムラグが発生してしまうということになるのです。

ヘッジファンドはレポートが公開される頃にはリバランスを行っており、レポート内に記載のある銘柄は売却済みということもあり得るわけです。

グル・ファンドとしては、レポートの情報が入手できた時点においても本当に投資対象となるかを検証していかなければなりません。

対象がボラティリティのある株式なので、売買タイミングを間違えると、たとえ分散投資とはいえパフォーマンスを落とすことにもなりかねず、運用担当者の力量が問われるのです。

GURUの運用パフォーマンス

GURUの運用パフォーマンスを簡単に見ていきます。

2017年から直近の2020年4月30日までの週足チャートをご覧ください。

尚、赤いラインが「GURU」、黒のラインがベンチマークの「S&P500Index(SPX)」、青のラインが「ニューヨークダウ(DJI)」、グレーのラインが「日経225(N225)」です。
 
(画像=(出典:Tradingview))


このチャートからわかるのは、ベンチマークとなるS&P500株価指数に連動する値動きは見せるものの、パフォーマンスの面ではアンダーパフォームとなっていることです。

これまでチャート上からは、一度もベンチマークを上回るパフォーマンスとなっていません。

経費率が0.75%と高い投資コストであることを考えると、それに見合っておらず、厳しい内容であるといえるかもしれません。

GURUのメリット・デメリット

これまで既にGURUのメリットやデメリットについて触れてきましたが、ここでまとめてお伝えします。

GURUのメリット

最初のメリットとして挙げられるのが、一般投資家がアクセスしやすい点です(ただし、日本国内の証券会社では取り扱いがありません)。

ヘッジファンドのような高い最低投資額の設定や中途解約の制限などがなく、ほかのETF同様にいつでも売買が可能です。

また、ポートフォリオの内容がいつでも確認できるので、構成銘柄に関するタイムリーな情報の透明性の高さもメリットとなります。

さらにヘッジファンドに類似する銘柄に幅広く分散投資できる点も魅力となっています。

GURUのデメリットや注意点

デメリットとしては、0.75%という高い経費率にもかかわらず、ベンチマークに劣る運用パフォーマンスです。

またGURUは、SPYなど主要なETFに比べると市場での取引ボリュームが低く、流動性リスクについて注意する必要があります。

GURUは結局おすすめといえるか?

GURUの特徴はアクティブ型とパッシブ型の中間ともいえそうなETFです。

ベンチマークとなるS&P500を上回ることを目標に運用されている点ではアクティブ型といえます。

しかもヘッジファンドの組入れ銘柄から、ファンドマネージャーの目利きで絞り込んで運用されているという点でも、単純な模倣ではないためにアクティブ型といえるでしょう。

しかし、基本的にはヘッジファンドのポートフォリオに追随する銘柄選定で運用されているという点では、パッシブ型ともいえそうです。

これでパフォーマンスについてもいいとこ取りで、優れていれば買いとなりますが、これまでの運用成績については解説した通り、ベンチマークに届かない状況が続いています。

高い経費率の割にはそれほどパフォーマンスが期待できない部分もあり、手数料負けとまではいかないまでも、低い手数料で主要な株価指数に連動するパッシブ型のほうが、はるかにメリットも大きいといえるかもしれません。

もし、投資資金に限りがあって投資商品をある程度まで絞り込む必要がある場合には、積極的に選びたい商品にはならないといえそうです。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
 

>>その他のおすすめ記事
滝川クリステルさんが1.5億円保有する「国債」ってどんな商品?
【連載#2】3億円失う人も…”億り人”で居続けることの大切さ
【連載#3】100万円を4,000万円にする「マーケットの渡り方」
【連載#4】忙しいビジネスマンでも株で“億り人”になれるワケ
総資産を1億にする資産運用法とは?

関連記事