投資・資産運用
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2020.7.18

株式市場の種類や特徴は?「一部昇格狙い」投資法など実践も解説

(写真=iamchamp/stock.adobe.com)
(写真=iamchamp/stock.adobe.com)
各証券取引所や各株式市場の特徴の違いをしっかり理解することで、「東証一部昇格」のタイミングに合わせて利益を狙うことも可能となります。ここでは「株式市場」を切り口に、株取引に役立つ基礎知識や実践に役立つノウハウを紹介します。

そもそも株式とは?

株式市場について学ぶ前に、まず「株式」について理解しておく必要があります。ちなみに一般的に「株」という言葉が使われると、それは株式のことを指すと考えて差し支えありません。

企業のなかには、正式な会社名の前か後に「株式会社」という名称がついていることがあります。この株式会社が、資金を拠出してくれた人に発行する有価証券のことを株式と呼びます。株式会社は株式を発行することで資金を集めることができるのです。

詳しくは後述しますが、株式会社は上場企業と未上場企業に分けられます。そして、上場企業の株式は証券口座を開設することで、基本的に誰でも証券取引所・取引市場を通じて売買することが可能です。

未上場企業の株式は誰でも取得できるわけではなく、企業が創業時や事業拡大時に個別に発行したり、証券会社などを通じて取得したりする形となっています。
 

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株式市場には区分がある

では本題に戻ります。「株式市場」とは、上場している株式の売り買いなどの取引を行う市場のことを指します。

ただ株式市場といっても、「発行市場(Primary Market)」と「流通市場(Secondary Market)」の2つに分類され、株式市場について包括的に理解するためには、これら両者の違いについてしっかりと知識を持っておく必要があります。

発行市場とは?

発行市場とは「資本調達市場」などとも呼ばれ、新たに企業や国が発行した株式や債券などの有価証券を、投資家がその株式や債券を発行した「発行者」から直接的、もしくは証券会社の仲介者などを通じて取得するための市場のことを指します。発行市場は企業が新たに資金調達を行うことを目的とした市場という見方もできます。

一般に株式が広く流通する前の取引であることもあり、株式投資家の中には「発行市場」という言葉自体を聞いたことがない人も少なくありません。また日本では発行市場は欧米に比べてマーケットとしてはあまり発達していないとされています。

流通市場とは?

一方で「流通市場」は多くの人に馴染みがある株式市場です。一般的に流通市場といえばそれは「株式市場」のことを指し、すでに企業によって発行され、広く流通している株式を売買するための市場のことを指します。流通市場(株式市場)の中心となるのが「証券取引所」であり、日本にも複数の証券取引所が存在しています。

株式を売買する証券取引所は日本国内に4つ

日本には株式を売買できる証券取引所が4つあります。「東京証券取引所」「名古屋証券取引所」「札幌証券取引所」「福岡証券取引所」です。

かつては大阪証券取引所も存在しましたが、大阪証券取引所は東京証券取引所グループと2013年に経営統合し、現在は日本取引所グループ傘下の市場として、「大阪取引所」という名称で先物などのデリバティブ(金融派生商品)専門の取引所として機能しています。

東京証券取引所(東証)

東京証券取引所は「東証(とうしょう)」という略称で呼ばれ、日本国内で最大の証券取引所として知られています。東京証券取引所の住所は「東京都中央区日本橋兜町2-1」です。

東京証券取引所には全部で5つの株式市場があります。本則市場(ほんそくしじょう)と呼ばれる「市場第一部」と「市場第二部」のほか、「マザーズ」、「JASDAQ」、「TOKYO PRO Market」です。2020年5月1日時点における上場企業数は以下の通りです。

市場第一部:2,171社
市場第二部:483社
マザーズ:322社
JASDAQ:703社
TOKYO PRO Market:34社
合計:3,713社

以下、詳しく各市場の特徴を説明していきましょう。

市場第一部

「市場第一部」は一般的に「東証一部」と呼ばれます。東証一部に上場するための形式的な要件としては、上場時に見込みベースで流通額が250億円以上であること、連結純資産の額が10億円以上であること、直近2年間の利益額が総額5億円以上であること、などが挙げられます。

有価証券報告書などに虚偽記載が過去2年間で無いことなども条件とされ、東証一部に上場している企業は大企業であり、かつ信頼性が高い企業として広く認知を得ることが可能になります。ブランド力も一気に高まります。

