投資・資産運用
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2020.5.27

【連載#4】いま世界が注目”日本の現代アート“

ここまで、日本には多くの有望作家が眠る可能性についてお伝えしてきました。アート作品は、まず「自分で見て楽しむ」ことが大切ですが、どうせ購入するのであれば、やはり将来的に価値が上昇する作品を選びたいと思うのが自然でしょう。そのような作品を他社に先行して“青田買い”するにはどうすればいいでしょうか。
 

まずはお気に入りの作家を見つけよう

アート作品を購入する場合、すでに名前が世に知れ渡っている作家の作品を選ぶのも一手です。その作家が海外で有名になり、オークションなどで作品が取引されるようになれば、購入価格の5倍、10倍に跳ね上がる可能性があるからです。もっともそうした作品の場合、すでにある程度価格が上昇していることに加え、知名度がある分、質の良い作品を購入できる確率も下がります。

そう考えると、まだ世に知られていない作家の作品に目をつける方が、将来に向けてより高い期待を持てるでしょう。とはいえ、世に知られていない将来性のある作家を探すのが難しいことも確かです。若くて有望な作家を発掘するためにはどうすればいいのでしょうか。作家の個展を数多く訪れれば出会える可能性は高まりますが、目をつけた作家が個展を開いているとも限りません。

「作家と仲がいいなら別ですが、いきなり顔も知らない作家のアトリエを尋ねるのは、さすがに避けるべきです。ただ、最近は10人くらいが集まって『共同アトリエ』のようなスペースを設ける作家たちもいます。そういう場所であれば、年に数回ほどオープンスタジオを行っているところもありますし、気軽に本人に会いに行っても問題ないと思います。さらに、アーティストやギャラリストと仲良くなれば、自分の家やオフィスに合う作品を購入する時の相談もできます。『自分には手の届かない価格だな』と思うような作品でも、相談すれば分割払いにしてくれるギャラリーもありますよ」(山口さん)

山口さんによると、ギャラリーを運営しているギャラリストも作家も、話をすればその人が本当に作品を気に入ってくれているのかがすぐわかるとのこと。まずは自分のお気に入りの作家を見つけることが先決かもしれません。

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若手作家の作品購入と株式投資の共通点とは

サザビーズジャパン代表の石坂さんは、「まだ世にあまり知られていない作家の作品を買うことは、未公開の株式、あるいはIPO(株式の新規公開)株への投資に似ている」と指摘します。

「まだ芽が出ていない若手の作品を購入する場合には、一人の作家の作品を集中して購入するのではなく、10人、20人といった単位で分散して購入するのが賢明です。株式投資の世界では、ソニーやソフトバンクの株式を創業間もない頃に購入して保有しているという人がいるでしょう。その一方で、そうした人たちは期待通りの成長を果たせず、価値が思ったように上がらなかったり、消えていったりした銘柄にも少なからず投資してきたはずです。美術品の世界にも同じようなことが言えます」(石坂さん)

現在、石坂さんは世界的なオークションハウスの日本法人の代表としてオークションを通してアート業界やアートビジネスの発展に注力していますが、以前はギャラリストとして若手作家の発掘も行っていました。1990年代から2000年代にかけて20人程度の若手作家に目をかけていたそうです。その際に5万ドル程度で購入した二人の作家の作品が、その後500万ドル程度にまで値上がりしたこともあるとのこと。アート作品と株式の違う点は、「株式の場合は会社が倒産して株券の価値がゼロになる可能性がありますが、絵画などは一度価値が1億円まで上昇したものが10億円にまで上がることはあっても、タダ同然まで値下がりすることはほぼないこと」(石坂さん)だといいます。

注意したいのは、絵画などの作品が流通するマーケットには、「プライマリー」と「セカンダリー」の2種類ある点です。前者は作品をアーティスト本人や代理人であるギャラリーから購入するといった、直接的な市場を指します。後者のセカンダリーは、プライマリーマーケットで購入された作品が別の所有者に移動する「既存の作品市場」のことです。

プライマリーマーケットの作品を扱うギャラリーは、ギャラリーの運営側が作家と直接やり取りをしてマネジメントを行うため、足しげく通えば作家本人に会える可能性があります。一方、セカンダリーマーケットを扱うギャラリーでは、作家がいないところで作品売買が行われているので、作家に出会える可能性は低いでしょう。

セカンダリーを対象としたギャラリーでは適正価格で作品が購入できないというわけではありませんが、将来を見据え、作家本人と話をしたいのであれば、プライマリーを扱うギャラリーを狙うのがベター。そのギャラリーがどちらに属するかは、ギャラリーを運営するギャラリストと話をすればわかるでしょう。

こうして複数の作家たちとコミュニケーションを取っていくことで、“青田買い”への道はグッと近くなるはずです。
 

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