投資・資産運用
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2020.5.24

【連載#3】いま世界が注目"日本の現代アート"

日本アート界の現状と「追い風」

日本の文化庁の資料によると、2017年の世界のアート市場の規模は637億ドル(当時のドル円レートで約7兆円)。国別のシェアでは、米国が全体の42%、英国が20%、中国が21%を占める一方、日本はわずか3.6%にとどまっています。GDP(国内総生産)世界第3位、100万ドル以上の資産を持つ富裕層の数では世界第3位(2019年の年央時点)の位置にある国にしては物足りない数字でしょう。今後の日本のアート界が活性化するには、何が必要なのでしょうか。
 
日本のアート市場の規模が低迷している要因として考えられるのは、特集1で取り上げたように、「日本の作家の作品が海外のアート業界やコレクターたちに知られておらず、割安に放置されている」ことが挙げられます。もし、サザビーズジャパン代表の石坂さんやアートディレクターの山口さんが指摘しているように、グローバルな作家として認知されることによって作品の価格が急上昇すれば、日本のアート市場が急速に膨張する可能性があるわけです。

また2015年の1月に日本のアートビジネス界に大きな影響を与えそうな税制改正があったことも見逃せません。従来は美術品1点当たりの取得価額が20万円を超えるものは減価償却の対象になりませんでしたが、税制改正によって100万円未満まで認められるようになりました。古美術品など歴史的な価値があるものは対象外ですが、現代アートの作品は減価償却の対象。いわゆる「経費」として計上できるようになりました。こうした法的整備も、日本の現代アート市場にマネーが流れる契機となるでしょう。
 

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日本のアート界を応援することが自身のメリットにもつながる


前述したように、中国のアート市場は世界の21%を占めるまで拡大しています。その背景に、昨今における中国経済の成長があることは言うまでもありません。ただ、山口さんは「中国のアート市場の拡大を促しているのは経済成長だけではない」と言います。

「私は中国の北京にも住んだことがあり、そこで中国の現代アート市場の成長をこの目で見てきました。中国人は、まず自国のアーティストの作品を買うんです。自国の作家の作品に資金が流れれば、それによって値段も上がってきます。そうなると外国からの資金も徐々に入るようになり、マーケットがどんどん成長していくわけです。中国に限らず、海外のアーティストたちは自国の人々から応援されているんです。日本人が日本のアーティストを応援しないで誰が応援するのかという思いですね。将来、世界に名を残す可能性があるアーティストは、すぐ隣にいるかもしれません。現代アートにはそういうチャンスがあります」(山口さん)

また、石坂さんは「純粋に投資目的でも10人、20人の中から1人でも本物のコレクターが育ってくれれば、日本のアート界にとっては非常に有意義なこと。数多くのアートに接していくうちに、アート自体をどんどん好きになっていくものですし、そうやって美術の世界に傾倒していれば、アート作品の本質も理解してくるでしょう。結果として、金銭的にも成功する人が多いと思います」と話す。日本の現代アートの将来に向けて、私たちが一丸となって応援する必要があるのかもしれません。

たとえば、いまはSNSを通じて自分と同じ作家を好きな人たちとやり取りすることも可能です。そんな人たちと作家自身が一致団結し、同じ時代を共有することができるわけです。結果的に、それが埋もれていた作家を世に送り出すことにつながり、将来的には自分への利益となる可能性も高まるでしょう。

ちなみに、石坂さんは日本の現代アートにおいて蒔絵と竹細工を高く評価しています。

「日本の現代美術においても多くの有望作家がいますが、日本の美術品において圧倒的にユニークで優れているのは、おそらく蒔絵と竹細工でしょう。蒔絵はそのものが『ジャパン』と呼ばれているように日本特有のものになっています。また、竹細工は非常に伝統的なものであると同時に、現代美術のコレクターたちにも評価されています」(石坂さん)

もし、自分の身近にあるアート作品が絵画ではなく蒔絵や竹細工であるなら、そちらから現代アートにアプローチしてみるのもありかもしれません。
 

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