市場第二部

「市場第二部」は一般的に「東証二部」と呼ばれています。東証一部よりも上場するための形式要件が一部緩く、例えば時価総額が20億円以上であることが東証一部に上場するための形式要件との違いです。

そのため、東証二部に上場している企業は東証一部に上場している企業よりも事業規模が小さいケースが多くなっています。そうはいっても中小企業が簡単に東証二部に上場できるわけでもないため、東証二部に上場していることは、その企業の大きな信頼性につながります。

東証マザーズ

「東証マザーズ」は東京証券取引所が1999年11月に開設した株式市場で、継続性や収益性に審査のウエートを置く東証一部と東証二部よりも、企業の成長性に重きをおいて上場審査が行われます。簡単にいえば、将来有望なベンチャーなどの新興企業が中心の株式市場です。

上場審査の形式要件としては、上場時の見込みベースで時価総額が10億円以上であることなどが挙げられ、実際の審査の際には、たとえベンチャー企業であっても事業を不正なく公正に遂行しているか、リスク情報などについて適切に開示が行える状況かどうかなどが厳しくみられます。

一般的に、将来的に東証一部や東証二部に上場を目指す企業が東証マザーズに上場する形となります。

JASDAQ

「JASDAQ」は「ジャスダック」と読みます。JASDAQは「スタンダード市場」と「グロース市場」に分かれており、スタンダード市場では実績、グロース市場ではその企業の将来性に重きを置いた上場審査が行われます。

上場審査の形式要件としては、上場時の見込みベースで純資産の額が2億円以上、流通株式の時価総額が5億円以上であることなどが挙げられています。

TOKYO PRO Market

「TOKYO PRO Market」は、東京証券取引所の第5の「株式市場」といわれており、日本国内で唯一の「プロ投資家向け市場」と位置付けられています。一般投資家の買い付けができないため、この株式市場の存在を知らない人も中にはいるでしょう。

名古屋証券取引所(名証)

「名古屋証券取引所」は略して「名証(めいしょう)」と呼ばれる証券取引所で、主に中部地区が地盤となっている証券取引所となっています。住所は「愛知県名古屋市中区栄三丁目8番20号」です。

名古屋証券取引所には全部で3つの株式市場があります。具体的には、本則市場である「市場第一部」と「市場第二部」のほかに「セントレックス」があり、2020年5月15日時点における各株式市場の上場企業数は以下の通りとなっています。

市場第一部:194社
市場第二部:82社
セントレックス:16社
合計:292社

名古屋証券取引所は1949年に開設され、1999年にベンチャーなどの新興企業や中堅企業向けの「セントレックス」が開設されました。東京証券取引所と同様に市場第一部と市場第二部が設けられており、セントレックスが最も上場基準が緩くなっています。

札幌証券取引所

「札幌証券取引所」は略して「札証(さっしょう)」と呼ばれています。1949年に開設されました。住所は「北海道札幌市中央区南一条西5丁目14番地の1」です。

現在は「本則市場」と「アンビシャス市場」の2つの株式市場が設けられています。2020年4月28日時点における上場企業数は以下の通りです。

本則市場:48社
アンビシャス市場:10社
合計:68社

アンビシャス市場は名古屋証券取引所の「セントレックス」と同様に、中堅企業やベンチャー企業向けの株式市場という位置付けとなっており、上場時の時価総額は審査要件には含まれていませんが、今後の成長性や成長の安定性などが求められます。

福岡証券取引所

名古屋証券取引所と札幌証券取引所と同様に、地方の証券取引所として知られているのが「福岡証券取引所」です。略称は「福証(ふくしょう)」で、住所は「福岡県福岡市中央区天神2丁目14番2号」です。

株式市場としては、「本則市場」と、新興企業や中堅企業向けの株式市場として2000年に開設された「Q-Board」があります。2020年4月時点における上場企業数は以下の通りです。

本則市場:94社
Q-Board市場:16社

Q-Boardでは主に本社を近畿や中国、九州エリアに構えている企業が対象となっています。Q-Boardもセントレックスやアンビシャスと同様、本則市場に比べて上場基準が緩くなっています。

日本の証券取引所・株式市場の立会時間は?

