投資・資産運用
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2019.4.9

遺産300万円でも「争続」になるワケ

(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)
(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)
あなたは、相続人の間で話がこじれて「争族」になってしまうという話を耳にしたことがありませんか? 故人が遺した莫大な資産を巡って遺族が骨肉の争いを繰り広げるというイメージが強いようですが、実は金額が多い少ないにかかわらず、争族は意外と身近に起こり得るものだと言えます。

なぜなら、争いの火種は相続人の間で生じる「不公平感」にあって、それは必ずしも金額が起点とならないからです。例えば、その典型例が親の介護を巡るものです。

とかく介護の問題が絡むと不公平感が募りがち

まず、男性の平均寿命は女性よりも短いのは周知の通りで、夫婦のその子どもという家族スタイルにおける一時相続(最初に迎える遺産の引き継ぎ)では、父親が被相続人(財産を遺す人)となるパターンが多いと言えそうです。そのことを念頭に置いたうえで、2015年3月に「女性の相続と財産に関する研究会」が全国の 40~60 代の男女に実施した「相続と財産に関する調査」に注目してみたいと思います。

同調査において、相続が発生した際に亡くなった人(父親)が要介護だったケースは、全体の20.8%に達していました。これに対し、亡くなった人(母親)が要介護だったケースは9.6%にすぎません。

厚生労働省の2016年調査によれば、支援や介護を必要とせず日常を過ごせる「健康寿命」は男性が72.14歳で、女性は74.79歳となっています。男性は加齢とともに女性よりも早く要介護状態に陥る可能性が高いわけです。

そして、「主に誰が父親の介護をしたのか?」という質問に対しては、兄弟・姉妹・兄妹・姉弟・一人っ子などといった家族構成の違いにかかわらず、いずれにおいても母親(要介護者の妻)という結果になっていました。また、それに次いで目立っていたのは、姉や妹、長男の妻といったように女性が主に介護を担っていたというケースです。

「最期まで世話をしたのは私なのだから、遺産を分ける際にもその点を配慮してほしい」とか、「介護はほとんど私任せだったのに、妻の立場では相続面で何も報われないのは理不尽」とかいった不満を彼女たちが抱いていたとしても、それは無理もないことかもしれません。とにかく、特に介護が絡んでくると「不公平感」の火種が燻っている可能性が高いと言えそうです。

遺産300万円未満でも介護絡みで揉めた実態が明らかに

現に、前述のアンケート調査で「相続がスムーズに進んだか?」との問いについては、父親の介護が10 年以上にわたっていたケースでは「揉めた」という回答が 17.1%に達していました。では、これらの人々はどの程度の遺産を分け合うことで揉めたのでしょうか?

同アンケート調査で、父親および母親から金融資産を相続したと回答した人からその金額について聞いたところ、一次相続では「300万円未満」が 53.1%で過半数を占めていました。300万円未満の遺産を分け合う際にも、介護の問題などが不公平感をもたらして揉めてしまったというパターンが実在しうるわけです。

「女性の相続と財産に関する研究会」も調査結果を踏まえて、「介護の期間や状況によっては揉めるケースが相当数あることが確認された」との見解を示しています。さらに同調査では、「司法統計によると2013 年に全国の家庭裁判所での遺産分割事件の新受件数は約1万5,000件。10年程度で約3,000件増えている」と指摘しています。

なお、この家庭裁判所で認容・調停成立となったケースを遺産の金額別に分析したデータでも「1,000万円以下」が32%、「1,000万円~5,000 万円以下」が43%となっていました。「巨額の財産が遺されていなくても相続で揉めることはけっして珍しくないのが実情」と「女性の相続と財産に関する研究会」も分析しています。

別の見方をすれば、「自分の親は特に資産家ではないから対策は必要ない」と油断していたことがその原因になっている可能性も考えられるでしょう。

介護の必要性が生じた時点で、単にその役割分担だけではなく、先々で相続が発生した場合にどう反映させるのが望ましいのかを家族がきちんと話しあっておくのが理想と言えます。そのうえで遺言書を作成しておけば、争族は未然に回避できそうです。
 

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