これまで紹介した証券取引所ではそれぞれ「立会時間(たちあいじかん)」が決まっています。立会時間は株式の売買取引が可能な時間帯のことを指し、立会時間外では各証券取引所において取引を行うことができません。

立会時間は午前中の「前場(ぜんば)」と午後の「後場(ごば)」に分かれており、前場と後場の間にはお昼休みの時間が設けられています。日本の各証券取引所の前場と後場の立会時間は以下の通りです。

東京証券取引所

前場:午前9時~午前11時30分
後場:午後0時30分~午後3時

名古屋証券取引所

前場:午前9時~午前11時30分
後場:午後0時30分~午後3時30分

札幌証券取引所

前場:午前9時~午前11時30分
後場:午後0時30分~午後3時30分

福岡証券取引所

前場:午前9時~午前11時30分
後場:午後0時30分~午後3時30分

東京証券取引所のみ立会時間が少しだけ短い

こうして立会時間を比べてみると、前場はどの証券取引所も立会時間が同じですが、後場は東京証券取引所のみ30分短くなっています。

各証券取引所には本則市場と新興市場がありますが、株式市場による立会時間の違いはないことも覚えておきましょう。

海外の証券取引所・株式市場について

ここまで日本の証券取引所について紹介してきましたが、海外にも日本と同じように証券取引所が存在しています。例えば米国には「ニューヨーク証券取引所(NYSE)」や「ナスダック証券取引所(NASDAQ)」といった証券取引所があります。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)

ニューヨーク証券取引所に上場している企業は約2,400社で、世界的なグローバル企業が多く上場しています。ニューヨーク証券取引所に上場していることは世界に認められた証であるともいえます。各国の取引所別の時価総額ではニューヨーク証券取引所がトップとされています。

ナスダック(NASDAQ)証券取引所

米国を代表する株式市場で、米国国内における取引所別の時価総額はニューヨーク証券取引所に続き2位、世界でも2位となっています。

ニューヨーク証券取引所とは異なり、ナスダックはベンチャー企業や新興企業向けという性質があります。

そのほかの証券取引所・株式市場に関する基礎知識

ここまで証券取引所の基礎知識や各証券取引所の特徴について一通り解説してきましたが、追加で知っておきたい点を補足的にいくつか紹介します。

重複上場

株式マーケットにおいては、同じ企業の株式銘柄でも複数の株式市場に上場しているケースがあります。このことを「重複上場」と呼びます。

一般的には、地方の証券取引所に上場した企業がその証券取引所で上場廃止をしないまま、東京証券取引所でも上場する場合に重複上場となります。

上場ルールは株式市場によって異なる

ここまでの各証券取引所についての解説の中でもふれてきましたが、株式市場によって上場するための形式要件などのルールが異なります。

新興市場よりも本則市場、第二部よりも第一部の方が形式要件や審査が厳しくなり、日本国内では東証第一部の上場企業が最も株式マーケット的には信用力が高いといえます。

第一部のほうが機関投資家や海外投資家による取引が多い

取引量(売買高)においても、市場第二部より第一部のほうが多い傾向にあり、流動性の高さが担保されています。機関投資家や海外投資家の中には、投資方針として投資できる企業が東証一部上場企業のみといった規定を設けているケースがあります。特に東証一部は国際的に広く知られる株式市場となっています。

「東証一部昇格」狙いの投資とは?

こうした証券取引所や株式市場の違いについて知ったうえで、株式投資の実践においては「東証一部昇格」狙いの手法があることも覚えておきたいところです。

東証二部や東証マザーズから東証一部に昇格する際には、株価が値上がりする傾向があります。東証一部のみを資産運用の対象とした投資ファンドや、機関投資家・個人投資家から、多額の資金が流入するケースが多いからです。

東証一部への昇格の要件

東証二部から東証一部に昇格することを「一部指定」、東証マザーズとJASDAQから東証一部などに昇格することを「市場変更」と呼び、それぞれ昇格の条件が細かく規定されています。

東証二部から東証一部に昇格するためには、例えば以下のような要件があります。
  • 株主数(指定時見込み):2,200人以上
  • 時価総額(指定時見込み):40億円以上
  • 純資産の額(指定時見込み):連結純資産の額が10億円以上(※かつ単体純資産の額が負でないこと)
  • 利益の額又は時価総額:以下のaかbのどちらかに適合すること
a. 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
b. 時価総額が500億円以上(最近1年間における売上高が100億円未満である場合を除く)

また、JASDAQから東証一部に昇格するためには、例えば以下のような要件があります。
  • 株主数(市場変更時見込み):2,200人以上
  • 時価総額(市場変更時見込み):250億円以上
  • 純資産の額(市場変更時見込み):連結純資産の額が10億円以上(※かつ単体純資産の額が負でないこと)
  • 利益の額又は時価総額:以下のaかbのどちらかに適合すること
a. 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
b. 時価総額が500億円以上(最近1 年間における売上高が100億円未満である場合を除く)

「東証二部から東証一部」と「JASDAQから東証一部」の要件では違いがあることが、比べてみるとわかるのではないでしょうか。「東証二部から東証一部」の場合は時価総額見込みが40億円以上となっていますが、「JASDAQから東証一部」の場合は時価総額見込みが250億円以上となっています。

東証マザーズから東証一部に上場する際の要件も、別途設けられています。

「東証一部昇格」狙いの具体的な投資手法とアプローチ

東証一部昇格狙いの投資手法としては、いくつかのアプローチがあります。

東証一部の昇格が決定した銘柄を買う

東証一部への昇格が決定すると、東京証券取引所がその決定について公表します。その公表後に上場が決まった銘柄を購入しておくことで、上場後の株価の値上がりによる利益を狙うという手法です。

東証一部への昇格を目指している銘柄を買う

企業によっては「お知らせ」や「プレスリリース」などで東証一部昇格を目指していることを明言しているケースがあります。こうした企業が必ず東証一部に昇格するとは限りませんが、自分が日頃から注目する銘柄リストにこうした企業を加えておいても損はないでしょう。

東証一部への昇格の条件を満たした銘柄、満たしそうな銘柄を買う

東証一部への昇格が決定しておらず、企業自体も昇格を目指していることを明言していなかったとしても、先ほどふれた「一部指定」や「市場変更」の条件を満たしている場合は、いずれ昇格を果たす可能性が高くなってきます。

こうした企業の株式を早めに購入すれば、株価が低い状態でより多くの株式を保有できることになり、結果として値上がり後の利益が大きくなります。各社の決算発表や関連ニュースなどを頻繁にチェックすることで、こうした「お宝銘柄」を見つけることができる可能性も高まります。

例えば、上場の形式要件のひとつに「流通株式」があります。この場合、株主を増やすために「株主優待新設」や「株式分割」、「公募増資」の動きを見せることがあります。こういった企業が発表するリリースにも日頃からアンテナを高く張っておくことが重要です。

PTSって?

最後に「PTS」についても解説しておきます。PTSは「Proprietary Trading System」の略で、証券取引所を経由することなく株式を売買することが可能な取引システムのことを指します。

ここまでの説明の中で、各証券取引所には「立会時間」があることを紹介してきましたが、証券会社が開設しているこのPTSを利用することで、証券取引所の取引時間外となる夜間や早朝などでも株式の取引をすることが可能になります。

元々は上場企業の株式の時間外取引はできませんでしたが、有価証券取引の取引所集中義務が1998年12月に撤廃され、PTSが解禁されました。PTSは日本国内・海外の機関投資家に幅広く利用されているほか、個人投資家でも活用している人は少なくありません。

PTSのメリット

PTS取引の最大のメリットとして挙げられる点は、前述の通り、証券取引所の立会時間よりも取引可能時間が長いことにあります。

各証券取引所の立会時間は一般的な企業勤めの人の勤務時間とほぼ重なりますが、PTS取引を利用すれば、通勤・帰宅途中の電車の中や自宅に帰ってからでも株式の売買が可能になるのです。

また、企業の重要ニュースの発表や決算発表は証券取引所が閉まった午後3時もしくは午後3時半以降に行われることもあり、こうした発表を踏まえた売買もPTSでは可能となります。

PTSのデメリット

PTSのデメリットは、取引している人が決して多くはないことから、株価の変動が鈍くなることなどが挙げられます。株価の値動きが鈍くなれば、それだけ買いや売りのタイミングも見つけにくくなるのです。

「座学」と「実践」にバランスよく取り組もう

株式投資を成功させるためには「座学」と「実践」にバランスよく取り組んでいくことがポイントです。まずはこの記事で解説したような株式市場の基礎的な知識を理解し、東証一部昇格狙いの投資などの実践に生かしていくのがよいでしょう。
 

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文・岡本 一道
政治経済系ジャーナリスト。日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける
 

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